ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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折角磨くなら

宝石を磨きたいじゃないか?

それが私を飾るなら、尚更だ。








死神、怪しむ。プリンスとクラブ

 

 

ハリー達の恐れは……()()()()()()()杞憂だった。

 

戦々恐々になりながら初回授業を受けたハリー達だったのが、その予想に反して、刀原の授業は優しかったからだ。

 

分かりやすい無言呪文の解説……。

 

ーーーーーー

 

「無言呪文の有効性は、何といってもその隠密性にある。発音しなくていいから『先手を取りやすい』し、敵対者は何の呪文が使われたのか分からないし、発音という分かりやすい『警告(今から呪文を使います!)』も無いから不意打ちもしやすい。発音ミスによる失敗からおさらば出来るしな。ちなみに……有力な魔法使いたちの決闘は、発音が無いから意外と静かだし、派手さも無い」

 

ーーーーー

 

無言呪文に対する心構え……。

 

ーーーーー

 

「コツは『心の中で唱えること』思うだけだ。だが……当たり前だが、そんな単純で簡単な話ではない。深い集中と強い意志。その呪文に対する知識と練度。発動したらどうなるのかの正しいイメージ。それらがないと駄目だ。ちなみに……残念ながらほとんどの呪文は唱えた方が効果が高い。おい、「意味ねーじゃん」とか思うな。その身で味あわせてやろうか?」

 

ーーーーー

 

刀原は無言で様々な呪文を実際に使いながら、ハリー達にそう教えた。

 

おまけに刀原は「なんの呪文でも良い。次回までに無言呪文を習得してきた奴には、一つにつき十五点を約束しよう。一つにつきだ」と言い放ったのだ。

 

一つにつきということは、習得してきた数に応じて、点数は倍増になるということだ。

 

大量得点のチャンスに、生徒たちは色めいた。

 

事実上の宿題だが、他のとは違って成果が得点に直結するため、生徒達の中で気にする者は皆無だった。

 

「最高じゃないか!分かりやすいし面白い。かと言って理不尽でもない!ハリー達が言っていたのは何だったんだ?」

 

何も知らない生徒たちは、呑気にそう言っていた。

 

しかし、ハリー達は分かっていた。

 

初回が優しかったからと言って、今後もそうだとは思えない……ってかありえない……と。

 

今は優しい先生を装っているだけだ。

 

どうせ、後で絶対に鬼教官になるはずだ。

 

そして、その思考は正しかった。

 

今の刀原は……忙しいのと、まだまだ序盤だから飛ばし過ぎないようにしていただけだったのだ。

 

そう……『いつかは絶対にハードモードになる(地獄の釜の蓋が開く)』というハリー達の恐れは、現実なものになるのだ。

 

具体的には……ハロウィンを過ぎた辺りで。

 

 

 

 

 

 

さて、そんな確定した未来(地獄)置いて(見ないことにして)おいて。

 

マクゴナガルの変身術、フリットフィックの呪文学、スプラウトの薬草学等々……。

 

ハリー達は己が未来の進路のために、より高度になった六学年の授業を受けなくてはいけなかった。 

 

その中でも特に注目を集めたのは、スネイプから変わった……どちらかと言うと復帰らしい……ホラス・スラグホーンの魔法薬学だ。

 

このセイウチみたいな老教授は……実はかなりのベテランらしく、引退した1981年までの約五十年以上にわたって魔法薬学を教えてきたらしい。

 

そんな彼の授業は、ハリー達生徒だけでなく、刀原達も注目していた。

 

少なくとも、雀部と雛森*1が警護と称した見学を行うほどには注目していた。

 

 

 

「今回は生ける屍の水薬を調合する。そして一番良く出来た者には……この魔法薬のうち、一つだけを贈呈しよう」

 

流石、上手い手ですね。

 

スラグホーンの言葉に、雀部は素直にそう思った。

 

飴をちらつかせるという手法自体は刀原もやっていたが……あれとは得られる物の格が違う。

 

何せ『幸運の液体(フェリックス・フェリシス)』という、日本でも滅多にお目にかかれない魔法薬が景品の中に含まれているのだ。

 

幸運の液体……効果は『全ての物事が上手くいく』

 

飲んだ者は、薬の効能が切れるまで全ての物事が成功することが約束されるのだ。

 

但し、過剰に摂取し過ぎれば自己過信や傲慢さ、無謀さを引き起こすというデメリットがある。

 

無論、その効能故に……クィディッチ等の競技での服用は禁止である。

 

ちなみに……何故滅多にお目にかかれないかというと、調合に約六ヶ月もの時間が必要であり、調合に失敗すると悲惨な結果を招くことになるからだ。

 

日本でも調合が出来るのは、浦原や涅、藍染を頂点とした日本魔法界科学技術部門の上層部(上澄み)ぐらいだろう。

 

そんな希少な魔法薬が……例え効果が十二時間位だとしても……得られるかもしれないのだ。

 

生徒達が目の色を変えない筈がない。

 

幸福というのは、全ての人間が欲しいものだから。

 

ってか、なんなら私も欲しい。

 

今すぐ飛び入り参戦して、浦原から教わった生ける屍の水薬の()()()()調()()()()で圧勝しようかと思うくらいには欲しい。

 

まあ、後でしょう君にしこたま怒られるでしょうからしませんが。

 

雀部は、鋼の精神で我慢することにした。

一緒にいた雛森も、同じように我慢することにした。

 

 

 

そんな感じで日本の死神たち(雀部と雛森)が己の表と裏の職務(警護兼見学)を全うしようと我慢し始めたころ……。

 

ハリーは目の前にある、少し草臥れている教科書を見ながら首を捻っていた。

 

なぜハリーが少し草臥れた様子の教科書を使っているのか。

 

それには結構複雑な事情がある。

 

実は、『去年の教授(スネイプ)』が「O・優が取れなかった者に、我輩の授業は受けさせん」と宣告していたのだ。

 

そしてハリーは、残念ながら去年のOWL(フクロウ)でO・優を取れなかった*2

 

しかし……幸運なことに教授が変わった。

 

その新教授であるスラグホーンは、ハリー達を温かく向かい入れる準備があると言ったのだ。

 

ハリーは自分の進路……『闇祓いになりたい』という進路を叶えるために、喜び勇んで授業に向かった。

 

だが、ハリー達『受ける予定じゃなかった者』には問題があった。

 

教科書を準備していなかったのだ。

 

慌てたハリー達だったが、スラグホーンはそんなことぐらいお見通しだった。

 

スラグホーンはそんなこともあろうかと、貸出用の教科書をちゃんと用意していたのだ。

 

そしてハリーはその貸出用の教科書を巡る争奪戦に負け、いま目の前にある教科書を入手したのだったが……。

 

随所に走り書きや書き込みなどが散見されたのだ。

 

『催眠豆は、切るよりも押し潰した方が汁が出る』

 

『催眠豆は十二粒ではなく十三粒』

 

『時計回りと反時計回りに七回攪拌した後、時計回りに一回攪拌する』

 

これらの書き込みをハリーが実際にやってみたところ、なんと正しいどころか効果的だと言うことが分かったのだ。

 

「君が勝利者だ!母親の才能を受け継いでいるな!」

 

こうしてハリーは、ハーマイオニーなどを差し置いて生ける屍の水薬を完璧に調合し、『幸運の液体(フェリックス・フェリシス)』を獲得したのだった。

 

 

 

 

 

 

「……一体、誰の教科書なんですか?」

 

談話室で今だホクホク顔のハリーに、雀部は怪しむようにそう言った。

 

この怪しげな教科書に否定的なハーマイオニーが不在の時を狙っての追求に、ハリーは内心で有難がったが、刀原と雀部を相手に誤魔化せる自信はなかった。

 

「そんなに気になるのか?見たところ怪しい点は見つからなかったが……」

 

何も知らない刀原は、雀部が珍しく表情を厳しくしていることに疑問を抱く。

 

「……あの調合方法は、私やしょう君に魔法薬学を教えてくれた浦原さんのマル秘テクニックでした。浦原さんに匹敵する魔法薬学の腕を持つなんて、気になりませんか?」

 

雀部は、ハリーの調合方法が正規の手法(教科書のやり方)ではなかったことを見抜いていた。

 

「なるほど。それは確かに気になるな……見せてくれハリー」

 

刀原は雀部の証言を内心で驚きながら、有無を言わさない表情でハリーに開示を求めた。

 

この表情の刀原には勝てない。

 

ハリーは今までの付き合いでそれを学習しており、「ちゃんと返してね」と念を押して刀原に例の教科書を差し出した。

 

「……『半純血のプリンス』蔵書……?」

 

そして本に書かれている内容を見た刀原は、思わず目を細めた。

 

その恥ずかしい(中二病くさい)名前に、既視感を抱いたからだ。

 

まさか……。

 

またあの頭のイカれた……いい歳して闇の帝王とか名乗ってるハゲチャビン関係のやつか?

 

自分の名前を弄くって、死の飛翔とかいう恥ずかしい名前をつけるやつだ。

 

今の名前になる前に、自らを王子(プリンス)と読んでいてもおかしくはない……。

 

刀原はそう思いながら、パラパラと本をめくる。

 

「……『ラングロック(舌縛り)』に、『マフリアート(耳塞ぎ)』。『レビコーパス(身体浮上)』も……」

 

少し朧げな記憶なのだが、どれも比較的新しい呪文だったのはず。

 

この呪文が日本にやってきたのは、確か約二十年前だったはずだから……。

 

おそらくこの本の持ち主の同期は、シリウスやリーマス達だな。

 

まさか、彼らが?

 

いや、彼らにはれっきとしたコードネームがあった。

 

別のやつを名乗るとは思えん。

おそらく違うな。

 

じゃあ、誰だ?

 

ハリーのお母さんは魔法薬学が得意だったらしいが……彼女の旧姓はエバンスだったはず。

 

……まさか。

 

いや、そんなはず……。

 

…………。

 

ないないない、ありえない。

 

あの人だったら腹抱えて笑うわ*3

 

刀原は京楽仕込みの深い洞察力と推理力で、本の持ち主を考えた。

 

そして最有力候補を見つけ出すが、その考えを置いておいた。

 

「とりあえず……あまりこれに頼るな」

 

その言葉に、ハリーは愕然とする。

 

「で、でも。魔法薬学では使えるんだよ?」

 

決死の反論に、刀原は考え込むような仕草をする。

 

「まあ、確かにそうなんだがな……」

 

怪しげなところは特に見受けられないし、興味深い調合方法や呪文が記載されているのだが……なにか嫌な勘が働いているのだ。

 

刀原はその勘を信じていた。

 

そして……見つけ出した。

 

「……『セクタムセンプラ』……。聞いたことのない呪文だな」

 

ヤバい予感の正体はこれだと直感する。

 

どんな効果を持つのかは分からないが……だからこそこう言うのは危険だ。

 

「……この『セクタムセンプラ』という呪文を使わない。それを守るなら……この本の活用を許可をしてもいいだろう」

 

刀原は如何にも渋々といった表情でそう言った。

 

「やった!ありがとうショウ。でもなんでその、『セクタムセンプラ』っていう呪文は使っちゃダメなの?」

 

ハリーは逆転勝訴した(「意義あり!」が通じた)ことに喜びの声をあげながら、その呪文が使用不可であることを問う。

 

「それはだな、こいつがどんな呪文なのか分からないからだ。他のは良い。うっすらとだが、聞いたことがあるからな。だが、こいつは聞いたことがない。この手のやつは、何があっても大丈夫な備えをしたうえで試してみるものだ。だから使用は許さん。人に向けてやるなんて言語道断だ」

 

刀原はハリーの目をじっと見ながら、はっきりとそう宣告した。

 

ハリーは、内心で気にしすぎだと思っていた。

 

だが……確かに何も知らない呪文を使って、とんでもないことになるのは嫌だと思い、ハリーは「分かった」と神妙な顔で頷いたのだった。

 

 

 

「あ、そうだ。後でそれ、全部丸写しさせてくれ」

 

「え、なんで?」

 

「勿論、日本に送るからです」

 

「魔法薬学の調合に関する、貴重な資料だからな。浦原さんや涅さんが喜ぶぞ」

 

ーーー

 

「おお~これはいい資料っすね!ほほう、こんなアプローチの仕方もあったんっすか」

 

「ふむ、中々素晴らしい資料じゃないか?やってみるのが楽しみダヨ!」

 

ーーー

 

「ついでに……セクタムセンプラについての検討も、技術開発局でしてもらう。書かれている呪文も、日本魔法省や大霊書回廊に登録しないとね」

 

「ハリーに感謝しないといけませんね。こんな掘り出し物があったなんて」

 

「ど、どういたしまして?」

 

 

 

 

 

 

条件付きとはいえ……ハリーが『例の本(半純血のプリンス蔵書)』を使用することが認められ、刀原と雀部がその本の複写版を日本へ送ってから数週間後。

 

「休息中に申し訳ないのだが……ちょっといいかね?」

 

つかの間の休息を満喫していた刀原と雀部にそう言ったのは、ホラス・スラグホーンだった。

 

「……ええ、構いませんよ」

 

「……ダイジョウブデスヨ」

 

刀原は曖昧な笑み(アルカイックスマイル)を浮かべながらそう言い、雀部はぎこちない笑みと若干カタコトになりながらそう言った。

 

「在野でくずぶっていた身だが、君たちの評判は良く耳にしていてね。一度、直に会ってみたかったのだよ。初めまして、ミスター・トーハラ、ミス・ササキベ。あの護廷十三隊の隊長に就任したお二人に会えて光栄だ!」

 

そう言って握手を求めてきたスラグホーンに、刀原と雀部は「こちらこそ、お会い出来てうれしいです」と握手に応じながらそう言った。

 

「アルバスから聞いたんだが、二年前まで留学生だったらしいね?それを聞いた瞬間、もう少し早く復帰していればと思ったものだ!」

 

悔しいという割に、カラカラとスラグホーンは笑う。

 

それを見た刀原は、「セイウチみたい」と評したハリーの見立ては正解だなと感じた。

 

「さてさて……虚退治をしながら教授も兼任していて、忙しそうにしているからね。折角の休息に、いつまでもお邪魔するのは忍びない。早速、本題に入ろう。私が主催するクラブ……『スラグ・クラブ』に、ぜひ君たちも招待したいんだ」

 

「スラグ・クラブ……ですか?」

 

スラグホーンが生徒たちを招待してホグワーツ特急内で会食をしたというのは、結構有名だった。

 

ハリーは当然の如く招待され、反ヴォルデモートを宣言したマルフォイも参加していたらしい。

 

「ああ。私が選んだ、優秀だったり有名な学生を招待してね。会食をしたり、お茶会をしたりするんだ。この前に第一回目を早速してね……その時に君たちが、今のホグワーツで多大な影響力があると聞いたんだ。それで、これは招待しなくては!とね」

 

影響力……というか、抑止力というか。

 

「私がいた時と比べてあの二つの寮(スリザリンとグリフィンドール)に争いごとがあまり無いことを、いささか驚いているよ。しかも、このような情勢下だというのにね……。ハリーとドラコ曰く「必要無いから」らしいが……君たちも関与しているんだろう?それしか考えられないのだが」

 

刀原と雀部は、苦笑いをする。

 

各教授たち曰く、寮同士*4の対立やいざこざ、小競り合いなどは年を重ねるごとに減っているらしい。

 

その裏には、それぞれのリーダー格であるハリーとマルフォイが、良きライバル関係になっていること。

 

それぞれリーダー格が、「寮同士での争いなど、無駄でしかない」と後輩たちに教えていること。

 

そしてその更に裏には……。

 

そのリーダー格の頭を押さえ(を上手いこと誘導し)、過去にちょっとした抗争に発展しかけた時に「喧嘩両成敗だ/です」と言って武力制圧した某留学生たちがいたからだ。

 

「「……何のことやら」」

 

全てを知っている刀原と雀部は(某留学生たち)、知らんぷりを決め込んだ。

 

スラグホーンはそれを聞いて訝しげな表情をしたが、直ぐに「まあ、いい」と言った。

 

どうやら、深入りはしない方が良いと判断したらしい。

 

「とにかく……新進気鋭の君たちにも、是非来てほしいんだ」

 

「私たちは、もう生徒ではありませんが……?」

 

「それに囚われるような私ではないさ。他ならぬ君たちなのだからね。さて、ここらでお暇させていただくとしよう。忙しいだろうが……いい返事を期待しているよ?美味しいお菓子とかも用意しているから、是非来てくれ」

 

スラグホーンはそう言って立ち去って行く。

 

「……さて、どうしようか……」

 

刀原は少し悩む素振りをしながら、最愛の相棒を見る。

 

「……お菓子、お茶会……いいですね。お呼ばれとあらば、行くしかないでしょう?」

 

雀部は目をランランとさせながらそう言った。

 

そういうところは自分の欲望に忠実だなぁ……。

 

刀原は「じゃあ、行くか」と言って、雀部の頭をポンポンと叩いた。

 

 

 

 

 

 

数日後に行われた第二回目のスラグ・クラブは、刀原と雀部や、ハリーから推薦を貰ったハーマイオニー等を新たなメンバーとして開催された。

 

「諸君!今宵も大いに語り、大いに食し、大いに楽しんでくれ!」

 

スラグホーンはテンションも高めにそう宣言した。

 

その挨拶が終わった直後、雀部は意気揚々とお菓子の海へ飛び込んでいった。

 

今はハーマイオニーやジニー等と、仲良くお茶会をしていた。

 

そんな最愛の相棒を傍目に見ながら、刀原は参加メンバーを見ていた。

 

その中には、闇との決裂と反ヴォルデモートの立場を鮮明にしたマルフォイがいた。

 

何故、立場を鮮明に出来たのか。

 

それは、刀原とダンブルドアの二人が、彼が安心してこちら側に味方出来るように知恵を絞ったからだ。

 

作戦は『マルフォイの両親を生死不明にする(あれれ~マルフォイ家が消えちゃったぞ?)』という作戦だった。

 

ーーーーーー

 

ある日の深夜、二人が寝静まったころ、誰かがマルフォイ家の屋敷へと侵入。

 

気が付いた二人は抵抗するも、行方不明に……。

 

屋敷にある寝室では、血の跡や戦闘の跡が見られるため……おそらくマルフォイ家は裏切りを行おうとしていたのだが、気が付かれてしまい、殺されてしまったのだろう。

 

生き残ったドラコ・マルフォイは両親の意を組み、ダンブルドア陣営に加わった。

 

ーーーーーー

 

という筋書だった。

 

敵には、行方不明の首謀者は向こう(ダンブルドア陣営)だと見える。

 

夥しい血の跡もあり、盛大に荒らされていて、スパイのスネイプもそう言っていた。

 

ヴォルデモートはそれをあっさりと信じた(あっそう、分かったわ)

 

ドラコ・マルフォイへの制裁命令すらなかった。

 

度重なるルシウスの失態で、マルフォイ家への信用が薄れていたこと、子ども(ハリー)にしてやられて戦力として信用できないことも、それに拍車を掛けた。

 

ヴォルデモートは、最早マルフォイ家を戦力に数えていなかったのだ。

 

何も知らない一般人には、報道された筋書きが真実のように見えた。

 

スクリムジョールはオフレコ(記録が残らない非公式会談)でことの全て(真実)を知り、その上でありのままを報道した。

 

敵に裏切り者が出たと言うのは士気高揚に役立つ上……調略に魔法省も関わったと言えば、支持率上昇にも役立つからだ。

 

全ては……刀原、ダンブルドア、そしてルシウス・マルフォイの策だった。

 

ルシウスは、ヴォルデモートが勝つことはあり得ないこと、自身がすでに期待されていないことに気がついていた。

 

故に、神秘部の戦いでは無能を演じたのだ。

ハリー達が存外に手強かったのもあるらしいが。

 

そして、最愛の息子を鉄砲玉のように扱われたことで、辛うじて残っていたヴォルデモートへの忠誠心も消え去った。

 

狡猾なスリザリンらしく……どんな手段を使おうとも『ドラコだけでも助けてくれ』と、刀原とダンブルドアに要請した。

 

ダンブルドアはスネイプからの報告(ドラコに自身への暗殺命令が出た)、ルシウスから息子を思う手紙を受け取り……子供に罪はないとして、ドラコを闇の魔の手(ヴォルデモート)から救い出すことに賛同した。

 

刀原は要請を受けた段階で、ドラコとの友情を考え、そしてヴォルデモートを片づけた後でマルフォイ家が役に立つと考えていた。

 

そして考えた末……ドラコを救出することを決断。

四楓院から指揮権を一時譲渡してもらい、隠密機動を動かせるようにした。

 

こうして……刀原が先の作戦を考え、ダンブルドアが先の筋書きを考え、ルシウスが事前準備をしたのだった。

 

 

 

……真相はこうだ。

 

事前にルシウスが自ら屋敷を荒らし、やって来た隠密機動に拉致してもらったのだ。

 

隠密機動からすれば、暗殺が拉致に変わっただけだ。

しかも相手は抵抗せずに、進んで拉致られるのだ(お待ちしてました、さあ行きましょう!)

 

事前演習よりも簡単だったらしい。

 

そして刀原は、二重スパイ役だと発覚したスネイプに『証言』してもらってまで(あいつらがやったって言ってました!)、信憑性を高めた。

 

結果、ヴォルデモート(頭パッピーセット)はあっさりと騙された。

 

現在……ドラコ以外のマルフォイ家は日本にいる。

今頃は日本で観光でもしてるだろう*5

 

故に、マルフォイは立場を鮮明に出来たのだ。

 

刀原は全てが終わり、ルシウスと握手し、彼らが日本へ向かったあとでこう言った。

 

「チョロいね」

 

 

 

 

ハリーと仲良く談笑しているマルフォイを見ながら、刀原はにこやかにそちらへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
刀原と日番谷は、残念ながら多忙の為に不参加

*2

テストの成績が悪かったからか、はたまた陰謀かは……この際おいておく。

*3
後に、謎のプリンスの正体をハリーから聞いた刀原は……。

 

「アッハッハッハ!じゃああれ、黒歴史ノートだったのか!」

 

腹を抱えて大爆笑した。

 

*4
特にグリフィンドールとスリザリン

*5
「俺の友人のご両親だ。もてなして、丁重に扱ってくれよ?」

 

刀原はそう念を押していた。

 

これを機に、マルフォイ家を親日家にさせるつもりだったからだ。

 

少なくとも……市丸ギン宛に持たせていた手紙には、そう書いていた。

 

「流石やな。ちゃんとこっちのメリットも考えてるわ」

 

市丸ギンは手紙を読んで、そう笑った。

 







後ろ指を差されようとも

いかなる汚名を着ようとも

我らは狡猾なスリザリン

愛する者の為なら

何だってしよう。




マルフォイ家はこれを持って戦線離脱です。

ヴォルデモートからしてみれば……無能が忽然と消えたわけで、別に裏切ったようにも見えないので報復する気もありません。

一般人からすると……先日捕まった悪の組織の大幹部が粛清によって消され、その息子は親の敵討ちに燃えていると言った見方になります。

マルフォイからしてみれば……大手を振ってダンブルドア陣営に成れますし、親は日本で亡命生活ですので心配もない。

日本からすれば……未だに英国で影響力を有する貴族の一家を親日にさせるチャンス。

ダンブルドアからすれば……敵が少なくなったうえ、獅子身中の虫が味方になり、こちら側にそう言う戦力があると知らしめる結果になります。

つまり、みんなハッピーになれる訳ですね。

一応ナルシッサも日本に行ったおかげで、来年のとあるイベントをどうするかという問題が出てきますが……。

まあ、なんとかなるでしょう。

なる……はずだよよね?



感想、ご意見、ご質問、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。

では次回は

特別授業と幸運

次回もお楽しみに。



おまけ

「さて……君たちも俺も、だいぶ授業に慣れてきたよな?」

今年も何もなかったハロウィンが過ぎ、十一月に入った闇の魔術に対する防衛術の授業で、刀原はそう言った。

授業はかなり順調で、ハリーは得意の武装解除呪文なら無言で出来るようになってきたし、多くの生徒も簡単な呪文ならば無言で出来るようになっていた。

そしてハリー達の警戒を他所に、刀原はスパルタではない授業を展開しており……ハリー達のようやく杞憂だったかと思い込んでいた。

「慣れてきた。つまり、ある程度は出来るようになってきたという訳だ。そこで、授業をより()()()にしようと思う」

刀原は宣告するようにそう言い放った。

その瞬間、ハリー達『知っている連中』に衝撃が走った。

来るべき時が来た。
遂に開かれたんだわ。
……頑張ろう。

ハリー達は瞬時に諦めムードになった。
悟ったと言い換えてもいい。

一方、知らない連中は疑問に思った。

あれ?文字違くね?
実戦的?実践的じゃなくて?

間違いではなかった。

「じゃあ、手始めに……。俺と一対多数戦をしよう。ああ、安心してくれ、ちゃんと竹刀で応戦するからさ」

刀原は生徒達に広がる厭戦ムード(やりたくない)困惑ムード(なんか空気違くなった⁉)を無視し、竹刀を取り出しながらそう言った。

「俺をノックアウト出来たら、今日の授業はお仕舞でいいからさ」

その言葉に一部は色めき立つが、一部は出来る訳ないと思っていた。

DAでやっていたからだ。

ハリー、ハーマイオニー、マルフォイ、セドリック、チョウ、フレッド・ジョージ、ジニー等。

ホグワーツのオールスターメンバー(最精鋭パーティー)と言ってもいい彼らで、駄目だったのだ。

無理ゲーだった。

当然、完膚なきまでに……ボコボコにされた。



ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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