ただ静かに
息を殺し
今か今かと
それを待つ
そう……嵐を。
『貝殻の家』という家は……本来はビルとフラーという新婚の二人が、二人だけで過ごす家の筈だった。
しかし、世情がそれを許さなかった。
さて、そんな秘密の隠れ家に這う這うの体でやってきたハリーは、久方ぶりの暖かな環境に、心を落ち着かせることになる。
いつこの場所がバレて、襲撃されるか……。
暗いニュースがラジオを支配する中、気持ちを保つか。
気の休まらない日々を過ごしてきたハリー達は、安全で暖かな生活の有難さを身に染みて知り……それを堪能出来ることに感謝した。
少し疑問もある。
ハリー達を『貝殻の家』に
そして何故ハリーの居場所も知っていたのだろうか。
彼曰く……ホグワーツから去った後は
その為、ドビーは貝殻の家を知っていたのだ。
そしてハリーに関してだが……シリウスは、自身があげた両面鏡を常に見ていた。
だが……今までは森の中だったり自然いっぱいの場所だったりテントの中だったりしたため、さっぱり居場所が分からなかった。
それでも、ハリーがラブグッド家で両面鏡を見た際……印刷機やら大量の『クィブラー』やらが見えたことで居場所を判別できた。
シリウス達は、彼ら救出の為にドビーの派遣を決定。
ついでにラブグッド氏も救出しようとした。
最終的には、見事ハリー達の確保に成功した……という訳だった。
ハリー発見と確保の一報は、瞬く間に騎士団に共有される。
シリウスやルーピン等は真っ先に訪れ、亡き親友の忘れ形見と熱い抱擁を交わした。
だが、彼らがハリー達に伝えた情報は決して良い物では無かった。
ーーーーーー
「英国の連中達だけじゃ無い……。米仏独伊西露など、欧州中から死喰い人の端くれみたいな連中がヴォル、『頭のイカれた魔法使い』の下に集結している」
「正直言って、考えたく無い数になっているのは確かだ」
ーーーーー
シリウスやリーマスは苦い顔でそう言う。
戦闘と言うものが原則的に一対一で行われるのは、魔法使いの世界でも同じ事。
故に、圧倒的人数で来られると……太刀打ち出来ない。
無論、シリウスやハリー達は優れた魔法使いである。
だが、許容範囲は同時に二人までだろう*1
故に、一対多数戦が出来る一握りの実力者……。
かの者達
ダンブルドアの先輩らしい『伝説の魔法使い』*2
頭のイカれt、
この規格外な連中が例外なだけだ。
そんなただでさえ悪い情報だが……。
それを遥かに越えるヤバい情報をシリウスは語る。
ーーーーー
「それだけじゃ無い。噂によればだが……グリンデルバルドが何者かによって釈放されたらしい」
「ダンブルドアや頭のイカれた魔法使いに匹敵する実力者だ。危険度も高い。尤も、あの人と合流する可能性は低いだろうが……」
「だとしてもだ。かつてはあの人と同等に恐れられていた『黒い魔法使い』だ。もし表舞台に出てくる事になれば、
「そうなれば由々しき事態だ」
ーーーーーー
全盛期のダンブルドアと渡り合った『黒い魔法使い』ゲラート・グリンデルバルドが何者かによって釈放されたという情報だ。
彼の性格上……ヴォルデモートと手を組んだり、傘下に入ったりはしないだろうが……。
それでも、グリンデルバルドがしでかした事を考えれば……警戒しない方がおかしい。
英国以外の欧州では……ヴォルデモートとか言う恥ずかしい奴より、グリンデルバルドという悪のカリスマの方が恐怖の対象になっているほど。
何者かの正体は不明だが……どうせ良からぬ事を企んでいるに違いない。
ダンブルドア不在の
状況は深刻だった。
故にハリーは決断を迫られる。
ヴォルデモートは余裕綽々……ではなかった。
目の上のたんこぶであるダンブルドアは居ない。
生意気な小僧であるハリー・ポッターは逃亡している。
ホグワーツは……抵抗勢力が
手駒の数は、過去最大人数を数える。
だが……。
だが、勝てるとは言えない。
問題が多いから。
まず杖の問題。
小癪なハリー・ポッターの杖に対抗するのに、部下の杖は力不足。
かといって
故に、最強の杖である『ニワトコの杖』を探していたのだが……残念だが何処にあるのか分からん。
殺したグレゴロビッチは……盗まれたらしく、それ以上の事は分からないと言っていた……。
他の中でも最大の有力候補となるグリンデルバルドは……あろうことか釈放されたらしく行方不明。
まあ、グリンデルバルドだった場合……予想が合えば、次はダンブルドアだが。
『ニワトコの杖』の捜索は、業腹だが……完全に暗礁へと乗り上げたな。
次に、分霊箱。
どうも連中に感づかれているらしい。
日記が破壊されているのは間違いない。
カップも……刀原とダンブルドアの二人が、直々にレストレンジの金庫を探索したとの情報だ。
老い耄れダンブルドアとて節穴では無いだろうし、規格外の象徴とも言うべき刀原が探したのだ。
まず間違いなく見つかり、破壊されているだろう。
となると……小屋に残されたままの指輪は危険だ*3。
ロケットは……あの洞窟の知る者は居ないし、あそこの守りは鉄壁だ。
ダンブルドアや刀原といえども、盗ることは不可能に等しいはず*4。
まあ、更に守りを厚くすれば良かろう*5。
ティアラは……。
ナギニも守りを厚くし、俺様と常に行動するとしよう。
そして一番の問題は……極東だ。
あの理性ある殺戮集団が大挙してやってくる。
刀原一人であのざまだというのに……。
千年もの間、極東を守り抜いた伝説的存在……『護廷開祖』山本元柳斎重國。
噂に聞く……『死剣』卯ノ花烈。
相当な手練れと聞く……藍染惣右介。
他……京楽春水、浮竹十四郎、浦原喜助、四楓院夜一、雀部長次郎などの噂に名高い強者達。
顎屋敷剣八、平子真子、鳳橋楼十郎、矢胴丸リサといった大陸探題。
市丸ギン、黒崎一心、砕蜂、涅マユリといった日本魔法省の面々。
刀原の同期……雀部雷華、日番谷冬獅郎、黒崎一護など。
綺羅星のごとき……錚々たる面々。
それらがやってくるのだ。
まあ、圧倒的人数を用意して……。
それを期待して大量の手駒を用意しているのだが……。
龍に群がる蟻の様な展開になることが容易に想像出来るな。
…………。
……………………。
………………………………奴らと戦うなど、正直言って考えたくもない。
クソが!
ふざけるな!
何故来る!
来るな!
帰れ!
………………。
………………………………おのれ。
おのれダンブルドア!
こうなるよう仕向けたのだろう!
そうに違いない!
間違いない!*6
…………そりゃあ考えたさ。
アイツらに対抗する方法を。
霊圧とやらを学び、鬼道とやらを知り、斬魄刀を入手して始解とやらを出来る様になってみようとしたりしたさ。
虚化とか言う、如何にも危険そうな手段に出てみようかとおもったりしたさ。
だが……駄目っ……!
霊圧なんて分からん。
鬼道など出来る気配無し。
斬魄刀に至っては入手すら出来ない。
手に入れた所で、始解出来る様になる方法も分からない。
虚化なんてさっぱりだ。
日本の者を捕らえて方法を吐かせようかとも一瞬思ったが……。
そんな事をすれば破滅が早まるだけだろう。
打つ手無し。
投了です。
大人しく十刃の連中に託す他あるまい。
……連中に我が命運が掛かっていると思えば、震えるな。
まあ、良い。
いや、良くはないが。
近いうちに小僧は決戦を挑んでくるに違いない。
そこで小僧とその一味を一網打尽にする。
多分やってくるかもしれないと思いたい護廷十三隊は……十刃に託し、少しでも疲弊させる。
いよいよだな。
「いよいよである!」
元柳斎は杖を床に打ちながら、高らかにそう言った。
賊軍との決戦に勝利した刀原達は、万難を排してヴォルデモートを誅殺するべく、軍議を開くことにしたのだ。
「いよいよ我らも英国入りする時が来た。同盟国たる英国に巣食うヴォルデモートとその一味、其奴らと手を組んでいる破面の者共を切り捨てる時が来たのじゃ。英国も欧州も、日本も、日本以外の世界も奴らに渡す訳にはいかんからの。では、刀原……」
「はい」
元柳斎に促された刀原は、床に世界地図とホグワーツ周辺の地図を敷く。
「では、改めまして……本作戦の総大将を拝命しました、三番隊の刀原です」
刀原がそう言ってお辞儀をする。
もう手慣れたもんすね。
えらい立派になったもんやな。
カッコいいですよ!
など茶化す者がいる中、刀原は咳払いする。
「山じいみたい」と言われるが。
「では、まず初めにですが……ハリー達が不死鳥の騎士団に保護されたという情報です。彼の決断次第ではありますが……彼が決戦を選んだ場合、我らも助太刀に駆け付けねばと考えております」
「ヴォルデモートだけならいざ知らず、十刃の面々がいるから尚更だね」
刀原と京楽がそう言えば、軍議に参加している者は全員が各々の反応を見せる。
「その英国入りですが……全員では向かいません。賊軍の完全掃討が終わってませんから。ここの守りを疎かにも出来ません。その為、日本魔法省と大陸探題にもここの守りをお願い致します」
「任せといてや」
「心得た。任せてくれ」
二つの組織の長である市丸と刳屋敷がそう言って頷く。
「護廷十三隊も英国に行く者、日本に残る者とで分けさせて頂きました。既に個別でお願いしております。各位、よろしくお願い致します」
既に根回しは済んでいる為……刀原がそう言えば、ほぼ全員が頷く。
だが大人しく頷かない者もいる。
「おい刀原!俺はまだ納得してねぇぞ!」
誰あろう……
「ヤッテモータだかバレテモータだか知らねぇが、強いんだろ?十刃も中々手強いって聞いたぜ?なのに何で俺は留守番なんだ!」
「現地は日本でも瀞霊廷でもない異国の土地。護廷十三隊並みの歴史を持つホグワーツが、お前によって木っ端微塵になるのは避けたいんだよ。国際問題は面倒だし」
「……俺がやりかねねぇって言いてぇのか」
「うん。やると思ってる。お前、周囲お構いなく戦うだろ?」
更木の訴えに、刀原は真顔で一蹴する。
刀原とて更木参戦を考えなかった訳では無い。
だが……敵を撃破するついでに、ホグワーツも吹き飛ぶ光景がありありと見えたのだ。
本末転倒になるので……。
あと更木が満足出来なかった場合に、
ついでに、その凶悪な面でハリー達が萎縮しない様に……。
刀原は更木を留守番させることにしたのだ。
「俺は強い奴と戦いてぇ」
「じゃあ、国際問題になったらお前一人で全部解決しろよ?英語が出来ないお前が解決出来るといいな?」
「うぐ」
「あと個人的にお前を信頼してるからこそ、残ってもらいたい。頼む」
「……ちっ、しゃーねーな。分かったぜ」
最終的に、更木は納得した。
そして刀原は、ホグワーツを救ったのだった。
その後も、刀原は矢継ぎ早に指示を出す。
当たり前だが……護廷十三隊は破面の面々を倒すこと。
周囲の被害を最小限に留めること。
死喰い人は切っても良いが、ヴォルデモートはハリーの獲物であること。
そして…。
「破面の面々の内、何人かは見逃す、味方に引き入れる…だと?」
刀原の案に、狛村が険しい顔をする。
「彼らを味方に出来れば、大きな戦力になります。向こうには穏健派もいますから」
刀原はそう言う。
「臆したか刀原」
元柳斎はそう言って刀原を睨む。
刀原の甘さがそう判断したのかと。
「違いますよ。今後の為になると考えた上での案です」
しかし、刀原はそんな甘い考えを持った訳ではない。
「またヴォルデモートみたいな馬鹿が現れた時、破面という勢力が敵に回らず…むしろ友好的だった方が良いかと思いました。僕らが出張らなくて済みますから」
「ふむ」
「それに、理性ある破面に虚をある程度管轄して貰った方が良いのではと。ゼロには出来ないとは思いますが、それでも頻度を下げることぐらいは出来るかと」
刀原の案は、友好関係にある破面に虚を統治させるというもの。
この機に、長年の懸案だった虚問題にある程度の決着を着けたいと考えていたのだ。
「受け入れない者は?」
元柳斎は頷きながらも、再度睨みながら言う。
「斬ります。受け入れないならそれまでです」
それに刀原は、はっきりと答える。
降伏に固執することはない。
降伏すれば良し、さもなくば切り捨てるまで。
刀原はそう言いたいのだ。
元柳斎は刀原のその姿勢に感心したかの様に頷く。
時には甘く、時に苛烈に。
敵には一切の容赦無く。
さりとて、柔軟な発想は忘れない。
儂じゃったら皆殺し一択じゃったが……。
素晴らしい成長じゃ。
「良かろう。儂は刀原の案に賛同する」
元柳斎は思わず溢れそうになる笑みを堪えながら言う。
「確かに、成功すれば大きい案だね。僕もそれに賛成だ」
京楽もそう言う。
二人の重鎮の賛同を得た刀原の案は実行に移される事に決まった。
「ありがとうございます。では対英国方面の軍議を終わります。皆さん、抜かり無く」
刀原の言葉を最後に、護廷十三隊は動き出した。
「ハリーはこれからどうするんだい?」
「ハリー、どうする?」
「どうすんだよハリー」
シリウス、ハーマイオニー、ロンがそう聞いて来た。
日本の決戦が終わり、いよいよ動くか。
それともまだか。
そう言いたいのだ。
夜、暗い海を見ながら悩むハリーの手元には、シリウスから渡された刀原からの手紙。
今朝やってきたと言うその手紙に書かれていたのは……たった一言の言葉。
『
ハリーの心は決まっていた。
『
ハリーが書いた一文字は消えていった。
選ばし者は決断したのだ。
手段を選ばなければ……。
話は別。
噂によれば…。
敵を火薬樽に変身させて敵にぶつけて爆殺したり。
敵からの攻撃をローリングで回避したり。
害悪戦法を普通に運用してきたり。
色々とヤバい人だったらしい。
実際、話を聞いたハリー達はドン引きした。
だが「シンパシーを感じる」と言い張った『かの者達』は違った。
「何それ凄い」
「是非ご教授して欲しいです」
数日後、かの者はハリー渾身の武装解除呪文を……「こんな感じかな?」と言いながらローリングで回避した。
既にダンブルドアによって破壊されている
既に見つかり、破壊されている。
なお、ダンブルドアとハリーをもってしても苦戦を強いられた洞窟の守りだが……刀原は難なく攻略出来る。
亡者など全部斬れば良いし、湖だって空中を歩いて渡る。
毒薬に関しても何とか出来るだろうが……。
「面倒だな。これごと破壊するか」
と言って台座ごと完全詠唱黒棺を叩き込んでロケットを破壊する事は、想像しやすいだろう。
多分……いや、絶対する。
ダンブルドアだって「まさかこうなるとは予想してなかったのじゃ」というのが本音だ。
喜ばしいことではあるが、ホグワーツは年を重ねるごとに寮間での諍いは無くなり。
己の企みは、ほぼ水泡に消えた。
ハリーは気付かぬ内に、仲間ごと逞しくなり。
なんかついでに強化もされてる。
あれれ~おかしいぞ~。
なんでこうなった?
わし、何か間違えた?
護廷十三隊の視点から見れば余裕。
問題は十刃の面々が気になるところ。
ハリー側から見れば、人的不利。
でも護廷十三隊が来れば余裕。
ヴォルデモート側から見れば、護廷十三隊がやって来る前にハリー達を倒したい。
でも、倒しても護廷十三隊に負ける可能性大。
さあ、勝敗は如何に?
ま、過程はともかく結果は決まってますが。
感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。
では次回hーーーーー
コチラ極東
コチラ極東
英国応答願ウ
コチラ英国
極東ドウゾ
我ラ共演ノ為 楽屋ニ入ッタ
主演ノ楽屋入リヲ待ツ
共演感謝ス
主演八楽屋ニ入ッタ
英国ヘ
撮影予定日知ラセ
極東へ
撮影予定日五月二日
客入リ人数ノ予想八?
満員御礼ノ予定
了 土産ヲ持ッテ向カウ
いよいよ始まる
大一番
集う
あの城へ
勇敢なる英国の勇士
Harry James Potter
Hermione Jean Granger
Ronald Bilius Weasley
Neville Longbottom
Ginevra Molly Weasley
Luna Lovegood
Minerva Mcgonagall
Sirius Black
Remus Lupin
Severus Snape
ーーーーー ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーー
死を喰らう者
Lord Voldemort
Death Eaters
極東の戦士
刀原将平
雀部雷華
日番谷冬獅郎
黒崎一護
雛森桃
朽木ルキア
阿散井恋次
井上織姫
卯ノ花烈
朽木白哉
狛村左陣
京楽春水
浮竹十四郎
浦原喜助
破れた面を持つ虚
コヨーテ・スターク
ーーーー・ーーーーーーー
ティア・ハリベル
ウルキオラ・シファー
ーーーー・ーーー
グリムジョー・ジャガージャック
積み重なった物語は
決着の血戦へと至る
いざ死合おう
世界を掛けた一夜だ。
次回
ホグワーツ決戦 開戦
次回もお楽しみに