見ないでくれ
知らないでくれ
探らないでくれ
私は自覚したくない
私は気付きたくない
私は……
私は……ああ、分かっているとも。
ロンは多分……いや、間違いなく人生最悪の誕生日を過ごしただろう。
惚れ薬入りチョコレートを食べ。
ハリーと刀原に醜態を晒し。
気付け薬は毒薬で……。
最終的には医務室で過ごす羽目になったのだ。
最悪を長時間煮詰めた結果と言って良いだろう。
だが彼は、幸運でもあった。
ホグワーツでも屈指の『有事に対するプロ』が応急措置を施し、『いきなり魔法薬学に詳しくなった生徒』が
そして現在は昼になり、ロンは医務室でぐっすり寝ていた。
その傍では、ジニーやハーマイオニーが心配そうに座っている。
「変わりはないか?」
そう言いながら医務室に入ってきたのは、刀原だった。
「幸せそうな寝顔ですね」
「よかった」
近くにはハリーと雀部もおり、二人は来て早々にロンの顔を心配そうに覗き込み……グースカといびきをかいているロンを見て、ホッとした表情でそう言った。
雀部は警備、刀原とハリーは事情聴取で席を外していたので、悪化していないか心配していたのだ。
「ウィーズリーは大丈夫かの?」
ダンブルドアも、マクゴナガルとスラグホーンを連れてやってくる。
ロンを一目見た教授達は、相変わらずグースカと寝ているロンを見て安心したような表情を浮かべた。
やはり気が気でなかったらしい。
「良くベソアール石を思いついたのぉハリー。ショウも流石の応対じゃった」
ダンブルドアはそう二人を褒め称える。
二人が早急な処置をしなければ……命に関わる事態になっていたかもしれないからだ。
「確かに彼らの行動は称賛すべきです。……ですがそれよりも重要なのは『どうしてそうなったか?』では?」
「確かにそうですね」
マクゴナガルの言葉に雀部が頷く。
気づけたから良いものの、刀原もハリーも飲む寸前だったのだ。
言葉や表情では表していないが、最愛の人が毒を盛られた雀部の怒りは激しかった。
「贈り物にする予定だったそうですね?確か……ダンブルドア宛だと伺いましたが」
刀原は飲む前にスラグホーンが言っていた言葉を思いだし、彼に問いただす様に訊ねる。
「まあ、ダンブルドア狙いなら僕らに振る舞う筈もないですし?僕らが狙いなら、何かと理由をつけて飲ませれば良いでしょうから……」
「ああ。勿論、毒が入っているだなんて思わなかったよ」
スラグホーンは疲弊した様子でそう言う。
その様子から見ても、彼が毒を盛ったとは思えない。
もしこれが演技だとすれば、とんだ名優だろう。
アカデミー賞だって夢じゃない。
刀原は短い付き合いとはいえ、スラグホーンの人間性を信じることにした。
「それは元々、他の人から贈られてきたもので……。良い物だからダンブルドアに贈ろうとね……」
スラグホーンは続けてそう証言する。
「他の人?誰だか覚えていますか?」
「いや、匿名のフクロウ便だった」
「まだその紙等は残っていますか?」
「ああ、残しているとも」
「なるほど……『
刀原とスラグホーンのやり取りを聞いていたダンブルドアが、刀原がやりたいことに気が付く。
刀原はその紙などに追跡呪文をかけ、犯人を特定しようと画策しているのだ。
「ええ、追跡しきれるかは分かりませんが……。少なくとも、やってみる価値はあるかと」
「同感じゃ」
刀原の言葉にダンブルドアは頷く。
「ではスラグホーン先生、その紙を持ってきてはくれまいか?」
「ああ、勿論だ。待っていてくれ」
ダンブルドアからそう言われたスラグホーンは、ドテドテと小走りで医務室から出ていく。
そしてそのすれ違いとなる形で、ある少女がやって来た。
「彼は無事?私のウォン‐ウォンは?」
やって来たのは、ロンの彼女であるラベンダーだった。
「そこにいるよ」
刀原は腕を組んだまま顎で指し示す。
その先には相変わらず寝ているロンと、心配そうにそれを見ているハーマイオニーやジニー、雀部とハリーがいた。
「……何しに来たの?」
ラベンダーは殺意マシマシでそう言った。
誰に言ったのかは言うまでも無い。
「……貴女こそ、いまさら何しに来たのよ?」
ハーマイオニーは立ち上がって言う。
【これが修羅場ってやつですかね?】
【俺に聞くな。ワクワクすんな】
その様子をどことなく
刀原は
そんな二人を一切気にせずに……ラベンダーとハーマイオニーによる仁義皆無の女の戦いは幕を上げる。
「私は彼のガールフレンドよ」
「私は彼の……友達よ」
「笑わせないで。ずっと
「彼は毒を盛られたのよ?それなのにその言い方はなに?ちなみにロンは、前から面白かったわ」
「「「「まあ、確かに」」」」
ハリー、刀原、雀部、ジニーは、ハーマイオニーの言葉に思わず同意してしまう。
まあ確かに……いろんな意味でロンは面白い奴だ。
どう面白いかは……彼の名誉のために黙っておくが。
「う、う~ん」
ここで渦中の人になっているロンが、ベッドの上で身じろぎをする*1。
「ああ、ほら。私が来たのを感じたんだわ。ここにいるわよウォン‐ウォン……」
感づいたラベンダーが、少し焦った様にそう言う。
ハーマイオニーは、それをじっと見守る。
少しだけ……沈黙が流れる。
ロンはなんと答えるのか……注目が自然と集まる。
「……ハー、マイニー……」
ラベンダーは、ロンがなんと言ったのか分からないと言った表情をした。
ハーマイオニーは少し嬉しそうな表情をし、ラベンダーには目もくれずにロンの手を握った。
勝者は決まったなと、刀原は思った。
そしてそれは、この場にいた全員が思ったことだった。
ラベンダーは、打ちのめされた様子で医務室から出て行ったのだった。
「漸く決着か」
「長かったですね」
いずれこうなるだろうと思っていた刀原と雀部は、そう言って頷いた。
「回り道したわね」
「ああ、そうだね」
ジニーは「やっとか」といった表情でそう言い、一番の被害を被ったハリーは一息ついた様にそう言った。
「若い心に、愛の痛みは深く突き刺さるものよの……」
「そうやって、大人になっていくのです」
半ば蚊帳の外だったダンブルドアとマクゴナガルが、しみじみとそう言った。
「持ってきたよショウ、ダンブルドア……?……どうしたんだね?」
何も知らないスラグホーンが、不思議そうにそう言った。
「ンンッ。ありがとうございます、スラグホーン教授。では追跡を開始しますよダンブルドア」
「あ、ああ。そうしてくれい」
何処となく重くも甘い空気を払拭するように、刀原が咳払いしながらそう言う。
ダンブルドアも仕切り直す様にそう言った。
ーーーーーー
「これだよショウ」
「ありがとうございます。では『
ーーーーーー
結論から言えば……犯人はあっさり捕まった。
とあるスリザリンの7年生だった。
曰く「本当はやりたくなんか無かった。でも家族の為にはやるしかなかった」とのこと。
「じゃあ、しょうがないね」とは……ならないが。
服毒前
例えその被害者が
例え、命が失われなかったとしても。
これが殺人未遂事件であることに、変わりはないのだ。
しかし、
彼が悪いのではない、時代が悪いのだ。
可哀そうなのはロンであるが、強引に犯行を強要された七年生もそうだと言ったのだ。
またその七年生は……十分な反省と謝罪を示した。
ロンが起きた時に、ウィーズリー家がロンをお見舞いしに来た時に、即座にそれを行ったのだ。
そこそこの名家でもあったため、十分な賠償金も提示した。
彼の父親は、何とか死喰い人から抜け出し「息子の代わりに、私がアズカバンに行く」と言った。
マルフォイも
そして当のロンが、マルフォイから説得や各方面からの取り成しの声によって、罪に問う意欲がなくなっていた。
最終的な沙汰としては……。
七年生は二か月の罰則。
七年生の家族は、死喰い人から永久離脱。
死喰い人に加担していた父親は、取り調べの上、アズカバンに収監。
母親はフランスへ亡命。
そして、ある程度の賠償金をロンに支払うこと。
となった。
かくして、仮称『
しかし、簡単に収束しなかったことがある。
言わずもがな、ラベンダーの一件である。
ハーマイオニーとの仲を復活させたばかりか、半ば付き合い出したロンは何とかしようと思った。
ラベンダーからの殺気立った冷徹な目に、居たたまれなかったからだ。
半ば無意識の状態……つまり事実上の本音の状態で振った為、ラベンダー本人になんて言えばいいのか分からない。
それに
ロンは大人しく、友人達に泣きついた。
だが、彼ら帰って来た言葉は……己を見捨てる言葉や反応だった。
「
何も言わず、
「
ロンは絶望、特に最後のやつに絶望し……大人しくラベンダーから発せられる殺気を受けることにしたのだった。
ロンを救い、そして見捨てたハリーだったが、スラグホーンの
いよいよ本腰を上げてスラグホーンを調略しなくてはならないのだが、これがさっぱり上手くいかない。
ダメ元で真正面から交渉してみたが、当然ながら取り付く島もなかった。
ならば、なんとかスラグホーンを口説き落とす策を練らなくてはならないのだが……。
どう頭を捻っても、良い作戦も文言も出てこなかった。
少し前だったら自身が全幅の信頼を寄せている参謀を頼ったし、出来ることなら今もそうしたいのだが……あの様に言われた以上、ハーマイオニーとロンにしか意見を聞けない。
時間だけが過ぎていく。
そんな中、ハグリッドからしわくちゃになっている手紙が贈られてきた。
内容は『アラゴグが死んだ』というものだった。
ハリーとロンは「あいつか⁉」と思い出し、自分たちをディナーにしようとした奴らの
ハーマイオニーと刀原は「ああ、ハリー達から聞いた蜘蛛か」と思い出し、やはりその
雀部に至っては、かの存在を知らず「え、だれ?」となり……詳しく聞いた後は、やはりその
しかし、この会話と手紙は無意味ではなかった。
会話の途中で、ロンがある魔法薬の存在を思い出したからだ。
「ハリー、幸運だ。幸運になればいいんだ!あれを飲んで、スラグホーンの元へ行くんだ!」
ロンはハリーが持ち、今なお厳重に蝋封されている『
このまま
「じゃあ、飲むよ……」
おっかなびっくりの表情で、ハリーが数時間分だけ飲む。
「どう、どんな感じ?」
「ラッキーな感じか?」
ハーマイオニーとロンも固唾を飲みながら見守る。
やがてハリーは、まさに『覚醒した』かのような表情をする。
にやりと笑い、その表情には自信が宿っている。
「いい、ハリー。スラグホーン先生の所に行って、そして、分霊箱に関する情報を得る。良いわね?」
そう暗示を掛けるように、ハーマイオニーは言う。
「分かった。よし、じゃあハグリッドの所に行くよ」
それをハリーは真っ向から投げ捨てるかのような方針を発表した。
「「「
刀原以外の三人はハリーの言葉の意味を全く理解出来ないようだった。
「その方がいい気がした……。そうだな?そうなんだよな?」
刀原だけは、それをなんとなく理解したようだった。
しかし、それが仇となる。
「ああ!よし、ショウも行こう!」
「え」
ハリーは刀原の肩をガシッと掴む。
後に「しょう君の、あんな情けない声聞いたの、本当に久し振りでしたね」と雀部が語る声を、刀原は上げる。
「その方がいい気がするんだ!今夜は、あそこで決まりだよ!意味分かる?」
「「「「いや、全く」」」」
ハリーは正に猪突猛進になっていた。
四人が理解不能になっていることにもお構い無しだった。
「さあ、行こうショウ!」
「え、ちょ、ハリー、ちょと待て!ちょっと助け「「「い、いってらっしゃーい……」」」おい!」
刀原は三人に助けを求めるが、三人は手を振ってそれを見送る。
『
三人にとって刀原は、
「覚えてろお前ら!」
刀原はそんな捨て台詞を吐きながら、ウッキウキのハリーに半ば引きずられていった。
なんでこうなった……。
ハリーの気分の赴くままにやって来て、目の前で行われている光景を前に、刀原は複雑な気分でそう思った。
ハグリッドはカパカパと酒を飲み、スラグホーンも気分よく酒を飲んでいる。
ハリーはそれを、ニコニコしながら見ている。
アラゴグと名付けられていたアクロマンチュラの葬儀が終わり、ハグリッドの小屋で行われ始めた宴会は、まさに
何故こうなったのか。
刀原は今までのやり取りを思い出す。
ーーーーーー
グリフィンドールの寮を気分上々で出たハリーと、ため息を吐きながら出た刀原は、幸運に導かれるようにハグリッドの小屋へ向かっていた。
目的はスラグホーンの筈。
何故、ハグリッドの小屋に向かっているんだ?
その理由は直ぐに分かった。
「こんにちは先生!」
ハグリッドの小屋に向かう途中、有毒食虫蔓を失敬しようとしていたスラグホーンに遭遇したのだ。
「ああっ!ハリーか!それとショウも……。こりゃたまげた。驚かせないでくれ……」
スラグホーンは
「教授。あの、スプラウト教授からの許可は?」
「ああ……えっと……勿論、いけないことだとは分かっているのだが……採れたて新鮮な有毒食虫蔓は希少でね。それに。新鮮な物と、ある程度の時間が経過した物でどう違うのか……と言う学術的興味もあるのでね」
刀原の指摘に、スラグホーンはウインクしながらも懇願するように言う。
要するに内緒にしてくれと言う事だな。
でもそれをハッキリとは言えないと。
そう察した刀原が、「僕は見なかったことにします」と言えば、スラグホーンは安堵の表情を見せる。
「そう言えばハリー、何故ここにいるのかね?まあ、ショウが付いているのならば、これ以上に安心な状態なぞなかろうが……」
「実は先生、僕たちハグリッドの所に行く予定なんです。ハグリッドの友達だったアラゴグが昨夜死んだので、その埋葬に立ち会うことに」
「そうかね。アラゴグ……どんな存在なのかね?」
ハリーの説明にスラグホーンは興味を示した。
「アクロマンチュラですよ。
刀原はスラグホーンを巻き込むチャンスだと思い、強調するようにそう言った。
「僕自身はアラゴグとなんの接点もありませんが、アクロマンチュラの遺体がどれほど貴重か……教授なら知っているでしょう?」
「確かに、アクロマンチュラの毒は非常に貴重だ。生きている内に毒を採取するのはほぼ不可能。故に、半リットルで百ガリオンになる。勿論、他の部位も……。そちらは、サンプルかね?」
「ええ、アクロマンチュラは日本に生息していませんから。ある程度のサンプルが欲しいんですよ。僕はハグリッドと親しいので……上手く交渉すれば、得られるかも」
「ふむ」
二人は、悪い顔をしていた。
そして刀原は、上手く乗せられたと思っていた。
ハグリッドの心象を害してまで、アラゴグの死骸からサンプルを得る必要などない。
欲しいのなら、禁じられた森にいる何体かをやればいいだけだ。
刀原のそんな心象も知らず、スラグホーンはその気になっていた。
「ではハリー、ショウ。あっちで落ち合おう。私は飲み物を一、二本持って、改めて向かうとしよう」
スラグホーンはそう言って、バタバタと城へ戻っていった。
ハリーは大満悦で、刀原は悪い顔をしながらハグリッドの小屋に向かった。
二人を迎えたハグリッドは打ちひしがれていた。
「アラゴグが死んだんで、他の連中は俺を巣に一歩も近づけさせねぇ。ただでさえ、二年前に原因不明の壊滅的打撃を受けていたからな。不信がっているんだ」
ハグリッドは溜息を吐きながらそう言った。
「壊滅的打撃?」
「ああ、巣は文字通り壊滅。個体数も大幅に減った。アラゴグは辛うじて無事だったらしいが……あいつは「黒が襲い掛かってきた」って言ってた。信じられん、あいつらの巣を壊滅させられるやつなんて」
そう聞いたハリーは、あいつらの個体数が減ったのは良いことと思った。
そして刀原は、二年前に行った行為*2がバレてない事を安堵した。
やがてスラグホーンもやって来て、アラゴグの死骸の前で粛々とした葬儀が行われた。
その際、スラグホーンは自身の目的を達成した。
そして、時系列は冒頭に戻る。
ーーーーーー
埋葬が終わったあと、ハグリッドの小屋では飲み会が行われた。
ハグリッドはスラグホーンの世辞で気が大きくなり、酒をカパカパと飲んだ。
スラグホーンは、自身が無事に目的を達成したことで、こちらも気分よく酒を飲んだ。
ハリーは二人の酒瓶に補充呪文を掛け、酒が無くならない様にした。
刀原は、とんとん拍子に事が上手くいっていることに戸惑い、複雑な気分になっていた。
やがてハグリッドは、いびきをかきながら寝始めた。
「酷い話だ、私はいつも……いや、よそう」
スラグホーンは、ついさっきまで話題に上がっていたハリーの両親について、何か言いたげだった。
「リリーは素晴らしい女性だった。ユーモアがあって、勇敢で……。なのに」
「先生。母は僕に命をくれました。助けてくれました。なのに先生は、助けてくれないんですね。記憶をくれないのですね」
ハリーははっきりと言った。
「そんなことを言わんでくれ。確かに助けたい……しかし、役には……」
「役に立ちます。ダンブルドアには、僕には、情報が必要なのですから……」
そこまで言って、ハリーは身を乗り出した。
「僕は『選ばれし者』です。奴を倒すのは、僕の責務です。そのために、先生の記憶が必要です」
ハリーの目には、確かに覚悟が宿っていた。
「……君は、私に決断を迫っている。『あの人』の破滅を援助しろと……」
「恐ろしいと言う気持ちは理解出来ます。でも、先生……勇気を出してください。母の様に……」
「…………」
スラグホーンは、それでも悩んでいる様子だった。
「教授。確かに、その情報を出したことは……恥ずべき行為かもしれない。しかし、このまま何もしなければ……それこそ本当の恥ずべき行為です。そしてそれを帳消しにするには……記憶が必要です」
「それはとても勇敢で、気高いことです」
刀原とハリーの言葉に、スラグホーンの瞳は揺れ動いた。
沈黙が流れる。
「私を責めないでおくれ。悪く思わないでおくれ……。あの時、ああなるとは思わなかったんだ」
スラグホーンは懇願するようにそう言った後、杖をこめかみに押しあて……長い銀色の糸を出した後、それを瓶に入れた。
「未来は誰にも分からず、確定していません。ですが、これだけは言えます。この瞬間、ヴォルデモートの滅びは……より確定に近づきました」
「ありがとう先生」
刀原とハリーがそう言ったのを確認すると、スラグホーンは酔いもあってか、眠りに落ちた。
ハリーと刀原は、既に夜が深いことも気にせずに、校長室に向かった。
幸運の液体の効果は切れていたが、幸いな事にダンブルドアは校長室に居た。
ダンブルドアはハリーが真の記憶を入手したことを大いに喜び、三人はすぐさま憂いの篩で記憶を見た。
そしてその記憶の中は、ある意味予想通りの……そして最悪の答えがあった。
ヴォルデモートは、分霊箱を六つ作成した……という答えだ。
これでヴォルデモートの魂は、本体含めて七つだと言う事だ。
もっとも、既に二個は破壊済みだ。
『トムリドルの日記』
『マールヴォロの指輪』
しかし、ということは……。
「あと四個もあるのか」
刀原はヴォルデモートの生き汚さに呆れていた。
「先生は、何を分霊箱にしたと思いますか?」
「推察するしかないが……あやつは品物自体が何か特別な物、偉大な物であることを好んだであろうと思う」
「なら簡単だな。俺の記憶が確かなら、あいつはそれらしいものを奪っている」
ハリーとダンブルドアの言葉に、刀原は思い出すように言う。
「それらしい物?」
「ホグワーツの創始者所縁の品。ハッフルパフのカップに、スリザリンのロケット。「偉大なる俺様にふさわしい品だ」とか言いそうだし」
刀原は声真似をしながらそう言う。
「おそらく正解じゃ」
ダンブルドアはクスリと笑いながらそう頷く。
「あと二個は、レイブンクローとグリフィンドール所縁の品?」
ハリーは指を二本にしながら言う。
「俺の勘だが、多分レイブンクローだと思うね。グリフィンドール所縁の品で思い出すのは剣だが、それはまだ健在だし」
刀原はダンブルドアの机の裏にある『グリフィンドールの剣』を、親指で指さしながらそう言う。
「確かにのう」
「レイブンクローだったら……レイブンクローの髪飾りだな。あれは失われたらしいが、あいつは発見してるかも」
「じゃあ、最後の一個は……?」
ハリーは人差し指を見ながら考える。
「いるだろう?奴と四六時中一緒にいる……でっかい奴が」
「え、蛇!?でも、それって可能なの……?」
「いや、駄目だろう。自立走行出来るってことは、どっか行くかもしれないってことだし」
「ショウの言う通り、あまり推奨される話では無いのう。じゃが、そうであろうという実証がある」
刀原とハリーの言葉に同意しながら、ダンブルドアは頷く。
「なら問題は、何処にあるか……だよね?」
「ああ。……だけど」
「なにか予測があるのかね?言ってみてくれんか?」
ハリーの指摘に刀原が悩んだように言うと、ダンブルドアはそれを言うように促す。
「そうですね……まず、ホグワーツにはあるかと。奴にとって、この学校は思い出の詰まった母校。それに、沢山のギミックがあります。何処かに隠した可能性は非常に高い」
「確かに。あ奴にとって、この学校は特別な存在じゃろう」
「もう一つは……断固たる確証は皆無ですが、部下に預けた。ルシウス・マルフォイが預かっていたように」
「アントニン・ドロホフや、ベラトリックス・レストレンジとかに?」
「ベラトリックス?……それだ!ベラトリックスは奴の副官の様な存在だった。預けていてもおかしくない!」
「じゃあ、レストレンジ家にある?」
「いや……まあ確かに、あのベラトリックスだったら……敬愛するご主人様(笑)から預かった品を家に飾ったりするかもしれないけど。焼き討ちとか、家ごと爆破されたら終わりだから……」
「や、焼き討ち、爆破……」
「相変わらず物騒じゃのう」
「え、普通の策では?」
「「…………」」
「……でも、じゃあベラトリックスはどこに保管したの?」
「金庫、いや軽微過ぎる……。金庫、銀行!」
「なるほど、グリンゴッツ。確かにあり得そうじゃのう」
「アルバス、直ぐに魔法省へ連絡して強制捜査の手続きを。レストレンジ家は全員死んでるかアズカバンです。立ち合いには親戚筋としてシリウスやドラコが行ける筈」
「良し、直ぐに手配しよう」
「あと一個は……」
「それについてはわしに心当たりがある」
「学校を留守にしていた時は、そういう場所を訪ねていたのですね?」
「ああ、学校はショウ達の尽力で鉄壁じゃからの。そしてそこに行く時には……ハリー、同行して貰えるかの?」
「望むところです」
「さて、明日から忙しくなりそうじゃの」
手繰り寄せる、奇跡の道筋
引き寄せるには幸運と頭脳。
まず……更新が遅れてしまい、すみませんでした。
資格だったり、引っ越しとかで時間が無かったのです。
頑張って更新するので、今後ともよろしくお願いいたします。
映画版での、ハリーのコメントに笑いました。
「死んでるようですね」なんて、ニコニコ顔で言うんじゃないよ。
そして流れるような幸運の連発。
はっきり言って、チートです。
グリンゴッツに強制捜査。
全てはベラトリックスが死んでいるから。
気付いたんです。
ベラトリックスが死んでいるため、ポリジュース薬で彼女に変身してグリンゴッツに入れないこと。
例え変身しても、死んでいるため失敗すること。
ベラトリックスの夫は、影が薄くて介入出来ませんし。
よって、ハリー達はグリンゴッツに潜入が出来ません。
一応……ドラコを利用すると言う手も、無い訳では無いのですが……。
多分その策はヴォルデモートによって封じられます。
なので、まだ魔法省……国家権力がこちらの陣営である内に、強制捜査の上で発見するしかありません。
と言う事で、刀原君には奇跡の閃きをして貰いました。
刀原君、君なら出来る……筈だよね?
ってかしてくれ、お願い。
感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。
では次回は
捜索、そして襲撃
次回もお楽しみに。
ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?
-
1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
-
2『要らない!』vs賊軍は全部カット
-
3『後にしろ!』終了後、おまけとして
-
4『お前も同行!』刀原も旅に参加する