ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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斯くて、鯉口は切られた

長き座興は此にてお仕舞い

『国を守る』その為に

各々、戦支度をせよ。





死神、海外と日本にて。戦支度

 

 

「世界のお話と日本、虚についてだ」

 

刀原はニヤリと笑いながらそう言った。

 

 

 

 

「まず、世界情勢の話……先日、ダンブルドアが『ヴォルデモートの復活』を国際魔法使い連盟の会議場で演説したことで、各国……特に、英国以外の欧州と米国には激震が走った」

 

「やっぱりヨーロッパの国々も、ヴォルデモートの事を知っているの?」

 

「いや、知名度はそんなに無いな。奴は悪名こそ響き渡ってはいたが、英国以外の国には仕掛けて来なかったからね。だけど、少なくとも……グリンデルバルドに匹敵する闇の魔法使いであることは周知されてる」

 

「グリンデルバルド?」

 

「ダンブルドアが倒したっていう、ヴォルデモートの前の闇の魔法使いのことか」

 

「そう。かつてグリンデルバルドは世界中で行動を起こし、世界中の魔法界を混乱と混沌に陥れた。アメリカ、フランス、そして特にドイツで。今、欧州や米国はその再来を危惧し、警戒してる」

 

「でも……そのグリンデルバルドを倒して、ヴォルデモートが唯一恐れてるダンブルドアは、議長を辞めさせられたんでしょ?」

 

「それは政治って奴さ。ヴォルデモートは警戒したい、でもグリンデルバルドの退治したダンブルドア……と言うよりも、英国魔法界の影響力は削ぎ落としたい。そんな感じさ」

 

「複雑だね……」

 

「欧州各国がそんな(呑気な)事をやっているのは、半ば高を括っているからだ。「どうせ、ダンブルドアが解決してくれる」ってな。だが、肝心のダンブルドアが英国魔法省からの理解が得られていない以上……非常に宜しくない。対応が遅れるからな」

 

「当然、それを座していない国もあるだろう?」

 

「ええ、特に米国と日本はそれの筆頭です」

 

「……納得出来る二つだ。アメリカは、魔法使いが最も多い国。日本はショウ達、護廷十三隊を始めとした強力な魔法使いが多い国。この二つは欧州(列強)のご機嫌を伺う必要がない」

 

「闇の魔法使いが、連続で欧州で誕生してます。そして、その影響だと黙されてますが……米国にも日本にも、権力や力を握ろうとしている奴らがいます。米国は過激派、日本は貴族派……とね。」

 

「なるほど、それで二つの国は頭がいたい。そして欧州にはそれを理由に強く出れる」

 

「日本は明治以来、英国魔法界と仲良くやってきました。ですが……ヴォルデモートの件、最近の英国魔法界の動きを見て、英国に見切りをつけるべきだという話が出てます」

 

「……そう思われても仕方がないな」

 

「変わり先は、アメリカか?」

 

「ええ……先の大戦(第二次世界大戦)以降、米国とは英国並みに友好関係を築いてきました。それに米国は五十年ほど前から虚が出現し始めており、それについても支援や連携をしていました。これを機に、一気に同盟を結んでは?と」

 

「しかし虚が……」

 

「奴らと対抗する為には、日本の協力が必須だ」

 

「そう、まさにそれです。虚を倒せる組織は世界に二つしかない。米国のとある騎士団と日本の護廷十三隊。……日本は米国の連携も必要だが、英国の救援も急務だと判断しました」

 

「ありがたいことだ」

 

「アメリカの騎士団ってのは来ないの?いや、ショウ達が頼りないってわけじゃないけどさ……」

 

「来ない。彼等はそもそも数が少ないし、虚の出現数が増加していてそれどころではないらしい。まあ、増加してるのは日本もなんだが」

 

「そう、なんだ……」

 

「以上が、各国の情勢だ」

 

 

 

 

 

「では次に、日本の事について。ファッジがチキンだったことが分かったあの日の翌日……つまり、俺達が帰った日の前日。日本魔法省と護廷十三隊に正式的な救援要請が入った」

 

「だからあんなに急いで帰ったんだ」

 

「そう……一刻も早く、現地の情報が欲しかったからね。そして情報が集め終わって開かれた会議は……大いに揉めた」

 

「も、揉めた?」

 

「ああ、ヴォルデモートが復活した件を俺たちが報告し、日本魔法省外務部が英国魔法省に問い合わせたら……『そんなことはあり得ない。貴国の生徒が何を見聞きしたのかは知らないが、それは悪質な被害妄想の結果であり、それに騙されている』という回答が返ってきたんだよ」

 

「ええ!?」

 

「やっぱりか」

 

「それで?」

 

「大いに……大いに揉めた。具体的には、派遣するかしないかで揉めた。日本側はこのとき既に復活の儀式の跡を探しだして『復活は間違いない』って結論がなされたからね」

 

「さすがに素早いな……」

 

「それを証拠にしなかったの?」

 

「それは出来ない。日本魔法省はこの件に関して捜査権を貰ってないんだ。だから折角握ったその証拠を見せたら、違法捜査になりかねない。そしたら国際問題だし、日本としても譲歩させる口実を与えたくない」

 

「複雑……」

 

「ヴォルデモートのことを認めない……。つまりこの件に関して英国魔法省の協力は得られない。なら、派遣の必要はない。会議でそう判断されかけたけど……虚の一件がそうはさせなかった。だけどね……」

 

「何かあったのか?」

 

「ああ……。もっと俺達を呆れさせる事態が起こったんだよ。派遣する人員についてね」

 

「何人なの?」

 

「当初、日本……護廷十三隊は隊長三名、副隊長三名の計六名を派遣する予定だった」

 

「それって多いの?」

 

「かなり多いだろう?ショウ……?」

 

「多いよシリウス。護廷十三隊の隊長は、全部で十三名。だから英国に四分の一を送ることになるんだ。異例だよ。海外に隊長を派遣するのだって珍しいのに、隊長三名ってのは開闢以来史上初のはず」

 

「それじゃあ、数年前に来た卯ノ花さんも異例?」

 

「あれは俺だったからだ」

 

「そうなんだ……」

 

「話を戻すぞ?開闢以来史上初の隊長三名、副隊長三名の派遣。それは同じく史上初の破面との遭遇。そして日番谷、黒崎と戦った破面の上位、十刃(エスパーダ)に対抗するためだった。増やしてくれと言われても、護廷十三隊としてはこれ以上出せない。ところがだ……」

 

「増やせって……?」

 

「いや、その反対だよ」

 

「まさか、ファッジは減らせ……と?」

 

「正解だシリウス。英国魔法省……というか、最早『名誉死喰い人』となりつつあるチキン・ファッジは「六名など多い、一名で十分だ」などとほざいたんだ」

 

「ええ!?」

 

「嘘でしょう!?」

 

「本当だから困ったものだ。おまけに『滞在は英国ではなくフランスなどに』とか『今、ホグワーツには危険だから近付かぬよう』とか『どうしても英国に滞在するなら魔法省に』とかほざいた。そして……会議にいたほとんどの人が、それを聞いて激怒した」

 

「ええー」

 

「何がしたいんだファッジは!」

 

「激怒するのは当たり前だよな?善意で隊長格六名も派遣すると言ったら、一名と限定されるなんて。それでは……一気に大勢でこられたら?さすがに太刀打ち出来ない。貴重な戦力を無駄に失うことになる」

 

「そうだよね?」

 

「おまけに指図されるなんて。フランスなんかにいたら即応が出来ない。防衛の都合や、地理的、以前出現した場所ということでホグワーツに陣を敷く計画だったのに。ほとんどの人が激怒した……何様だとね。してない者は完全に呆れ果てた」

 

「それじゃ……派遣は……?」

 

「『派遣は中止し、中立を宣言するべき』とか『ならばフランスに研修生を出し、それを派遣とする』とか。とにかく……英国には関わらず、ファッジの政権が潰れる(自滅する)まで様子見しようと言う意見が九割を占めた」

 

「最悪の事態だ……」

 

「何でファッジはそんなことを言ったの……」

 

「護廷十三隊はダンブルドアと仲が良いって思われている。破面は怖いけど、それ以上にダンブルドアが怖いチキン・ファッジは、護廷十三隊の隊長とダンブルドアが連結するのが怖いんだよ」

 

「それだけだとは思えないが……」

 

「さすがはリーマス、その通りだ。ファッジは英国魔法界を彷徨かれて、ヴォルデモート復活の『確固たる証拠』を握られたくないんだよ」

 

「もう日本は握ってるのに?」

 

「ああ、全くもってバカらしい」

 

 

 

 

 

「さて……会議に出席していたメンバーは、本気で派遣を中止しようとした。さっき言ったけど、日本でも虚の活動が活発化してるし……米国の過激派と手を組んだ貴族派が事件を起こしてる状態なんだ」

 

「日本も大変じゃん」

 

「ああ……日本魔法省の闇祓い、大陸探題、護廷十三隊はそいつらと戦っていて……ぶっちゃけ手が足りてない。本来ならまだ正式就任するはずの無い者達が、隊長になったりしないといけないくらいには」

 

「臨時ということか?」

 

「いや、満場一致で就任を認められた隊長だよ。実力だって、隊員達の目の前で現役の隊長と一対一で戦う方法で認められた。だけど……入隊と同時に隊長に就任するのは珍しいかな」

 

「研修みたいなものをすっ飛ばしたのか」

 

「そう、まさにそれ」

 

「そんな中で六名も派遣してくれようと……」

 

「だからみんな怒った。そして中止しようとしたけど……一歩手前で『救援はしてやろう』ってなった」

 

「こう言ってはなんだが……何故だ?」

 

「一つ目は、日本魔法界全体に尤も影響力がある『とあるお方(霊王様)』が「うーん……派遣しないと、ヤバイことになるよ!」……と警告(御告げ)があったから」

 

「とあるお方?」

 

「誰?」

 

「機密事項だ。それは言えない」

 

「ふーん」

 

「二つ目は、国際魔法使い連盟が泣きついてきたから。破面の件に関して、米仏独伊露西から日本魔法省に「対応をお願いする」っていう要請が来たんだよ。非公式だけどね。それを受ければ、国際的な発言力や地位向上に役立つ」

 

「外交と政治か……」

 

「各国としては、ダンブルドアを追い落とした手前、ヴォルデモートや破面がヤバくなったら泣きつく……。そんな訳には行かないでしょ?」

 

「確かにな……」

 

「三つ目に『ヴォルデモート復活の可能性』の調査依頼が来たから。各国とて、ダンブルドアが本当にボケたとは考えていない。内心『あのダンブルドアがそう言っているなら……そうなのでは?』って思ってる。そして日本なら大手を振って英国に入れるから、さりげなく調査して欲しい……とね」

 

「ファッジが言っていた通りね」

 

「そこは腐っても魔法大臣、想定してたってことだ」

 

「その判断力をヴォルデモートに使って欲しい……」

 

「確かにね。さて……そんな感じで各国からの要請を受け……最終的に『派遣は隊長二名。拠点はホグワーツ城。これを認めない場合……護廷十三隊と日本魔法省は、計画していた『英国救援部隊』の派遣を行わない』と通達した。簡単に言えば……ある程度譲歩しつつ、要求は曲げずに通達した」

 

「返事は?」

 

「さあ?今頃は、大急ぎで検討してるんだろ。何せ……昨日、俺がファッジに対してそう通達(脅した)からな」

 

「ファッジが大人しく受け入れれば良いんだが」

 

「受け入れなければ、残念だが……そこで終わりだよ。日本魔法界としては『では交渉決裂ということで(虚は君たちで頑張れ)』となる。既に総隊長達から許可は貰ってるし、ファッジにもこれが最終通告だって言ったしね」

 

「ファッジに祈らなくちゃいけないなんて……」

 

「気持ちは分かるよ……。とりあえず明日の朝一番で答えを貰って、そのあとその足で日本に帰国することになる。返事がどうであれ、対応は急がないとね」

 

「え、じゃあ、明日の朝にはお別れ?」

 

「まあ……そうなるな。でも、安心しろ。ファッジが『うん(了承)』って言えば、派遣されるのは、多分……俺と雀部になるから」

 

「微妙に安心できない……て、え?」

 

「……とりあえず言えるのは、此処までかな……」

 

刀原はそう言い、話を終わらせ……られなかった。

 

「ちょっと待って!ショウ達が来るの?」

 

「でも派遣されるのは隊長さんだけって……」

 

「ってことは」

 

ハリーやハーマイオニーのみならず、その場にいた子供全員が驚愕を露にする。

 

「ん?ああ、隊長に就任したんだよ。俺」

 

ケロッと刀原が言う。

 

「さて、とりあえず今日はこれで終わり。おやすみ」

 

固まったままのハリー達を完全に無視し、刀原はそう宣告する。

 

夜ももう遅く、先程から時計をチラチラ見ていたウィーズリーおばさんが、いつ止めようかと思案中なのを感じたからだ。

 

ハリー達は問い詰めようとしたところを、強制連行に近い形でベッドへと連れていかれた。

 

そしてそれを見ながら、刀原は笑顔で見送った。

 

それは幼い頃に泊まりに来た雀部と、夜まで騒いだ為……卯ノ花によって「煩いですよ?何時だと思ってるんですか?」と言われたのを思い出していたからだ。

 

しかし、ハリー達はそれどころではなく……。

 

「「「どういうこと~~?」」」

 

と言いながら上の階に連行されていった。

 

 

 

 

 

 

翌日、刀原は英国魔法省を訪れた。

 

「我々としては、貴国の要望に問題はない。よろしく……お願いする」

 

「それは良かった。此方としても貴国の冷静な判断に感謝を。こちらこそ、宜しくお願いします」

 

ファッジのたどたどしい言葉と共に手紙を差し出す。

そして刀原はニッコリと笑いながら受け取った。

 

両者は互いに握手をする。

 

しかし、両者の顔は全く違った。

 

 

だが、それも共闘関係は結ばれた。

 

 


 

 

 

「では……刀原よ。おぬしの口から報告せよ」

 

刀原が英国から戻った翌日。

瀞霊廷で開かれた会議にて、元柳斎はそう言う。

 

「宜しいんですか?十一番隊の鬼厳城隊長がまだ来られていませんが……?」

 

「構わぬ」

 

「構いません」

 

刀原は即座にそう言った元柳斎と卯ノ花に「あ、そうですか……」となりつつ話し始めた。

 

「まず……資料の通り米国魔法議会(マクーザ)は、対ヴォルデモート戦において我々と共闘することに合意しました。具体的に言うと『万が一の場合(英国魔法界陥落)の際には、ヴォルデモート討伐を早急に行う』ということです。また他国……特に東側諸国への牽制もするとのことです」

 

刀原がそう言うと、会議の参加者達は頷く。

 

「えらい苦労かけてすまんかったな。それとありがとう。こないなご時世やから、君が行ってくれてホンマ助かったわ」

 

市丸がすまなそうに刀原に謝る。

 

「大丈夫です。護廷の仕事も有りましたし……ハリーの顔も見れましたので」

 

刀原は心配ないと市丸に返す。

 

ヴォルデモート復活が水面下で囁かれているため、外交にも護衛に手練れがいるのだ。

 

それに……護廷十三隊の案件を、魔法省の外交担当に任せるわけにもいかなかった面もある。

 

「米国魔法議会はそれでよし。次は米国の騎士団じゃが……どうなった」

 

元柳斎の言葉に刀原は「米国において虚と戦っている者達……滅却師(クインシー)達のですね?」と答える。

 

滅却師(クインシー)達の組織『星十字騎士団(シュテルンリッター)』の二代目団長『ユーグラム・ハッシュヴァルト』殿との会談で……日本に来ている『滅却師の過激派』との戦いに、彼らは団員を派遣するとのことです。そして過激派と手を組んでいる『貴族派』の連中との戦いも、出来れば参戦したい……とのことで」

 

「ほう?」

 

「まあ……」

 

刀原の報告に、元柳斎と卯ノ花が反応する。

 

「何か……因縁でも?」

 

「まあの……。奴ら(滅却師)の先代頭目は、先の大戦の終戦後、わし等(護廷十三隊)に突っかかって来たことがあったのじゃ」

 

「まあ、軽く捻ってやりましたがね」

 

そして刀原が聞けば、笑ってそう言った。

 

「そ、そうですか……。とりあえず反逆者達の同盟……呼称『賊軍』に対して、『星十字騎士団(シュテルンリッター)』とは共闘関係となります。ただ……やはり人員や練度の問題で、『英国には派遣出来ない』とのことです」

 

「そうか……やはりの」

 

予想された報告に、元柳斎は思案顔で言う。

 

「しかし、その過激派……何か裏があるんじゃないのかい?その先代頭目の指示とかさ。野心……有りそうだしね」

 

京楽はそう懸念する。

 

「京楽隊長のご指摘は尤もですが……。少なくとも現団長のハッシュヴァルトさんは、誠実で真面目そうな印象でした」

 

「あやつ等はわし等以上に人数が少ない(人材不足)。そんな事をする余裕もない筈じゃ」

 

京楽の言葉を元柳斎は否定する。

 

「そうなのかい山じい?」

 

京楽は元柳斎の方を見てそう言う。

 

「ええ。ですが……可能性が全く無いと決めつけることは出来ません。考慮に入れる必要は有りますね」

 

卯ノ花がそう言えば全員が頷いた。

 

 

 

 

 

「では次に、英国魔法界情勢についてです。まず英国魔法省……ファッジは我々の提案を飲み(脅しに屈伏し)ました」

 

「そこまで愚かではなかった訳ね?」

 

刀原の報告に安堵するかのように京楽が言う。

 

「ええ、ですが……僕が大西洋上空にいた時にハリーが吸魂鬼に襲われるという事案が発生してます」

 

「なんとまあ……」

 

しかし、刀原の報告に一同は絶句する。

 

吸魂鬼が英国魔法省管轄である以上、それ(吸魂鬼)に襲われるということは……英国魔法省内に襲わせた(指示をした)者がいると言うことだ。

 

「ハリー少年は大丈夫だったのかい?」

 

浮竹が心配そうに言う。

 

「はい、大丈夫でした。彼は『守護霊の呪文』を修得していましたので、偶然(不幸)にも彼と共にいた従兄弟(ダドリー)を守りながら返り討ちにしたとのことです」

 

「ほう?」

 

「若いけど、やるようだね!?」

 

刀原の報告に狛村が感心するように言い、浮竹も驚きと感心が混じった声をあげる。

 

「去年、私達が突発事態でも冷静に対応出来るよう、鍛えましたから」

 

雀部がどこか誇らしげに言う。

 

「思いの外、優秀っぽいっすね……」

 

浦原は考えるように言った。

 

「ハリーは現在、ダンブルドアが創設したヴォルデモートに対抗する組織……『不死鳥の騎士団』の保護下に有ります。しかし……マグルの面前だったことや、本人が未成年である事もあって、近々裁判にかけられるそうです。おそらく、有罪にして貶める算段かと」

 

「なんと卑怯なやり口だ」

 

「無能極まる下劣なやり方だな」

 

朽木や東仙が怒りを露にする。

 

「ハリーにはダンブルドアがついていますから……無罪放免になるでしょう。ですが安心は出来ません」

 

「左様、もし有罪になったら如何致す」

 

刀原達は、考えうる最悪の事態を考える。

ハリーを失うのは、対ヴォルデモートのことを思えば痛い損失だからだ。

 

「そうなった場合、此方に亡命させる他あるまい。我ら隠密機動が英国魔法省に潜入し、ハリー少年を連れ去れば良い」

 

四楓院夜一がそう平然と言えば、その他もそれに賛同するような反応を見せる。

 

「分かりました。それではハリーには「抵抗せずに大人しく拉致られろ」と伝えておきます」

 

「頼むぞ!」

 

一応言っておくが……バレたら国際問題である。

 

 

 

 

「ご苦労であった刀原。では、次は我らの対応について話そうかのう?」

 

元柳斎が刀原を下がらせ、そう言う。

 

「英国魔法界に対しては……新三番隊隊長の刀原将平、新五番隊隊長の雀部雷華。この二名を派遣する事とする。両名ともまだ若いが……語学的にも地の利としても、これ以上の適任者はおらんと儂は思う。皆の意見はどうじゃ?」

 

「二。異議なし、むしろ賛成じゃ」

 

「四。異議はございません」

 

「六。異議なし」

 

「七。異議はござらん」

 

「八。異議なしだよ山じい」

 

「九。異議なし」

 

「十。異議なしです」

 

「十二。異議なしっす」

 

「十三。異議は有りません」

 

元柳斎が決を採れば、三、五、不参加の十一以外の隊長達全員がが賛同する。

 

「市丸はどうじゃ?」

 

「賛成です、総隊長。僕らからも推薦します」

 

そう言って市丸も賛同する。

 

「宜しい。では、両名とも良しなにの」

 

「了解です」

 

「分かりました」

 

元柳斎は返事をした二人の反応に満足そうに頷く。

 

「十番隊の新隊長、日番谷冬獅郎。おぬしは後詰めとして瀞霊廷内に待機せよ。同隊副隊長、雛森も同じくじゃ。万が一の場合、おぬし達も英国に跳んで貰うからの。そのように心せよ」

 

「はい」

 

「総隊長。僕らが居ないときは、副隊長に指揮を任せたいと考えていますが……それで宜しいですか?」

 

「構わぬ。三番隊の指揮は同隊の副隊長、豊永康隆に任せよ。五番隊は副隊長が空席じゃからの……やむを得ない、平子真子を代理とする」

 

「了解しました」

 

 

 

「では次は賊軍についてじゃ。米国と手を組むのは良いが、当てには出来ん。四楓院。彼奴等の情報は?」

 

「ちょくちょく博多に来ているのは間違いない。先日、賊軍の長『綱彌代時灘』を確認したからの」

 

「博多に……」

 

四楓院の報告に顔を歪ませる刀原。

 

両親の呪った張本人ともなれば、冷静沈着を心構えている刀原とて激情を露にするのだ。

 

「将平君、抑えて……ね」

 

ただ、京楽が優しく声をかければ「すみません」と言って直ぐに直ったのだが。

 

「直ぐには仕掛けてこぬだろう。奴らは裏で、英国のヴォルデモート一味と繋がっているという噂もある。巧妙な奴じゃ」

 

四楓院が苦虫を噛み潰したように言う。

 

「おそらく、わし等に二正面作戦を許容させるつもりじゃろう……。英国に戦力の派遣させて、わし等の戦力を少しでも削ぐ……そんなところじゃろうて」

 

元柳斎はたくわえた髭をさわりながら言う。

 

「英国に……?まさか元柳斎先生は、綱彌代が破面の親玉だと言うのですか?」

 

「そうじゃ、藍染や浦原の報告を聞く限りはの」

 

浮竹がそう言うと、元柳斎は頷く。

 

「彼は崩玉を持っています。あれにはそれが出来ます……。もし彼が虚と接触していれば、十分可能です」

 

「可能……?(けい)は、破面に対して正体が判明したと言うのか?」

 

藍染がそう言えば朽木が問いかける。

 

「私と藍染さんで、結論したっす」

 

藍染の代わりにそう言ったのは浦原だった。

 

「あれはおそらく、虚の死神化。仮面を外し死神の力を手に入れた虚……それがおそらく破面の正体っす。そしてそんな芸当が出来るのは、崩玉を持っている綱彌代時灘だけっす」

 

「我々魔法省魔法神秘部も、破面の正体については、彼らと同じ結論に達したヨ。見た目は人間だが、中身は虚。おまけに腰には、斬魄刀のような刀。そう結論するしか無いネェ」

 

魔法神秘部部長の涅マユリもそう言う。

 

「面倒なことになったね……」

 

京楽が項垂れように言う。

 

「いずれにしろ、全て斬れば良いのでは?」

 

刀原が平然と言う。

 

「その通りですよ、皆さん?」

 

卯ノ花もそれに同意する。

 

「結局はそうじゃの」

 

元柳斎はどこか頼もしそうに言った。

 

 

こうして会議も終わり、まとめに入る。

 

「では最後に……。我らはまもなく、賊軍と本格的な戦端を開く。英国共々、我らが日本を守るのじゃ!」

 

「はっ!」

 

元柳斎が檄を飛ばせば、その場にいた全てが頷く。

 

「よし、では……各々。抜かりなく」

 

 

 

 

 

 

 

そして……九月一日。

ホグワーツ城にて。

 

 

「お初に……じゃないですけど……お初にお目にかかる。二ヶ月前にホグワーツ城にて発生した虚に対して、皆様の守護するために日本より派遣された、護廷十三隊 三番隊隊長 刀原将平と申します」

 

「同じく派遣されました、護廷十三隊 五番隊隊長 雀部雷華と申します」

 

「我らが此処に布陣する限り、皆様には指一本足りとも触れさせませんので……どうかご安心を」

 

「但し、私達の避難指示等に従わないのであれば……その限りではありませんので、あしからず」

 

「「では、宜しくお願いいたします」」

 

刀原と雀部は、新しさが未だにある白い隊長羽織を身に付け、ハリー達ホグワーツの生徒達にそう言った。

 

雀部の髪型はツインテールからポニーテールへと変化し、刀原もミディアムショートが短くなっていた。

 

 

そして、より凛々しくなっていた。

 

 

 

 





護国の為

友の為

誇りの為

我ら修羅と成らん。


アンケートに答えていただき、ありがとうございます。
半ば予想通りなのですが……やはり彼女は、破滅を望まれているんですね……。

民意は取った!
後は徹底的に!


刀原、さりげなく隊長に就任。
詳しくは次回。


ちなみに次の投稿は人物紹介になります。


感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。


では次回は

ピンクと読書

次回もお楽しみに。





アンブリッジの末路。どうしましょうか……?必ずしも反映するわけではないのですが……宜しければお答えください。

  • 1『問答無用!』物理的に抹殺ルート
  • 2『人生終了宣言 』社会的に抹殺ルート
  • 3『我らは慈悲深い』救済ルート
  • 4『原作通りに……』原作追随ルート
  • 5『容赦無し!』社会的+物理的抹殺ルート
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