獅子は勇猛
蛇は狡猾
鷲は知識
穴熊は慈愛
蛇を選べば明るい未来
だがそれは嫌なのだが……
僕は蛇になるべきなのか?
周囲は夜になり、列車はすーっと減速し止まる。
ハリーとロンの二人は、初めて袖を通したであろうホグワーツのローブを着用し、刀原はマホウトコロの制服の上からホグワーツのローブを羽織りの様に着用して列車を出た。
辺りは暗く、生徒でごった返しのホームの中……ランタンを掲げながら大男がやって来る。
「イッチ年生!イッチ年生はこっちだ!」
この人でっかいなぁ、狗村さんもおっきい人だけど……この人も相当だ。
刀原は師匠経由で知り合った人と比べながらそう思っていると、隣にいたハリーが「ハグリッド!」と呼んでいるのを聞く。
「足元に気をつけろよ?さあ、ついてこい」
そうして……ハグリッドの先導の元、刀原たちはランタンのライトを目印に半分獣道の様な暗い道を進み始めた。
しばらく進むとハグリッドは止まり、目の前には大きな黒い湖が見えるようになる。
「みんな見えるか?あれがホグワーツだ」
湖の向こうには山がそびえ、多くの尖塔を持つ巨大で荘厳な城が佇んでいた。
「あれがホグワーツか…」
刀原はそう呟く。
翡翠と羊脂白玉で出来た姫路城の様な見た目のマホウトコロも、かなり美しい城だが……。
このホグワーツ城は、それとは違う美しさがあった。
闇夜に浮かび、尖塔や石橋に灯る火は……まるで宝石の様だと刀原は思った。
持っているカメラで撮った所で、ハグリッドの声がする。
「さあみんな、4人ずつボートに乗るんだ!」
ホグワーツ城を正面に、ボートは一人でに動き始めた。
湖を横断し、洞窟のトンネルを抜け、刀原達を乗せた船団は船着場に接岸する。
そこから階段を上がると門があり、ハグリッドがこんこんと門を叩く。
「マクゴナガル先生!イッチ年生を連れてきました。」
すると門は開き「ご苦労様ですハグリッド」と言いながら、マクゴナガル教授が現れた。
マクゴナガル引率の元、刀原達は大広間前の扉で待機する。
そしてその場でマクゴナガル教授は全体を見渡しながら、静かながらよく通る声で話始めた。
「ホグワーツへの入学、おめでとうございます。これから新入生を迎える宴がありますが、その前に皆さんが入る事になる寮を決める組み分けを行います」
これがロンが言っていた組み分けの儀式か。
刀原はロンが列車内で言っていた組み分けの事を思い出す。
トロールとやらと一戦交えるとか、すっごく痛いとか言っていたが…どう霊圧を感知してもトロールなる存在は居ないね。
刀原は列車内で出会ったロンの双子の兄に一杯喰わされたなと思い、苦笑いする。
まあもしそうなった場合、トロールには悪いが武力で撃退するしかあるまい。
トロールとやらがどの様な者か知らないが、そんな奴に遅れを取ったとあらば……師匠達からドヤされ拳骨では済まないかもしれない。
「まだまだおぬしは修行が足りんようじゃの」
ウキウキ顔とニコニコ顔で向かって来る師匠達。
楽しくも地獄の様な修行に逆戻り。
刀原は万が一の警戒をしながら、マクゴナガルの言葉を待つ。
「これから皆さんは組み分けで決められた寮で7年間過ごします。グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、そしてスリザリン。どれも由緒正しい歴史ある寮です。」
確かロン曰く確執があるとか?
グリフィンドールとスリザリンの確執は、創始者の代かららしい。
マホウトコロにも寮があるが確執はない。
これもホグワーツの文化というものだろう。
そう思っていると、マクゴナガルの「まもなく始まります」という一言を聞く。
刀原は、いよいよだと気を引き締めた。
「ミスタートーハラ!居ますか?」
だが決意とは裏腹にそう呼ばれ、マクゴナガルの元に向かった。
「あなたは留学生ですので、ダンブルドア校長の合図で入って頂きます。校長曰くサプライズにしたいとの事で…」
マクゴナガルがやれやれ顔をしながら小声で言う。
どうやら世界有数の魔法使いはお茶目な感じらしい。
「しかし、列車で道中を共にした子には留学生である事を言いましたが?」
「それくらいなら大丈夫でしょう。ではよろしくお願いしますね?」
そう言ったマクゴナガルは、他の一年生を連れて大広間に向かい……刀原は一人残されたのだった。
一人残された刀原だったが、大広間の声が聞こえなかった訳では無い。
列車内で出会ったハーマイオニーやネビルが、グリフィンドールに入ったり……。
ハリーが、やたら時間が掛かったが……グリフィンドールに入ったり……。
ロンが瞬時にグリフィンドールへと入ったり……。
そのロンが、やたらと敵視していたマルフォイとか言う貴族みたいな子が、これまた瞬時にスリザリンの入ったりと……。
知り合いが次々と組み分けされる中、さしもの刀原も緊張してきた。
トロールはどうやら居ないらしいので、戦闘することは無さそうだが。
深呼吸しながら大広間の様子を聞いていると、組み分けが終わったらしく……威厳がある老人の声がしてきた。
「さて、お帰り生徒達。初めまして新入生達。騒がしくなる前に言っておきたい事が二つある。まず一つ、とっても痛い死に方をしたくないのであれば今年度は4階の右の廊下は立ち入り禁止じゃ。今彼処には死より恐ろしいものがあるのでな…」
おい、大丈夫かそれ。
刀原がこう思っても無理はない。
安心安全を求める教育機関の筈の学校にそんなものがあっていいのか?
刀原は困惑するが長考に入る事ができなかった。
何故なら…。
「次は嬉しいニュースじゃ…」
と次の話題となったからだ。
「次は嬉しいニュースじゃ。極東は日本のマホウトコロより留学生を、ホグワーツへと迎えることになった。列車で一緒になったかも知れんの?留学生は先ほどと同様、組み分け帽子で入る寮を決める事になる。」
ダンブルドアの一言で各寮は騒がしくなる。
ハリー達も刀原のことを思い浮かべているだろう。
「では入って頂こう。マホウトコロの留学生、ミスターショーヘイ・トーハラ君じゃ」
ダンブルドアの言葉で扉が自動で開く。
刀原はゆっくりと歩き、古びているが強力な霊圧を持つ帽子へと向かう。
正面には、今世紀最強の魔法使いとの呼び声高い魔法使い……アルバス・ダンブルドアが立っている。
歩きながら刀原は、じっくりと各教授陣の霊圧を見ていった。
その中でもやはり、ダンブルドアは別格だった。
護廷十三隊の隊長格クラスはあるな……練りに練りこまれている。
刀原は主に思考や洞察力を教えてくれた師匠の一人…編み笠を被り、風車を付け、女物の着物を隊長羽織りの上に羽織る古参の隊長…位はあるかな?など思いながら、ダンブルドアの前に立ちニコッと笑う。
ダンブルドアも微笑みお互い握手をする。
そして握手を終えた後、くるりと後ろに振り返り挨拶をする。
「マホウトコロより参りましたショーヘイトーハラと申します。この度は世界有数の魔法学校たる、ホグワーツ魔法魔術学校に留学の機会をいただき、感謝の念に絶えません。この機会を生かし、魔法力等の研鑽をより一層励みますので……諸先輩方、そして優秀な各教授陣のご指導ご鞭撻、どうぞ七年間よろしくお願いいたします」
反応はイマイチ…やってしまったかな?
でも正式なものだし…。
刀原は堅っ苦しい挨拶になったことに気がついた。
「丁寧な挨拶をありがとうトーハラ。彼はホグワーツで言えば4年生にあたるのじゃが、本人の希望により1年生からとなる。よろしくお願いしますぞ」
刀原は本場の西洋魔法が学べる貴重な機会と考え4年ではなく、あえて1年生から再スタートする事にしたのだ。
「はい、あらためてよろしくお願いいたします」
「では組み分けじゃ!マクゴナガル先生」
いよいよか…。
「ええ、では…トーハラ・ショウヘイ!」
「はい」
刀原はマクゴナガルの呼びかけに応え、帽子があった丸椅子に座る。
マクゴナガルは間髪入れず帽子を被せる。
すると帽子が喋り出す。
「ふむ。遥々日本からようこそホグワーツに……。古来より日本守りし死神にお会い出来るとは、光栄だよ……。さて、ふーむ…スリザリンはダメだろう。君は純血では無いし、狡猾ではあるが……基本的に正々堂々とした勝負を好む」
狡猾さ…師匠から教わった時に必要になるもの。
「うーむ、レイブンクローもダメだろうな。君は賢いし、実に優秀な素質を持っているが……死神という個には、居心地悪くなるかもしれない」
優秀だ、天才だなどと言われて居たが……師匠との修行を考えれば当然の結果だろう。
「ハッフルパフはまあ良いだろう。仲間に対して、君は力になるべく行動する」
当然だ仲間を守る力は最初の原点だった。
「だが…やはり君は死神だ。狡猾さも知識も慈愛も、全ては護廷の為、仲間の為、誇りの為に。そして勇猛ある強さを持ちたいと思っている……君はホグワーツの寮の話を聞いて、内心でもう決めているね?」
「ええ、決めていました……僕は死神になります。尊敬する曾祖父の様に、師匠達と同じ様に、狡猾さも知識も慈愛も必然的に手に入れたものです。だから僕が、ホグワーツで選ぶ道は……」
「分かっている。君の道に、最適な道は……グリフィンドール!!」
グリフィンドールのテーブルから歓声が上がる。
刀原は椅子から立ち上がり、深く組み分け帽子にお辞儀をする。
「君の道に幸運を」
組み分け帽子の激励に、刀原は笑顔で返したのだった。
刀原のを最後に、組み分けの儀式は終わった。
グリフィンドールのテーブルに着席した刀原は、ダンブルドア校長の一言を聞く事になるのだが…。
「食事を始める前にわしが言うことはこれだけじゃ。それ、わっしょい、こらしょい、どっこらしょい!以上」
「!?」
世界有数の魔法使いが言う言葉とはとても思えず、驚愕する。
師匠もそうだったが、実力者が歳を重ねるとお茶目になるのか?
刀原がそう考えている間に、目の前の皿には豪華な料理が出現する。
こう言っては何だが……。
英国料理は美味しく無いと聞くが…。
刀原は警戒し過ぎるのも考え物だな、と思いながら目の前のローストビーフに舌鼓を打つのだった。
生徒達がデザートまでしっかり食べた後、ダンブルドアが再び立ち上がる。
「全員よく食べ、よく飲んだことじゃろう。じゃあ寮に向かう前に一言二言、伝えなければならん。まず一年生じゃが、校庭にある禁じられた森に入っていかんぞ。もちろん上級生もじゃ」
刀原は戦闘訓練には丁度良いかもしれないと思った。
その後も廊下で魔法は禁止であること、クィディッチは二年生からでフーチ教授に伝えることなど周知し、最後に校歌を歌ってダンブルドアが感動した後、各寮に行く事になった。
そしてハリー等にお休みの言葉を言い、明日からの授業に刀原は備えるのだった。
BLEACHの巻頭ポエムの様なものをこの小説でも書きます。
感想等お待ちしてます。
次回は薬学と箒かな
よろしくお願いします。