ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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熱く、激しく

黄金に輝き、美しく

気高く、気品あるそれは

不埒者に裁きを下す

(あま)の使いのよう。












死神と謎のプリンス編『悪逆の箱』
死神、日本にて。会議と準備


 

 

《親愛なるハリーへ

 

 無事か?

 ご飯ちゃんと食べてるか?

 

 そちらが益々きな臭くなっていると聞いているし、報告も受け取っているよ。

 

 だから一度、英国に行くことになりそうだ。

 

 そっちの新大臣、スクリムジョール氏との会談や調整もしなくちゃいけないからね。

 

 もしかしたらその時会えるかもしれないから、期待しない程度に期待しておいてくれ。

 

 

 

 こちらの戦況はぼちぼちだ。

 

 向こうの主力は傭兵崩れの死神で、意外と面倒だけど……あんな奴らに負ける護廷十三隊じゃないからな。

 

 そこは安心してくれ。

 

 だけど、滅却師が厄介極まりないな。

 

 俺もベレニケとか言う、なんかごちゃごちゃと異議唱えてきた奴と戦ったよ。

 

 安心しろ、そいつは瞬殺した。

 

 だけど、蒼都って奴は難敵かもしれん。

 

 始解してないとはいえ、俺の斬魄刀で斬れないだなんて……ちょっと驚いたよ。

 

 まあ、こちらにも援軍の第一陣として米国から来た『石田雨竜』っていう日本人で正当な滅却師と、『バズビー』っていう赤いモヒカン男と『バンビエッタ・バスターバイン』っていう爆撃女がいるしね。

 

 ってか、滅却師って変人が多いのかな?

 

 バズビーは某世紀末のモヒカン(ヒャッハー!の奴)だし。

 

 石田って奴は真面目なんだけど、黒崎となんかよく揉めてるし。

 

 バンビエッタは高飛車だし。

 

 バンビエッタと雷華がマジ喧嘩したし。

 

 ……最終的に、バンビちゃんって呼んでるけど。

 

 何あいつら、世紀末じゃん。

 

 世紀末か、今年1997年だし。

 

 早く来てハッシュヴァルトさん、あいつらの統率執って。

 

 あと、噂なんだが……。

 

 向こうに怪物みたいな奴が……加わったんじゃないかって話だ。

 

 名前は……確か『更木』とか言う奴だ。

 

 

 

 話が逸れたけど……。

 

 とりあえず……気を付けろハリー。

 

 不死鳥の騎士団の主要メンバーに戦死者が居ないのは喜ばしいが、決して油断するな。

 

 今年もホグワーツ……いや、英国に派遣される部隊『遣英救援部隊』も相応の戦力で行く予定だ。

 

 ちなみに俺が部隊長になった、やったね。

 

 まあ、会えたらゆっくり話そう。

 

 

 ではな、ハリー。

 

 無事に夏を乗り越えてくれよ?

 

 

 君の友人 刀原将平》

 

 

 

 

刀原達が日本に帰国すれば、直ぐに隊首会が行われた。

 

そしてその会議では多くの情報が共有され、多くの議題が検討された。

 

まずヴォルデモートが正式に復活したことを受けての対応や、それに関連する各国との協議について。

 

日、米、仏、独の魔法界が共同声明を発表し、場合によっては闇祓い(討伐部隊)を派遣すること。

 

特に日本魔法省と米国魔法評議会(マクーザ)は、互いに連携を強めることを確認し合った。

 

次に破面について。

 

刀原が持ち帰った『十刃の中には穏健派がいて、それらはこちらとの和議を結んでも良いと考えてる』という情報は、二正面作戦をしている護廷十三隊にとって大きな情報となった。

 

勿論『叩き潰すのは当然(敵ならば斬れ、斬り捨てぃ!)』というのが護廷十三隊の姿勢なわけだが、それでも奴らが油断ならぬ(容易く倒せぬ)敵であることには変わりないため、『和議が結べるのであれば、結ぶのが良い』という結論となった。

 

次に『賊軍』との戦況について。

 

賊軍の主力が傭兵くずれの死神や魔法使いの為、護廷十三隊はそこまで苦戦して居なかった。

 

しかし、賊軍についている『星十字騎士団を追い出された過激派』の滅却師が中々の手練れであり、一部の者は隊長格レベルの強さを持つらしい。

 

刀原もその会議が終わった後『ベレニケ・ガブリエリ』とかいう滅却師と『蒼都』という滅却師と戦った。

 

ベレニケとかいう滅却師に関しては、刀原曰く「なんかいきなり自分の能力を悠長に説明してきたから、速攻で接近して首を刎ねた」とのことだ。

 

しかし蒼都に関しては、始解していないとはいえ刀原の斬魄刀(斬刀)の刃が通らないという、恐るべき硬さを持った敵だった。

 

尤も、その場はそれで終わりとなり、刀原の始解が通じないレベルの硬さかどうかは分からないままだが。

 

そして会議中に入った『更木』『班目』『綾瀬川』という新たな手練れの情報。

 

特に『更木』という敵は、戦った黒崎達曰く『あれはもう怪物』とのこと。

 

「今後も、油断禁物で当たれ!」

 

元柳斎のその下知を最後に、会議はひとまず終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

刀原達が帰国して二週間後、激化する賊軍との戦争に新たな援軍がやって来た。

 

米国に拠点を持つ星十字騎士団からの三名の援軍は、若い世代に移行しているという同騎士団の団長『ユーグラム・ハッシュヴァルト』の言う通り、若手のメンバーだった。

 

唯一の日本人で「僕は正統派の滅却師さ」と言った、知性に全振りしたハリーようなインテリ眼鏡。

『石田雨竜』

 

雀部が一目見て「ニワトリ?」と呟いた、赤い髪色をしたモヒカン。

『バザード・バズビー・ブラック』

 

ドヤ顔で挨拶した高飛車女。

『バンビエッタ・バスターバイン』

 

石田(インテリ眼鏡)は黒崎と井上が、バズビー(モヒカン)は阿散井と朽木ルキアが案内している。

 

そして残ったバンビエッタ(高飛車女)を刀原、雀部が案内していたのだが……。

 

「こんな子供まで隊長やってんだ?こっちも言えた義理じゃないけど、随分人手不足なんだね。護廷十三隊って」

 

バンビエッタは挑発するように、達者な日本語で刀原と雀部にそう言ったのだ。

 

「チェンジで」

 

刀原が思わずそう言ってしまうのも、無理もないだろう。

 

「はあ?どういうことそれ?わざわざ助けに来てやったっていうのに、失礼じゃない!?」

 

刀原の言葉にバンビエッタはそう噛みつく。

 

「刀原って言ったけ?あんた達はマシっぽいけど?金髪の女、あんたは本当に子供っぽいわよね」

 

そして、挑発するようにそう言った。

 

「私、十九歳ですけど?彼と同じで」

 

それを聞いた雀部は、ニッコリとしながらそう返す。

 

「ふ~ん、同い年(タメ)なんだ。でもパッとしないわよね?」

 

バンビエッタもそう言う。

 

「パッとしないのはそちらの方では?」

 

雀部も負けじとそう言う。

 

いつの間にか両者は詰め寄り、明らかにバチバチの関係になっている。

 

これが女の戦いって奴か。

 

刀原はめんどくさいという顔をしながら左右を見るが、残念ながら誰もいない(誰も助けてはくれない)

 

「彼氏とかいる?いなさそうだよねー」

 

「いますよ。そこに居るしょう君です」

 

「はぁ?彼が?……はっ、あんたには似合わないわよ。あたしが貰ってあげましょうか?」

 

「彼が首を縦に振るとは思えませんが」

 

二人の会話はどんどん不穏な空気になってきた。

 

「あたしはイルヴァーモーニー(米国の魔法魔術学校)を次席で卒業したわ!」

 

「そうですか。私はマホウトコロを三席で卒業しましたが、上の二人(刀原、日番谷)が同率だったから便宜上三席になっただけですね」

 

「なに、言い訳?見苦しいわよ?」

 

「私は事実を言ったまでですが?」

 

期せずして巻き込まれてしまった刀原は、この壮絶な女の戦い(マウントの取り合い)を見守るしかなかった。

 

二人はにらみ合う。

 

「こうなったら実力行使よ!あたしが勝ったら彼はあたしが貰うわよ!あんたは大人しく泣きべそかいてなさい!」

「かくなる上は、実力で分からせます。私が勝ったら貴女には土下座して貰います。そして米国に強制送還(返品)です!」

 

同時にそう言った二人。

 

「……」

「……」

 

一瞬の沈黙。

 

「上等よ、吠え面かかせてあげるわ!」

「上等です!返り討ちにしてあげましょう!」

 

そして二人は、また同時にそう言った。

 

こうして、二人はお互いの獲物を抜き放った。

 

 

 

 

 

 

爆音と雷鳴が響く。

 

当初は斬り合いだけだったのだが、剣技では雀部が圧倒的に勝っていたため、バンビエッタが霊子の爆弾を放ち始めたのだ。

 

そしてそれを躱した雀部も、始解したのだ。

 

始解の状態とはいえ、目の前の高飛車女の排除に本腰を入れた雀部は、落雷を操ってバンビエッタを寄せ付けなかった。

 

Fuck(くそ)!厄介ねこいつ!」

 

「この程度、しょう君や冬獅郎君なら、とっくに何とかしてますよ?」

 

始解状態の『雷霆』は卍解状態と違って落雷の威力や感覚が抑えられている。

 

二人はその隙を斬撃や氷で何とかしているのだ。

 

ちなみに、雀部の最終目標は……。

 

始解状態の『雷霆』で、祖父の雀部長次郎の卍解『黄煌厳霊離宮』を超えることらしい*1

 

「貴女ごときに遅れは取りません。私を舐めた代償は、貴女のその身で払ってもらいましょう」

 

いくら見た目が可愛くとも、争いごととは無縁な容姿をしていようとも……時には苛烈になり、冷徹にもなれる。

 

彼女も、実力第一主義の護廷十三隊(世界最強クラスの実力集団)の隊長なのだ。

 

縁故や贔屓で就任などしていない。

 

バンビエッタは心の中でそれを見誤っていたらしい。

 

「っち!しゃーないわね!」

 

舌打ちしたバンビエッタは、霊圧は膨れ上がらせる。

いよいよ本気で行くらしい。

 

「やべぇな、そろそろ止めるか」

 

気付いた刀原は、穏便に止めるために策を練り……そしてふと閃き、気配を消した。

 

「全力全開で行くわ!謝るなら今のうちよ!」

 

それに気付かないバンビエッタは頭に円盤、背中に翼を出現させる。

 

発動したのは、滅却師(星十字騎士団)の切り札。

 

滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)

 

「そちらがそうなら、こちらも本気で行きます」

 

それを見た雀部は霊圧を高める。

 

「卍解『大「もういいだろ?」~~ッ!?」

 

そして雀部が卍解をしようとした瞬間、背後から刀原が抱きしめたのだった。

 

 

 

良い策だったな。

……ちょっと恥ずかしいけど。

 

刀原はそう思っていた。

 

あそこまでヒートアップしてしまった以上、普通の制止では効果は得られないと考えたのだ。

 

そこで実行したのが、『背後から雀部(恋人)を抱きしめる』という案だった。

 

案は図に当たった。

 

雀部は顔を真っ赤にしながら止まり、霊圧は霧散したのだ。

 

バンビエッタもそれを見て止まった。

 

「両者、それまでだ。これ以上やると周囲の被害が許容を超える」

 

刀原は雀部を抱きしめながらそう言った。

 

「ひゃ、ひゃい……」

 

雀部は茹蛸状態となっており、たどたどしい声をあげながらコクリと頷いた。

 

しかし、バンビエッタは不服そうだった。

 

「ざっけんじゃないわよ!このまま引き下がるわけないでしょうが!」

 

そう言ったバンビエッタは高く跳躍し、翼を広げ、霊子の球体を出現させる。

 

「これでFinish(終わり)よ!」

 

そして高らかにそう言い放ち、手を二人の方へと向け、霊子の球体を打ち出した。

 

「やれやれ。しょうがないな」

 

刀原はそう吐き捨てて抜刀し、跳躍しながら打ち出された球体を剣圧で弾き飛ばした。

 

「噓でしょ!?」

 

バンビエッタは、己の攻撃が弾き飛ばされることなど全く想定しておらず、思わずそう驚く。

 

そしてその驚いている一瞬で、刀原が肉薄する。

 

「うぇ!?」

 

迫られたバンビエッタはそう情けない声を上げるが、直ぐにその場でくるりと回転し、姿を消す。

 

「お、惜しかったわね。でも残念。あたしは『姿くらまし』が出来るのよ」

 

内心ビビりながらも、それを隠すためにドヤ顔でそう言うバンビエッタ。

 

しかし、言い終わった瞬間。

 

チャキ……。

 

刀原の刀がバンビエッタの喉元に突き向けられた。

 

「ふぇ?」

 

間抜けな声をあげるバンビエッタ。

 

「ああ、その程度……読んでいたさ。イルヴァーモーニーを卒業しているのなら、回避のために『姿くらまし』ぐらい使えるだろうからな」

 

ニヤリと笑いながら刀原はそう言った。

 

「さて……そこまでだバンビエッタ・バスターバイン。これ以上やるなら……俺も参戦するぞ?」

 

いつもの笑みを浮かべ、そう通告する刀原。

 

「やめてくれるよな?」

 

「ひゃ、ひゃい。やめます」

 

バンビエッタは半泣きになりながらそう言った。

 

その後……雀部とバンビエッタは謝罪し合い、数時間後には何故か仲良くなっていた。

 

おそらく『中々の手練れ同士』であることを認め合ったからだろうだと、刀原は考えていた。

 

とにかく……勝ち気で何処と無くアホの子疑惑が浮上したバンビエッタと、引っ張る時もあるが基本的には物静かで真面目な雀部は、中々のコンビとなったのだった。

 

そして、最終的に刀原と雀部はバンビエッタを『バンビちゃん』と呼ぶようになった*2のだった。

 

 

 

 

 

 

日本で死神と滅却師との共闘が始まったころ、英国では政治闘争が一先ずの終結を迎えようとしていた。

 

日本から『名誉死喰い人(味方の振りをした敵)』とまで言われていた英国魔法省大臣、コーネリウス・ファッジの辞任だ。

 

英国魔法界全体が声高に辞任を要求していたからだ。

 

本人曰く、『自分の任期中に、英国魔法界がこれほど一致団結したことは無かった』とのことだが……。

 

かの無能と保身っぷりの影響(被害)をもろに受けたハリーや、無茶苦茶な要求や制限を受けた刀原から言わせれば、『どの面下げてそれを言えるんだ?(あ?当然の末路だろ?)』だった。

 

とにもかくにも。

 

英国魔法省が()()()()()()()()()()事は、ハリー達にとっても、刀原達(日本側)にとっても歓迎すべき事と言えた。

 

 

 

さて、今後の戦局を大きく左右することになるであろうファッジの後任は……誰も後釜になって死にたくないという思いが加わって、すんなりと決まった。

 

順当に行けば、英国魔法省法執行部の部長『アメリア・ボーンズ』が後任だったのだろうが……残念ながら彼女はヴォルデモートと戦い、死亡してしまった。

 

その為、後任には闇祓い局の元局長『ルーファス・スクリムジョール』が選ばれることとなった。

 

彼自体は……闇祓いとして魔法省に入って以降、そのキャリアを闇の陣営との戦闘に費やしてきた百戦錬磨の魔法使いとのことだ。

 

しかし、就任の数時間後に行われたダンブルドアとの会談では、どうやら亀裂が発生したらしい。

 

それに、彼は徹底した反ヴォルデモートの姿勢を貫く気骨ある人物……らしいのだが……どうにも彼は、『()()()()()()()()()()として優れているのでは?*3』と、刀原は思いつつあった。

 

とりあえず、そのダンブルドアとの亀裂の事、今後の見通しやこちらとの連携についてなど、面を合わせて話し合う必要があると刀原は判断していた。

 

と言う事は……。

 

また刀原による外交が行われるということだ。

 

 

 

 

 

 

 

その日、刀原は朝から忙しかった。

 

と言うか……刀原はここ最近、ずっと忙しかった。

 

英国魔法省での会談に向けて、集まった資料に目を通したり、資料をまとめたり、隊員たちに指示を出したり、日本に居るからとやって来る書類を捌かなくてはならないからだ。

 

当然、流石の刀原も疲れる訳で……。

 

「うわぁあああ!もう嫌だぁあああ!」

 

周りを山の様に積まれている書類や資料に囲まれつつ、刀原は未だ慣れない隊長の椅子に座りながら、机に突っ伏してそう叫んでいた。

 

「お強くなられても、ご立派になられても……こういうのは、まだまだの様ですな」

 

微笑みながらそう言った老人は、三番隊の副隊長『豊永康隆』

 

刀原の曾祖父に長年仕えてきた人物であり、刀原にとっては信頼のおける人であった。

 

「そう言わないでくれ爺や……じゃない、豊永副隊長。これでも頑張っているはずなんだ……。はあ、戦っていた方が良いだなんて思いたくないな……」

 

刀原は項垂れながらそう言う。

 

滅却師と戦った時の方がイキイキとしていたし、そっちの方が……個人的には性に合っていると分かってしまったのだ。

 

一応、これでも努力はしている方だ。

 

筆より羽ペンの方が使いやすいのでそうしているし、先日は浦原と組んで電話網を巡らせ、瀞霊廷に新たな改革(文明)をもたらした*4

 

まあ、だからこそ余計に忙しくなったのだが。

 

「ほっほっほ。あとひと踏ん張りですぞ若様」

 

頭から湯気を出している刀原に、豊永はそう言ってお茶を出す。

 

お坊ちゃま呼びこそ無くなったけど、若様呼びもそろそろやめて欲しいな……。

 

なんて思っていた矢先。

 

「失礼致します」

 

伝令役の者が駆け込んでくる。

 

緊急時にしか来ない伝令役に、刀原は目を細める。

 

これは……何かあったな。

 

「何があった」

 

刀原はそう聞く。

 

そう聞かれた伝令役は、淡々と伝えた。

 

「英国に派遣された、七番隊第四席『一貫坂慈楼坊』殿が戦死いたしました」

 

「なに!?」

 

「至急、一番隊隊舎にお急ぎください」

 

「分かった。急ぎ向かいます」

 

刀原はそう伝令役に言い、急いで一番隊隊舎に向かった。

 

 

 

 

「元柳斎殿、私の隊の者が殺られたのです!英国に行く許可を!私に四席の仇を討たせて下さい!」

 

「ならぬ」

 

「死喰い人ごときに、遅れはとりませぬ!」

 

「左様なこと、分かっておる」

 

「であれば、何故!?」

 

呼び出しを受けた為、一番隊の隊舎に着くと、中からそう声が響いていた。

 

声からして、狛村さんと重じいだな。

 

狛村さんが重じいに強い口調で迫るだなんて珍しいと思いながら、戸を叩く。

 

「刀原です。呼ばれたので来ました」

 

俺がそう言うと、威圧感たっぷりな声で「入れぃ!」と言う重じいの声が響いてくる。

 

そして中に入ると、そこには先ほど声を荒げていた狛村さんに、京楽さんと夜一さんがいた。

 

「京楽隊長、四楓院隊長。お二人もですか?」

 

俺がそう二人に言えば二人は何処となく膨れたような(不満たらたらな)顔をする。

 

「おじさん、寂しいな~。京楽兄って言ってくれた、あの頃の将平君は過去のものになったんだねぇ」

 

()()()()はそう残念そうに言う。

 

「全くじゃ。「夜姉」って呼んでくれた、あの可愛かった将平はどこ行ったのかの?」

 

()()()()()も悲しむように言う。

 

何時の話だ。

 

少なくとも十年は前の話だが、隊長格であるこの人達にその程度の時間は微々たるものなので、その反論は辞めておく。

 

「僕もいい歳(十九歳)になったんですから、流石にその呼び方はもうしないです。……ってか、そんな話をしに来たわけじゃないでしょ?それで総隊長、状況は?」

 

俺が咳払いしながらそう言うと、重じいは頷く。

 

「英国からの一報での。倫敦(ロンドン)のだいあごん横丁にある杖の店が襲撃にあったそうじゃ」

 

ダイアゴン横丁にある杖の店……まさか、オリバンダーの店か。

 

「四席は警備の為に近くにいたらしくての、店と店主を守る為に戦い……そこで殺害されたとのことじゃ」

 

「山じい、四席を殺った下手人に関しては?」

 

「向こうからの報告では……襲撃者は『アントニン・ドロホフ』なる者をリーダーとする、死喰い人五名。そのうち三名を四席は倒し、最後はそのドロホフに殺害されたとのことじゃ」

 

「オリバンダーの店は英国随一の杖の店です。そしてその店主である『ギャリック・オリバンダー』は、間違いなく世界最高峰の杖職人です。死喰い人陣営が彼を手中にすることは、絶対に避けるべき事案です。四席は、それをその避けるべき事案を防いだ」

 

「じゃが、また来ないとは限らないじゃろう?」

 

「ええ。総隊長、英国の反応は?」

 

「警備をより強化するとのことじゃ。新大臣は前任とは違うみたいじゃの。それに証言によれば、四席は斬り損ねた者どもに手傷を負わせておるらしい」

 

「彼は良くやったよ」

 

「……大儀だった」

 

 

 

「さて狛村よ。敵討ちといきたい気持ちはよう分かる。じゃが、今お主が行っても事態は好転せぬし、そもそも仇が見つかるかどうかも分からん。ここは堪えるのじゃ」

 

重じいの言葉を、狛村さんは嚙み締めるように聞いている。

 

握りこぶしは固く握られ、悔しそうな顔だった。

 

「分りました、元柳斎殿。ここは堪えます」

 

しかし、それでも狛村さんはしっかりとそう頷いた。

 

「うむ、よう言ってくれたの。次に……刀原。すまぬが英国に飛んでほしい。務めを立派に果たした四席を連れて帰ってくるのじゃ。そして新大臣と話してまいれ。また……一名、同行者を許可する」

 

そう言った重じいの言葉の意味を、俺は察する。

 

「では……同行者には狛村隊長を指名したく思います。狛村隊長、お願いできますでしょうか?」

 

俺は狛村さんの方を向き、そう尋ねた。

 

「……無論。こちらの方からお願いしたくらいだ」

 

狛村さんは目を見開き、こちらの方に頭を下げた。

 

「粋な計らいってやつだね」

 

京楽さんはそう言い、重じいも頷いていた。

 

 

 

 

あ、狛村さんの顔……どうしよう。

 

ま、いっか。

 

空飛ぶ列車*5使うし。

 

 

 

 

 

 

 

*1
雀部長次郎は「出来なくはないだろう」と言っており、それを待ちわびているとのこと。

*2
本人が呼べと言った。

*3
それはファッジにも言えると、刀原は最近思っていた。

 

すなわち。

『おそらく()()()()()()()としては良かったのでは?』

という意見だ。

 

まあ……無能であったという実績がある以上、言い逃れも言い訳も出来ない。

 

第一、そんな理由を持ち出すぐらいなら……さっさと辞めれば良かったのだ。

 

*4

後に刀原は、雀部や日番谷、浦原等と示し合わせ、瀞霊廷にパソコンをもたらすことになる。

*5
炎のゴブレットにて、マホウトコロの生徒達を運んだ列車のこと





牙を見せ、高らかに吠える。

恩に、誇りに

身を焦がすように。





まず、訂正致します。
チョウの卒業は謎プリでした。

その為……セドリックとの結婚関連は持ち越しです。

セドリックは死なない……予定なので、悲しいことにはならない……はずです。


再びアンケートをさせていただきます。

内容は、謎のプリンス終了後について。

現在、刀原と雀部はハリー達の分霊箱捜索旅に参加しない予定です。

ではハリー達が捜索している間に何をしているかというと……日本で賊軍(破面抜き)との決戦をしてます。

ハリポタとは全く関係ない為……出すかどうか迷っております。

その為……。

1 vs賊軍→ホグワーツの戦い。

これは文字通りです。

がっつり賊軍との決戦を書いた後、ホグワーツの戦い開戦です。

2 vs賊軍は全部カット。

謎プリンス終了後、幕間をして、いきなりホグワーツの戦い開戦です。

賊軍との決戦は全部カットし、出したとしても……「こう言うことがあったんだ」「うわー、そっちも大変だったね……」程度です。

筆者的には楽ですね。
文章量減りますから。


3 終了後、おまけとして

死の秘宝終了後、予定している番外編や後日談にて公開します。

ただ……その頃は多分、次回作はどうしようとか考えてますので……本編より質や量は落ちます。

4 刀原もハリーの旅に参加するんだよ!

ハリーの分霊箱捜索旅が、めっちゃイージーになります。

原作追随とか言っておきながら……崩壊します。

そして当然、賊軍との決戦は……刀原が参加してないので闇に葬られます。

以上が、想定しているルートとなります。

よろしくお願いいたします。



感想、ご意見、ご質問、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。


では次回は

英国にて

次回もお楽しみに




おまけ

「四席は確か……『鎌鼬』の称号を持つ手練れだった筈では?」

「ああ……。彼は半分おこぼれで、あの称号を得たようなものだったはずだよ」

「うむ。確か……白哉に襲名の話が行ったのじゃが、あやつは「ダサいから要らぬ(意訳)」と言ったのじゃ」

「な、なるほど……」

「今は君の方が相応しいと思うよ?」

「まあ、確かに斬撃を飛ばすのが僕の得意技ですが……。ってか、あの称号って『随一の飛び道具使い』に与えられるんですよね?僕のは飛び道具じゃないんですけど」

「まあ、そう固いこと言わずにさ」

「どうじゃ?これを機に襲名せんか?」

「え、嫌ですよ。『鎌鼬将平』とか、ダサいじゃないですか。謹んでお断りさせていただきます」

「え~」

「つれないの~」

「……おぬしら、そろそろ雑談をやめい」

「「「は~い」」」

ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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