ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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見えぬものだから

人は恐れ、怯え、希望すら見出す

慈悲か、酷かは死者が決めよ

我ら生者は歩き続ける

今わの際で後悔せぬように。








死神、有言実行する。今世紀最強と予言

 

 

小柄な死喰い人が一心不乱に逃げ惑う。

 

余り体力が無いのか、ゼイゼイと息を吐いているが、それでもその足を止める事は無かった。

 

そんな男をハリーは全力で追いかけた。

 

そしてハリーは、目の前で懸命に走る男に見覚えがあった。

 

まさか……こいつは……!

 

やがて男とハリーは『アトリウム』までやって来る。

 

「『インベディメンタ(妨害せよ)!』」

 

ここまで来て逃げられるわけにはいかないと思い、焦ったハリーが『妨害呪文』を男に打ち込む。

 

呪文はがら空きの背中に命中し、男は盛大に転倒してしまう。

 

吹き飛ぶ予言。

 

それをあらかじめ予測していたハリーは、それを何とかキャッチし、確かにポケットへ入れる事に成功した。

 

ハリーは予想以上に上手くいった為にニヤリと笑い、男の方へと向き直る。

 

男は床に四つん這いになりながら、それでも醜く予言を探していた。

 

ハリーはそれに既視感を覚えた。

 

「まさかお前……ペディグリューか!?」

 

「……」

 

ハリーの指摘に男はビクッと動きが止まり、バツが悪そうに俯いた。

 

正解だったのだ。

 

ハリーは自分の指摘が正しいと分かった瞬間、怒りで目の前が真っ白になったような感じに陥った。

 

一昨年に僕がこいつを助けたのは、あくまでシリウス達が犯罪者になって欲しくなかっただけだった。

 

いわばこいつは、僕に命の借りがあるはずだ。

 

なのに……こいつはヴォルデモートを復活させるだけでは飽き足らず、予言という武器をヴォルデモートに捧げようとしていたのか。

 

両親の敵、こいつが居なければ……!

 

ハリーの心の中で、どす黒い復讐の心が宿る。

 

一方、ペディグリューはキョロキョロと周囲を見ていた。

 

床には何もない。

 

目的の物。

予言はどこだ?

 

ペディグリューはハリーを観察する。

 

そして見つけた。

 

ハリーのポケットの膨らみ、予言の場所を。

 

ペディグリューは耳を覆いたくなるほどの醜い奇声を上げ、ハリーへ迫った。

 

怒りでそれを察知するのが遅れたハリーは、ペティグリューの突進に堪え切れず倒れ込んでしまう。

 

そして……倒れた時に鳴った、パリンという音。

 

それに気が付かず、床の上で暴れまわる二人。

 

傍から見れば……小柄で小太りで後頭部が禿げてる男が、今だ少年の面影を残す青年に上から襲い掛かっている、という明らかに『事案』な場面だった。

 

そのうちハリーはペディグリューの目的がポケットの中にある予言だと分かり、奪われない様に必死で抵抗してペディグリューを蹴り飛ばすことに成功する。

 

立ち上がったハリーは、さらに怒りを募らせる。

 

なんと生き汚い男だろうか。

 

『本気にならなければ効かぬぞハリー?両親の仇、敵も同然の男だ……。お前には敵討ちの権利がある……!そうは思わないか?』

 

囁くような声がハリーの耳に入る。

 

そうだ、僕は……!

 

しかし、ここでふと我に返る。

 

この声の主は誰だ。

 

そして感じる、濃い死の気配。

 

ハリーは徐に振り向く。

 

「ほう、気付いたか」

 

恐ろしい蛇の様な顔は蒼白で、縦に裂けたような真っ赤な瞳孔がこちらを見ている。

 

ヴォルデモート郷がホールの真ん中に立ち、杖をこちらに向けていた。

 

「予言はどうした?」

 

ヴォルデモートの冷たさを感じる指摘に、ハッとなったハリーは急いでポケットの中を探る。

 

ここでハリーはようやく、切り札である筈の予言が砕け散っていたことに気が付いた。

 

そしてハリーがポケットをひっくり返すと、細かくなったガラスの破片がパラパラと床に落ちた。

 

「……何か月もの準備、苦労が徒労に帰すとは……我が死喰い人は情けない。そうは思わないか?」

 

その光景を見たヴォルデモートは、全てを察したようにそう言った。

 

刀原がここに居れば「全くもってそう思う」と頷いていただろうが、ハリーにはそんな余裕は無かった。

 

「さて、俺様がわざわざ此処まで来たにも関わらず、何も得られないまま帰るのは余りにも空しい。そこで、ポッター。お前の死を手土産としようではないか。『アバダ・ケダブラ(息絶えよ)』!」

 

ヴォルデモートの死の呪文に対し、ハリーは抵抗の為に口を開くことさえ出来なかった。

 

頭が真っ白になっていたからだ。

 

ところが、ハリーに呪文は当たらなかった。

 

アトリウムにあった黄金の魔法使い像が突如立ち上がり、台座から飛び降りてハリーを守ったからだ。

 

「なんと……ダンブルドアか!」

 

一瞬だけ目を見開いたヴォルデモートが周囲を見回し、そう言った。

 

ダンブルドアが、金色のゲートの前に立っていたのだ。

 

ヴォルデモートは即座に杖を上げ、緑色の閃光をダンブルドアに打ち込んだ。

 

ダンブルドアはくるりとその場所で一回転し、姿をくらます。

 

そしてヴォルデモートの背後に現れ、呪文を放った。

 

ヴォルデモートも姿をくらまし、噴水の脇に現れる。

 

「今宵、ここに現れたのは愚かじゃったなトム。じきに闇払いや仲間たちがやって来る」

 

「その前に俺様は居なくなる。そして貴様は……死んでおるわ!」

 

ダンブルドアから発せられる呪文はとても強く、毛が逆立つのをハリーは感じていた。

 

さすがのヴォルデモートも、その呪文を逸らすの空中から銀色の盾を取り出さなくてはならないほどだった。

 

その銀色の盾はゴングを鳴らしたかのように低い音を鳴らしたが、目に見える損傷は無かった。

 

「ダンブルドア、俺様を殺そうとはしないのか?そのような野蛮な行為は相応しくないと?」

 

「確かにお前の命を奪うだけでは……わしは満足せぬだろうが。それでもわしは、この一点においては……甘い人間でありたい」

 

「死よりも酷な事は無いぞダンブルドア」

 

「おまえは大いに間違っておる。死よりも酷いこともあると理解できんのが、昔からの弱点よの」

 

ダンブルドアとヴォルデモートの問答は平行線で分かり合えそうになかった。

 

「そうか、では間違っていると証明してみよ!」

 

ヴォルデモートはそう言ってハリーの方へ呪文を飛ばした。

 

ハリーは、まさか自分が狙われるとは思っておらず、それに反応することが出来なかった。

 

だがハリーは再び同じ人に救われることになる。

 

「縛道の八十一『断空』」

 

目の前に半透明の板が現れ、ハリーの身を守ってくれたのだ。

 

「死は時として救いとなる、って言葉。ご存知か?ヴォルデモート卿」

 

そして、そう言いながらハリーの目の前に現れたのは、刀原だった。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は……!」

 

「やあどうもこんばんは。会えて全く嬉しくないよ、頭のイカれた魔法使い殿。ここは君がいて良い場所じゃない、さっさとご退場願おうか」

 

苦々しい顔と共にそう言ったヴォルデモートの言葉に、刀原は相変わらずの感じでそう言った。

 

そしてハリーの周りに結界を張ると、刀を抜きながらダンブルドアの横に並び立った。

 

「今世紀最強の魔法使いには野暮かもしれませんが……助太刀致します」

 

「すまないのショウ」

 

そう言った刀原にダンブルドアは感謝するように言い、二人はヴォルデモートの方を向いた。

 

「……よかろう。二人共々、ここで始末してくれるわ!『アバダ・ケダブラ(息絶えよ)』!」

 

ヴォルデモートは激高するように言って、ダンブルドアに向けて緑の閃光を放つ。

 

「神殲斬刀!」

 

刀原は始解し、緑の閃光を斬り裂いて防ぎ、返す刀で飛ぶ斬撃を放つ。

 

ヴォルデモートは盾を残して姿をくらまし、それを躱す。

 

そして残された銀色の盾は、先ほどダンブルドアの呪文を防ぎ切った時とは違ってバッサリと斬り裂かれ、ヴォルデモートがそこにいた時の末路が容易に想像出来た。

 

 

 

刀原とダンブルドアのペアは、ヴォルデモートにとって厄介極まりないペアだった。

 

死の呪文をあっさりと斬り裂いて防ぎ、隙を見てはおそらく防御不可能の斬撃を飛ばす刀原。

 

そんな刀原が呪文を防いでくれるため、防御の事を一切気にすることなく強烈な呪文や変幻自在の呪文を使うダンブルドア。

 

注意を引く為ハリーの方へ呪文を飛ばそうとしても……そんな暇さえ得られず、たとえ成功しても先ほどの様に防がれることは明白。

 

そのハリーは「一歩たりとも、そこから動くんじゃねぇ!」という刀原の怒号を忠実に守っている。

 

一方の刀原とダンブルドアのペアも、ヴォルデモートの予想以上の粘りと強さに驚いていた。

 

尤も、刀原の方は卍解や九十番台、八十番台の鬼道が使用できないという制約がある為、仕方がないと言えばそうなのだが……。

 

ダンブルドアの呪文が殺傷力がそんなに高くないのも、致命打を与えられない所以だった。

 

「縛道の六十三『鎖条鎖縛』!」

 

しかし刀原が隙を見て放った太い鎖が、まるで蛇のようにヴォルデモートの体に巻き付いて動きを止めさせ、直後にダンブルドアが長く流れるような動きで杖を振り、泉の水を繭のようにヴォルデモートを包み込ませた。

 

わずかとは言えない間、ヴォルデモートは拘束されながらもなんとかしようと藻掻いて、さざ波ように揺れる顔のようにぼんやりとした影となり、水の繭は少し浮いて揺らめいている。

 

ダンブルドアはかなりの霊力(魔力)でもってそれを維持していた。

 

「君臨者よ・血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ・蒼火の壁に双蓮を刻む・大火の淵を遠天にて待つ」

 

そして好機と見た刀原が詠唱を開始する。

 

心情的には『黒棺』の一発ぐらいは食らわせてやりたいが、駄目と言われているので仕方がない。

 

「破道の七十三『双蓮蒼火墜』!」

 

刀原が放った蒼い炎は、ヴォルデモートがいる水の繭に着弾し、爆発した。

 

勝ったとハリーは思った。

 

水の繭は形を維持出来ずに凄まじい音と共に床へと落ちたが、中に居たヴォルデモートは焼き焦げていながらも健在であった。

 

直後、ヴォルデモートは特に疲弊している様子のダンブルドアに向けて、黒い魔力の奔流をぶつけようと杖を振った。

 

刀原はそれを見て直ぐにダンブルドアの前に立ち、刀で防ぐ。

 

だが、それはブラフだった。

 

ヴォルデモートは魔力の奔流を出しながらも、両手の中で空気を圧縮していたのだ。

 

そして今までのお返しとばかりに、叫び声をあげながらヴォルデモートはそれを炸裂させた。

 

圧縮されていた空気は開放され、強力な衝撃波となって刀原とダンブルドアに襲いかかる。

 

「どわっ!?」

 

前にいた刀原は直撃を受け、後ろに倒れ込むしかなかった。

 

それでも刀原が庇う形になり、ダンブルドアにはあまりダメージにならなかった。

 

周囲のガラスはあっけなく砕け散り、盛大な音と共に落ちる。

 

そして炸裂させた時に両手を上に掲げていたヴォルデモートが両手を重ねると、砕け落ちた大量のガラスが二人に襲い掛かってくる。

 

だが刀原と入れ替わる形で前に出たダンブルドアが半透明の盾を作り、ガラス片を白い砂に変えることでそれを防いだのだった。

 

 

 

ダンブルドアがヴォルデモートを見据える。

 

少し疲弊している様子だが、それでもまだまだ戦える状態だった。

 

刀原も立ち上がり、ヴォルデモートを睨む。

 

「あたたた……」と言いながらも、疲弊している様子は全く見られない。

 

そして、ヴォルデモートも二人を睨んでいた。

 

だが三人の中で一番疲弊しており……特に余裕が感じられる刀原を、苦々しそうに睨んでいた。

 

アトリウムは酷い有様で、滅茶苦茶だった。

 

「老いぼれてもなお、油断ならぬな?ダンブルドア。それに日本の死神、貴様も厄介極まりない……」

 

ヴォルデモートは苦々しい顔でそう言った。

 

「ダンブルドア、これ以上長引かせるのは得策ではないでしょう。……少し、本気を出します」

 

刀原は決断するように言った。

 

「あれを、するのかね?」

 

ダンブルドアが言った疑問に刀原は頷く。

 

「ほう。本気と来たか」

 

ヴォルデモートは笑いながら言う。

 

そこに余裕はなさそうだったが。

 

「ええ、怒られますが……まあ……相手が相手ですし?貴方のせいにすれば良いでしょう」

 

刀原はそう言ってダンブルドアの前に立つ。

 

「行きますよ?卍解…」

 

刀原はそこまで言って止まった。

 

何故なら、アトリウムの近くにある暖炉にエメラルド色の炎が次々と灯り、大勢の人がやって来たからだ。

 

先頭は、唖然とした様子のコーネリウス・ファッジ。

 

魔法省の役人が事態を聞いてやって来たのだ

 

「ッ」

 

ヴォルデモートは舌打ちし、直ぐに姿くらましして逃げ去った。

 

「やれやれ」

 

刀原はどこかホッとした様子で始解を解き、刀を鞘に納めた。

 

「……戻って来た。『例のあの人』が……戻って来た」

 

ファッジは呆然としながら、そう噛み締めるように言った。

 

「ここで、あろうことか……ここで!だ、ダンブルドア。と、トーハラ殿。な、え、ど、どう、して」

 

しどろもどろになりながら、ファッジはそう言った。

 

闇祓い達はどうするのかとキョロキョロと見渡し、ファッジの下知を待っている様子だった。

 

「君はその目で、わしやハリーが一年間言ってきたことが真実だと分かった筈じゃ。そろそろ現実を見るときじゃ!」

 

ダンブルドアはそう宣言するように言った。

 

ファッジは誤魔化すようにアトリウムの惨状を見て、ダンブルドアをチラリと見て顔を背け、刀原のいつもの笑み(誤魔化すんじゃねぇぞ?)を見て、項垂れた。

 

自分の目で見てしまい、周りの人間も見てしまい、他国の重鎮(刀原)も見てしまっている*1以上、これ以上の誤魔化しは出来ないと判断したからだった。

 

そして翌日、日刊預言者新聞の大見出しに『名前を呼んではいけない例のあの人、復活す』が載った。

 

 

 

 

 

 

 

『魔法省のアトリウム』や『神秘部の予言の間(雀部対ウルキオラ)』などは、滅茶苦茶にもほどがある被害となっており……完全復旧にどれだけの時間と労力と金が要るのか分からなかった。

 

とはいえ……死喰い人の多くが捕縛され、要注意人物であったベラトリックスの死亡も確認されたことは、今後の趨勢に大きな影響を与えられるだろう。

 

そんな中、事後処理などを魔法省の役人と不死鳥の騎士団に任せたハリー達は、ダンブルドアとホグワーツに戻ることとなった。

 

「君の学友じゃが……今宵の戦いでいつまでも残るような障害を負った者はおらん。まあ、明日や明後日まで医務室でお世話になる者はおるじゃろうがの」

 

校長室にてそう言ったダンブルドアに、ハリーは「良かった」と返そうとしたが、声が出せなかった。

 

誰一人も死者が出なかったとはいえ、自らが招いた事をようやく実感してきたからだった。

 

「……ショウ達は大丈夫でしたか?」

 

ハリーの呟きにダンブルドアはにっこりと笑い「大丈夫じゃよ」と言った。

 

刀原達はハリー達と一緒には戻らず、報告があるからと残ったのだ。

 

すると丁度そのタイミングで校長室の暖炉が灯り、刀原と雀部の二人がやって来た。

 

「ああ、ダンブルドア。破面出現の報を受け、来年度の派遣人員を大幅に増やしますが……問題無いですか?」

 

やって来て早々にそう言った刀原に、ダンブルドアは了承の意を込めて頷く。

 

「ではそのように。じゃあ雷華は戻っていいよ、疲れたでしょ?」

 

「じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうね。じゃあねハリー、お説教頑張って」

 

そして刀原がそう言えば、雀部はニッコリ笑って校長室を出て行った。

 

「騒がしくなりますよダンブルドア」

 

刀原はハリーの方を見ず、ダンブルドアにそう聞いた。

 

「それは構わぬが、此度の一件は儂にも責はある。お手柔らかにの」

 

ダンブルドアの懇願するように言った言葉に、刀原は全く当てにならない「善処します」とだけ言い、ハリーを見据えた。

 

ここで、ハリーは今夜の件が始まってから初めて、刀原をまじまじと見つめた。

 

そこには、怒り、呆れ、心配、安心などがあった。

 

「まず、言うべきことがあるんじゃないかな?我らが親愛なるハリー・ポッター君よ」

 

いつもの笑みすら浮かべず、無表情で腕を組みながらそう言った刀原に、ハリーはヴォルデモート以上の恐怖を感じた。

 

「……ご、ごめんなさい」

 

あ?

 

ハリーは緊張と恐怖のあまり、正座をしながらそうボソッと言ってしまう。

 

しかし、それを許す刀原はではなく……ドスの効いた声で即座にそう聞き返した。

 

「ごめんなさい!」

 

「よろしい」

 

そして今度は叫ぶように言えたハリーに、刀原は頷きながらそう言った。

 

「まあ、色々と言いてぇ事はあるよ。良く考えなかったのか?とか。別に不死鳥の騎士団以外の人……それこそ、残ってる教授達に知らせるべきだったとか。俺の忠告はどうしたのかとかな。だが、一言で済ますのなら……この、大馬鹿者が!!

 

刀原から発せられる怒気は以前ハリーが起こられた時*2よりも凄まじく、校長室にあるいくつかの道具にヒビが入るほどだった。

 

その道具たちの持ち主であるダンブルドアが、少なくとも「あっ(こ、壊れた……)」と言ったのをハリーは確かに聞いた。

 

尤も、そんなことに構っている暇も隙も、度胸も無かったが。

 

「俺も言えた義理じゃねぇがな。今回、お前が迂闊な行為をしたせいで、どれだけ多くの人に迷惑かけたか、心配させたか。分かってるよな?」

 

その言葉に、ハリーは俯いて「……はい」としか言えなかった。

 

「俺は言っていたよな?ヴォルデモートがお前との繋がりを利用して、お前を誘い出すかもしれないと。言っていたよな?言っていたはずだ!!

 

ハリーは頷く。

 

確かにショウはそう言っていた。

毎回閉心術の授業をする度に、言い聞かせるように。

 

なのに、僕は……のこのこと、あそこに誘いこまれてしまった。

 

「ハーマイオニー達が、お前が、死んでいたかもしれないんだぞ?シリウスやリーマスを始めとした不死鳥の騎士団のメンバーだって、死人が出ていたかもしれない。その時……誰が一番悲しむか、後悔の念を持つか。それはお前だよハリー」

 

ハリーは頷く。

 

事実、シリウスには死の呪文が命中しそうになったし、ハーマイオニー達だって少なくない傷を負った。

 

今回の戦いを無傷で切り抜けたのは、ダンブルドアと刀原と雀部しかいない。

 

「ハリー。君が死ねば、大勢の人が悲しむ。後悔する。もう、こんな真似はするな……。お願いだ」

 

刀原は悲しげな顔でそう言った。

 

ハリーは……その顔を幼い頃の刀原もしていたと、ここでようやく気がついた。

 

「ごめんなさい……」

 

改めて実感したハリーが、頭を下げて謝る。

 

すると刀原は腕を解き、ハリーの頭をくしゃくしゃと撫でた。

 

「まあ、とりあえず……良く頑張った。良く戦った。良くみんなを守った。と、褒めてもやるよ」

 

それはまるで『全く、手のかかる弟だなぁ』と言う兄のようだった。

 

「但し、二度とすんな。いいな?」

 

そしてそう言ってハリーの額にデコピンした。

 

めっちゃ痛かった。

 

 

 

 

 

刀原のお説教が終わり、ハリーは改めてダンブルドアから全てを聞くことになった。

 

窓の外は完全に朝となっていたが、ハリーはここで聞かねばずっと聞けない思い、ダンブルドアに説明を求めたのだ。

 

「十五年前。赤ん坊の君の額の傷跡を見た後、わしはそれが何を意味するのかを推察した。君とヴォルデモートとの間に結ばれた絆の印じゃと思い、そして……それは正しかった」

 

ダンブルドアの言葉に刀原とハリーは頷く。

 

「わしが君に『閉心術』を教えなかった理由は、まさにそれが理由じゃ。あやつが君を乗っ取っとって、スパイや殺害をさせようとするかもしれんと思ったのじゃ。そしてショウはわしの意を組み、君とセブルスの関係を鑑み、「自分が教える」と名乗り出てくれた。そしてわしはその提案に賛同した。そこには……もし君がヴォルデモートに完全に乗っ取られた場合、ショウなら『()()()()()()()()()という方法以外を採れる』との期待もあったからじゃが」

 

そう聞いたハリーは刀原を見る。

 

見られた刀原は頷く。

 

「君は努力した……それはわしも認める。ショウの教えも良かった。悪いのはわしじゃ。君とヴォルデモートとの繋がりの深さを見誤った。じゃが、これだけは言わせてほしい。わしにとっての最優先課題は、『君を生き延びらせること』じゃった」

 

ダンブルドアはそう言って長く息を吐いた。

 

「今宵失われた予言は、君とヴォルデモートとの関係の全てが詰まっていったのじゃ。何故と……疑問に思うじゃろう?何故、君は『生き残った男の子』になったのかを。このような過酷な目に合わなくてはならないといけないのだろうと……」

 

そして意を決したようにそう言った。

 

ハリーは息をのみ、刀原は答え合わせが出来ると思っていた。

 

「遂にその時が来たようじゃな。五年前に話すべきじゃった事、全てを。話すとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
おまけに、おそらく交戦している

*2
明確に怒られるのは二年生の時に、自動車で登校して以来となる






ようやく、はっきりと
真実を知るときが来たのじゃ

背けるでない
逃げるでない

酷なそれから。



原作では参戦していないペディグリューですが、ここで大抜擢です。

ちなみに彼は、刀原・ダンブルドア対ヴォルデモートの戦いが始まった直後に、鼠になって逃げました。


刀原が卍解すれば……ヴォルデモートもただでは済まされません。

ただ……まだ箱が健在なので、ここで斬り捨てると色んな意味で面倒くさくなります。

またヴォルデモートは、ダンブルドアに対してはあのように言ってますが、刀原には言えません。

理由は単純、言われるまでもなく容赦なく殺しに来てるからですね。

流石は薩摩ホグワーツの生徒……じゃない、護廷十三隊の隊長ですね。


感想、ご意見、ご質問、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。


では次回は

死神と不死鳥の騎士団編 決着と終幕

次回もお楽しみに。




おまけ

『遣英救援部隊 部隊心得』

1、英国魔法省内及びホグワーツ城内での卍解禁止。

2、出向者、英国魔法省関係者に対し報復、抹殺等をする為の、卍解禁止。

3、戦闘以外の面倒事を解決する為の、卍解禁止。

4、戦闘以外の威嚇、見せびらかし、誤魔化す為の、卍解禁止。

5、邪魔な障害物を破壊する為の、卍解禁止

6、訓練時の、卍解禁止

7、お仕置き、脅しの為の、卍解禁止

8、1から7は卍解禁止だけじゃったが九十、八十番台の鬼道禁止も加える。

9、断空だけは許可しよう。

10、黒棺は威力を抑えれば……確かにこんぱくとじゃが……やはり駄目じゃ。

11、一応言っておくがの……ホグワーツ城内とは中庭や禁じられた森も含むのでな。

12、「「ええ~」」ではない、お主らが卍解したら周囲がえらいことになるじゃろうが。

13、面倒事を解決する時は、脳筋的ではなく、常識的に良く考えて行動せよ。

14、甘いのう、儂は対抗試合でお主らがどのような策を考えていたのかを知っておる。

15、聞いたぞ?迷路そのものを破壊する……お主らは何故その様な脳筋思考になったのじゃ?

16、儂を指差すでない、儂はもうちょっとすまーとにやるわい。

17、すまーとにやれば良いという訳ではないわ。

18、謀を巡らせているのは向こうも同じじゃ。その為、お主らも謀をして良い。

19、英国魔法省の謀は全て潰せ。

20、ダンブルドアの謀は……よく吟味して、潰して良さそうなものは潰せ。

21、出向者の抹殺は最終手段とし、かつバレないようにすれば良い。

22、出向者の企てに対しての妨害、論破等は大いにしても良いが……あまり外交問題に発展せぬ範囲でな。

23、訂正しよう、妨害に関しては大いにしてはならぬ。ささやかにせよ。

24、「「ええ~」」ではない。『ドアノブに永久粘着呪文』は、明らかにやりすぎじゃ。

25、寝ている間に部屋を地雷原にしたり、ぶーびーとらっぷを仕掛けるのはもっと駄目じゃ。

26、部屋の外に運んでやるのも駄目じゃ。

27、抹殺は最終手段と言ったであろうが。何故お主らは……そう、物騒なんじゃ?

28、儂を指差すでない。

29、あと、連絡は密にな。

30、最後に一言、良きに計らえ。

29、30以外破ったら……。
いろんな人の胃に穴が空きます。

ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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