ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

62 / 93


「私が悪かった」

「すまなかった」

ただ、それだけでいいから

私は貴女に送りたかった。







死神、強制する。呪いと無言呪文

 

 

英国へ向かう魔導列車の中で、刀原は目に見えて不機嫌だった。

 

しょっちゅう溜息を吐き、雀部や日番谷に負担を強いることに頭を下げ、無茶振りを言ったダンブルドアに恨み言(呪詛)を唱えていた。

 

何か深い事情があるんだろうな?

無かったら片腕斬ってやる。

 

誰がどう見ても不機嫌な刀原が、ボソッと言ったこの物騒な言葉を、雀部は確かに聞いた。

 

一方、ハリー達が乗るホグワーツ列車では……マルフォイが悲痛な表情で、ハリー達に相談をしていた。

 

その表情は「我が命運、ここに潰えた(ああ……僕、もう終わったな……)」と言わんばかりであり、そのあまりに可哀そうな表情に、ハリーもロンも同情するほか無かった。

 

「やらなくても殺される……。やろうとしても殺される……。でも、だけど……。うぁあああ!僕はどうすれば良いんだぁあああ!」

 

「な、なにがあったんだマルフォイ……」

 

「し、信じてくれポッター……。僕は……家族を……。だけど、だけどダンブルドアをなんて……」

 

マルフォイは絞り出すような声で白状する。

 

父であるルシウスの失敗を埋め合わせするという名目で、ヴォルデモートにダンブルドアの暗殺を命じられたこと。

 

英国にやってくる死神を、出来るだけ妨害すること。

 

無理ゲーなのは誰でも分かるのだが、失敗すれば家族や自分自身が殺されるであろうことは……簡単に想像出来た。

 

「失敗すれば……分かるなドラコ(殺しちゃうぞ☆)?」と言われた時点で、お察しである。

 

叫ぶように吐き出し、最後に「出来るわけないだろ!」と叫んだマルフォイに、ハリー達は怒るどころか思わず慰めてしまう。

 

ここに来て、こうして吐露している以上、彼にその気がさらさら無いことが明白だからだ。

 

完全に迷える子羊になったマルフォイは、その後も彼らしからぬ取り乱し方をしていた。

 

「……とりあえずショウ達に力を借りましょう。私たちではどうすることも出来ないわ」

 

ハーマイオニーはそう言い、その場にいた全員がそれに頷いた*1

 

 

 

マルフォイを何とか宥めた後……ハリー達の話題は、空席となっている『闇の魔術に対する防衛術』の次の教授になった。

 

ハリーの本命は、自身が約一か月前に出会った『ホラス・スラグホーン』だ。

 

あのセイウチの様な男性は、ダンブルドアの元同僚で……わざわざダンブルドアが教授になってくれと言いに行ったのだ。

 

きっと、優秀な元闇の魔術の防衛術の教授だったのだろう……とはハリーの言葉(願望)だ。

 

だが、それに待ったをかけているのが刀原の証言だ。

 

同じく約一か月前に会った彼は「スラグホーン?確か……魔法薬学で有名な人だったような……」と言っていたのだ。

 

ではスラグホーンじゃないのならば、誰になるのか。

 

ハリーにとっては信じたくないし、絶対にありえないと思っているし、悪夢そのものなのだが……。

 

スネイプ(ハリー永遠の宿敵)なのでは?というのが刀原の予測だ。

 

理由としては、新たにやってくるスラグホーンが魔法薬学の教授であるならば、その職に就いていたスネイプのポストが空くからだ。

 

その理由に、流石のハリー(アンチ・スネイプ筆頭)とて「スネイプはクビになったんだ!」とは断言出来なかった。

 

尤も、シリウスに言わせれば「あいつが闇の魔術に対する防衛術を教えるなんて、許しがたい暴挙」らしい。

 

まあそれは、様々な情報を加味した結果『スネイプは元死喰い人である』と判断した刀原も「危険な考え」と思ったのだが。

 

兎にも角にも……。

 

ハリーや他の生徒達にとって、次の闇の魔術に対する防衛術の教授が誰なのかは、非常に気になる事案だった。

 

「スネイプじゃありませんように。スネイプじゃありませんように。スネイプじゃありませんように……」

 

ハリーは懸命に祈っていた。

 

だが現実は儚く、残酷で、奇なりだった。

 

 

 

 

組分けの儀式が終わり、恒例の合図(思いっ切りがっつけ!)と共に宴が始まって、生徒たちは目の前の食事に夢中になった。

 

そんな中、ハリーは食べながら周囲を見渡していた。

 

スネイプ……ちっ、いる。

 

スラグホーン……いる。

 

ショウ達……職員テーブル近くにあるテーブルで食べている。

 

ハリーの心配ごとは悪化した。

 

そんなハリーを余所に、生徒たちの腹は満たされ、ダンブルドアが立ち上がる。

 

「皆さん。今宵は素晴らしい夜じゃ!」

 

宴の前、ダンブルドアはそう高らかにそう言い、両手を広げた。

 

しかし、多くの生徒達がダンブルドアの異変……すなわち『左手が黒く、痛々しいものになっている』ことに気が付いた。

 

囁き声が広間中を駆け巡るが、ダンブルドアは「何も心配には及ばぬ」と気軽に言った。

 

「明るい話題から話そうかの?まずは新しい先生の紹介から……ホラス・スラグホーン先生じゃ。昔教えておられた()()()()()()()として復帰なさる」

 

その瞬間、大広間に衝撃が走った。

 

聞き間違えたのでは(遂にボケたか)と、多くの生徒がざわついた。

 

そしてハリーの心境は、地獄へ叩き落とされた。

 

「そして空席となっていた『闇の魔術に対する防衛術』には、スネイプ先生が就任なさる」

 

ダンブルドアがざわめきを無視してそう言えば、さらなる衝撃が大広間を駆け抜けた。

 

紹介されたスネイプは何の反応も無かったが、勝ち誇った顔をしたのをハリーは確かに確認した。

 

「さて次は、申し訳ないが……少し真面目で暗いお話をさせていただこうかの?」

 

ダンブルドアはそうひょうきんな口ぶりで言うが、話す内容は宣告通り暗いもの(ヴォルデモートに関して)だった。

 

ホグワーツの守りはより強固になっているという事。

 

だからといって、軽率な事をしてはいけないこと。

 

何かあったら直ぐに教職員に知らせる事などだ。

 

「そして……これも重要なお知らせじゃ。と言っても、去年も居た生徒たちは覚えておるじゃろうがの。現在、ホグワーツには『虚』という怪物が時折出現している」

 

ダンブルドアの言葉に、それを見た多くの生徒達が神妙な顔で頷く。

 

「わしら英国の魔法使いでは対処出来ぬ危険な奴らじゃが、幸いなことに、今年もその虚を倒せる護廷十三隊の方々が駆けつけて下さった。それでは……『遣英救援部隊』の部隊長を務める刀原殿から、一言貰おうかの?」

 

ダンブルドアがそう言って目配せすれば、それを察した刀原が前に出てきた。

 

白い長袖のシャツに赤と金色(グリフィンドールカラー)のネクタイ、その上に死覇装と袖のある隊長羽織は変わっていないが、彼は新たに黒い手袋を身に着けていた。

 

「遣英救援部隊を率いている刀原だ。我々がここに布陣する以上、諸君らには指一本たりとも触れさせないと約束しよう。だから安心して、諸君らは学業や青春に明け暮れてほしい。また昨年の一件を受け、人員を増やした。と言っても、三学年以上の(魔法学校対抗試合の時に居た)諸君らは見たことのある者達だと思うが。一応紹介しよう」

 

刀原がそう言って合図すると雀部を筆頭にした死神たちが前に出てくる。

 

その面々は刀原の言う通り、見たことのある者達だった。

 

「まずは、昨年もいた雀部雷華」

 

雀部は変わらない笑顔でペコリとお辞儀をし、顔見知りに手を振った。

 

彼女も服装は変わっていないが、新たに黒い手袋*2と青い帽子、青く大きなリボンを身に着けていた。

 

「護廷十三隊、十番隊隊長。日番谷冬獅郎」

 

日番谷が少しめんどくさそうに前に出る。

 

一昨年よりも背が伸び、髪型も少し変わり、碧色の布をマフラーの様に身に着けていた。

 

「同隊副隊長、雛森桃」

 

雛森が少し緊張気味に前に出る。

 

髪がシニョン(お団子頭)からショートヘアーに変わっており、新たに髪留め*3も身に付けている。

 

「十三番隊、第二副隊長*4朽木ルキア」

 

朽木が、少し緊張していることを隠すように腕を組んで前に出る。

 

彼女も髪が少し短くなっただけで、それ以外は変わっていない。

 

「日本魔法省から、黒崎一護、井上織姫」

 

黒崎を見て最初に目につくのは、やはり背中の刀だ。

 

一昨年の時よりも鋭角な形状をし、柄頭には途切れた鎖が追加されている出刃包丁のような刀だからだ。

 

井上は唯一刀を帯刀しておらず、死覇装も着ていないが……きっと彼らと同じで、とんでもない人なんだろうと生徒達は思っていた*5

 

「朽木、黒崎、井上は時々ロンドンへ行くが……それ以外はホグワーツに常在する形となる。なお、俺と雀部以外は……校庭内にある列車内で寝泊まりしているので、何かあれば来ると良い。では、よろしく頼む」

 

刀原がそう言って少しだけ頭を下げれば、他の全員もそれに倣って軽くお辞儀をする。

 

生徒達は、それを万雷の拍手で歓迎した。

 

「ありがとう刀原殿、そして部隊の方々。よろしくお願いいたしますぞ!さて、これでお知らせはお仕舞じゃ……と言いたいんじゃがの。ここで一つ、追加のお知らせじゃ……」

 

挨拶を終えた刀原以外の者達が、自分のテーブルへと戻る中、ダンブルドアがそう言った。

 

「実は『闇の魔術に対する防衛術』の先生は、スネイプ先生だけではないのじゃ……。今年は特別に、二人体制となる」

 

ダンブルドアのその言葉に、ハリーを含む一部の(アンチ・スネイプ)生徒達がざわつく。

 

このタイミングと言う事は……まさか!

 

察しの良い生徒達は気付く。

 

刀原は如何にも不服と言う顔をし、スネイプは少しだけ悔しそうな顔をしているが。

 

「一から四年生の生徒達は、スネイプ先生が教鞭を執られるがの。五、六、七年生の生徒達は……この刀原殿が教えることとなった!」

 

ダンブルドアのその言葉に、対象となる生徒達は歓声を上げた。

 

彼の実力を考えれば、スネイプよりも絶対にまともなはずだからだ。

 

一方……一部の生徒は「え……あ、おお?」という、戸惑いの声を上げた。

 

一部とは『DAメンバー』だ。

 

彼らは刀原のスパルタっぷり(実戦で覚えろ!)を知っている為、諸手を上げて歓迎出来ないが……それでもスネイプよりかは、まともであるという複雑な気持ちだからだ。

 

そして極一部の生徒達は……複雑っぷりが激しかった。

 

極一部とはハリーやマルフォイ達(昨年にねっちょり教わった勇者たち)のことだ。

 

まあ、歓声を上げた生徒達も……後々に地獄を見る羽目になるのだが。

 

 

 

 

 

 

大広間での宴が終わり、生徒達が全員ベッドへ向かっても、ダンブルドアと刀原達は残っていた。

 

「あのなぁアルバス、俺は忙しいんだ。虚退治に外交に書類に報告に鍛錬にと、色々やる事があるんだ。まあ、ハリー達の戦力強化を考えて請け負ったが」

 

刀原が強い口調でそう言えば、ダンブルドアは「すまぬ、じゃがこれしか無いのじゃ」と申し訳なさそうに答えた。

 

「……まあいい。大方、スラグホーンに何か事情があるんだろ?それでスネイプを『闇の魔術に対する防衛術』の教師にするしか無い、だけどハリーを含む死喰い人と一戦交えるかもしれない生徒達には酷だと考えた。だから俺を選んだ……そうだろ?」

 

「正解じゃ」

 

「ふん。それと……隠しているようだが。なんだその左手は?」

 

刀原の指摘に、ダンブルドアはギクッとしながら誤魔化そうとする。

 

だが、誤魔化しが効くような刀原ではない。

 

問答無用の表情(うるせぇ見せろ)をすれば、ダンブルドアは渋々左手を前に出した。

 

「まるで、強烈な呪いが掛かった物品を触れたような……触れたのか?」

 

「迂闊じゃった。呪いには気が付いておったんじゃがの……。どうしても、触れたかったのじゃ」

 

そう言ったダンブルドアの表情を刀原は初めて見た。

 

「まあ、詳しくは聞かないでおくよ」

 

「すまんの。そうしてもらえると嬉しい」

 

何か重大な理由があったと考えた刀原がそう言えば、ダンブルドアは頭を下げながらそう言った。

 

「見たところ……呪いは体内の組織を破壊して命を奪うのやつですね」

 

「もって一年……かな。初期の処置をした人が優秀で良かった」

 

そしてそんなやり取りを刀原とダンブルドアがしている間、雛森と井上がそう判断する。

 

「まさか……。何とか出来るのかの?」

 

ダンブルドアの問いに、刀原達は答えずに考え込む。

 

「どうする。桃、織姫。他の皆も、何か案はあるか?」

 

刀原がそう切り出す。

 

「王道だが、呪いを食い止める。あるいは排除するってのは出来ないのか?」

 

日番谷がそう疑問する。

 

「うーん、ちょっと厳しいかも。卯ノ花隊長ならより完璧に食い止められると思うけど……私も将平君も織姫ちゃんも本職ではないし」

 

簡単に往診した雛森がそう答える。

 

「この中で一番回道が得意な桃が言うんだから、無理そうか……。あ、俺も同じ意見だ」

 

鬼道においては自身に次ぐと思っている雛森の言葉に、刀原は頷いた。

 

「いや、別にわしの自業自得じゃから……。別に無理はせんでも……」

 

「うるせぇアルバス黙ってろ」

 

自身の控え目な発言を、刀原に即座に一蹴され、ダンブルドアは何とも言えない顔になる。

 

「いっそ、この左腕を斬り飛ばすというのは?」

 

普段はこうでは無いのだが、誰に似たのか……雀部は時折、こういう時にぶっとんだ(脳筋)発言をする。

 

「えっ」という顔になるダンブルドア。

 

だが誰も気にしない。

 

「おいおい、それじゃ隻腕になるぞ」

 

そう言った黒崎に、ダンブルドアは希望を見出だす。

 

「まあ死ぬよりかはマシか。幸いにも左だしな」

 

だがその希望はあっさりと潰える。

 

彼は雀部以上にそう(脳筋思考)だからだ。

 

そして、それが一番手っ取り早いのも事実。

 

問題は……。

 

「切れるでしょうか?切ったとして、全身に呪いが回っていたら?これほど強力な呪いです。斬り飛ばしただけで体から除去出来るとは……」

 

雛森が当たり前な疑問を口にする。

 

「凍結させるか?俺の完成した卍解なら」

 

日番谷が背中にある(氷輪丸)に手を掛ける。

 

「いや、俺の卍解なら……切ったうえで回った呪いを排除出来る。それで問題は無い」

 

刀原がそう言って鯉口を斬る。

 

自身の両親の呪いを排除した時と同じ手法だ。

 

「だけど、やっぱり隻腕になるのはマズイですよね」

 

自分が言い出しっぺであるのに、雀部がそう言う。

 

「私の『盾舜六花』の力があれば、片腕ぐらいなら再生出来るよ」

 

そしてそう言った井上の意見が決定的になる。

 

たじろぐダンブルドア。

 

直後、雛森の鬼道によって抑え込まれる。

 

「シロちゃんが傷口を凍結させて(血を止めて)、直後に織姫ちゃんが『盾舜六花』を使う。私は失う血や霊力を回道で和らげます。雷華ちゃんは周囲に結界を……流石、もう張ってますね。ではそれの維持を。一護君は全体のバックアップ」

 

雛森がそうテキパキと指示を出す。

 

お互いに気心知れた同期だからこそなせる業だ。

 

この連携を前に、ダンブルドアは蚊帳の外だった。

 

「安心しろ、痛くない痛くない」

 

刀原が優しく微笑みながら、刀を抜きつつダンブルドアに迫る。

 

今にも軽く注射をするかのような口ぶりと表情だが、ダンブルドアはその表情(大人しくしてろ……)を見て少し涙目になった。

 

「じゃあ行くぞ。全員準備は良いか?」

 

刀原の合図に全員が頷く。

 

「では、卍解……」

 

 

こうしてダンブルドアの呪いは、有無を言わさず除去された。

 

やはり日本の死神は、世代が変わろうとも凄いの一言に尽きるの。

 

ダンブルドアは、後にこう語った。

 

 

 

 

 

 

ハリーの心境は複雑怪奇だった。

 

永遠の宿敵にして自分を目の敵にしてくる『あいつ(スネイプ)』の……闇の魔術に対する防衛術の授業か。

 

自分が全幅の信頼を置き、教え方や分かりやすさも段違いだが、あまりにも実戦的で恐怖が勝る『兄貴分の授業』か。

 

数年前なら迷うことなく後者だし……実際の所、今もほぼ即答で後者なのだが……。

 

如何せん一昨年と去年の特訓で地獄を見ている為に、ハリーやハーマイオニー等の面々は手放しで歓迎出来なかった。

 

それなのに、知らない奴らは……。

 

ーーーーーー

 

『ショウの授業は、きっとルーピン先生の時(生徒からの支持率一位)の様な、実践的で素晴らしい授業なんでしょうね』

 

だの。

 

実践的?いや違う。

あれは()()()なんだ。

 

ーーーーーー

 

『きっと凄い授業だろうな。間違いないぜ!』

 

だの。

 

凄い授業?いいえ、あれは授業ではないわ。

ただの鍛錬と訓練よ。

 

ーーーーーー

 

『俺もあいつみたいな強い奴になれるかも!』

 

だの。

 

トーハラと同じことをすれば、なれるかもね。

僕?謹んでお断りする(ノーセンキュー)に決まっているだろう?

誰があんな、地獄を煮詰めたような事をするもんか。

 

ーーーーーー

 

ハリー達から言わせれば「どいつもこいつも、おめでたい奴ら」だった。

 

あいつじゃなくて嬉しいのか、再び地獄を見ることが確定したことを嘆けばいいのか。

 

百面相しているハリーに、同志たちは言った。

 

「素直に喜ぼう。そして諦めよう」

 

ハリーは自棄になって、とりあえずあいつじゃないことに歓喜の声を上げた。

 

 

 

 

「教科書なんて使わないから。しまって良いよ」

 

授業初日、刀原はそうニッコリ笑いながらそう言った。

 

それを聞いた何も知らない生徒たちは期待し、知っている生徒たちは何とも言えない顔(まあ……そうだよね)になった。

 

「まず、初めに……俺が何を教えるのかについてだけど……。残念ながら日本の技術は教えない」

 

「え、なんで?」

 

きっぱりとそう言った刀原に、ディーンが談話室で質問するかのように聞いた。

 

「それはだな。君たちが使ってる西洋魔法と、俺たちが使ってる極東魔法……鬼道は全くの別物だからだ」

 

「でも、ショウやライカはどっちも普通に使ってるよね?」

 

「鬼道の方が圧倒的に難しいのさ。古いし、強力だしね。実のところ、日本でもポンポン使える人は、そう多くないのが現状だ。それに君たち、自分の霊力なんて感じたことないでしょ?」

 

刀原の指摘に、全員が頷いた。

 

「鬼道はそれが必要だ。自らの霊圧を感じ取り、練り上げ、放出する。詠唱は長いし、失敗すれば爆発したりする。それこそ、そこにいるシェーマス(爆破魔)がよくやらかす『あれ』とは比にならない感じでな」

 

刀原がおどけるように言えば、ほぼ全員が笑った。

 

鍋の中身やティーカップの中身は勿論、羽や紙に至るまで。

 

シェーマスが今まで多くの物を爆破してきたこと(なんでもかんでも爆発させるのが得意な奴)は、同期の中では有名だからだ。

 

「鬼道の取得にはそれなりの努力と才能と時間が必要だ。どうせ一年しかないだろうからな、時間がない。だから鬼道の習得は不可能だ。そしてそれは、俺が持ってるこいつ……斬魄刀にも言える。……尤も?君たちがベリーハードコースでいいし、習得できないかもしれないけど……それでもやりたいなら止めねぇが?」

 

刀原がニヤニヤしながらそう言えば、全員が「結構です」という顔をする。

 

刀原はその顔に満足そうに頷いた。

 

「懸命な判断だな。では本題に入ろう。ダンブルドアから託されたのは、君たちの戦力上昇だ。だからNEWT(いもり)を……まあ頑張って添わせるけど……あまり気にしないでやる。試験の前に死にたくないでしょ?」

 

再び全員が頷く。

 

「この授業では『如何に戦場で生き残るか。敵を倒すか』に、焦点をあてる。そのために色んな呪文を習得必須とし、それら全てを無言呪文でやってもらう。そして、それを習得出来ているかが……学期末試験の課題になる。宿題なんて出さないし、レポートも求めん。最終的に、俺が求めるレベルまで行っていれば合格だ。逆に言えば、それらを習得していないと不合格ってわけだ」

 

刀原の言葉に、少なくない数の生徒が安堵する。

 

学年が上がることで各授業が高度化し、それにつれて宿題やレポートの数や求められる質も跳ね上がっている。

 

『宿題は無い方がいい』とは、古今東西の生徒たちが望むことだからだ。

 

「さて。では君たちが何を習得せねばならないかだが……それはさっきちらっと言った『無言呪文』だ」

 

そう言った刀原は、黒板に『無言呪文の有効性について』と書く。

 

「こいつがどんなもので、どんな有効性があるのか……。口で言っても分からんだろうからな。実際にやってみる。ってことでハリー、立ってこっち来い」

 

ご指名を受けたハリーは、渋々前に出る。

 

ロン達の方をちらっと見ると、ロンはサムズアップ(グットラック)し、ハーマイオニーとマルフォイは同情した顔(アーメン)をしていた。

 

ちくしょう、誰も助けてくれない。

 

「そんな顔すんなハリー。大丈夫だから」

 

ニッコリ笑って刀原はそう言うが、ハリーは学習している。

 

味方であればとても安心するこの一言も、相対しているときに言われると恐怖しかないことを。

 

「ではハリー。俺を武装解除してみろ」

 

ハリーはその言葉に頷き、刀原に杖を向ける。

 

「『エクスぺr(武器よs)』」

 

そして呪文を放とうとした瞬間、刀原が()()()ハリーを武装解除した。

 

「これが無言呪文だ」

 

ハリーや他の生徒達が呆気にとられている中、刀原はハリーの杖を見せびらかしながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1

なお、刀原に白状したところ「ダンブルドアに言え。その後俺たち(お茶会)で協議して、沙汰を出す」と、迷わずそう言った。

*2
言わなくても分かると思うが、刀原とお揃いである

*3
ちなみにこの髪留めは、日番谷に買って貰ったやつらしい。

*4

異例である第二副隊長な理由は、十三番隊の隊長『浮竹十四郎』に事情がある。

 

彼は生まれつき、重い肺病を患っているのだ。

 

一応……マグルの医療技術も使っての治療で、年々良くなってはいるが、それでも時々は副隊長の志波海燕が補佐に入っている。

 

そしてその志波の補佐に、朽木が入る……という仕組みを作ったのだ。

 

まあ、同期が『あれ』なせいで、必然的に手練れとなった彼女の進路を作るため……という一面もあるが。

 

*5

井上がそれを聞いたら「そんなことないよ!(異議あり!)」と言うだろうが……。

 

ホグワーツ生からすれば至極まっとうな意見(どう足掻こうがその通り)だった。

 






素晴らしい提案をしよう

君も先生になるのじゃ。



前回で刀原に来た、ダンブルドアのからの手紙の内容は『闇の魔術に対する防衛術の先生になってくれぬか?』でした。

当然ながら刀原は断ろうとしますが、最終的に『ハリー達の強化』を目的に合意しました。

頑張れハリー達。
強くなるんだぞ☆

なお薩摩(瀞霊廷)ホグワーツ化はしません。
時間が無いので。
え、時間があったら?
愚問ですね、刀原なら間違いなく仕込みます。


ダンブルドアの呪い。
裏設定として……実は刀原の両親の呪いもこれです。

その為、刀原は真っ先に気が付けたという訳です。

尤も……刀原達は『あれと類似したもの』と誤認しており、某魔法薬学の元教授の初期処置が効いて、刀原の両親よりかはマシになってます。

あの人、何気に優秀なんですよね。

何で死喰い人なんかになったんだ。
絶対進むべき道、間違えたって。
誰だ、ねじ曲げたの
あ、この小説では出番皆無のハリーパパか。




感想、ご意見、ご質問、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。


では次回は

プリンスとスラグクラブ

次回もお楽しみに。





おまけ

「どうしてこのメンバーなの」

「確かにそうね。私たち、てっきり知らない人が来ると思っていたのよ?」

「知っている人ばっかりだよな。まあ、その方がこっちも気楽なんだけどさ」

「ああ、それはな。とりあえず英国事情に詳しく、英語も堪能で、留学しているから地の利も知り合いもいる俺と雀部が、部隊メンバーの任命を選任された」

「うんうん」

「まあ、それはそうよね」

「次に……俺が信頼出来て、実力も分かってて、語学的にも問題ない人を選べ……ってなってな。必然的に冬獅郎を選んだ」

「当然だな」

「で、残る人は適当に手練れを選んで……。って話だったんだけど……」

「だけど?」

「まずグリムジョーっていう奴のご指名で、必然的に一護」

「全く嬉しくないご指名だけどな」

「シロちゃんが行くなら私も行くってなったから桃」

「もう一回ホグワーツに来たかったんだもん」

「回復役に、一護の恋人の織姫」

「えへへ」

「何かと暴走しがちな一護と織姫の手綱を握れるルキア」

「まあ、そうだな」

「一応、同期達で固めると……何かとあれかなと思ってな?だったら人数を増やせないかと、思ったんだけど……」

「恋次君が「だったら俺も行きてぇ」って言い始めまして。それなら引率の人を、となったんですが……」

「こんな濃いメンバーを引率できる人は限られるから却下されて、結局このメンバーになった」

「ピクニックかよ」
「卒業旅行かよ」

「それを言うな」
「それを言わないで下さい」


ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。