ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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老兵は死なず

されど去らず

ただ未来を託し

見守るのみ。








死神と謎のプリンス編 終幕

 

 

ついさっきまで医務室は、先の戦闘で負傷した人々の治療でてんやわんやだった。

 

しかし、今はダンブルドアが井上と雛森の結界内で寝ているだけで、他の者はいなかった。

 

そして刀原とハリーは状況を整理するために、シリウスを始めとする不死鳥の騎士団のメンバーや、ホグワーツの主要な教師たち、DAのメンバー等を集めた。

 

「初見さんがいっぱいだからね。自己紹介からしよう。僕は護廷十三隊 八番隊隊長 京楽春水。隣は四番隊の隊長、卯ノ花烈」

 

京楽はニコニコ顔で、当然の如く英語でそう言った。

 

ハリー達はその佇まいに何処となく、普段の刀原をイメージした。

 

「今回、僕たちが来たのは……まあ援軍が本来の目的なんだけど……。こちらでも状況が変化したし、個別の要件があってのことさ」

 

「……日本の状況が変化?確か、日本は『賊軍』と交戦状態にあると、ショウ達から聞いていますが……。なにか悪いことでもあったんですか?」

 

京楽の言葉にハーマイオニーが反応する。

 

「そう言う君は、もしかしてハーマイオニーちゃんかな?将平君と雷華ちゃんが言う通り、随分と聡明なんだねぇ……」

 

京楽は顔を綻ばせながら言う。

 

「おまけに美人さんだし……もし良かったr「京楽隊長。七緒さんと総隊長に言いつけますよ。「英国で女子学生をナンパしようとした」って」じょ、冗談だよ将平君。ちょっと会話を和ませようとしただけだって」

 

そして何やら不穏なことを言いそうになったが、刀原が釘を刺す。

 

「ハーマイオニーちゃんの推察は、残念ながら正解だ。ホグワーツで戦闘が開始される約三時間前、日本でもちょっとした戦いがあってね。そこで、護廷十三隊の十一番隊の隊長さんが戦死したんだ。おまけに、十一番隊の上位陣が軒並み重傷。更に、援護に入った九番隊の東仙隊長もやられて……こっちは隊長職の続行が困難になるかもしれない」

 

京楽の言葉に、既に知っていた者たち以外は全員驚愕する。

 

特に護廷十三隊の隊長がどれほど強いかを知っている大人たちは、皆信じられないと言った顔だった。

 

「状況は芳しくない。あの戦いで『更木』と渡り合えるのはかなり絞られてしまった。並大抵の手練れじゃ無理。故に、勝てる可能性がある者たちに緊急招集が行われた。その中には将平君と雷華ちゃん、冬獅郎君、一護君が含まれてる」

 

それを聞いたハリー達は、刀原達を「流石だ」と言わんばかりに見た。

 

「さて……じゃあ本題に入らせて貰うよ。まず、刀原隊長を始めとする遣英救援部隊の面々は日本へ緊急帰国すること。理由は今後の対応を協議するためと、下がった戦力を補充するため。ちなみに……交代要員は、鳳橋君と愛川君」

 

京楽はさっきまで見せていた飄々とした表情を変え、真面目な顔でそう通達する。

 

「次に、ハリー・ポッター君」

 

「ぼ、僕ですか?」

 

「そう、君。正直言って、君の価値はこれ以上に無いほど増している。ヴォルデモート打倒に向けてね。日本は、君を保護する準備がある。決戦に備える為にも……日本に来ないかい?」

 

京楽はそうハリーに話す。

 

簡単に言えば『決戦まで日本に亡命しないか?』ということだ。

 

「でも……僕だけじゃ」

 

「もちろん君だけってわけじゃない。ハーマイオニーちゃんやロン君とか、君の友達たち全員を保護するつもりだよ?奴らに捕まって、人質にされたら目も当てられないからね。将平君の友達でもあるんだ、悪いようにはしない」

 

「…………」

 

「それに、言いにくいけど……ダンブルドアがこの感じじゃねぇ」

 

京楽がそう言えば、全員の目は自然とダンブルドアに集まる。

 

そのダンブルドアは、卯ノ花が直々にダンブルドアを診察していた。

 

「……まず、ここではどうにも出来ないことは確かです」

 

診察を終えた卯ノ花が、滅多に見せない渋い顔でそう言った。

 

「刀原隊長。ダンブルドアは今年度の初頭時点で呪いに罹っていたそうですね」

 

「ええ。でも、僕の卍解で除去出来たはず……」

 

「はい、その除去は完璧でした。しかし……飲んだ毒薬で、その呪いがぶり返してます。おまけに相当な無理を重ねたことも、悪化に繋がっています。……このままでは……」

 

卯ノ花の言葉に、死神以外の全員が息を飲む。

 

「まさか、そんな馬鹿な」

 

誰がそう言ったのかは分からない。

 

しかし心境は同じだろう。

 

「このままでは……。という事は、何か策があるのですか?」

 

刀原が、内心で渦巻く嫌な予感をねじ伏せながらそう聞く。

 

手遅れであるならば、卯ノ花はそういうはずだから。

 

その思いは正解だった。

 

「ええ。このままでは……ダンブルドアは遠からず死にます。しかし日本へ連れていき……そこで治療を施せば治ると思います」

 

卯ノ花はそう断言する。

 

その瞬間、安堵の声が全員の口から洩れた。

 

「そりゃあ良かった。しかし、問題もあるね。ダンブルドアが英国を離れるという事は、英国がヴォルデモートの草刈り場になるかもしれないってことだよ」

 

ダンブルドアが助かると聞いて、気を抜いたら……駄目だよ。

 

そう続けた京楽に、ハリー達はハッとした表情になる。

 

「……そ、そういう訳には……いきません」

 

そう弱弱しくか細い声で言ったのは、ダンブルドアだった。

 

「おや、起きたのですか」

「ダンブルドア先生!」

 

「いま、私がここを離れては……京楽殿が指摘した様に……なります。離れる訳にはいk「煩いですよ。病人は黙ってなさいな」

 

ダンブルドアはあくまでも居座りを続ける意思を見せるが、そんな馬鹿な真似を許す卯ノ花ではない。

 

卯ノ花が刀原に仕込んだ笑ってない微笑みを見せながら容赦なく言うと、ダンブルドアは沈黙するしかなかった。

 

そしてハリー達は、「ああ、ショウの師匠だったよこの人」と思い知った*1

 

 

 

「さて、ダンブルドアはここを離れる……。しょうがないことだけどね?そして、英国に安全な場所は……これからもっと少なくなる。それは君にとってもだ……。悪いことは言わない、こっちに避難しに来なさい。お友達を連れてさ」

 

京楽は諭すようにそう言った。

 

そしてハリーは、その誘いに乗った方が良いような気がしていた。

 

ハーマイオニーやロンたちのこともある。

 

少なくともダンブルドアが復帰するまでは、日本にいた方が安全だろう。

 

でも。

 

ハリーはポケットの中にある『スリザリンのロケット』の()()を感じ取る。

 

あれだけ苦労したのに、偽物だった。

じゃあ、本物は何処に?

 

京楽達がやって来るまでの少ない時間の中、ロケットの中身を確かめたハリーは、ロケットの中にメモを見つけた。

 

ーーーーーー

 

『闇の帝王へ

 

あなたがこれを読むころには、私はとうに死んでいるでしょう。

 

しかし、私があなたの秘密を発見したことを知ってほしいのです。

 

本当の分霊箱は私が盗みました。

できるだけ早く破壊するつもりです。

 

死に直面する私が望むのは、あなたが手ごわい相手にまみえたそのときに、もう一度死ぬべき存在となることです。

 

R・A・B 』

 

ーーーーーー

 

このR・A・Bが何者なのかは分からない。

 

後でシリウス達に聞くつもりだ。

僕だけじゃ分かりようがないからだ。

 

……ダンブルドアが倒れた今、誰が分霊箱を破壊するんだ?

 

例のあの人が恐れる人が居なくなる……じゃあ誰が、例のあの人を止める?

 

誰が、あいつを倒す?

 

……。

 

「……どうだい?」

 

京楽がそう聞いてくる。

 

ハーマイオニーやロン、シリウスにリーマス、マクゴナガル先生にスネイプ。

 

そして、ショウとライカ。

 

全員の視線を感じる。

 

 

 

「……確かに、その方が安全かもしれませんね」

 

「話が分かる子だ。じゃあ「でも」……でも?」

 

「僕は行きません」

 

ハリーは宣言した。

 

行かないと。

 

「ダンブルドア先生が動けない今、誰かが……誰かが、ヴォルデモートに対抗しなくちゃいけない。それが出来るのは……多分、僕だけです」

 

続けてハリーは、そうきっぱりと言った。

 

「大きな口を開くねぇ。でもさ……別に君じゃなくてもいいんじゃない?それに、君はまだ未熟だ。ヴォルデモートは、君が勝てるような相手じゃない」

 

「……分かっています」

 

「分かっているのなら、尚更だよ。それとも……将平君たちがいるから大丈夫だ、とでも思ってんの?」

 

京楽の目、雰囲気、それらが厳しいものになる。

 

あの刀原をして、「日本でも屈指の『誤魔化し』が効かない人。洞察力を持つ人」と称するだけの威圧感があった。

 

「そんなことは、欠片も思ってません」

 

「じゃあ何故だい?何故、君が戦うんだい?」

 

「それが、僕の使命だからです」

 

「このまま挑めば……君、死ぬよ?」

 

「それでも、僕は戦います。それに……死ぬなら、その前に一矢報います」

 

体が重いと感じても、京楽から目を逸らしたくなっても、ハリーは京楽の目を見ながらそう言った。

 

「では……ここで死ぬか?」

 

そう肝が冷える声で、刀原が言う。

そして、杖で呪文を放った。

 

去年までのハリーなら、あっさりと伸される速さ。

それは、刀原がいま出せる最速の早打ちだった。

 

だが、ハリーはそれを防いで見せた。

 

「……威勢だけじゃ、ないみたいだねぇ」

 

京楽は手を叩きながら褒める。

 

「本気で打ち込んだが……防がれたか。防げなかったら、そのまま日本へ連れていく予定だったが……しくじった。ある程度の強さを、保障しちまった」

 

渾身の早打ちを防がれた刀原だったが、どこか嬉しそうにそう言った。

 

「嫌な役、引き受けさせちゃったね。ごめんよ将平君。ハリー君も、すまなかった。彼を責めないでね。僕が指示したことだ」

 

京楽はハリーにそう言った。

 

「しかし……多分ヴォルデモートは、魔法を使う彼よりも強いよ。防ぐので精一杯じゃ駄目だ。……使命と言ったね。何故そこまで言い切れる?予言にあったからかい?両親の仇だからかい?それだけじゃ、理由としてはまだ弱いね」

 

京楽はまるで見定めるように言う。

 

その眼力にハリーは飲み込まれるような感覚を味わい、目を逸らしたくなった。

 

しかし目を逸らしたら駄目だと思い、しっかりと見据える。

 

「さあ、何故だい?」

 

京楽はそう迫る。

 

何故か、それはハリーがいつも考えていたことだった。

 

何故、僕なのか。

何故、そうなのか。

 

何故、何故、何故。

 

そしてそれを刀原達にぶつけた。

吐き出した。

 

「赤ん坊の時に襲われ、一度は消えた敵が再び復活する。それは予言で言われていたことで……やがて二人は対峙する。予言を聞いたヴォルデモートが自分を襲った時に、そう決まったんだよ。もう運命としか言えねぇと思うけどな」

 

「嘆いても、何も始まりません。疑問に思うだけ無駄です。だったら、そういうものだと受け止めて、備えるしかありませんよ」

 

刀原と雀部がそう言っていたのを思い出す。

 

「僕の運命だからです」

 

ハリーはそう答える。

 

正直、まだ完全な納得はしていない。

 

でも……。

 

「これだけ深く関わって、色んな人に支えてもらって……投げ出すなんてしたくないです」

 

ハリーの言葉に、京楽は少しだけニヤリと笑い、そして頷く。

 

「そこまで覚悟が決まってるんじゃあ……おじさんからはもう、何も言えないなぁ。それに、これ以上は野暮ってもんだ」

 

さっきまでの威圧感が嘘のように霧散し、京楽はいつもの飄々とした表情に戻った。

 

 

 

ハリーめ、本気の早打ちを防ぐだけじゃ飽き足らず、マジモードの京楽さん相手に啖呵を切りやがった。

 

そして、この瞬間に覚悟を決めやがった。

今までふやっとしてたのに……。

 

しかし、京楽さんも意地が悪い。

ハリーに覚悟を固めさせた。

 

もちろん下地はあったけど。

 

甘い道を提示して、その先の道は厳しいことをまざまざと見せて……。

 

それでもハリーは……ヴォルデモートとの対決の道を進むか。

 

立派になったな。

 

 

 

「さてと。ハリー君には振られちゃったし、時間もないし。そろそろ僕たちは出発しなくちゃね」

 

ハリーの覚悟を確認出来たことに満足した京楽は、この場を締めるようにそう言う。

 

「じゃあ、少しだけ時間を下さい。私としょう君の荷物はグリフィンドール寮にありますから」

 

京楽の言葉を聞いた雀部が、少し慌てたようにそう言う。

 

「その必要は有りませんよ?」

 

それを静止したのは卯ノ花。

 

「既にあなた達の荷物は回収してあります。いつでも出発出来ますよ?」

 

どうやら既に手を打っていたようだった。

 

「流石は卯ノ花隊長、手が早い。じゃあ戻るとしようか……日本へ」

 

まとめるように手を叩きながら京楽はそう言った。

 

「ショウ……」

 

ハリーが心配そうに言う。

 

「もう会えない訳じゃない。そんな顔すんな」

 

ハリーの心情を察した刀原が、宥めるように言う。

 

「みんなをよろしくな」

 

「……うん」

 

そして二人は固く握手をして最低限の別れを交わし、死神たちの一行は医務室を後にする。

 

そして死神達を乗せた列車はふわりと空中に浮き、出発したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

すっかり夜になったイギリス上空に、空飛ぶ列車が走っている。

 

その列車には、ベッドに伏したままのダンブルドアも乗っている

 

今は一両貸し切りの上で、卯ノ花や雛森、井上からの治療を受けていた。

 

「これからヴォルデモートはどう動くのか……将平君の意見が聞きたいねぇ」

 

刀原の正面の座席に座っている京楽が、徐に聞いてくる。

 

ダンブルドアが日本に行く……その影響は、決して小さい物では無いからだ。

 

「……ダンブルドアが危険なのは今でしょうね。僕でしたら……弱っている今を狙って、襲い掛かります。厄介な死神たちもまとめて屠れるまたとない好機……そう思っていると思いますよ」

 

刀原はそう、あっけらかんと言う。

 

「多分、もうすぐドーバー海峡(イギリス国境)です。国際問題にしないためにも、奴らが襲い掛かるとしたら……今」

 

そしてそう断言した時、緊急を告げる車内放送が流れた。

 

「当列車の周辺に、死喰い人と思われる一団が接近してきました!」

 

それは刀原の推察通り、死喰い人達が列車を襲撃しようとしているとの報告だった。

 

「流石、読み通りだねぇ」

 

京楽は朗らかに拍手しながらそう褒める。

 

その顔には心配と言った表情など皆無だった。

 

「……蹴散らしてきます」

「車内はお任せします」

 

そんな緊張感の無い京楽に溜息(この人は……)を吐きながら、刀原と雀部は列車のドアを開けて、列車の屋根に身を躍らせた。

 

 

 

既に列車は完全に包囲されていた。

 

夜だと言うのに何処か目立つ空飛ぶ黒い煙が列車の周りを走っている。

 

このままでは、自衛手段が無い列車はあっという間に落とされてしまうだろう。

 

しかし、それはこの二人をどうにかした後の話だ。

 

「雷鳴響け『雷霆』」

「一閃煌めき両断せよ『神殲斬刀』」

 

そして、死喰い人達にこの二人をどうにか出来る戦力はなかった。

 

 

 

空は雲に覆われ、辺りは更に暗くなる。

 

「駆けよ雷霆」

 

雀部がそう剣を振るえば、列車の周囲を雷が駆け巡り、必死に回避や逃亡を図ろうとする死喰い人を正確に焼き焦がしていた。

 

では、雀部を直接狙おうとすればどうか。

 

そんな勇者(痴れ者)の呪文は、刀原に阻まれる。

その直後には、防御不可の斬撃のプレゼントが返礼として贈られてくる。

 

上空にいては殺される(BBQにされる)だけだ。

 

この時点で軍事的に言えば壊滅(部隊の五割がやられた)状態となっていた襲撃部隊の面々はそう判断し、なんとか列車の屋根に降り立つことに成功する。

 

あとは、死神に向かって呪文を打つだけ。

 

刀原の目の前に降り立った死喰い人もそう思ったのか、杖をムチのようにしならせて紫の炎を出してくる。

 

「その呪文、見覚えがある。アントニン・ドロホフだな?」

 

それを容易く防いだ刀原が、確かめるように言う。

 

「トーハラか……」

 

ドロホフは苦々しそうに言う。

 

甘く腑抜けた騎士団とは違い、全く容赦がない刀原。

 

死喰い人の間では、彼は既に特記戦力扱いだった。

 

「降伏を勧めるが?」

「貴様がな」

 

刀原とドロホフの一騎打ちが始まった。

 

 

 

雀部はドロホフ以外の死喰い人を殲滅(BBQに)していた。

 

既に数を二、三人へと減らしていた死喰い人が、彼女が降らす落雷を防げる筈がなかったのだ。

 

むしろ列車の屋根に下りたことで、雀部にとっては当てやすくなったと言えた。

 

刀原とドロホフの決闘は、刀原の圧倒的優勢で進んでいた。

 

ドロホフは必死に呪文を放つが、刀原の斬魄刀によって全て防がれてしまう。

 

そして返す刀で飛んでくる呪文を防ぎ、時々やって来る即死確定の斬撃を必死の形相で躱していた。

 

ドロホフは幸運だった。

 

刀原が呪文で片を付けたいと思ってなければ、開戦直後に斬り捨てられていた筈だった。

 

しかし、彼の幸運もこれまでだった。

 

「逸れて下さい!しょう君!」

 

「んな!?」

 

雀部の声が響き、刀原が少しだけ後ろを向く。

 

そこには、斬魄刀を構える雀部の姿があった。

 

「『雷公砲閃撃』!」

 

雀部が斬魄刀を前に突き出すと、極太の雷の光線が放たれる。

 

事前通告受けた刀原は、それを難なく躱した。

 

しかし……射線上にいたアントニン・ドロホフは、言語の壁もあって何の対策も出来なかった。

 

「プ、プロテゴ・マk(最大のまm)……」

 

それでも何とか防御呪文を張ろうとしたが、間に合わずに直撃し……。

 

……アントニン・ドロホフは跡形もなく消え去った。

 

「さすがだな」

 

刀原はそう雀部を褒めながら刀を納める。

 

「ふふ、ありがとうございます。でも、これは前座ですね」

 

「さすがに、気づいてたよな」

 

照れながらも警戒するように雀部がそう言えば、刀原はニヤリと笑った。

 

「ええ、来ますね」

 

そして雀部がそう言いながら目線をやると……そこにはその名の通りに不気味な闇が飛翔していた。

 

「ここは俺がやる。雷華は中へ」

 

「……分かりました、任せます」

 

雀部はそう言って瞬歩で消える。

 

その間に、闇が降り立つ。

 

「一人で俺様に挑むか。無謀かそれとも蛮勇か?」

 

ヴォルデモート卿が現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

英国を、欧州を揺るがす史上最強の闇の魔法使い。

 

その名はヴォルデモート。

 

押しも引きもされない、世界最高峰の魔法使いだろう。

 

不気味なまでに白い肌。

鼻は削げたように無く、頭皮にも何も無く。

 

手には白い杖を持ち、身に纏う黒いローブが風で靡いている。

 

対するは……。

 

次の日本魔法界と護廷十三隊を担う、若き死神。

 

その名は刀原将平。

 

山本元柳斎をして「成長すれば、わしを超える死神になる」と言わしめる実力と才を持つ。

 

黒い死覇装の下には白いシャツ。

ネクタイは赤と金。

 

右手には杖、左手には斬魄刀を持ち……袖付きの白い隊長羽織を、マントの様に羽織っている。

 

約一年前にも対峙し、交戦もした二人だったが……面と向かって対峙するのは初めてだった。

 

「あの時は挨拶してませんでしたね。初めまして……そしてこんばんは。噂に名高いヴォルデモート卿。護廷十三隊三番隊隊長、刀原将平です」

 

「ほう」

 

刀原が少し頭を下げながら和やかにそう言えば、ヴォルデモートは感心したような表情を見せる。

 

「日本人は礼儀正しいと聞いていたが、真だったか。噂に聞く日本の死神よ。俺様は礼儀には礼儀で返す……。俺様がヴォルデモート卿だ」

 

ヴォルデモートはそう言って、余裕たっぷりにお辞儀をする。

 

「貴様が、トーハラか。ホグワーツや魔法省に多大な影響を持つ……。去年にはベラを殺し、俺様をダンブルドアと共に阻んだ……。貴様の実力、話には聞いていたぞ?」

 

ヴォルデモートは赤い目を光らせながら、忌々しそうにそう言う。

 

「お褒めのお言葉、ありがとうございます。良い噂ばかりで安心しましたよ」

 

刀原はあっけらかんとそう言った。

 

「トーハラよ、我が右腕となれ。甘いダンブルドアとは違い、貴様は敵に容赦せんし、殺すのにも躊躇せん。頭も良い。その実力、我が右腕にふさわしい」

 

ヴォルデモートはそう言って、手を伸ばす。

 

だが、そんな戯れ言に刀原は乗らない。

 

「折角のスカウトですが、謹んでお断りします。僕の剣と命はそんなふざけたことに使うつもりはありません。僕の命は日本と護廷の為にあるので」

 

「そうか、それは残念だ」

 

刀原の返答を聞いたヴォルデモートはそう言ったが、その表情は全く残念そうになかった。

 

「では、ダンブルドアを差し出せ。そうすればこの列車は見逃しても良い」

 

「生憎と、かの御仁は乗っておりません。ホグワーツに居られるのでは?」

 

「あくまでもシラを切ると言うのか」

 

「居ないと言っています」

 

「そうか。では強引に調べるとするか」

 

「そうですか……。ではヴォルデモート卿、パスはお持ちですか?」

 

「生憎とそんな物は持っていないな」

 

「パスをお持ちではない……。では申し訳ないのですが、即刻の降車を。この列車には外交特権が適用されてますからね。今なら許可無く乗車したことは……見逃しましょう」

 

「見逃す……だと?この俺様をか?」

 

「ええ、今なら五体満足でお見逃し致します。何ならお土産も付けますよ?緑茶なんて如何です?随分寒そうですから……暖まりますよ」

 

ヴォルデモートは、自身がおちょくられていることに気が付いた。

 

顔色悪いですよ?季節の変わり目ですから、体調の崩すなんてよくあること……お気をつけて、などと抜かしてさえいる。

 

「…………」

「…………」

 

この沈黙をもって、紳士(交渉)の時間は終了した。

 

「ダンブルドアを差し出せ」

「知らねぇな」

 

「では俺様自らが検分する」

「お呼びじゃねぇ、失せろ」

 

「断る」

「そうか」

 

「交渉は決裂だな?」

「ええ、残念です」

 

「「では死ね」」

 

刀原とヴォルデモートは、同時に己の杖を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1

 

ハリー達を散々戦慄させた刀原の『有無を言わせない笑ってない笑み』を彼に仕込んだのは、もちろん卯ノ花である。

 

そして当然……刀原よりもめっちゃ怖い。

 

中には、数年前にルーピンの授業で見たボガート・卯ノ花を思い出した者もいた。

 






君の覚悟

しかと受け取ったよ。



慎重な協議の結果、ダンブルドアには日本に行ってもらいます。

死んでもらうことも考えましたが……まあ、生きてもらいます。


そしてアントニン・ドロホフには消えてもらいます。

こいつ結構強いので……。


刀原vsヴォルデモート。
卍解はしません。

ここで仕留めはしません。

空気読んでくれよ?刀原君。




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ありがとうございます。
そしてお待ちしております。



では次回は

死神と死の秘宝編 開始となります。

次回もお楽しみに。




おまけ

ヴォルデモートにとっての特記戦力

実感した。
ーーー
アルバス・ダンブルドア
刀原将平
ーーー

抹殺対象
ーーー
ハリー・ポッター
ーーー

多分ヤバい
ーーー
ヤマモトシゲクニ
ウノハナレツ
アイゼンソウスケ
ーーー

あんまり関わりたくない
ーーー
護廷十三隊の隊長の皆さん
ーーー

ハリー達が分霊箱捜索旅をしている間に、刀原達は賊軍と戦ってる予定です。ハリポタの登場人物が一切出ませんが……要りますか?

  • 1『要る!』vs賊軍→ホグワーツの戦い
  • 2『要らない!』vs賊軍は全部カット
  • 3『後にしろ!』終了後、おまけとして
  • 4『お前も同行!』刀原も旅に参加する
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