ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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遠くから、微かな悲鳴が聞こえる

叫んでいるのだ
嘆いているのだ

だが、奴にはそれが聞こえない。








死神、本気を出す。捜索、そして襲撃

 

 

ヴォルデモートが作成した分霊箱の数が六個であることは、奴の撃破に大きく近づいたことに他ならない。

 

まあ、例え分霊箱の全てを破壊したとしても……ヴォルデモート自身が世界最高峰の魔法使いであることは変わらないため、その撃破には苦戦が想定されるが。

 

だが、それでも。

 

分かったこと自体は、やはり大きな一歩だった。

 

 

 

分霊箱を探すにあたって重要なこと……『どんなものか』『どこにあるのか』を刀原が推理した日の翌日。

 

刀原はDAのメンバーでも特に信用に値する人物、ハリー、ハーマイオニー、ロン、ネビル、ジニー、ルーナ、チョウ、マルフォイを招集した。

 

本来はハリー達三人に任せようと思ったのだが、如何せん頭数が少なすぎると判断したからだ。

 

「ってことで、かの有名で厄介な頭のイカれた魔法使いを倒すため……まあ、あまりにも凶悪過ぎるんで詳細は話せないんだが……俺たちは面倒なことに、とある品を探さなくちゃいけない」

 

刀原の言葉に、ハリー達三名を除く者たちはざわついた。

 

「とある品って、その正体はなんなの?」

「僕たちにも秘密なのかい?」

 

チョウとネビルが刀原に聞く。

 

「その疑問は最もだ。俺もそこら辺の、普通の物だったら言えるんだが……ちと格が違う。だから言えない。ただ、これだけは言える。その正体は『日本魔法界が永久封印を決定し、ダンブルドアが自ら管理すると判断した本に書かれている物』だ」

 

刀原は真面目な顔でそう言う。

 

「……とんでもなく邪悪でヤバい物ってわけだな」

 

ドラコは内心で戦慄しながらそう言った。

 

「そう言うことだ。だから人数を絞った。だから君たちを呼んだ。俺がいまホグワーツにいるホグワーツ生の中で、最も信頼している君たちをな」

 

刀原の言葉に、彼らはしっかりと頷いた。

 

「では詳細を伝える。ターゲットは『スリザリンのロケット』『ハッフルパフのカップ』『レイブンクローの髪飾り』の三つだ」

 

「どれもホグワーツの創始者所縁の品だな」

 

「ええ、伝説的な品々だわ」

 

哀れにも分霊箱になっているであろう品々を刀原が言うと、チョウやマルフォイは反応を見せる。

 

「この三つのうち、一つだけがホグワーツ城のどこかにある。各位はこれらを見つけ出してほしい。手段は問わない。各教授達からの内諾は得てるからな」

 

「……なにか、心当たりのある場所は?」

 

ジニーがそう聞く。

流石にノーヒントは難しすぎるからだ。

 

「何か、特別な場所に置いたのは間違いない。そこら辺の適当な場所とかだったら、ひょんなことから見つかるかもしれないからな。俺の勘だと……スリザリンの談話室。秘密の部屋。必要の部屋……ぐらいかな」

 

「なるほど、あり得そうな場所だわ」

 

刀原の推察にハーマイオニーが頷きながら言う。

 

「じゃあスリザリンの談話室を僕が探そう。何か紛失したとか言って、寮の皆に探してもらうが……いいな?」

 

マルフォイはそう言って、刀原を見る。

プライドもへったくれもないが、効果的な策だ。

 

刀原は了承の意を込めて頷く。

 

「じゃあ私たちは秘密の部屋に行きましょう。どうせハリーしか行けないでしょう?」

 

ハーマイオニーはそう言って、ハリーとロンを見る。

 

「あ、そのついでにさ……バジリスクの牙を数本、採取してきてくれ。分霊箱を破壊するには強力な呪文か、武器とかじゃないといけないからな」

 

刀原はハーマイオニーにそう言った。

 

「ってことは、私たちが必要の部屋ね?」

 

チョウがネビル、ジニー、ルーナを見ながら言う。

 

「一番大変な場所に人数を置く。常套手段だな」

 

刀原も頷く。

 

「で、ショウは?」

 

指で数えていたルーナが、残った一本を刀原に見せる。

 

「俺は忙しい。残念ながら手伝えない」

 

刀原は首を振る。

 

報告、防衛戦、授業、外交、会議。

そこに捜索を加える為には、刀原は影分身を習得している必要があった*1

 

「まあ、そうだよね」

 

刀原が忙しいのを知っているハリーが、「お疲れ様です」と言わんばかりに頷いた。

 

「んじゃ、そういうことで。よろしく」

 

刀原がまとめるように言えば、全員が頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

重要極秘事項

 

 

(ヴォルデモート)案件』

第七号報告書

 

 

発 

 

遣英救援部隊長 兼 三番隊隊長

刀原将平

 

 

 

一番隊隊長 兼 総隊長

山本元柳斎重國殿

 

マホウトコロ校長

藍染惣右介殿

 

日本魔法省大臣

市丸ギン殿

 

その他、関係各位へ。

 

 

 

先の報告の通り、Ⅴの不死の秘密が分霊箱だったことは……先日お伝えしたかと思います。

 

そしてこの度、奴が作成した個数が判明致しました。

 

ダンブルドアの考察、スラグホーンの記憶を鑑み……個数は『本体含めて七個である』と推察されます。

 

また、ダンブルドアとの協議の末……分霊箱になったであろう六品は、以下の通りと推察されます。

 

『トムリドルの日記』破壊済み

『マールヴォロの指輪』破壊済み

『スリザリンのロケット』

『ハッフルパフのカップ』

『レイブンクローの髪飾り』

『奴のペット ナギニ』

 

現在はダンブルドアが捜索しており、痕跡のある場所が一つ判明してます。

 

また残り三つのうち、一つはホグワーツ城内、一つはグリンゴッツにあるレストレンジ家の金庫と思われます。

 

ホグワーツに関しては、ハリー・ポッター以下、情報共有者及び協力者による捜索を水面下で開始致しました。

 

残りのグリンゴッツに関しては、英国魔法省に働きかけ……戦時特例による強制調査を実施予定です。

 

しかし、英国魔法省にはⅤのスパイや協力者等がいるため、阻止及び露呈の恐れが極めて大です。

 

そのため、市丸魔法大臣におかれましては……外交ルートでの後押しと隠蔽をお願いいたします。

 

 

以上、報告終わり』

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ハリー達による分霊箱大捜索会が開幕してから一週間がたったが……残念ながら、発見には至ってなかった。

まあ、そんな簡単な話ではないということだろう。

 

一応……スリザリンの談話室には無く、秘密の部屋にも無いことは分かった。

 

しかし、残った心当たりのある場所……『必要の部屋』の捜索は極めて難航した。

 

如何せん、物がありまくるのだ。

 

この部屋に見事たどり着いた歴代のホグワーツ生が隠した様々な物が、その捜索を阻んだのだ。

 

惨状を見た刀原が「面倒だなぁ……焼き払うか」と思わず呟くほどだった。

 

それに彼らにも、学業やらクィディッチの練習やらがあった。

ゆっくりとやるしかなかった。

 

 

だが、進展したものもある。

 

グリンゴッツの強制捜査だ。

 

許可が下りたのは……。

 

日本からの圧力に、ダンブルドアと刀原からの圧力。

そしてスクリムジョールが実施していた、粛清という名の膿の抽出の成果と言えた。

 

名目は『死喰い人が所持し、保管しているであろう闇の魔法物品の押収』*2

 

その極秘性が故に、スクリムジョールには詳細を知らされなかったが……「打倒ヴォルデモートに必要なのじゃ」というダンブルドアの言葉に、彼は全てを納得した。

 

そして当日。

 

ダンブルドア、刀原を筆頭とし、メンバーをスクリムジョールにキングズリー、シリウス、マッドアイとした捜査班は、グリンゴッツに踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ここからは……ショウと二人だけで行く。お主たちはここで待っててくれんか?」

 

刀原にとっては初体験だったグリンゴッツのトロッコを降り、ダンブルドアは他の者たちにそう言った。

 

「気を付けろダンブルドア。事情はよく分からんが、『例のあの人』案件ならば、殊の外の用心がいる」

 

マッドアイがそう周囲を見渡しながらそう言う。

 

「分かっておるよ。わしの気がかりは有事になった時、ショウの足手まといにならないかどうかじゃ」

 

ダンブルドアは頷きながらそう言う。

 

「頼むぞショウ」

 

シリウスは刀原の顔を見ながら言う。

 

「大丈夫です。何かあったら周囲を吹き飛ばしてでも、目的を達成して逃げますから」

 

刀原は笑いながらそう言う。

 

こうして刀原とダンブルドアはレストレンジ家の金庫の前に立つ。

 

名家の金庫はかなり厳重で、その雰囲気はかなりのものがあった。

 

ダンブルドアは杖を抜き放ち、刀原も腰にある斬魄刀の鯉口を切った。

 

「で、では、開けます。準備はよろしいですか?」

 

不幸にも案内役になった小鬼が、その物々しさに震えながらそう言う。

 

「うむ」

「ええ」

 

そんな小鬼を全く見ずに二人は頷き、開かれた扉に突入した。

 

 

 

中は金庫とは思えないほど広かった。

 

天井から床までぎっしりと詰まった金貨やゴブレット、銀の鎧、宝石で飾られているフラスコ等々。

レストレンジ家が営々と蓄えてきた財宝たちが二人を出迎えた。

 

「これらには触れない方が良さそうじゃのう」

 

ダンブルドアが近くにあったゴブレットを観察しながらそう言う。

刀原はそれに同意するかの様に頷く。

 

触れたら毒に侵されるとか、火傷するとかの可能性が高いからだ。

 

だがそれは、極めて難しい要件だった。

何せ物が多すぎるのだ。

 

それでも、二人は何とか部屋の中央にたどり着く。

 

穴熊のカップか、蛇のロケットか、鷲の髪飾りか。

 

二人は杖の灯りを頼りに周囲を見渡す。

 

そして……見つけた。

 

「アルバス、あれじゃないか?金のカップに穴熊が彫ってある奴」

 

暗視が効く刀原が、そう言ってカップを指差す。

 

「どれじゃ……?」

 

ダンブルドアは目を細めながら刀原が指差している方を向く。

 

そして目をランランとさせ「うむ、間違いない!」と歓喜の声を上げた。

 

「さて、どうやって手にしようかの。引き寄せ呪文も浮遊呪文も使えぬが……」

 

歓喜の声を上げたダンブルドアだったが、直ぐに思考を冷静にし、考える。

 

カップは非常に高い位置に存在し、何も触れずに手にするのが不可能に見えたからだ。

 

しかし、ダンブルドアに救いがあったとすれば……彼の同行者が魔法に捕らわれない人物だったことだろう。

 

「なんの問題もありませんよ」

 

刀原はそう言って空中を階段を上がるかのように歩行し始め、易々とカップの元にたどり着く。

 

そして白い手袋を付けなおし、カップを掴んだ。

 

「熱っち!『燃焼の呪い』か!」

 

手放しはしなかったが、手袋越しからも感じる熱さに刀原は一瞬だけ顔を顰める。

 

「ショウ!大丈夫かの!?」

 

ダンブルドアが心配そうに声を上げる。

 

「ちょっとびっくりしましたけど、これくらいなら問題ないです!」

 

これくらい、重じいの火力と比ぶべくもない。

 

刀原はダンブルドアにそう言い、直ぐに霊圧を纏ってその熱さを遮断し、床に着地する。

 

任務は完了した。

後はさっさとここからおさらばするだけだ。

 

しかし、障壁は『燃焼の呪い』だけでは無かった。

刀原がカップを握った直後から、カップの偽物が手の中から溢れていたのだ。

 

そしてこの『燃焼の呪い』と『双子の呪文』は、他の品々にも掛けられていたのだった。

 

気が緩んだダンブルドアと刀原が、思わず蹴とばしたり触れてしまった品々が、津波の様になっていたのだ。

 

「ええい、煩わしい!」

 

左手にカップを持ったまま右手で刀を抜いた刀原がそう言って、斬払いを放った。

 

着実に増えていた品々が吹き飛び、盛大な音と共に奥の壁に叩き付けられる。

 

「荒っぽいのう……」

 

出口にたどり着いたダンブルドアが呆れた様に言う。

 

「邪魔だったので」

 

刀を収めながら、刀原はあっけらかんと言った。

 

二人はそんなやり取りをした後、レストレンジ家の金庫を後にした。

 

 

 

 

 

 

ハッフルパフのカップは、やはり分霊箱になっていた。

 

そしてこのカップの発見に一番貢献したのは、やはり刀原だと言う事になった。

 

刀原はその貢献度を使い、カップの破壊方法をダンブルドアから一任されることになった。

 

「さっさと破壊したいところだが……浦原さんや藍染校長からの要請があるからな。だけど、これほど重要な物を護衛なしで送るわけにもいかないし……やっぱ来てもらうのが早いかな」

 

そう判断した刀原は、さっそく手紙を出した。

 

そしてその、僅か数日後。

 

「あの、確かに来ませんかと誘ったのは僕なんですが……。フットワーク軽すぎませんか?」

 

「いやー分霊箱の実物が見れるなんて、多分もうないっスから。科学者の端くれとしては、この絶好の機会を逃す手は無いと思ったんスよ」

 

「私も同意見だ。貴重な機会、貴重な実物。直で見るのが早いと判断したまでだよ」

 

「あ、そうですか」

 

浦原と藍染が緊急訪英したのだ。

目的は当然、分霊箱の検分。

 

場所は必要の部屋。

 

こうして……ダンブルドアもやって来ての*3、分霊箱の耐久実験が行われることになった。

 

「じゃあ、何からしましょうか……藍染サン」

 

「そうだな……ではまずは、小手調べといこうか」

 

藍染はそう言って、自身が持つ強大な霊圧を分霊箱に叩き込んだ。

床がその膨大な霊圧に耐え切れず、ひびが入る。

 

「ほう……」

「やっぱ駄目っすか」

 

だが日本でも屈指の霊圧量を誇る藍染でもってしても、分霊箱は破損しなかった。

 

「じゃあ、今度はアタシっす。破道の七十二『双蓮蒼火墜』」

 

浦原が鬼道を叩き込む。

 

だが、やはり損傷は見られない。

 

「これもやはり駄目……。将平君は、何かないかい?」

 

「あー。では……」

 

藍染に促された刀原が、刀を抜いて分霊箱を拾う。

そしておもむろに空中へ放り上げ、「おりゃあ!」フルスイングした。

 

ガキンという金属音と共に、分霊箱は吹っ飛ぶ。

 

吹っ飛んだ分霊箱は壁に激突するが、それでも損傷は見られない。

 

「始解したっスか?」

 

「まさか。まだしてませんよ」

 

浦原の問いに刀原はおどけた様に言う。

 

「さて……今のところは仮説通りだね。霊圧だけでは無理、八十番台後半の鬼道では無理、始解あるいは卍解した斬魄刀でないと無理。では、それらはどうなのだろうか」

 

藍染はまとめるように言う。

その表情は、まさに「興味は尽きない」と言った情だった。

 

ダンブルドアはその言葉に啞然としていたが。

 

「何から試そうか。浦原隊長、将平君」

 

「始解した斬魄刀はどうです?将平君の始解は強力ですから後にして、まずはアタシの始解で切ってみましょう」

 

浦原隊長はそう言って、持っていた杖を構える。

 

「起きろ『紅姫』」

 

始解した浦原は落ちている分霊箱を拾い、空中へ放り上げると縦に切りつける。

 

分霊箱はまたもガキンと言う金属音を鳴らし、床に叩き付けられる。

 

「これも駄目っすか。まあ、予測通りと言えばそうっすけど」

 

「やはり始解状態で破壊が出来るのは……流刃若火、神殲斬刀、雷霆、氷輪丸と言った、鬼道系や直接系の最高峰達だろうね」

 

「次は何を試してみます?」

 

「では鬼道を試そう。破道の八十八『飛竜撃賊震天雷砲』」

 

藍染の手から極太の雷が光線となって打ち出される。

その練度は刀原のそれを上回っていた。

 

流石に黒焦げにはなったが、それでも分霊箱としての機能は保たれていた。

 

「ふむ、では九十番台になるか」

 

「そうみたいっスね。でもぶっ放すのは止しときましょうか」

 

「ああ、そうするべきだね」

 

藍染と浦原はそう言う。

 

そしてそれを聞いたダンブルドアはホッと胸をなでおろす。

さっきの奴(飛竜撃賊震天雷砲)でもヤバかったのに、これ以上はこの部屋が耐え切れないと思ったからだ。

 

「では将平君。止めを刺してあげなさい」

 

「もういいんですか?」

 

「ええ、十分にデータは集まったっス。どうせ九十番台で壊せると思いますし、最後は斬魄刀っす」

 

「了解しました」

 

藍染と浦原に促された刀原は、分霊箱の前に立つ。

 

「一閃煌めき両断せよ『神殲斬刀』」

 

始解すると、刀を逆手に持ち替え、切っ先を分霊箱に向ける。

 

「よっ」

 

刀原は慎重に斬魄刀を分霊箱に突き刺した。

 

パキンという音が響き、直後に遠くから微かな苦痛の声が聞こえた。

それは刀原が破壊した物から響いた悲鳴だった。

 

「末恐ろしい物だ。そして汚らわしい」

 

藍染が冷徹な目で、残骸となったカップを見る。

 

「こんな物を使ってまで、生きようなど、考えられないっス」

 

浦原も藍染と同じ目でそれを見る。

 

「個人的には……もうコイツを斬りたくないです。この子が、斬刀が汚れる」

 

懐からハンカチを取り出し、刀の切っ先を拭う。

まるで一生懸命に宥めているように。

 

「確かに、さっきから紅姫がお冠っス」

 

浦原もそう言って斬魄刀の柄頭を優しく撫でた。

 

「……とにかく、貴重な情報を得られました。これらを急ぎ大霊書回廊に登録しなければなりません。それに、日本を留守にするわけにもいかないので……アタシらは、これにて失礼します」

 

ダンブルドアの方を向いた浦原が、そう言う。

 

「ご足労様でした」

 

ダンブルドアはそう言って頭を下げる。

 

こうして分霊箱の一つは破壊されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

分霊箱は、あと三つになった。

そのうちの一つは奴の傍にいて、もう一つは未だ発見には至ってなかったが、ホグワーツにあると推察されていた。

 

そして……所在が分からなかった最後の一個の在り処が、ついに分かった。

 

ダンブルドアはか細いリドルにまつわる記憶を辿り、彼が幼少期に行った海岸の洞窟を発見し、そしてそこで魔法の痕跡を発見したのだ。

 

「常に気を強く保て、常に冷静さを保て。しっかりな」

 

ダンブルドアと共に危険地帯へと向かうハリーに、刀原はそう言った。

 

ハリーはそれに対し、緊張気味に頷く。

 

「ではハリー、まいろうk」

 

ダンブルドアがそうハリーを呼んだ、その瞬間。

 

パリーンと言う音が、ホグワーツを揺らした。

 

ホグワーツが誇る魔法障壁が破られた音だ。

 

そして空には二年前と同じように、大きな口の様な物が三つ空いていた。

 

「ここは任せてください。ハリーとアルバスは予定通り、分霊箱の捜索へ」

 

刀原はそう言って、瞬歩で消える。

既に大量の虚が現れ始めていたからだ。

 

「ショウ達に任せる他ないの。わしらは捜索に向かうとしよう」

 

心配そうなハリーに、ダンブルドアはそう言って姿暗ましをした。

 

 

 

「すまん、遅れた。状況は?」

 

有事の際には中庭に陣を敷く様に段取りにしていた刀原は、予定通りに敷かれた陣の中で指揮を執っていた雛森にそう聞いた。

 

「生徒達の避難は完了。一護君達の現着予定は約三十分後。現在は…ルキアちゃんが避難の最終確認。恋次君と冬獅郎君と雷華ちゃんが既に戦闘に入っている状態かな。それと、三人からの情報だと……破面を四名、視認したとの報告」

 

聞かれた雛森は少し安心したような素振りを見せた後、淡々とそう報告する。

 

「破面、やっぱりか。人員は?」

 

「一人はグリムジョーって奴。後の三名は初対面のため、詳細不明」

 

「誰が当たってる?」

 

「グリムジョーは「一護を出せ!」って言ってるから放置。金髪で幼そうな奴は鳥と戯れているから放置。恋次君は他の虚の殲滅。後二人の内、中性的な小柄の男は冬獅郎君が速攻で凍らせて抑えた。巨漢の奴は雷華ちゃんがやってたんだけど、妙に強くて……今は冬獅郎君と二人でやってる」

 

「分かった。じゃあ、俺はまず金髪の奴を仕留めるよ」

 

「え?報告では無害っぽいって……」

 

「だとしても放置する訳にもいかんだろう。んじゃ、行ってくる。本陣は頼んだ」

 

「任せて下さい。そっちも気を付けて下さい」

 

「ああ」

 

刀原はそう言って本陣を飛び出した。

 

目標は霊圧感知で割り出した、金髪の男。

 

「あう?」

 

いきなり接近した刀原に対し、金髪の男……ワンダーワイスは締まりのない声でそれを見る。

 

それを刀原は一切気にせず……。

 

「よう、一閃煌めき両断せよ『神殲斬刀』」

 

刀原はワンダーワイスに接近し、始解する。

 

「『斬払い』!」

「オロァ!?」

 

そしてワンダーワイスを吹き飛ばした。

 


 

当初、巨漢の男・ヤミー・リヤルゴと戦っていたのは雀部だった。

 

だがヤミーが持つ予想以上のタフさに手こずり、中性的な小柄な男・ルピ・アンテノールを速攻で凍らせてきた日番谷との二対一に移行したのだ。

 

でも、崩せない。

 

「まだ、許可下りねぇのか?」

 

「まだ……みたいですね」

 

まだとは、『卍解の許可』の事だ。

如何せん他国の重要施設であるため、開放には現地行政府(英国魔法省)の許可がいるのだ。

 

「どうした隊長格!そんなもんかぁ!」

 

そんな事情を知ってか知らずか、ヤミーは攻撃の苛烈さを増す。

 

苦い顔でそれを迎え撃つ二人、しかしここで雛森から待ちに待った連絡が入る。

 

「英国魔法大臣、およびダンブルドア校長からの許可が下りました!卍解の解放が可能です!」

 

来た!

 

「「『卍解』」」

 

「『大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)』」

「『大雷公霆天神社(だいらいこうていてんじんやしろ)

 

二人はそれぞれ構えを取り、卍解を発動した。

 


 

「卍解したか。ま、そうだよね」

 

二人の卍解を察知した刀原は、既に異形の姿へと変貌しているワンダーワイスを見ながらそう言った。

 

「あああああ!」

 

「おっと!予備動作がねぇな。それに速ぇし、威力も高そうだ。……まあ、直撃すればの話だが」

 

ワンダーワイスは目の前の外敵を排除するだけを目的にしているようで、己のパンチを予備動作も無しに放って来た。

 

しかし、予備動作が無いのは卯ノ花も同じであり、白打の速さも夜一には劣る。

 

それに、防御力もバジリスク程じゃない。

 

故に、刀原はワンダーワイスから繰り出される無数のパンチを完璧に捌き、腕を斬り裂いていた。

 

全く問題なかった。

 

「君は理性がなさそうだけど……加減なく、斬り捨てる」

 

刀原は霊圧を込め、神殲斬刀を構える。

 

「『海割』」

 

そして、ワンダーワイスを頭から真っ二つにした。

 


 

卍解した二人を、ヤミーは抑えきれなかった。

 

体が凍り付いた一瞬を狙って放たれる雷。

 

繰り出される氷の龍と、雷の槍。

 

ヤミーはそれらを対処出来ないでいた。

 

最も、それらが致命傷になる事は無かった。

 

「ああああ!鬱陶しいぜ!」

 

ヤミーは本当に鬱陶しそうにそう言う。

 

「ブチ切れろ『憤獣(イーラ)』!」

 

そして刀を抜いた。

 

「ようやく帰刃ですか」

 

「だとしても俺たちの優位は……」

 

余裕が見て取れた雀部と日番谷は、帰刃したヤミーを見て驚愕する。

 

ヤミーは赤いオーラを出しながら肥大化していき、象に似た複数の足と長い尾を生やしたムカデの様な下半身をもった巨人になったのだ。

 

「速攻でやりましょう!『雷公一閃』!」

 

「ああ!『竜霰架』!」

 

マズイと判断した二人は、突撃を慣行する。

 

「ハッ!効かねぇなぁ、そんなのはよぉ!」

 

だがヤミーは受け止めた上で拳を振るい、二人を吹き飛ばす。

 

「『雷公斬輪』!」

 

雀部が雷で出来た斬撃を放つ。

 

「『氷竜旋尾』!」

 

日番谷が氷で出来た斬撃を放つ。

 

だが、それらも効かない。

 

「どうした隊長格!」

 

ヤミーは笑いながら二人の攻撃を受け止める。

 

しかし。

 

「その程d「『空貫』」ガフッ!」

 

突如、斬撃がヤミーの巨体を貫く。

 

「やれやれ、今日は俺向きの敵ばっかかよ」

 

斬撃を放ったのは刀原だった。

 

ワンダーワイスを斬った刀原は、援護の為にやって来たのだ。

 

「てめぇ、俺の体に……よくもやってくれやがったな!」

 

ヤミーは更に怒る。

 

その巨体は更に変化を遂げる。

 

「『空貫』!」

 

「効かねぇぞ!」

 

そして、刀原の斬撃を弾いた。

 

「ええ、マジか」

 

少なからず衝撃を受ける刀原。

 

「やれやれ、こうも効かないんじゃ……奥の手を使うしかねぇな」

 

刀原はそう言い、霊圧を高める。

 

「そう言うことなら……任せましたよ」

「頼むぞ」

 

事情が分かっている雀部と日番谷が、刀原に後を託して離脱する。

 

「離れていきやがった」

 

「離れて貰ったんだよ。巻き込みたくないんでね」

 

ヤミーの冷笑に刀原は淡々と答える。

 

「んじゃ、切り札を切るとしますかね」

 

 

 

 

 

「卍解」

 

 

 

 

 

 

「『斬滅白刃ノ太刀(ざんめつはくじんのたち)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
刀原はどこぞのチャクラ忍者(NARUTO)では無く死神(BLEACH)であるため、それは習得していない。

*2

あながち間違ってもいない

*3

 

ちなみに、分霊箱の耐久実験をするという報告を聞いたダンブルドアは耳を疑い、刀原に事実かと聞き返し、確信すると唖然とした。

 

「やはり、彼らにわしらの常識は通じぬらしい」と思った。

 






ついに、この時が来ました。

卍解の御披露目です。

能力が何なのか、お楽しみに……。
考察もお待ちしております。


それと……。
次回の投稿を最後に、アンケートを締め切らせていただきます。
どうかご了承を。



感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。



では次回は

天文台の塔の戦い

次回もお楽しみに。



ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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