ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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小さき塵と思う無かれ

力無き小と思う無かれ

私達は必ず山となり

その弛んだ喉笛

噛み千切ってやるから。









死神、嗤う。高等尋問官と結束する生徒達

 

 

倒れるのは勝手だし、多分来年には倒れる。

だが倒れ先の方向がヤバい。

 

だから添え木をしたり、倒れ先や倒れ方を誘導しなくてはならない。

 

そしてそれをやる者は、当然ながら忙しく……それ以外の事に手が回らない状況であった。

 

では……腐って倒れそうな木をさらに食べる白蟻ならぬガマガエルの相手は、誰がしなくてはならないのか。

 

ガマガエルの毒素からホグワーツを守る役目は、誰が担わなくてはならないのか。

 

ダンブルドアは馬鹿と無能(ヴォルデモートとファッジ)の相手で忙しく。

 

他の教授達は苦々しくも、止めようがない。

 

そんな状況下で、力が無い生徒達は……誰も彼もが最も力のある人物達に頼るしかない状況になりつつあった。

 

そして、その最も力のある人物達は……。

 

「はぁあああ!」

 

「せい!やあ!たあぁ!」

 

虚退治で凄く忙しかった。

 

 

 

 

 

アンブリッジとファッジめ。

 

刀原は吐き捨てるように言った。

 

早々にアンブリッジを論破し、ヴォルデモート関連の罰則をさせずにすんだのは良かった。

 

しかし、ハリーが迂闊にもアンブリッジに口実を与えてしまい、ハリーの手の甲には『I must not tell lies(僕は嘘を言ってはいけない)』と言う文字が物理的に刻まれることになったのだ。

 

「これは許されない体罰です!抗議しましょう!」

 

憤慨した雀部に刀原も大いに賛同したかったが、そうはいかない事情がある。

 

内部干渉になりかねないからだ。

 

ただでさえ拗れつつある英国と日本の関係が、これ以上悪化するのは避けたい。

 

それに、ハリーやダンブルドアへのネガキャンは続いており、抗議したところで紙の無駄になるのは分かりきっている。

 

そしてシリウスや情報部からの情報だと、ファッジは『ダンブルドアが私設軍団を作り上げ、魔法省と抗争するつもり』だと妄想しているらしい。

 

授業で呪文を使わせないのも、それが理由だ。

 

『無能極まれり』

 

刀原と雀部はそう吐き捨てた。

 

そして無能な大臣に対する怒りとストレスは、ホグワーツに出現した虚を殲滅(に八つ当たり)することで発散していた。

 

 

 

 

 

パーシーから支離滅裂な手紙が届き、ロンがそれを八つ裂きにして暖炉で処分した日の翌日。

 

その朝食にて。

 

「魔法省、教育改革に乗り出す……?ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命……か。まあ、想定通りだな。そろそろかと思っていたが、俺の予想より少し早かったわ」

 

「そうですか?私は遅かったと思いましたけど」

 

日刊予言者新聞の大見出しには刀原が言った通り『魔法省、教育改革に乗り出す。ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命』と書かれており……刀原は、半ば呆れつつ感心するように言い、雀部も呆れながらそう言った。

 

「予想通りだって!?」

 

ロンは刀原の言葉を聞いて、声を荒げる。

 

「お前らは、アンブリッジとファッジの目的が『ホグワーツの監視だけ』だと思っていたのか?それはあり得ない。ファッジの目的はホグワーツの掌握。そして干渉と介入をするのに必要なのは、役職と権力だ」

 

「だからこのような事態は、予想の範疇でした。そして妥当なのが……自分達の言うことを聞かない教授を追い出す権限と、追い出した先生の補填が見つからなかった場合は魔法省から送り込む権限です」

 

「まあ、『じわじわと乗っ取っていく』っていう作戦は、戦略的には悪くねぇ。尤も、やるべき相手を間違っている時点で無能だがな」

 

刀原と雀部の言葉に驚く三人。

 

「確かに、筋は通ってるわね」

 

ハーマイオニーは納得するように言う。

 

「ファッジの最終目的はダンブルドアの逮捕だろう。絶対に失敗するがな。ダンブルドアは、自分がヴォルデモートへの抑止力だと理解している。アズカバン行きは絶対に避けるはずだ」

 

「そうよね。ダンブルドアが逮捕されたら……ヴォルデモートが喜んで不在を突くはずだから……」

 

刀原がの言葉に、ハーマイオニーは意を決したように『ヴォルデモート』と言って返す。

 

「ショウ、ライカ。二人が虚退治で忙しいのは分かってる。でも、僕達が当てに出来るのは……ショウ達だけなんだ」

 

ハリーは懇願するようにそう言った。

 

「そうしたいのは山々なんだが……いくら外交特権を持っているからといって、何度もアンブリッジと戦う(口論)するわけにもいかないんだよ」

 

「これ以上は、外交問題になりかねないので……」

 

刀原と雀部は苦い顔でそう答える。

 

それを聞いたハリー達も、日本側(刀原達)英国魔法省(アンブリッジ)に対してイライラしていることは知っているため「そう、だよね……」となった。

 

三人達による、刀原達への説得は失敗した。

 

 

 

高等尋問官という新しい権力(玩具)を手に入れたアンブリッジは、数日の時を置いて動き出した。

 

まず……不幸にも最初の査察先(ターゲット)となったのは、トレローニーの『占い学』。

 

続いてマクゴナガルの『変身術』にも出没したらしいが、素晴らしくも返り討ちにあい、『魔法生物飼育学』の授業でも上手くあしらわれたらしい。

 

そして……ハリーはまたもアンブリッジの魔の手にかかり、悪質な罰則を受ける羽目になった。

 

そんなハリーが出血する手を庇いながら寮の談話室に行くと、怒り心頭の雀部が回道を掛け始める。

 

「やはり、あの(カエル)を何とかしないことには……事態の解決にはならないと思います」

 

雀部が思い出すのも嫌だといった顔で言う。

 

「ライカの言うとおり、あの女はとんでもなくひどい人だわ。あのね、ロンとも話していたんだけど……。私達、あの女に対して何か動くべきだと思うの」

 

ハーマイオニーは神妙な面持ちで言う。

 

「僕は毒を盛れって言ったんだ」

 

「いいなそれ、早速やろう」

 

ロンがそう言えば、刀原が真面目な(疲れきった)顔でそう言う*1

 

「冗談よね……?」

 

「何を言ってるんだ?俺はいつでも本気だぞ?」

 

苦笑いしながら言ったハーマイオニーに、刀原は真面目な(疲れきった)顔をして、袖から怪しい小瓶を取り出す。

 

なお、その怪しい小瓶の中にある液体は薄い黄緑色をしており、浦原と涅が共同で開発した代物らしい。

 

ーーーーーーーーー

 

「こっそり始末したい奴がいたら使ってくださいっす。意味は……分かりますよね?」

 

「入れた液体の色にも溶ける代物だが、効き目はバツグン。イチコロだヨ?因みに味は、リンゴ味だヨ」

 

ーーーーーーーーー

 

「しょう君?浦原さん達から貰った怪しい薬を出さないで下さい。気持ちは大いに分かりますが……」

 

ハリーへ回道を掛け終わった雀部は、刀原の思考が監視から排除へとシフトしつつあるのを察し、彼の隣へと移動して諭すように言う。

 

そして、雀部(最愛の人)が隣へ来たことで正気に戻った刀原は「…………冗談だヨ」といって瓶を袖に戻す。

 

「毒を盛るのは駄目よ。そうじゃなくって……あの女からは防衛なんて何にも学べないじゃない?だから……自分達がやるのよ」

 

ハーマイオニーが躊躇いつつも決心した様に言う。

 

「自分達で何をするんだい?」

 

ハリーは治して貰った手を確認しながら言う。

 

「『闇の魔術に対する防衛術』を自習するのよ。そして、外の世界で待ち受けている脅威に対して準備をするのよ。自己防衛を出来るように……。この一年間をふいにするわけにはいかないわ」

 

ハーマイオニーの言葉に、ロンは頭を捻る。

 

「だけどさ……僕達だけじゃ、大したことは出来ないと思うぜ?そりゃあ……図書室へ行って呪いを探して、それを試したり練習したりは出来ると思うけど……」

 

「確かに『本からだけで学ぶ』という段階は過ぎてしまったと思うわ。私達に必要なのは、先生よ。呪文の使い方を教えてくれて、間違ったら直してくれる『まともな先生』」

 

ハーマイオニーがそう言う。

 

「でも、リーマスの事を言ってるのなら」

 

「ええ、リーマスは無理よ。騎士団で忙しいもの」

 

ハリーの言葉を遮ってハーマイオニーは言う。

 

「じゃあ、ショウ達の事?」

 

「違うわ、ショウ達も忙しいもの」

 

ハリーはハーマイオニーの真意が分からない。

 

「別に出来ますよ?」

 

雀部の言葉にハーマイオニーは首を振る。

 

「これ以上、二人に負担はかけられないわよ。それに、これは私達の問題なんだから。あと色々とね……」

 

ハーマイオニーは言う。

 

今、彼女の頭には……去年にハリーが受けた特訓を思い浮かべているのだろう……。

 

「じゃあ誰?」

 

「分からない?」

 

ハリーの問いにハーマイオニーは言う。

 

「あなたの事よ、ハリー。貴方が『闇の魔術に対する防衛術』を教えるって言ってるのよ」

 

ハーマイオニーはハリーの方をじっと見て言う。

 

「僕は先生じゃない、成績だって君には及ばない」

 

「いいえ、三年生の時……まともな先生の授業を受けた貴方は、私を上回ったわ」

 

ハリーは首を振るがハーマイオニーはそう言う。

 

「それに、私はテストの結果の事を言ってる訳じゃないわ。貴方がこれまでやって来たことを考えて?」

 

ハーマイオニーの真意が分からないのか、ハリーは呆けた顔で「どういう事?」と言う。

 

「貴方は一年生の時に『例のあの人』から『賢者の石』を守った」

 

ハーマイオニーはニヤニヤしながらハリーに言った。

 

「それは僕だけの力じゃない。ロンがチェスを攻略して、ショウがトロールを倒して、ハーマイオニーが論理パズルを攻略してくれたからだ」

 

「でも、クィレルと直に対峙したのは貴方よ」

 

「それは運が良かったからで、」

 

「運も実力のうちです」

 

首を振りながらそう反論したハリーに、ハーマイオニーと雀部がピシャリと言う。

 

「二年生、君はバジリスクを倒してジニーを救った」

 

ロンもニヤニヤしながら言う。

 

「バジリスクを倒したのはショウだ。ショウがリドルを追い詰め、滅ぼしたんだ」

 

「確かにそうだが……。バジリスクには、ハリーも対峙したな?君はグリフィンドールの剣でもって果敢に挑みかかり、バジリスクの脳天を貫いた。それにリドルにトドメを刺したのはハリーだ」

 

卯ノ花隊長も誉めてたぞ?と続けて言った刀原の言葉に、雀部は驚き、ハーマイオニーは「ほらね?」とばかりにハリーを見る。

 

「三年生は人として最高の判断をしましたし、去年はヴォルデモートをまたしても撃退し、生還しました」

 

「そうだけど……それも運が良かったり、ショウ達から地獄の特訓を受けたからだ」

 

雀部の言葉にハリーはまたも否定する。

 

「でも一人でヴォルデモートと、」

 

「違うってば!」

 

三人と同じくニヤニヤしながら言い始めた刀原に、ハリーはほとんど怒った様に言う。

 

「いいかい?そんな言い方をすれば、なんだか凄い事をしたように聞こえるけど……みんな運が良かったり、誰かが助けたりしてくれたからなんだ」

 

ハリーはそう言うが、四人のニヤニヤは止まらない。

 

「どの場合でも『闇の魔術に対する防衛術』が素晴らしかったから切り抜けられた訳じゃない。ほとんどがやみくもで、何がどうなったのかさっぱり…ニヤニヤするのをやめろってば!」

 

ハリーは立ち上がってそう叫ぶ。

 

「君たちは分かっちゃいない!あ、ショウとライカ以外……。ロンとハーマイオニーは分かっちゃいないんだ!あいつと正面切って対決する時、実際そういうことになった時、授業で役立つことなんて一握りだ!授業で呪文を覚えて、敵に向かって放てばいい訳じゃない!僕は紙一重だったんだ!」

 

ハリーが肩をいからせながらそう叫ぶ。

 

「……君の言う通りだよハリー」

 

そんなハリーに、刀原は頷きながらそう返す。

 

「……いつそれが来てもいいように鍛練し、備え、覚悟を決める。それでも学んだことなんてほとんど役に立たないし……結局は『経験に勝るものなし』だ。だからこそ、ハーマイオニー達は君の経験を必要としてる」

 

刀原がそう言えば、ハーマイオニーは頷く。

 

「ショウの言う通り……私達はハリーの、その貴重な経験が必要なのよ。備える為に、戦う為にしっかりと知る必要があるの。それを知っているのは、ヴォルデモートと戦ったのはハリーだけよ……?」

 

ハリーはハーマイオニーの言葉を聞いていた。

 

「考えてみてね……いい?」

 

ハーマイオニーが静かに言えば、ハリーは頷く。

 

刀原はそれを満足気に眺めていた。

 

 

 

ハーマイオニーがハリーを説得してから数週間がたち、ホグズミードに行ける日が近づいてきた。

 

ハリーはあれから随分と考えているようだし、ぶつぶつと呪文を呟いていたのも一度や二度ではなかった。

 

そして、ホグズミード行き週末の前日の夜。

 

「ショウは……どう思う?」

 

ハリーは談話室の隅にて、自身が最も頼れる人物に相談していた。

 

「ハリーの心の中は、もう決まってるんだろ?」

 

毎日の習慣でもある斬魄刀の手入れをしながら、刀原はそう言った。

 

「まあ、うん。でも……ほら、新聞じゃあ僕は頭がおかしいって言われてるしさ……。僕から習いたいなって思う奴いないと思うよ」

 

ハリーは刀原の横に座りながら、自信無さげに言う。

 

「……俺はそうは思わんがな」

 

手入れを終わらせた刀原が刀を鞘に納めながら言う。

 

「ハリー。君が闇の魔術に対する防衛術に優れていることをいくら否定しようとも……君自身の記憶、経験、習得し積み重ねてきたものはとても貴重なものだ。そして、その経験を欲する者は多い筈だ」

 

ハリーの方に向き直し、真面目な顔で言った。

 

「でも……幸運だった部分が多かったのは事実だ」

 

「ああ、そうかもな。じゃあ君は、なんの努力もしなかったと言うのか?賢者の石を守るために、懸命に調べたことは?バジリスクを倒すため、グリフィンドールの剣を握ったことは?吸魂鬼を退けるため、守護霊の呪文を習得したことは?去年、ドラゴンと空中戦したり、寒中水泳したり、俺と特訓したことは?」

 

「……それは」

 

「去年。一人になり、ヴォルデモートに襲われ、それでも逃げずに立ち向かったのは?無駄だったのか?それも運だと言うのか?」

 

「……」

 

「否、否だ。無駄ではない。運だけでは、決してない。それを証明することを、君はもうしているんだよ。この夏、君は何に襲われた?」

 

「……吸魂鬼」

 

「その時、君は誰を守った?」

 

「……ダドリー」

 

「その通りだ。心情はどうであれ……君は確かに、君自身と従兄弟の身を守った。一昨年に、懸命に努力して習得した守護霊の呪文でな」

 

「……」

 

「果たして……それは運が良かったから出来たか?」

 

「……違う」

 

「そうとも。君は立派に努力し、経験し、乗り越えてきたんだ。誰にでも出来ることではない。その積み重ねを馬鹿にする奴は、俺が許さん」

 

「……ショウ」

 

「ハリー。君は確かに今まで……誰かに教えられ、守られ、助けられてきた。それは俺だったり、ダンブルドアだったり、母の護りだった。それを自覚していることは素晴らしい。だが……今や君は強くなり、誰かを守れる強さを身に付けた。だから今度は……君が周囲の人に教え、守り、助ける番なんだよ。まあ、まだ君は守れられる側でもあるがね」

 

「僕が、教える側……」

 

「君に期待しているのは、英国の魔法使い達だけじゃない。護廷十三隊の隊長の中にも、見処があると言ってる人がいるんだ。あの人達からそんな評価を貰う奴……なかなか居ないんだよ?」

 

「日本の人達も、僕に?」

 

「ああ」

 

「……」

 

「俺としても……そろそろ、背中を預けるに相応しい英国の魔法使いが欲しいと思っていたんだ。君は……俺の、護廷十三隊三番隊隊長、刀原将平が背中を預けるに足る魔法使いに成ってくれるのかな?」

 

「……なる!」

 

「そうか。じゃあ、期待してるよ……ハリー」

 

刀原はそう言ってベッドへと向かう。

 

そして残されたハリーの目に迷いは、もう無かった。

 

 

 

 

 

 

 

ホグズミード行きの日。

 

ハリーや刀原達の姿は『ホッグズ・ヘッド』と言うちょっと胡散臭いパブにあった。

 

「注文は?」

 

「あ、バタービールを五本お願いします……」

 

どことなく不機嫌そうなバーテンに、ハーマイオニーはそう注文する。

 

ハーマイオニーは心ある同志達(アンチアンブリッジ)に『ホッグズ・ヘッド』に集まる様に言っているらしく、刀原達も護衛対象がいることを良いことに、参加したのだった。

 

注文をしたハリー達は、カウンターから一番離れたテーブルに座る。

 

しかし、刀原はバーテンがどこかで見た事のある顔なのに気づいた為に、カウンターへと座る。

 

「……なんだ?」

 

刀原がじっと見ている事に気づいたバーテンが、不機嫌そうに聞いてくる。

 

「……いや……見知った顔だな……と」

 

刀原はバーテンに手をあげて謝罪しながらそう言う。

 

長い白髪に蓄えた顎ひげ、痩せて背が高い。

もしや……。

 

「……間違っていたら申し訳ないが、もしかして……アルバス・ダンブルドア校長の弟、アバーフォース・ダンブルドア殿か?」

 

そう刀原が問うと、バーテンは苦い顔をする。

 

「……ああ、そうだ。そう言うお前はトーハラだな?噂は聞いていた」

 

「噂……?」

 

刀原はそう言って疑問に思う。

あまりホグズミードで噂が立つようなマネは、特にしていない筈だと思っていたからだ。

 

「優秀だとな、アルバスに聞いた」

 

アバーフォースはそう言う。

 

ーーーーーーーーー

 

「ショウと言う日本の少年が優秀での……」

 

ーーーーーーーーー

 

茶飲み友達であるダンブルドアが、そうアバーフォースに自慢している様子が簡単に想像でき、刀原は苦笑いする。

 

「今日はゾロゾロとどうした?ポッターを連れて、こんなパブで……」

 

「そのハリーが仲間と一緒に行動を起こすらしいので、その監督と護衛です」

 

アバーフォースが不思議そうに言ったので、刀原はそうあっけらかんと返す。

 

「行動だと?」

 

「今に分かりますよ……。ああ、バタービールを三十本ほど準備しておいたほうが良いです。そのくらいは来るはずですからね」

 

刀原がそう言うとアバーフォースは目を見開き「それは……大急ぎで用意した方がいいな」と言ってカウンターに引っ込んだ。

 

「……バーテンと知り合いなの?」

 

アバーフォースとのやり取りを終えてやって来た刀原に、ハリーは不思議そうにそう聞く。

 

「いや、大勢が来るかもと言ってきただけだ」

 

刀原はそうさらりと返す。

 

「ほんの数人よ」

 

先ほどからチラチラと心配そうにドアを見ていたハーマイオニーは、時計を確かめながらそう言う。

 

「さて……それはどうかねぇ?」

 

刀原がそう言った直後、その言葉が事実であることを示すかのように、大勢の生徒達がやって来る。

 

先頭にネビル、続いてディーンとラベンダー。

直ぐ後ろにパーバティ、パドマ・パチルの双子。

 

チョウとセドリック。

 

昨年に知り合ったルーナ・ラブグッド。

 

その他にケイティ、アリシア、アンジェリーナのグリフィンドールのクィディッチメンバー。

 

ハンナ・アボット、アーニー・マクミランを含む四人のハッフルパフ生。

 

アンソニー・ゴールドスタイン、マイケル・コーナーを含む四人のレイブンクロー生。

 

最後の方にジニー、フレッド・ジョージ、リー・ジョーダンの四人。

 

 

 

そして……。

 

 

 

「なんだ、意外そうな顔だな?ポッター」

 

マルフォイ、ダフネ・グリーングラスとその妹とおぼしき女子生徒の三名。

 

刀原は目の奥で確かな覚悟を宿しているマルフォイを見て、満足げに頷いていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

ハリーがホッグズ・ヘッドで集会をする数日前。

 

刀原とマルフォイは、密かに接触していた。

 

実は……マルフォイとは今年度が始まって以降、ロクに会話もしておらず疎遠だった。

 

それは、刀原の立場が留学生から護廷十三隊の隊長へと変わった様に、マルフォイも死喰い人の息子へと立場が変わったからであり、言わば敵同士の関係になったからである。

 

「そうか、やはり日本は英国入りに乗り気か」

 

マルフォイは腕を組ながらそう言った。

 

それはマルフォイが会って早々に「日本の対応はどんな感じだ?」と聞いてきたため、刀原はありのままを伝えたからだ。

 

因みに……既に刀原は「この事は伝えて良いぞ」と言っており、マルフォイはしっかりと父親に言うつもりだった。

 

「ああ、悪いことは言わん。こちら側に来い……。俺個人としては、お前を斬りたくない」

 

「僕も、君と戦うなんてゴメンだね」

 

「なら……」

 

「問題は父上だ。闇の帝王と深く繋がっている。止められないんだ……。どうすれば良い……?」

 

マルフォイは懇願する様に言う。

 

「二重スパイ……とか?……とにかく、日本と米国は英国介入に意欲的だ。ファッジが陥落すれば、それが早まるだけって伝えとけ。それと……これをお前さんの父親に渡してくれ」

 

刀原はそう言って、袖から手紙を出して見せる。

 

「寝返った時の保証。特に、お前も含めた家族の保護を確約する内容が書かれてる」

 

「トーハラ……。ありがとう」

 

「おっと、これを渡すのは……お前が俺の要望に答えると誓った時だ」

 

刀原はそう言って手紙を袖に戻す。

 

「よ、要望……?」

 

マルフォイは何を言われるのかと、たじろぐ。

 

「ああ、ーーーーーーーーー」

 

刀原はそう言って黒い笑みを浮かべる。

 

「ーーーーーーーー?……よし……分かった……」

 

マルフォイは刀原の要望に青くなったり呆れたりしていたが、やがてしっかりと頷く。

 

「よし。では契約成立だ」

 

刀原はにこやかにそう言った。

 

「ところで……そちらでのアンブリッジの評判はどうだ?毛嫌いされているか?」

 

「悪いな、すこぶる悪い。僕らをお子様扱いして……馬鹿にしてる。虫酸が走るし、貴族らしくない。僕もあの女は大嫌いだ」

 

「やっぱりか……。チョウ(レイブンクロー)セドリック(ハッフルパフ)も同じ評価だった。あの様な手合いが嫌われるのは万国共通だな」

 

「だろうな」

 

ーーーーーーーーー

 

「ポッター。今、僕は複雑な立場にいる。だから、怪しむなら怪しめば良い。僕はただ『ノブレス・オブリージュ』を守る為に力を付ける。そして、スリザリンに害しかないあの(カエル)を追い出す。その為に学ぶ。それだけだ」

 

流石にマルフォイが来ることを全く予測していなかったハリーやハーマイオニーに、マルフォイはそう言った。

 

「……信じて良いんだな?マルフォイ」

 

「いや、信じるな」

 

ハリーはそう真面目に聞き、マルフォイも真面目にそう答える。

 

「は?」

 

ハリーはマルフォイのこの答えを想定しておらず、思わず驚愕した顔をする。

 

「僕の行動理由はただ一つ、そこにいる日本の死神に敵対したくない。そして……僕の行動の事情や理由は、全部あいつが知っている」

 

マルフォイはそう言って刀原を指し示す。

指し示めされた刀原は、二人にふりふりと手を振る。

 

「信じるならあいつを信じろ」

 

マルフォイの言葉にハリーは苦笑いしながら頷いた。

 

 

 

 

 

かくして……。

 

 

 

 

グリフィンドール。

 

ハッフルパフ。

 

レイブンクロー。

 

スリザリン。

 

共通の敵を得た四つの寮は、垣根を越えて手を結び、共闘体制に入った。

 

「えー……それでは……『闇の魔術に対する防衛術』を自習する為の会合を……始めます」

 

たどたどしくハーマイオニーがそう言う。

 

「これで良かったんですよね?」

 

「ああ、これで局面が動く」

 

端で見ていた雀部と刀原は、そう言い合う。

 

「動けないなら、動かすまで……泣き寝入りなどせん。反撃開始といこうじゃないの」

 

ニヤッと刀原はそう嗤った。

 

 

 

 

 

 

 

*1

アンブリッジを監視する為もあって、刀原は丸一日ハリー達に同行していたのだ。

 

そして当然、アンブリッジの活躍(視察)も見ていた訳で……。

 

刀原が拳をワナワナと震わせ、何度も腰にある刀の柄に手を伸ばそうとしていたのを、ハリー達は見ていた。

 





信じてくれるな

忘れてくれるな

迷ってくれるな

僕は君の敵だ

僕は君を

多分……後で裏切るんだ。



行動を起こし始めるハリーやハーマイオニー。

何かを決意するマルフォイ。

黒い笑みを浮かべる刀原。

ガマガエルを退治する為に、全員が動き出します。


頑張れガマガエル。
真の敵はやベー奴だゾ☆

でも、もし彼の最愛の人に手を出したら……物理的に文字通り、消されちゃうゾ☆


あ、千年決戦編で公開された初代護廷十三隊の隊長達、マジカッケーです。

あと、卯ノ花さん……怖いです。
更木戦が楽しみですね。



では次回は

教育令二十四号とDA

次回もお楽しみに。



アンブリッジの末路。どうしましょうか……?必ずしも反映するわけではないのですが……宜しければお答えください。

  • 1『問答無用!』物理的に抹殺ルート
  • 2『人生終了宣言 』社会的に抹殺ルート
  • 3『我らは慈悲深い』救済ルート
  • 4『原作通りに……』原作追随ルート
  • 5『容赦無し!』社会的+物理的抹殺ルート
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