ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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白刃を見せたからには

ただ、一閃するのみ。







死神、卍解する。天文台の戦い そして決着

 

『卍解』

 

それは死神の奥義とも言える力。

 

使用出来る実力者は極一部。

習得の有無で勝敗が変わる。

 

習得には斬魄刀本体の「具象化」と「屈服」が必要。

 

死神として頂点を極めた者にのみ許され、習得者は日本魔法界に永遠に名前が刻まれる。

 

 

 

俺は、その卍解を沢山見てきた。

と言うか……当代で習得している人達の卍解は、全部見た気がする。

 

残火の太刀、皆尽、黄煌厳霊離宮、神殺鎗、千本桜景厳、観音開紅姫改メ、花天狂骨枯松心中、黒縄天譴明王、金沙羅舞踏団、鐵拳断風、清虫終式・閻魔蟋蟀、雀蜂雷公鞭……。

 

同期たちの卍解……大紅蓮氷輪丸、大雷公霆天神社、天鎖斬月、双王蛇尾丸、白霞罸……。

 

他にも、浮竹隊長や平子さんに……一心さんに藍染校長に……。

 

それらの経験は……俺の卍解の参考になった筈だ。

 

特に参考になったのは、残火の太刀。

即ち、圧倒的な破壊力。

 

そして、両親の呪いを治す力。

 

一見すると、矛盾の様に見える。

 

 

だが、俺の卍解は……それを可能にした。

 

 

 

卍解『斬滅白刃ノ太刀(ざんめつはくじんのたち)

 

 

発動と同時に斬魄刀の形状が変わる。

と言っても、劇的に変わるわけではない。

 

打刀が太刀に変わり、銀などの装飾が加えられて、より美しい刀剣に変化しただけだった。

 

「は、ハッハッハッハッハ!なんだそりゃ?それがテメーの卍解か?あの二人の方がより強そうに見えたぜ」

 

ヤミーは馬鹿にしたようにそう言う。

 

「まあ……そうだろうな。あの二人が卍解したら、様になるよな」

 

刀原はおどけるように言う。

 

刀を持った腕から、連なる巨大な翼を持つ西洋風の氷の龍を日番谷自身が纏う大紅蓮氷輪丸。

 

ロングソードは腰の鞘へと戻り、手には新たに下部が西洋剣の鞘にも見えるものが付いた金の装飾が美しい杖を持ち、雷で出来た王冠を頭に身に付け、死覇装も白を基調とした美しいドレスに変化する雀部の大雷公霆天神社。

 

あの二人と比べると、見劣りしてしまうのは事実だ。

何せ刀しか変わってない。

 

でも、そう言う卍解だってある。

 

「ま、そう思うなら……そう思っとけ」

 

刀原はそう言いながら、ゆっくりと慎重に刀を鞘から抜き放った。

 

 


 

 

刀原が卍解したことは、ホグワーツにいる死神や破面に即座に察知された。

それは死神達に勝ちを確信させる知らせとなった。

 

だが、彼らは肝心なことを見落としていた。

 

破面の面々が結界を破壊した時、対死喰い人の魔法防壁も破壊されていたのだ。

 

それ故に……この気を逃さぬとばかりに死喰い人達がホグワーツ城に入り込んでいた。

 

目的はただ一つ、ダンブルドアだ。

 

 

刀原がヤミーと交戦状態になった直後から始まったこの死喰い人達による襲撃は、それを即座に察知出来た教師陣や護衛に来ていた騎士団や闇祓い、ハーマイオニーを始めとする有志達の行動が早かった影響で半ば頓挫した。

 

そして死神たちも、死喰い人を撃退するために応戦を開始。

 

刀原がヤミー、日番谷がルピー、黒崎がグリムジョー、雀部と阿散井が下級虚たちの殲滅を担当している為、朽木と井上を本陣に残し、雛森が主に生徒達を守る為に出陣した。

 

死喰い人の中には、死神たちの本陣を狙った不届き者(勇気ある馬鹿)もいたが、朽木の『袖白雪』に駆逐されるだけに終わった。

 

しかしマズイ事態も発生する。

戻ってきたダンブルドアとハリーは、決して無事とは言えなかったのだ。

 

特にダンブルドアの衰弱度合いが酷く、至急の治療が必要だった。

しかも場所が天文台の塔だったため、防衛線を突破した死喰い人がそこに殺到した。

 

死喰い人達は天文台の塔に上がるための階段に戦線を作り、ダンブルドアの暗殺がなされるまで立てこもる格好を取った。

 

だが、死喰い人達の幸運もこれまでだった。

 

「下から行けないのであれば上から破るまで」と現着した雛森が言い放ったのだ。

 

 

上には衰弱したダンブルドアと、彼を守らんと杖を握っていたハリーが居た。

 

「だr!?あ……えっと、確かヒナモリさん?」

 

人の存在を察知したハリーは咄嗟に杖を向けるが、雛森の死覇装と腰の斬魄刀を見て杖を下す。

 

「ええ、もう大丈夫ですよ。敵は私に任せて、貴方はダンブルドアを守ってください」

 

雛森はそう言って斬魄刀を抜いた。

 

天文台の塔に突入した死喰い人が、階段を駆け上がってくる音が聞こえてきたからだ。

 

「ダンブルドアだ!ダンブルドアと……ポッターもいる!」

 

死喰い人の女が歓声を上げる。

 

「日本の死神か!?だが……女か。噂のササキべでもなさそうだな」

 

男の死喰い人がニタニタ顔でそう言った。

色んな意味で有名な雀部ではないことにホッとしたような表情もしていた。

 

「降伏をお勧めしますが?」

 

一応とばかりに雛森が言う。

 

「冗談を言えば助かると思っているのか?」

「隊長でもないお前が、我々に勝てるとでも?」

 

死喰い人達は強気にそう言う。

 

「ええ、勝てますとも。私だって十番隊の副隊長。その肩書に掛けて……」

 

そう言って雛森は斬魄刀を体の前に構える。

今まで可愛らしさがあった顔がキリッとした表情に変わる。

 

「負けはしません。弾け『飛梅』」

 

そして、雛森の斬魄刀が七支刀が変化した。

 

 


 

 

ホグワーツ城に死喰い人が来襲したことを刀原は感知しつつも、特にアクションは起こさなかった。

 

いや、起こせなかった。

 

自身の卍解に全集中を費やしていたからだ。

 

「随分と派手になったが、何か変わったのか?炎も出さねぇ、氷も雷も出さねぇ。何にも変わんねぇように見えるぜ」

 

ヤミーは嘲笑いながらそう言う。

 

「昔……同じような事を言われたな」

 

刀原は数年前、秘密の部屋でリドルに言われたことを思い出す。

 

「そして、それがお前の敗因だ」

 

白刃一ノ太刀(はくじんいちのたち)斬殲散刃(ざんせんさんじん)

 

刀原は構えた。

ゆっくりと、慎重に。

 

「敗因?そんなもんはな、ねぇんだよ!」

 

ヤミーは怒り狂いながらそう言い、右拳を刀原に向ける。

 

刀原は自身の身長を遥かに超えるサイズの拳を瞬歩で躱し、がら空きになった右腕を斬撃で斬りつけた。

 

そして、その右腕はなんの抵抗も無く切断された。

 

「あ?」

 

ヤミーは間抜けな声を上げた。

自身の身に何があったのか分からないと言った顔だった。

 

「て、てめぇ……。いったい、何しやがった……?」

 

「斬った」

 

斬られた右腕を庇いながらそう聞いたヤミーに対し、刀原はあっけらかんと言った。

 

「き、斬った、だと?ありえねぇ!ありえねぇええええ!あああああ!イライラするぜぇええええええ!」

 

ヤミーは更に激昂する。

 

赤い霊圧を噴出し、肉体は変貌、先ほどよりも更に巨大な姿となり、斬り裂いた右腕も再生される。

下半身は赤い毛に覆われ、顔には牙や角を生えた。

 

「俺は憤怒の獣、ヤミー・リヤルゴ様だ。イラつけばイラつくほど強くなるってわけだ!」

 

「そうか。でも……それが何か?」

 

しかし、刀原は再び右腕を切断した。

 

「な、何故こうもあっさりと俺を斬れる?」

 

ヤミーは訳が分からない様子だった。

 

「刀を振るえば、対象は切断されるだろう?当然の摂理だと思うが?」

 

刀原は再びあっけらかんと言った。

 

「さて、俺は自分の能力を喋ってあげるような優しい奴じゃないし……決着を先延ばしにするとホグワーツ城が崩壊するかもしれんからな。そろそろ……取りに行かせてもらうよ」

 

刀原はそう言って、真一文字に刀を振るう。

 

直後にヤミーの両足がすっぱりと切断され、ヤミーは一瞬だけ宙に浮いたあと落下する。

 

そして間髪入れず……瞬歩で背後を取り、左腕も切断。

 

第0十刃(セロ)である筈の俺が……」

 

ヤミーは瞬く間にこうなった事を、ただ茫然としながらポツリと言った。

 

「俺と君の相性が最悪だった。ただそれだけだよ」

 

刀原はそう言い、ヤミーの首に迫る。

 

「てめぇの、斬魄刀の力はなんだ?」

 

「喋らないと言った筈だが……まあ、いいか。俺の斬魄刀の能力は『切断』だよ」

 

「切断?そ、それだけ……?」

 

「そう。始解の状態だと……ただ単に切れ味抜群の刃になって、飛ぶ斬撃を放つだけ。卍解すれば、その斬れ味と斬撃の速さを極限にまで高める」

 

刀原は斬魄刀を見ながらそう言った。

 

「そして、俺の卍解は五つの形態をとる、これは『斬殲散刃(ざんせんさんじん)』 対象となる敵に『斬った』という結果を、防御力や能力問わず、強制的に対象へと与える。……周囲がヤバいことになるから、飛ぶ斬撃を放てないのが難点。あと、敵味方関係ないから、なるべく味方には離れてもらってる」

 

刀原はそこまで言って、ヤミーの首元に迫る。

 

「んじゃ、さようなら」

 

そして、音もなく首を刎ねた。

 

「ヤミー・リヤルゴ。斬り捨て……御免」

 


 

 

刀原とヤミーの戦闘が終わった時と同じくして、死神たちとホグワーツ内の戦闘も終わった。

 

黒崎対グリムジョーの一戦は……。

 

完現術(フルブリング)という特異な力を持つ者たちや、同期達との修行で力をつけた黒崎に軍配が上がった。

 

グリムジョーが帰刃しても、修行で高められた才能に勝てなかったのだ。

 

しかしそれほどの地力の差がありながら、黒崎はグリムジョーを仕留めることなく、彼の逃走を許した。

 

それは別に、黒崎がチョコラテ(甘ちゃん)という事ではない。

 

武闘派ぞろいの破面の中でも、特に狂犬のグリムジョーがボロボロで帰還することで「死神侮りがたし、ってか和議結んだ方がいいんじゃね?」という面々が出てくることを望んだ故の判断からだ。

 

最終的に、グリムジョーは苦々しくもどこか納得したような顔で撤退していったのだった。

 

また、日番谷対ルピーの戦いは終始一方的な展開で終わった。

 

初手から氷漬けにされてしまったルピーだったが、日番谷がヤミーとの戦いを刀原に任せて戻って来る前にはその氷から脱出していた。

 

そして戻って来た日番谷に帰刃しながら襲い掛かったが……やはり氷雪系最強の氷輪丸には勝てず……凍らされた後、雀部の雷で破壊されて文字通り砕け散った。

 

雑魚ばかりの虚たちに至っては、いつも通りのように阿散井によって殲滅されてしまっている。

 

 

そんな感じで、危なげなく完全勝利を挙げた死神たちとは対照的に……魔法使いたちによる仁義なき戦いが行われたのが、天文台の塔の戦いだった。

 

塔の最上部にはハリーとダンブルドア、それを狙うために塔を半ば占拠した死喰い人。

 

ハリー達を救出し、かつ侵入者を撃退するために死喰い人の防衛線を突破しようとする教授達と騎士団とDAメンバー。

 

最高戦力が瀕死状態だった為に絶体絶命となったハリーとダンブルドアだったが、強力な助っ人として雛森が参戦したことで戦況が変わる。

 

雛森の飛梅の爆破力は、これも同期達の影響で底上げされていたのだ。

 

彼女曰く「卍解出来たら楽だったんですけどね」とのことだが、そんなことをすれば死喰い人たちだけでなく、下手すればハリー達も爆殺されてしまう*1

 

最も……彼らにとっては、始解状態の『飛梅』だけで十分過ぎる脅威だが。

 

彼らで言うところの『ボンバーダ・マキシマ(完全粉砕せよ)』に匹敵する威力の火球が、相手が刀を振ったら発射されるのだ。

 

如何に強固な『プロテゴ・マキシマ(完全防御せよ)』でも、こうも連発されれば防御のしようがなかった。

 

もちろん、濃すぎる強すぎる同期たちの影響を受けている雛森とて、どうしても隙が生じてしまう。

 

そんなか細い隙を突く死喰い人も一応いたが、それを許さないようにカバーに入ったのがハリーだった。

 

刀原よりも鬼道が得意な雛森が、ダンブルドアに結界を張り……その結界が死喰い人が闇雲に放った呪文を完璧に封じたため、後顧の憂いが無くなったハリーが雛森の援護を行うことにしたのだ。

 

結果……ダンブルドアとハリーを襲った死喰い人たちは、二人が黒焦げになり、二人が縛道と魔法で捕縛された。

 

そして雛森は予想以上にハリーが頼もしいことを褒め称え、日番谷はハリーに「雛森を援護してくれたそうだな。礼を言う」と言って、その実力を認めたのだった。

 

 

 

 

破面の面々は撤退した。

死喰い人たちの襲撃は撃退出来た。

 

若き死神たちはその地位に恥じない戦いぶりで、完全勝利を勝利を挙げた。

 

しかし、ホグワーツ側の損害は予想以上に多かった。

 

「ええっと、まず……ビル・ウィーズリーが狼人間のフェンリール・グレイバックに噛まれたと」

 

此度の戦闘も無傷、そして破面の二人を打ち取った刀原は、中庭に設けられた本陣にてそう聞いていた。

 

「うん。最も、変身してなかったから狼人間になることはないだろうって、言ってたけど……」

 

「如何せん、満月になってみないと確実なことは分からないっていう話よ」

 

刀原に聞かれたロンとハーマイオニーは、そう答える。

 

特にロンは気が気でなさそうだった。

 

無理もない。

実に兄であるビルが狼人間になったかもしれないのだ。

 

実は心優しい狼人間がいると理解しつつも、内心では恐怖があった。

 

「あとは?」

 

「生徒たちは破面の襲撃と重なっていたこともあって、戦闘に巻き込まれることはありませんでした。ただ、有志として参加していたDAのメンバーの中には軽い負傷をした者が居ます」

 

雀部がそう報告をする。

 

「ただ……」

 

「ただ?」

 

「だ、ダンブルドア先生が……」

 

ハリーが辛そうにそう言う。

 

「アルバスがどうかしたのか?」

 

「ダンブルドアが重症……まあ外傷はないのですが、瀕死に近い状態です。曰く、あの洞窟内で分霊箱を得るために毒薬を飲み、おまけにその影響でかなり疲弊していたところを……かなりの高等魔法を行使したとのこと」

 

雀部がハリーが言い淀んだ

 

「無理をしたことで悪化したと……?マジか……」

 

ダンブルドアの容体がヤバい。

もしこのまま彼が死ぬような事態になれば……。

 

刀原の頭に最悪のシナリオが浮かび、渋い顔をする。

 

「雛森や井上の治療は?」

 

「現在、織姫ちゃんがしています。しかし……」

 

「あまり効果なしか……」

 

だとすると……治療出来るのは井上以上の腕を持つ人か……。

 

刀原の頭には日本に居る二人の死神が浮かぶが、直ぐに自身に浮かんだ考えを、頭を振って改める。

 

一人はよっぽどのことが無い限りあのお方の傍から離れないためあり得ない。

もう一人も瀞霊廷における『最凶にして最後の砦』であるため、英国まで来ることは……。

 

「……とにかく、本国に連絡するしかないな。色々と沙汰を……」

 

刀原がそう雀部に言おうとした、まさにその時。

 

「失礼致します。刀原、雀部、両隊長。及び、遣英派遣部隊の方々に緊急伝であります」

 

ロンドンにいる筈の伝令隊の隊員が駆け込んでくる。

 

「そちらも……良い報告では無いみたいだな?」

 

刀原はそう言いながら、やって来た使者の方を向く。

 

「申し上げます。十一番隊隊長鬼厳城剣八殿、戦死との事です。また、九番隊隊長東仙要隊長殿も重傷。隊長職への復帰、及び続行は困難との事です」

 

使者が盛ってきた報告は……隊長のうち一名が戦死し、一名が重傷という信じがたい報告だった。

 

nanndato(なんだと)!?」

honntoudrsuka(本当ですか)!?」

 

その衝撃的な報告に、刀原と雀部は思わずそう答える。

 

戦死した鬼厳城剣八と二人はほぼ面識がなく、周囲の評判も良い訳ではなかった*2が……それでも剣八を名乗るだけあって、そこら辺の敵に遅れを取る程弱くはない筈だ。

 

東仙とも他の隊長格と比べると、二人との関わりは少ないが……それでも二人が幼い頃から目をかけてくれた人であり、隊長格に相応しい実力を有していた。

 

なのに、その二人が負けた。

 

噂の『更木』に。

 

「第一報によりますと、『更木』は鬼巌城隊長、および十一番隊の副隊長を殺害。同隊三席、四席、五席を撃破。その後、援軍として駆け付けた東仙隊長とも交戦、撃破したとのこと。なお、隊長お二人は卍解を使用しております」

 

ってことは、東仙さんの卍解……『清虫終式・閻魔蟋蟀』を破ったってことか。

 

あの卍解を攻略するには、強力な範囲攻撃しかないと思っていたのだが……。

 

実際に演習で戦った時は、俺も雷華もそうやって攻略したし。

 

刀原は考え込むように腕を組みながら、そう思った。

 

「また鬼巌城隊長が『更木』に殺害されたことにより、『剣八』の称号が更木に移ります」

 

「つまり、そいつは『更木剣八』になった訳か」

 

「はい」

 

「「…………」」

 

二人は突然の知らせに黙り込む。

 

「それと……」

「おい将平!直ぐにプラットホームに来い!本国からの援軍が来るってよ!」

 

伝令役が何かを言う前に、阿散井が医務室に駆け込んできた。

 

「……早くねぇ?」

 

刀原が半ばジト目になりながら訊ねる。

 

「今回の襲撃が始まってから、直ぐに雛森が呼んだらしいぜ?万が一があるかもってよ」

 

慎重な雛森らしい判断だな。

だとしても……やっぱ早くね?

 

あんな事があったのに、本国の護りは大丈夫か?

 

刀原はそう思いながら、伝令役を見る。

 

「……分かった。今行くよ」

 

そして伝令役が頭を縦に振ったことを確認すると、日本の大物たちが見せる、相変わらずのフットワークの軽さに半ば引きながら、雀部とハリーを連れて医務室を出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「誰がいらっしゃるんですか?」

 

ダンブルドアが臥せっている為……彼の名代として出迎えることになったマクゴナガルが、どことなく緊張した顔をしながら隣にいる刀原にそう聞いた。

 

「さあ、分かりかねますが……。多分、朽木隊長かと思います」

 

刀原はそう肩を竦めながら言う。

 

一、二、四、十二は日本防衛の要だったり、立場があったりで簡単に来れる人じゃない。

 

十三は体調の問題、七は容姿の問題があって無理。

 

十一は論外。

 

三、五、十はもう来てる。

 

だから来るとしたら……六、八、九。

 

最も、六にも立場があるし……八も来るのは難しい。

 

故に消去法で九が来ると、刀原は予測していた。

例の知らせを受けるまでは。

 

「朽木隊長とは、どのような方d」

 

「お待ちを……もう来ましたので」

 

マクゴナガルが詳細を聞こうとするが、刀原はそれを制止して空を見上げる。

 

そこには護廷十三隊専用の列車がやって来ていたのだ*3

 

列車は一昨年から存在し、刀原やマクゴナガルが待つホームへと降り立つ。

 

「……貴方が来るんですか……京楽隊長」

 

まずホームに姿を見せたのは、京楽だった。

 

いきなり予想が外れたことに刀原は内心で悔しがりながら、出迎える。

 

「山じいの名代も兼ねてね。でも僕だけじゃない」

 

「え?」

 

京楽は刀原の内心を見透かしたようで、少しニヤッと笑いながら出口から逸れる。

 

「私もいるのですよ?」

 

「ええっ⁉なんでやちっ、ンンッ、卯ノ花隊長も来てるんですか⁉」

 

その声を聞いた刀原が驚愕する。

京楽と共にやって来たのが、卯ノ花だったからだ。

 

「お久しぶりですね刀原隊長。何事も平常心を保たねばなりませんよ?」

 

「いやいやいやいや、無理ですよそれ!いや、もちろん来てくれたのは嬉しいですけど……なんで貴女が出張ってきたんですか⁉向こうの護りは?」

 

「向こうよりも、今はこちらの方が重要だと判断されたからです。今この局面で、遣英派遣部隊を失う訳にはいかないと」

 

卯ノ花はそう真面目そうに答える。

 

「最も、心配は無用だったみたいだけどね」

 

京楽は何処となく安心したような表情を見せながらそう言う。

 

「まあ、立ちながら話すのもあれだ。中に案内してくれるかい?」

 

そして京楽が手を叩きながらそう言うと、刀原は頷いて、とりあえずダンブルドアがいる医務室に一行を連れて行ったのだった。

 

 

 

 

 

*1
ついでに、天文台の塔の最上部も爆破される

*2
余談だが……卯ノ花は刀原に対して、盛んに剣八襲名を薦めていた。

 

卯ノ花が刀原に剣術を教えていたのは、彼女が密かに進めていた『逆剣八計画(自分で強い剣士を作ろう!)』が理由だったのだ。

 

曰く「あんな豚が剣八を名乗るなど烏滸がましい。貴方が襲名してくれれば、私は諸手を上げて歓迎します。というか、襲名なさい。早く、早急に」とのこと。

 

また、七代目剣八である刳屋敷剣八も「初代剣八のお墨付きなら、俺も二つ返事で認めるぜ?何より彼、強えし。俺も始解しねぇとヤバいしな」とのこと。

 

こうして半ば強制的に決定された剣八襲名の話は……刀原が断固拒否し、彼に泣きつかれた山本元柳斎が諌めた事でなんとか消える事になった。

*3
つい先ほどまで、ホグワーツにも刀原達が仮設拠点にしていた列車があった。

 

しかし、戦闘が始まった瞬間に日本に向けて退避させていた。

 

あり得ないとは考えられていたが……虚や破面たちに破壊される可能性や、死喰い人達に鹵獲されることを考えての判断である。

 






まあまあ、そう怒るなよ

COOLに行こうぜ?

な?



お待たせを致しました。

刀原君の卍解です。

卍解『斬滅白刃ノ太刀(ざんめつはくじんのたち)

卍解した瞬間に打刀から、銀の装飾等が付いた太刀に変わります。

能力は『切断』

始解の状態では斬れ味が良く、飛ぶ斬撃を放つだけの刀。

卍解すれば、その斬れ味と斬撃の速さを極限まで高めます。

鋼皮(イエロ)血装(ブルート)も、場合によっては斬魄刀の能力も関係なく、対象を斬ります。

要するに防御不可の刃です。
ただし斬魄刀本体を始めとする武器は、飛ぶ斬撃では斬れません。

斬殲散刃(ざんせんさんじん)』は、対象に『斬った』という結果を強制的に与えます。

飛ぶ斬撃を放ったら周囲も斬れますので、刀原は出さないようにしてます。

他にも弱点は有ります。


この小説で一回も出ること無く、台詞すら与えられずに殺される先代の剣八『鬼巌城』

許せ。
最初の最初からこうなる事が決定してたんだ。

そして……ある程度の台詞こそあったものの、やはりロクな出番もなくいなくなる東仙さん。

許してつかぁさい。
これも決まってた事なんです。

大丈夫、殺しはしません。
復帰も出来ませんけど。


ちなみに……『卯ノ花さんは、ショタ更木と出会ってない』とだけ言っておきます。


感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。



では次回は

謎のプリンス編 終幕

次回もお楽しみに。




おまけ。

ダンブルドアどうしよう
スネイプどうしよう

カップ破壊したから、後はロケットとティアラと蛇とーーーだけ。あれ?ロケットもイージーじゃね?ティアラと蛇とーーーの破壊タイミングは決戦の最中だし……

いや、拗らせようと思えば……いくらでも拗らせられるんだが

杖、どうしよう
遺品じゃなくなるな

やっぱ死んでもら……いや、駄目だ

決戦の時のマッチ相手……よし、ここは運命で

「なに、ブツブツ言ってるんだ?」

「あ、刀原君。いや、今後のことを色々とね」

「でも、最終的な話は決まってるんでしょ?」

「あ、ハリー君。そりゃあ勿論。君にはヴォルデモートと一騎討ちしてもらう予定さ!」

「……そこのプロットに『共闘』の二文字が見えるのは、俺様の気のせいか?」

「き、気のせいだよヴォルデモート!」

「違う紙に『V 最終 やっぱ一騎討ち 共闘?』と見えるのも、わし等の気のせいじゃな?」

「き、気のせいですよダンブルドア!」


ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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