ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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貴方が小さな椅子に固執している間に
奴らはその椅子の土台を崩壊させるだろう

貴方が恐怖で物事が見えないと思う間に
奴らは貴方ごと周りを覆い尽くすだろう

歴史は貴方をなんと残すだろう

勇敢な者か、無能な者か
偉大な者か、暗愚な者か

それでも貴方が前を見ないなら

仕方ない
袂を、分かつしかない。










死神と炎のゴブレット編 決着と終幕

 

 

 

 

刀原がアヨンを倒したことで、形勢は不利と判断したハリベルと、黒崎と戦っていたもう一人の破面(アランカル)……グリムジョー・ジャガージャックは苦々しそうに撤退し、残った(ホロウ)も刀原達によって駆逐された。

 

「ハリーはまだ戻って来て無いのか?」

 

「ええ、まだみたいです」

 

残党処理を終え、観客席に戻って来てそう言った刀原に、先に戻っていた雀部がそう頷く。

 

「冬獅郞と一護は?」

 

「その二人は既に……ただ一護君は負傷してます。どうやら敵は、想像以上に手強いみたいですね……」

 

「ふむ……」

 

確かに、あの『アヨン』と対峙できるのは相性的に俺か、藍染校長ぐらい……。

 

その俺とて『斬刀』の能力無しじゃ無理だったし。

 

敵……ヤバくね?

 

刀原はそう考えこんでいた。

 

 

 

観客席周辺の怪物()達が掃討され、漸く全員が一段落ついたところでハリーが現れた。

 

倒れているハリーはボロボロで、疲弊していた。

 

「ハリー!大丈夫か!」

 

「何があったのじゃ!?」

 

刀原とダンブルドアがハリーに駆け寄る。

 

「戻ってきた!あの人が戻ってきたんです!あの人が、ヴォルデモートが……!」

 

「え、マジで?」

 

「そうじゃったか……」

 

ハリーの悲痛な報告に、めんどくさそうに刀原は答え、ダンブルドアは遂にかと言う顔で答えた。

 

「ダンブルドア、一体どうしたというのだ?取り敢えず、授賞式をしてからでも……」

 

何も分かってなさそうなファッジが呑気にそう言うが、最早それどころではない。

 

「残念じゃがコーネリウス……授賞式は中止せねばならん……ハリーは一先ずここにいるのじゃ……」

 

ダンブルドアは半ば呆れながら、考えながら言う。

 

そんな中、会場は再びプチパニックになっていた。

 

セドリック、クラム、フラーの謎の脱落。

 

ハリーの行方不明。

 

怪物達の出現。

 

止めに、ハリーがボロボロで帰還した。

 

こんな事が、立て続けに起こっているのだ。

取り敢えずホグワーツ城に戻るべきだと、観客が言うのも無理ないだろう。

 

ダンブルドアとて、それが最適なのは理解しているだろうが……それでもボロボロのハリーをここに留める(医務室送りにしない)のは、自身の近くに留めておきたいのだろう。

 

ハリーはおそらく、ダンブルドア達が喉から手が出るほど欲しい情報を得ているため、失ってはマズイのだ。

 

「ハリー、先ずは応急処置を」

 

雀部が取り敢えずそう言って駆け寄ってくる。

 

本来は井上の方が治癒に関しては上なのだが……彼女は黒崎(恋人)の治療で手一杯のようだ。

 

「おう雷華、頼む……って、あれ?」

 

刀原は雀部の方を向きそう言った後、ハリーの方を振り向いて目を見開いた。

 

いつの間にかハリーが居なくなっていたのだ。

 

「やっべ、どこ行った!?」

 

「あ、あっちじゃないですか!?」

 

そして慌てて霊圧を探り、二人は駆け出した。

 

 

 


 

 

 

「わしがやったのだ。わしが、お前の名前をゴブレットに入れたのだ。トーハラとかいう日本のガキが、あの晩に指摘した方法でな」

 

ハリーをこっそりと連れ出し、自らの部屋に引き入れることに成功したムーディは、自身が『炎のゴブレット』にハリーの名前を入れた犯人だと言った。

 

「まさか……違う、あなたの筈が無い」

 

ハリーは信じられないとばかりに言う。

 

ムーディには、そんなことをする動機がないからだ。

 

「ハリー……()()言った筈だ。俺が何より憎むのは、自由の身になった死喰い人だと。それも()()()()に背を向け、裏切り、保身に走り、のうのうと過ごしている死喰い人だ」

 

ムーディは狂気的な笑みを浮かべ、そう言った。

 

『ご主人様』彼はそう言ったのだ。

 

当然、さっき復活した頭のイカれた魔法使い(ヴォルデモート)の事だ。

 

歴戦の、有名な『闇祓い』の、この人が……?

 

ハリーの頭が混乱している間にも、ムーディは狂気的な笑みを変えず告白を続ける。

 

「思い出してみろ?第一の課題でドラゴンと戦う方法をお前に授けたのは誰だ?この俺だ。ハグリッドを唆し、ドラゴンをお前に見せるように言ったのは誰だ?この俺だ」

 

「てっきり、ショウかと……」

 

ハリーは唖然としながらそう言えば、ムーディはふん!と機嫌が悪そうに言う。

 

「トーハラの事だな?奴は期せずして俺の邪魔をしまくった。知っているか?奴は情報収集と諜報活動で俺の先を行った。お前に授ける戦略でもな。全く、忌々しい事だ」

 

苦々しそうにムーディは言う。

 

「ともかくだ」

 

「第二の課題でセドリックに水の中で卵を開けと教え、ネビルに鰓昆布の事を教えていたのは?」

 

「この俺だ」

 

「卵の一件は時間の問題でしたし、鰓昆布はしょう君が紹介して、調達もしたから無駄になりましたね」

 

「忌々しいがな」

 

「第三の課題の迷路でハリーに勝たせるために、フラーを襲い、クラムに『服従の呪文(インペリオ)』をかけ、セドリックも襲い、冬獅郞を妨害していたのも?」

 

「この俺だ」

 

「第三の課題ではハリーが私達と特訓したから、それしか出来なかったみたいですけどね」

 

「確かにな」

 

「そんなお前は死喰い人?」

 

「その通りだ」

 

「やっぱりあの噂の、痛々しい人達(ヴォルデモートとその下僕達)ですか……」

 

「名前はバーテミウス・クラウチ・ジュニア?」

 

「その通りだ」

 

「どうやら正解だったみたいだな」

 

「みたいですね」

 

「そうd……ん?」

 

ハリーとムーディ(偽)との会話に、さも最初からいたかのように平然と混ざっていた二人の男女。

 

刀原と雀部である。

 

二人はさりげなく部屋に侵入し、さりげなくムーディ(偽)を捕縛しようとしていたのだ。

 

まあ、なにやらムーディ(偽)が種明かしをし始めたので、ついつい加わってしまったのだが。

 

「き、貴様ら。い、一体、何時からここいたぁ!」

 

ムーディ(偽)が驚愕しながら聞く。

 

「え、そりゃあ……」

 

「『わしがやったのだ』ってことからですかね」

 

「さ、最初からぁ!?」

 

そして、二人がケロッとそう言い、結構最初の方からいたことに驚いたのだった。

 

 

 

 

「バーテミウス・クラウチ・ジュニア……ってアズカバンにいた筈じゃないの!? 確か、死んだって……」

 

ハリーも驚いてそう言った。

 

クラウチ・ジュニアはアズカバンにて、少なくとも世間的には非業な死を遂げた筈なのだ。

 

「ああ、らしいな。だが……実は生きていたわけだ。それに、死んだ筈の人間(ピーター・ペディグリュー)生きていた(スキャバーズだった)なんて事例が、去年あっただろ?ならば、今回だってそうかもしれないって思うだろ?」

 

「た、確かに?」

 

刀原の理論にハリーは首を傾げながら(あれ?そうかな?)そう言う。

 

「……邪魔が入ったが……まあ、良い……この場で全員殺せば済むことだ」

 

ムーディ(偽)は開き直ったかのように言う。

 

「ポッター、闇の帝王はお前を殺し損ねた。あの方はお前の死を強くお望みだったが、どうやら辛うじて逃げ延びたらしいな……」

 

ムーディ……いや、クラウチ・ジュニアは狂気的な目をらんらんと輝かせてそう言う。

 

「だがあのお方に成り代わり、俺がそれをやり遂げたら……あのお方は……どんなに俺を誉めて下さることか」

 

ジュニアはそれを、もう成し遂げたとでもいうかのように興奮気味に言う。

 

そしてその手には、既に杖が握られていた。

 

「はっ、それを俺たちの前で言う度胸には感服するがね……。そんなこと、俺たちがさせるとでも?」

 

刀原が笑い飛ばしながら言う。

 

「出来るとも……貴様のようなガキなど、一捻りだ」

 

ジュニアも笑いながら言う。

 

「だけどこの前ボロ負けして、トンズラしたのは何処のどなたさんなのかな?」

 

「ふん、あれは手加減しただけだ」

 

「手加減して目的果たせないんじゃ本末転倒だけどな?それと、今回はトンズラ出来ないからね?部屋だし。それとも辛うじて逃げ延びて愛するイカれたご主人様(笑)に泣きつくのかな?」

 

「そんなことは無い!『ステューピファイ(麻痺せよ)』!」

 

ジュニアは誤魔化すように『失神呪文』を放つが、刀原に容易く弾かれる。

 

「あの時の屈辱を晴らし、貴様を殺してその刀を奪い、それをあのお方に献上すれば……この国であのお方に敵う敵はいなくなる」

 

「屈辱って言ってるじゃん」

 

「黙れぇ!」

 

刀原によって言い負かされる形となったジュニア(未だムーディ顔)は顔を真っ赤にしながらそう言う。

 

「一度ならず二度m」

 

「はい、隙だらけです『エクスペリアームス(武器よ去れ)

 

「な!?」

 

ジュニアは怒りを剥き出しにして怒るが隙だらけであり、雀部によって簡単に武装解除されてしまう。

 

「少しは学べ」

 

「ガフッ!?」

 

その直後、接近した刀原がジュニアの水月に回し蹴りを叩き込む。

 

「ハリー!大丈夫かの!?」

 

そしてジュニアが壁に叩きつけられ、失神したところでダンブルドア、マクゴナガル、スネイプも現れ、ジュニアはご用となった。

 

 

 

「バーティ・クラウチ・ジュニア……」

 

「ええ、ムーディ教授は偽物だった……」

 

刀原は、ダンブルドア達が突入したタイミングでジュニアに対し『百歩欄干』と『鎖条鎖縛』を容赦なく叩き込み、捕縛していた。

 

「なぜこやつがジュニアだと気がついたのか、わしはさりげなく気になるのじゃが?」

 

「ああ、クラウチ・ジュニアだと確信したのは、ついさっきですよ?」

 

「ついさっき?」

 

「ええ、最初は『何故ムーディ教授はハリーを贔屓するのか?』から始まりますが」

 

刀原はそう言って語り始めた。

 

 

 

「ムーディ教授は、第一の課題の時にハリーに入れ知恵をしてたらしいんです。すなわち、第一の課題でハリーがやった箒でドラゴンと対峙するって言う。そこで、何故それをするのか……疑問しました」

 

「些細なことだからと、利することだからと言って放置しないのは貴方の良いところですね」

 

「ありがとうございます。ずっと気になっていたんですよ『何故、ハリーの名前が炎のゴブレットに入っていたのか』それはハリーを殺すため、そして、ハリーを勝たせるためだった。だからムーディはハリーを勝たせるため、行動した」

 

「そこから、何故ジュニアが出てくる?」

 

「去年の事が役に立ちました。クラウチ氏が襲われたことから氏に強い恨みがあり、かつ今生きている可能性が僅かでもある人達の中に、ジュニアがあったからです」

 

「アズカバンで死んでいる筈のジュニアが?」

 

「入れ替わりの可能性です。ジュニアが公式的に死ぬ少し前に、クラウチ夫婦がアズカバンに訪れてます。多分、その時に婦人とね。吸魂鬼は目がありませんから、病弱だった婦人とジュニアが入れ替わったのが分からなかったんです」

 

「役人は?死体は?」

 

「ポリジュース薬ですよ。おそらく婦人は、最期まで飲むのを続けていたんでしょう」

 

「成る程の……」

 

「ワールドカップ、バーサ・ジョーキンズ。調べたら、何れもクラウチ家が関わっていました。バーサは行方不明になる少し前にクラウチ家を訪れているそうです。おそらくバーサは偶然にも、ジュニアが生きていることを知ってしまった……」

 

「可哀想じゃの」

 

「ムーディの怪しい行動、そんな当の本人はホグワーツに着任する前に襲われているらしいですね?それが何時もの奇行じゃなかったとしたら……そして今ここにいるムーディが本人じゃないなら……その時、入れ替わっている筈です。では誰と入れ替わってる?実は生きているジュニアかも知れない。ムーディはやたらクラウチ氏に突っ掛かっていましたしね」

 

「確かにそうですね……」

 

「辻褄はあっている……」

 

 

その後、刀原の推理が正しい事はジュニア(被告人)が目覚めたため、証明された。

 

ジュニアは真実薬(ベリタセラム)の効果もあってすらすらと証言し、「俺は英雄として迎えられるだろう」と締めくくった。

 

「優秀な飼い犬は、全てが終った後には処分される。それは歴史が物語っている。仮に勝利したら……確かにお前は迎えられるだろう。但し、処刑台だろうがな」

 

刀原は吐き捨てるように言う。

 

正体を看破し、捕縛もした。

 

だが決定的な証拠は掴めておらず、阻止も出来ず、目的は完遂されてしまったのだ。

 

刀原が言ったのは、皮肉であり賛辞であった。

 

 

 

ジュニアのことは鬼道で封殺している為、見張りはマクゴナガルに任せ、刀原と雀部、ダンブルドアはハリーに付き添う形で医務室へと向かった。

 

そしてそこで待機していたシリウスと共に、今宵ハリーの身に何があり、そして何が起こったのかを正確に聞くことになった。

 

「…………そして…優勝杯をつかんで、戻ってました」

 

ハリーは自分の身に何があったのかを伝えた。

 

「……」

 

全員が押し黙る。

 

「……取り敢えず、ハリー。良く帰って来た!」

 

「ええ、良く帰って来ました!」

 

刀原がハリーの頭をくしゃくしゃに撫で、雀部が労るように抱きつく。

 

「ハリー……今夜君は、熟練の魔法使いに匹敵する心の強さと、期待を遥かに超える勇気を示してくれた。そして、我々が知らなくてはならないことを全て話してくれた」

 

ダンブルドアもそうハリーを褒め称える。

 

「今夜は寮に戻らぬ方が良い。すぐに君の友達も来る……というか、既に来ておるからの。顔を見せてあげると良いじゃろう……シリウス、ショウ、ササキベ嬢はハリーと共にいてくれるかの?」

 

そう言われた三人は、勿論とばかりに頷く。

 

ダンブルドアはそれに満足そうに頷き、ファッジと今後の対応を話し合う為に医務室を後にした。

 

やって来ていたロン、ハーマイオニーは、ダンブルドアが言った『今夜はハリーに質問禁止』を忠実に守った。

 

そしてハリーはマダム・ポンフリー(医務室の女主人)の手によって睡眠薬を飲み、疲れもあってか容易く夢の世界へ旅立っていた。

 

シリウスはハリーを労るように頭を撫でている。

 

「流石に英国魔法省(無能な魔法大臣)も、こんなことになった以上……動き始めます(対策をたてる)、よね?」

 

雀部は表情を固くしながらそう言う。

 

「そうだと良いんだが……そこまで呑気(無能)じゃないと思いたいが」

 

刀原は嫌な予感を隠さずに言う。

 

不安は全く拭えなかった。

 

そして暫くすると、口論が聞こえてくる。

 

ファッジと、意外なことに(監視している筈の)マクゴナガルだった。

 

 

 

 

 

「残念だが……仕方ない……」

 

「あれを城に入れてはならないと、あれほど……」

 

医務室のドアが盛大な音と共に開かれ、ファッジがドカドカと入り、その後ろにマクゴナガルとスネイプがついてきていた。

 

「ダンブルドアはどこかね?」

 

ファッジが刀原にそう聞く。

 

「ここにはいませんよ。病室ですから……少しお静かになされては?」

 

「何事じゃ、コーネリウス?ここで騒いでは病室で寝ている者達にとって、迷惑になるじゃろう?」

 

刀原は半分イラつきながらもそう答え、直後にダンブルドアも颯爽と現れ、鋭い目で見る。

 

「ミネルバ、クラウチ・ジュニアを監視するようお願いした筈じゃが……?」

 

ダンブルドアはマクゴナガルの方を見て、不思議そうにそう言う。

 

「見張る必要が無くなったのです!大臣がそのようになさったので!」

 

何時も冷静沈着*1なマクゴナガルが、こんなに取り乱すのを刀原は初めて見た。

 

両手の拳は固く握られ、わなわなと震えている。

 

「大臣には今夜の事件を引き起こした犯人……死喰い人を捕らえたと報告したのですが……」

 

スネイプが普段よりも低い声で言う。

 

「そしてその際、危険はあり得ないとも言ったのですが……大臣は尋問に吸魂鬼を付き添わせたのです……」

 

スネイプは頭が痛そうにそう言う。

 

「失礼だがね。魔法大臣として護衛を連れていくかどうかは私が決めることだ。尋問する相手が危険性があるものなら当然じゃないか。え?」

 

ファッジもまた怒っているようだった。

だが、恐怖に刈られているようにも見えたが。

 

「あの、あの物が部屋に入った瞬間……クラウチに覆い被さって……そして……」

 

マクゴナガルは言葉を失っていた。

その理由は信じたくないが想像しやすかった。

 

おそらく、ジュニアに死の接吻をしたからだ。

 

「そ、そんな……」

 

雀部が顔を青ざめる。

 

「おい、それじゃ……証言は?推理があっても、証言が無くちゃ……」

 

刀原は唖然としながらそう言う。

 

「失礼だがね、ジャパニーズ・ボーイ。証言などいらないのだよ。聞くところによると?あいつは支離滅裂で、命令は『例のあの人』だと言うじゃないか。良いかい、それは都合の良い上手い言い訳なのだ」

 

「言い訳?」

 

「その通りだとも、『例のあの人』はもう十数年前に()()()()んだ。思い込みか、虚言に違いないのだよ」

 

「おや?それはおかしいですね。ヴォルデモートの一件に対して、日本魔法省の公式見解は()()()()です。英国魔法省は、ヴォルデモートの死体を確かに確認したのですか?そしてそれは偽物では無かったですか?死んだと言う確たる証拠は?」

 

「そ、それは……」

 

「無い。そうですよね?であれば、英国魔法省にとって今夜の事件はそれを決定的に出来る最大のチャンスだったのでは?」

 

「だが、それすら必要では……」

 

「必要が無い?何故?それを公表すれば、各国も安心できる筈です。しかし……その気がないのであれば、由々しき事ですね。各国からすれば、英国魔法省が証拠をふいにし、真実を隠しているようににも見える。それにもし復活が事実であれば、それをを隠蔽しようと見られてもおかしくはない……これは」

 

「もう良いショウ。ありがとう」

 

「これは大変なことです。早急に日本魔法省へと報告し、場合によっては米合衆国魔法議会(アメリカ)仏国魔法省(フランス)等とも連携して早急なる調査をせねばなr」

 

「ショウ、もう良い。もう良いから、そこまでにしてあげてくれんかの……」

 

刀原の追及を、半ば懇願して止めるダンブルドア。

 

刀原としては『折角、生かしたまま捕らえてあげたジュニア(重要証拠)を葬られた』形なのだ。

 

何時もの笑み(笑っていない満面の笑み)を浮かべ、淡々と冷徹に正論で追及しても文句無いだろう。

 

少なくとも、まだまだ足りないと不満げな顔をしても良いだろう。

 

「コーネリウス。確かに、ヴォルデモート卿が命令していたのじゃ。言い訳でも、思い込みでも、虚言でもない。ヴォルデモート卿は今宵……復活したのじゃ」

 

ダンブルドアの言葉に、ファッジは呆然として目を瞬きながら見つめ返す。

 

それは「何言ってんだコイツ?」といった顔だ。

 

「『例のあの人』が……復活した……?馬鹿馬鹿しい……いいかダンブルドア、そんなことは……」

 

「ミネルバもセブルスも、わしも、ハリーも、クラウチ捕縛に大きく貢献してくれたトーハラ君とササキベ嬢も、先ほどクラウチの告白を聞いた。真実薬じゃから嘘偽りもあり得ない」

 

「自慢気に言ってましたよ「ご主人様の、あのお方からの命令だ」とね」

 

「おいおいダンブルドア……まさか、それを信じているのかね?『例のあの人』が戻ってきたと?あり得ない、クラウチは()()()()()()命令を受けたと()()()()()()()のだろう。しかし、ダンブルドア……そんな戯言を真に受けるとは……」

 

「大臣、先ほど我々は真実薬を使用したと言いました。あれはその戯言すら出ない魔法薬だった筈。そうですよね、スネイプ教授」

 

「さよう」

 

ダンブルドア、刀原の言葉にファッジ狼狽える。

 

「ダンブルドア、貴方は……まさかだとは思うが……本件に関して、ハリー(未熟な子供)クラウチ(異常な殺人者)の言葉を信じると?」

 

「クラウチの告白、優勝杯に触れて行方不明になったハリーからの証言、そしてトーハラ君のクラウチに対する推理。三人の話は辻褄が合う。この夏から起こっていること全てが説明出来る」

 

「どうやら、信じられるおつもりのようだな……」

 

ファッジはダンブルドアの説明(説得)を聞いても、全く無駄なよう(アーキコエナイー)だった。

 

むしろ妙な笑みをすら浮かべている。

 

あんた達(英国魔法省)うち(日本魔法省)が何かあるから気をつけろと散々警告したのに……このザマじゃな……」

 

刀原は吐き捨てた。

 

そして見切りもつけた。

 

こんなノータリン(イカれポンチ)に付き合ってられないと。

 

 

 

 

 

 

「成る程……分かったぞ……!どうやら諸君は、この十三年間我々が、()()築き上げた物全てを壊そうということだな!?」

 

ファッジは完璧に分かったと言う顔でそう言う。

 

行くとこまで行ったか(駄目だコイツ)

分かったぞじゃねぇよ(何言っても無駄か)……。

 

刀原は既に頭が痛くなっていた。

無駄な議論(平行線)になってるからだ。

 

そしてファッジもダンブルドアも、既に議論も説得も終わりだった。

 

「皆さんも、何を言っているのか……私にはさっぱりだが……もう聞くだけ聞いた。私は帰らせて貰う」

 

ファッジはそう言い、出ていこうとする。

 

「おい、待てよ英国魔法大臣(無能大臣)

 

だが、出口の前に刀原が腕を組んで立ち塞がる。

重要な事は、あともう一つあるからだ。

 

「ヴォルデモートの件に関しては……まあ一千歩ぐらい譲ってやるが」

 

「競技場にて出現した(ホロウ)破面(アランカル)についてはどうするんですか?」

 

刀原と雀部の指摘に、ハリー以外(当時いた者達)が全員「(忘れてた)……」という顔をする。

 

どうやら彼らはヴォルデモートのことで頭が一杯で、それどころではなかった(忘却の彼方に行っていた)らしい。

 

「スネイプ教授やフリットウィック教授が手も足も出なかった怪物を……我々、日本の死神達しか対処出来ない怪物を、あなた方(英国魔法省)はどうするのか?それも放置(知らんぷり)か?虚言(キコエナイー)か?幻覚(これは、夢だ)か?自力で対処するの(で、出来るもん(震))か?」

 

刀原は最早、笑っていない。

 

死神としての責務があるからだ。

 

そして此処でも見栄を張る(知らんぷりを決め込む)というなら、遺憾ながらも手を退くよう上層部に進言するつもりだった。

 

だが、ファッジはそこまでバカではなかった。

 

「遺憾ながら……我々(英国魔法省)では対処不可能だと考える……。近いうちに日本魔法省と護廷十三隊へ、正式に救援要請をすることになるだろう……」

 

若干渋々そうに、ファッジはそう言う。

 

「分かりました。此方からも日本魔法省魔法大臣 市丸ギン殿と護廷十三隊総隊長 山本元柳斎重國殿にお伝えておきましょう。確固たる明言は出来ませんが……本案件に対しては隊長格を派遣する形になるかと思います。それで問題は?」

 

「いや、問題は無い。よろしくお願いする」

 

ファッジはそう言って一礼する。

 

「では、そのように」

 

刀原もそれに一礼で返す。

 

そしてファッジは出ていこうとするが。

 

「そうそう、英国魔法大臣。一つ忠告を」

 

刀原が呼び止める。

 

それ(保身)は甘美な夢の味だが、毒でもある。そして取りすぎれば己も全ても破滅する。気付いた時には、もう手遅れ。分かっている筈です。お忘れなきよう」

 

ファッジは苦虫を噛み潰したような顔をして刀原を見たあと、今度こそ出ていった。

 

 

 

 

 

「さて、やるべきことは沢山じゃ。早急に、仲間達へと知らせねばならぬ」

 

ダンブルドアはそう言う。

 

そしてマクゴナガル等に指示を出す。

 

「さてシリウス、セブルスよ。今は信頼を確固にすべき時……先ずは握手じゃ」

 

ダンブルドアの言葉に、二人は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「握手だ、スネイプ。この件に関してだけだがな」

 

「利害が一致しているだけだ。馴れ合う気はない」

 

ゆっくりと歩み寄り、握手する。

即座に離すが。

 

「よし、それでは……シリウスは昔の仲間に厳戒態勢を取る様に伝えておくれ」

 

「分かりました」

 

「セブルスは……もう分かっておろう。もし、準備が出来ているなら……もし、やってくれるなら……」

 

「大丈夫です。行って来ます」

 

指示を受けた二人は、颯爽と医務室を後にする。

 

「ショウ、ササキベ嬢には、後で手紙を託すことになるじゃろう……宛先は山本元柳斎殿じゃ。君達からも、良しなにと……是非にと……」

 

ダンブルドアは二人に、懇願するように言う。

 

「分かっております。最終決定(派遣するかどうか)は隊首会等で決定されますが、良い返事が返ってくると思います」

 

「ありがとう。それと、もう一つ。実は…藍染校長から伝言があっての。予定通り二人とも、マホウトコロの列車にて共に帰るとのことじゃが……もしかすれば予定より早く出立するかもしれんから、準備を早急に…とのことでの」

 

「了解です」

 

「分かりました」

 

刀原と雀部はしっかりと頷いた。

 

 

 

 

それから二日後。

 

本国(日本)から『早急ニ帰還セヨ(とっとと戻ってこい)』……とさ」

 

「そう、なんだ」

 

「急な話ね」

 

「そうだよね」

 

マホウトコロ所属の鋼鉄の汽車を後ろにし、そう言った刀原の言葉に、ハリー達は不安そうに言う。

 

簡潔に言えば、刀原達に強制帰還命令が出たのだ。

それも早急に。

 

そのため、刀原と雀部は他のホグワーツ生は勿論、フラーやクラムに慌てて別れを告げ、急遽日本に帰国することになったのだ。

 

ヴォルデモートが復活し、虚とその覚醒先と黙される破面、そして想像の遥か斜め上を行った英国魔法省の無能、保身(ノータリン)ぶりは、急いで今後の事を検討する理由には十分だった。

 

実は、ぶっちゃけて言えば……破面さえいなければ、日本は我関せず(オウエンシテマース)ですんだ話だった。*2

 

勿論、英国魔法界がヴォルデモートの物になった場合は冗談抜きでヤバイ(世界全体の危機)*3ので、万が一そんな事態になれば世界の主要な魔法界(米、日、仏、独、伊、等々)が全力で動く。

 

だが、虚という英国魔法界じゃ対処不可能で日本魔法界……護廷十三隊しか対処出来ない奴らが相手では、出張ってくるしかないのだ。

 

まあ、対虚部隊は米国魔法界にもいるらしいが……。

残念ながら、あてには出来ない。

 

と言う訳で、日本魔法省も護廷十三隊も()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「また、会えるよね……?」

 

ハリーは心配そうに話す。

 

「……大丈夫だ、多分会える」

 

刀原は確約出来ない為、明言を控えた。

 

「そろそろ出発すると言ってますよ?」

 

雀部が車両から顔を出し、刀原を呼ぶ。

 

「ああ、分かった」

 

手を上げ、それに答える。

 

「それじゃあ、気をつけて夏を過ごせよ?」

 

刀原はそうハリー達に告げ、列車に乗る。

 

手を振る三人に見送られた列車はゆっくりと動きだし、ある程度の距離を進めばふわりと浮く。

 

そして加速し、あっという間にホグワーツを離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
クィディッチ戦の時を除く

*2

当然、刀原達の留学話は無くなる(消え去る)

*3
その辺は長くなるので、後書きのおまけにて後述。








見たくないものは見ない

聞きたくないものは聞かない

信じないぞ

認めないぞ

終わってしまうから

夢が覚めてしまうから。



感想で散々『とある連中は出さない』と言っておりましたが……ゲスト参戦させます。

名前だけ、名前だけ……。
英国には越させません。

また、国際外交やその辺も出来れば書いていきたいなーとか思っています。

要するに、ようやく本編開始的な訳です。

あ、おまけは予告の後です。


感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。


では次回は

死神と不死鳥の騎士団編 開始となります。

次回もお楽しみに。








《おまけ》

筆者が考える、ヴォルデモート(バカ、イカれポンチ)が英国魔法界を握ったらヤバイ理由。


1、マグルに完全露呈したらヤバイ。

魔法界というのは、マグル達にとって夢のような(喉から手が出る)物が沢山ある場所です。

不老不死、瞬間移動、簡単な飛行手段、魔法動植物。
魔法という行為その物、魔法薬、貴金属。

挙げればキリがない。

それらを狙う者、守る者で全面戦争になります。

そうならないように、マグル側からも誤魔化して貰うために、マグル側の執政者達にある程度自分達の事を明かしているのだと思われます。


だが、我らが愛すべき(ネタにすべき)ヴォルデモート(バカ、イカれポンチ)はおそらくそんなことお構い無し。

イギリス首脳とか洗脳したり、強さを見せ付けるとか言ってテレビとかで魔法使ったりしたらマグルへ露呈は待った無しです。

世界中で放映されるヴォルデモートなんて、明らかにヤバイでしょ。

失礼したカメラマンをアバダしたら……。
それこそマズイ。

そうでなくともイギリスとの通信が途絶えたら、どうなっているのか探索する国や組織は必ず出てくる。

そして、イギリスにもあるんだから我が国にもあるだろう……とか言って捜索が始まるかもしれない。

全面捜索されたら……?

ホグズミード村よ、航空写真とかどう誤魔化してるのか?とか思っちゃいます。



2、世界的な大国の一角(イギリス)掌握される(好き勝手される)のがヤバイ。

イギリスは誰が言おうとも大国です。
その複合的な影響力は無視出来ない。

そんなイギリスが持っている経済、文化、影響力が失うことになれば……世界への影響は想像を絶します。

それだけではない。
イギリスは軍事面でも大国です。

一応、通常兵器も沢山ありますが……それは大きな問題ではありません。

『核兵器』と言うヤバイ兵器が大問題なんです。

核兵器を各国にばら蒔かれたり、言うこと聞かない国や市民に対して強力な爆裂魔法感覚で乱打されたりしたら……核戦争(世界崩壊)待った無しでしょう。

そして……ヴォルデモートは、それらをおそらくではあるが……全く理解してません。

彼はヒトラーのユダヤ政策に、スターリンの粛清を足して割らなかった奴で、かつ頭がイカれてる(狂人である)

使用に躊躇いは無いでしょう。
むしろ積極的に使うかも。

その為……。

絶対にイギリス(英国魔法界)そのものを渡してはならない。


ヴォルデモートよ、ちゃんと考えてるんだろうな?

原作で天下取ったらどうするか、言ってなかったような気がするから……マグル界の掌握はやらないかも知れませんが。

ちなみに、各国が不干渉だったのは「ダンブルドアが居るから大丈夫でしょ」だったからだと思われます。

各国よ、まさか……。
考えてなかった……とか、言わないよね?


なお筆者だったら、即時介入待った無しです。

世界の危機を前に国際魔法条約(各魔法界は相互不干渉)なんて、そこら辺のドラゴンに食わせとけ。


そんな泥々の国際問題を書いたたら、ハリポタじゃ無くなると思うけど。

まあ、出来るだけ書いていくんですけど。


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