勇気を持って飛び込め
そこに道があると信じて
それが……最初の一歩となる。
9月1日
今年よりホクワーツに留学生として入学するにあたり、刀原はキングズ・クロス駅に来ていた。
ロンドンにおける主要ターミナル駅の一つでもある*1この駅の“9と4分の3番線”から11時発“ホクワーツ行き”としてホクワーツ特急が出るためだ。
だが刀原は首を捻っていた。
9月1日…日時。
キングズ・クロス駅…場所。
11時…出発時間。
ホクワーツ行き…目的地。
9と4分の3番線…そんな番線存在しない。
そう、9と4分の3番線なんてキングズ・クロス駅の何処にも存在し無いのだ。
英国魔法省に問い合わせ様にも……日が足りない。
「しょうがないけど当日に調べるか…」
刀原はそう判断し、出発の1時間前にはキングズ・クロス駅に着けるようにするのだったが……。
結果的に言えば刀原の懸念は杞憂だった。
万が一の事を考えキングズ・クロス駅に出発の1時間前、すなわち10時に来た刀原は、まず9番線と10番線に向かった。
そこで見たのは霊力の痕跡。
一応と思い位置を覚え、ホームを見渡せる場所へ。
アーチ状になっている柱。
そのうち歪みがあるのはホーム手前から3番目の柱。
「なるほど。4分の3番とは、4本の柱の3番目にある柱の事か……。つまりあの痕跡が、ホグワーツ特急の出発ホームに繋がっているという訳だな」
刀原はそう判断し、痕跡がある柱に飛び込んだ。
そして見えたのは……人がいないガラ空きのホーム。
当然、列車はまだ来ていない。
「やり過ぎた……早すぎだな…」
刀原はガックリと項垂れ、ホグワーツ特急の入線を記録用に持ってきたカメラを片手に、のんびりと待つ事にしたのだった。
ホグワーツ特急の入線を、誰にも邪魔される事なく堪能した刀原は、コンパートメントの一室に悠々と入り一息ついた。
そしてしばらくすると、段々と人がホームへと現れ始め、家族との別れを惜しむ生徒達でいっぱいとなった。
日本の家族は元気だろうか?
マホウトコロの友人達は元気だろうか?
師匠達は…どうせ元気だろ。
「儂等よりお主自身の心配をせよ」だの
「あなたに言われるほど衰えてはいませんよ」だの
彼らならそんな事を言うに違いない。
彼らを見てそんな事を思いながら刀原は出発を待っていたのだったが……。
次第に埋まってきたコンパートメントに入れなかったのか*2少し遠慮気味に「ここ空いてる?他はもういっぱいなんだ」と眼鏡を掛けた少年に聞かれる。
刀原は席を開け「もちろん、どうぞ」とニッコリ笑いながら言うのだった。
「この白フクロウ、すごく立派なフクロウだなぁ。名前は?」
少年の荷物*3を協力して積み込んだ後、刀原は話の起点として白いフクロウを選んだ。
「ヘドウィグっていうんだ。ハグリッド…ホグワーツの森番?をしている人からプレゼントとして貰ったんだ。君もフクロウを?」
少年は刀原の荷物にある籠に目をやる。
「いやフクロウではなく隼だよ、名前はライ。許可を貰って連れてきた。」
刀原は籠に掛けた布を取りながらそう答えた。
「隼なんだ。ライ、カッコいいね!」
「ありがとう、ヘドウィグも気品あふれる感じですごくカッコいいと思うよ。」
「あはは、ありがとう。」
まだ自己紹介もしていない二人だったが、しばらくペット談議をしていた。
やがて知らぬ間に列車は出発し、そしてまたもコンパートメントの扉が開いた。
「お二人さん…ここ大丈夫?他いっぱいでさ…」
眼鏡の少年とほぼ同じ事を言いながら開けたのは、赤毛の少年だった。
「彼を入れても大丈夫かな?」
「うん、大丈夫」
「ありがとう。大丈夫だよ、さあどうぞ」
刀原は眼鏡の少年に断りを入れ、赤毛の少年を迎え入れたのだった。
「それって確かジャパニーズソード?君、もしかして日本の魔法使いとか?」
「ああ、俺は日本の魔法使いだよ」
赤毛の少年はウズウズしながら、刀原の脇に立て掛けている斬魄刀について尋ね始めた。
刀原は刀をちらりと見ながらそう頷く。
「日本の魔法使いもホグワーツに来るの?」
「いや日本にはちゃんと日本の魔法学校があるよ。俺は留学生って形で入学するんだ。」
眼鏡の少年がそう聞けば、刀原は否定する。
「へえーおっどろきー。じゃあ日本人が、みんなジャパニーズソードを持ってるのは本当だったんだ!」
赤毛の少年は目をキラキラと輝かせてそう言った。
「何処のウソ情報だ…違うよ。コイツを持っているのは日本の魔法族だけだよ」
真実は時に痛いもの、赤毛の少年は妙な幻想なり憧れがあったのか「サムライはもういないんだ…」とガックリと項垂れる。
「そうだ忘れてた。僕はロナルド・ウィーズリー。今年からホグワーツなんだ。僕のことはロンって呼んでよ」
そして忘れかけていた自己紹介をし始めた。
「宜しく、ロン。俺はショウヘイ・トウハラ。トーハラで構わないけど…」
「いや名前で呼びたいな。ショウヘイ…じゃあショウでいい?」
「もちろんそれでいいよ。じゃあショウと呼んでくれ」
「じゃあ君は?」
「僕は…。
「僕はハリー、ハリー・ポッター」
と名乗った少年…ハリーに対して『これが英国魔法界の英雄殿か』と刀原は思っていた。
そして……。
どっからどう見ても普通の少年だな。
とも思っていた。
「じゃあ、あるんだ。あの人につけられた傷…」
ロンはハリーにそう尋ねる。
ハリーはそれに少し苦笑*4しながら、額にある稲妻模様の傷をロンに見せている。
しかし刀原は傷には見向きもせず、彼の魔力…日本で言う所の霊圧を見るが、結果は『ごく普通』だった。
マホウトコロ開校以来の『秀才と天才の学年』とも『次期護廷十三隊隊長候補が何人もいる学年』とも言われていた学年のトップだった刀原から言えば、他の人*5より少し良い方だった。
当然マホウトコロ時代の友人達よりも劣る。
普通の少年が、ヴォルデモートとか言う闇の魔術師を倒しただと?
ならばヴォルデモートはかなりの雑魚、名前だけではないか?
いやもしかしたらなんらかの要因か?
刀原は考えるがまとまらない。
そして考えている最中に車内販売がやって来た為……刀原は思考を投げ捨てて、金貨を片手に英国魔法界のお菓子を堪能するのだった。
「ねえ、ネビルのヒキガエルを見なかった?」
刀原達が百味ビーンズ*6を食べている最中にコンパートメントの扉をガラリと開け、やって来た少女はいきなりそう聞いた。
「残念ながら見てないな。チョコレートのカエルなら見て、さっき食べたけど」
刀原は先程食べたカエルチョコレートを思い出しながら、少女にそう答える。
「見た目はアレだが、あのチョコレートは美味しかったなー。それで、ネビルのヒキガエルとは?」
「僕のヒキガエルなんだ……。僕、ネビル・ロングボトムって言います……」
そう自己紹介したのは、少女の横からひょこっと現れた気弱そうな男の子。
「よろしくロングボトム君、俺はショウヘイ・トウハラ。呼びにくいからショウでいいよ」
「よろしく、ショウ。僕もネビルでいいよ」
「了解、ネビル。それで……そこの女の子は?」
「ああ、私はハーマイオニー・グレンジャー。今年から入学するの。ハーマイオニーでいいわよ」
「よろしくハーマイオニー、俺も今年からだ。さっきも言ったけど残念ながら見てないんだ。ハリーとロンは見た?」
刀原はハリーとロンにそう聞くが……まあ当然ながら、二人とも見ていないという。
「さてどうしようか?ああ、引き寄せ呪文があるじゃないか。あれで引き寄せればいいな……。ネビル、カエルってどんなカエル?」
刀原はネビルのヒキガエルを確保する為、物を引き寄せる『アクシオ』という呪文を思い出す。
そしてネビルからヒキガエルの特徴と名前……トレバーと言う名前を聞き、引き寄せを行った。
「
すると……脱走兵トレバーはスーと刀原の元へ引き寄せられ、そのままネビルに保護された。
「ありがとうショウ、助かったよ」
「あなたすごいのね!私達と同じ一年生でしょう?でも、一年生の教科書には載ってなかったわ」
ハーマイオニーは、自分と同じ一年生が教科書に記載がない魔法を使った事にそう驚いたが……勿論、理由がある。
「いや俺は日本のマホウトコロからの留学生で……実際は4年生だよ」
そう……刀原は本来ならマホウトコロ4年生なのだ。
「え、じゃあ年上なの?」
「うん。でも別に年上として扱わなくてもいいからね」
刀原は『やはり日本人は幼く見られるのか』と思い、苦笑いをする。
「分かったわ、でも年上だからといっても負けないわよ。あ、そうだ。もうすぐホグワーツに着くらしいわよ、みんなローブに着替えたら?」
こうしてハーマイオニーの助言により、刀原達はローブに着替えた。
列車は速度を落とし、まもなくホグワーツに着く。
刀原は新たに出来た友人達を見ながら、まだ見ぬホグワーツに想いを馳せるのだった。
もうちょっと区切って書いた方がいいですかね?
それも含め感想等お待ちしてます。
それと近いうちに独自設定を一部公開しようと思います。
では次回は
入学式と組分けです。
次回も楽しみに