間も無く、長い夜が明ける
皆が待ち望む、暖かな朝
終わらせよう、この夜を
始めた時と同じように
最後は二人で。
刀原とスタークによる戦いは弾幕戦となっていた。
拳銃から虚閃を放てるスタークに対し、刀原はそれを避けたり、刀で防ぎながら接近を図っていた。
対するスタークは、刀原に接近されないように絶妙なタイミングで虚閃を放つ。
いたちごっこになりつつあると判断した刀原は、適度に接近しつつ飛ぶ斬撃で応戦し始めたのだ。
「ならこれはどうだ?」
スタークは更に撃つ速度を上げ、自身の周囲を弾幕で囲う。
だが、その弾幕には一か所だけ穴がある。
当然、刀原はそこを衝く。
「当然、そう来るよな」
「
放たれた刀原はニヤッと笑い、横に薙ぎ払う斬撃を放った。
スタークの虚閃を切り飛ばした斬撃を、スタークは上空に飛んで回避した。
「随分と簡単に誘い込めたと思ったら…そういうことかよ」
「まあね。しかし、流石にこれじゃダメか」
「隊長君なら返す刀で反撃してくるだろうと思ってたからな」
互いに油断ならない相手だと分かっているからこその探り合い。
「さてと、そろそろ隊長君の卍解とやらが見たいからな……本腰、入れさせてもらうぜ」
スタークはその均衡を更に崩すことに決めた。
「一度に千発もぶち込めば、流石の隊長君も捌き切れないだろ?」
そう言って、スタークは霊圧を高める。
「『
まるでガトリング砲の様に打ち出される虚閃。
流石の刀原も回避や斬って弾くことしか出来なくなる。
「そろそろ卍解したらどうだい?」
スタークは手を緩めることなく虚閃を撃ち続ける。
「んじゃ、お言葉に甘えて」
その挑発にも似た誘いに、刀原は乗ることにした。
「卍解『
刀原が持つ斬魄刀が変化する。
遠目から見える
少なくとも、スタークに侮る気持ちなど皆無だった。
「『
刀原が刀を振るえば、千にも届く数の斬撃が放たれる。
それらはスタークの
「これと真っ向からやり合えるのかよ」
「当然だろ?」
スタークの弾幕を搔い潜った刀原がそのまま接近し、斬撃を飛ばす。
スタークはそれを避けるが、避ける方向を読んでいた刀原が首に刃を突き立てた。
しかし、突如としてヴォルデモートの霊圧が破面の様に変化した。
「この霊圧……!」
「……マジかよ」
それを察知した二人は、そのままの恰好で動かなくなる。
「俺たちの負けだ。行きな」
スタークは静かにそう言った。
「……ありがとう」
刀原もスタークの心意気を感じ取り、そう静かに礼を言う。
そして瞬歩でホグワーツ城へ向かった。
「いいの?スターク……」
未だ銃の姿のままであるリリネットがそう聞く。
「いいんだよ、これでな」
スタークは大きく息を吐き、ホグワーツ城を見据えた。
「
ハリベルは霊圧を高め、高水圧の激流を放つ。
「『
日番谷はそれに向かって吶喊し、真っ向から迎え撃つ。
激流は瞬く間に凍っていき、それらは氷となって砕かれた。
「流石……としか言えないな」
放った技にそれなりの自身を持っていたハリベルは、苦い顔をしながらそう言った。
「その賛辞、素直に受け取るぜ。それと同時に、謝らなくちゃならねぇ。俺の力はまだまだ未熟だ。だからこそ、後ろの氷華は散らせない」
一方、受けきった日番谷は氷輪丸を構えながらそう言う。
後ろの氷華が全て散れば、大紅蓮氷輪丸は完成する。
だが完成された大紅蓮氷輪丸は絶大な力を発揮し、周囲に甚大な被害を齎すことになる。
護るべきはずのホグワーツがそれで壊滅するなど、あってはならないこと。
「だからこそ、俺がいま出来る最大の技で終わらせる」
日番谷はそう言って霊圧を高める。
「『
上空の曇天が一部だけ晴れる。
そしてハリベルは、氷の華に覆われた。
「この霊圧……奴か」
ヴォルデモートの変化を察知した日番谷は、直ぐにその方向へ向かった。
刀剣解放第二段階をし、黒い悪魔の見た目となったウルキオラは……苦い顔を隠せていなかった。
それは、かなりの威力を持つ落雷を雨の様に降らす雀部に、全く接近出来なかったからだ。
直撃すれば、大ダメージは避けられない落雷。
それらを回避しながら手にしている雷霆の槍を投げつけても、立ち塞がる様に降る落雷や雷の障壁によって迎撃されてしまう。
「これで終わりです」
雀部はウルキオラを更に追い詰めるべく、霊圧を高める。
「『
ウルキオラを囲うように黄色い雷の槍が生み出される。
それらは一気にウルキオラへ向かい、雷鳴と共に爆ぜたのだった。
「息絶えよ『
膨れ上がった霊圧を前に、疲弊していた多くの者が行動不能になる。
「死ね。『
ヴォルデモートは杖をハリーに向け、緑色の光線を放つ。
それは虚閃と化した死の呪文だった。
「起きろ『紅姫』『血霞の盾』」
斬魄刀を解放した浦原がハリーの前に立ち、自身の前面に赤い盾を展開してそれを防ぐ。
その間に、四楓院がヴォルデモートの懐に入り込む。
「『
「『
今までなら反応すら出来ないはずの拳を、ヴォルデモートは障壁を張って防ぐ。
「「なに!?」」
流石の浦原と四楓院も、驚きを隠せない。
「まさか防がれるとはのう……!」
四楓院は後ろに飛び、浦原とハリーの傍に着地して思わずそう言う。
「『血霞の盾』もボロボロっす。こりゃあ、ちょっとヤバいっすかね……」
周囲に味方が多すぎる為に派手に立ち回れない浦原も、思わず苦い顔をする。
「フハハハハハ!これこそが力なのだ!」
ヴォルデモートは高笑いと共にそう言う。
「さあ日ノ本の死神共よ、ひれ伏、ぐぁ!」
だがそんなヴォルデモートの胸に、黒く染まった青龍刀が後ろから刺さる。
「迂闊だねぇ。影踏んだ」
事態急変を察知して駆けつけた京楽が、子供の遊びが能力になっている花天狂骨を解放し、『
「貴様ぁ!」
ヴォルデモートは振り返り、京楽に杖を向ける。
「散れ『千本桜』」
しかし、何枚もの桜の花弁によってそれは阻まれる。
朽木白哉が千本桜の花弁を割り込ませたのだ。
「させぬ」
「おのれ、小癪な!」
ヴォルデモートは京楽の姿を見失う。
「とりあえず大広間から出よ『
その隙を衝き、四楓院が再び距離を詰める。
「はぁあああ!」
ヴォルデモートは咄嗟に障壁を再び張るが衝撃までは防げず、大広間の壁を破って外へ吹き飛ばされたのだった。
「お、追いかけなくては!」
浦原と途中からやってきたルキアや阿散井に守られていたハリーは、屋外に出たヴォルデモートを見ながら直ぐにそう言う。
「こうなった以上、我らに任せた方が得策だろう」
ルキアはハリーを止めるように言う。
「逃がしはしないっすよ。外には刀原君達がいますから」
浦原も安心させる様に言う。
「でも、少しは役に立ちたいです……!」
ハリーは訴える様に言う。
「だがよ、今行けば巻き込まれるぜ?」
それを聞いた阿散井は殆ど呆れた顔をしながらも、確かめる様にそう言う。
「覚悟の上です」
だが、そんなことは承知しているハリーの意思は固い。
「……それじゃあ、行きましょうか」
ハリーの意思を汲み取った浦原は、微笑みながら言う。
「浦原隊長!?」
「正気ですか!?」
ルキアと阿散井は困惑した顔で窘める様に言う。
「正気ですよ?ハリー君の意思は固い、曲げることは難しいでしょう。彼は私達が思っていた以上に覚悟を決めていた。なら、無下には出来ない」
浦原は普段は見せない真面目な顔でそう言う。
「さあ、早く行きましょう。もたもたしてると、刀原君達がヴォルデモート討ち取っちゃいますよ」
直後響いた雷鳴が、その言葉を肯定していた。
「『
吹き飛ばされながらも、ヴォルデモートは傷を癒していた。
そして体勢を立て直すと、飛行魔法で空を飛ぶ。
退路が無く不利な気がしていた彼は、寧ろ外に出たことをプラスに考えていた。
あのまま戦えば有利な気もしていたが。
溢れ出る力によって浮かれていたヴォルデモートは、既に一時撤退を考えていた。
だが、その考えは甘かった。
「随分と見てくれが変わったみたいだな」
オレンジ色の髪の毛、黒いコートを思わせる死覇装。
手には真っ黒な刀。
卍解した黒崎一護だ。
相当なスピードで飛んでいたはずのヴォルデモートに、彼は平然と追いついたのだ。
「貴様は!?」
「『
黒い斬撃がヴォルデモートを襲い、なすすべなく地面に叩きつけられる。
「おのれ!」
思わず空を見たヴォルデモートは、その瞬間に認識する。
卍解した雀部が雷雲と共に君臨しているのを。
「『
雀部が手をヴォルデモートに向けると、雷雲から雷を一点に集中させて圧縮し、極大の黄色い雷の光線を発射される。
「『
ヴォルデモートが放つ極大の緑の閃光が、それを迎え撃つ。
暫く拮抗する二つの光線だが、次第にヴォルデモート側が押され始める。
「クッ!」
ヴォルデモートは悔しげな声を呟くと、姿を晦ましてその場から消え、雀部の背後を取って杖を向ける。
だが、雀部はそれくらい読んでいた。
ヴォルデモートが何かをする前に、真上から落ちてきた雷によって地面に叩きつけられる。
「『
そしてヴォルデモートに向けて数十の雷が、上空の雷雲から一斉に放たれる。
「『
雨の様に落ちて来る雷を、ヴォルデモートは障壁を張って防いだ。
「ふむ…防ぎましたか」
空から降りて来た雀部はそう言いながら油断することなく、ボロボロに破損した障壁に覆われているヴォルデモートを見据える。
「おのれ…!」
ヴォルデモートは苦々しく雀部を見ようとし、目を見開く。
「虚の力を手に入れたから正面から来るとは…よほど血迷ったと見えますね?」
「逆転勝利するとでも思ったかよ?」
「古来より日ノ本を守護してきた護廷十三隊。甘く見るんじゃねぇぞ」
「貴様が世界を手にすることなど、夢のまた夢だ」
雀部、黒崎に日番谷と刀原が合流したのだ。
「行くぜ『月牙天衝』!」
先陣を切った黒崎が、自身の十八番である黒い斬撃を放つ。
それに合わせ、他の三人も散開する。
「『
この四人相手に背中を見せるのは自殺行為と判断したのか、ヴォルデモートは月牙天衝を迎え撃つ。
二つはぶつかり、爆発が起こる。
「卍解『大紅蓮氷輪丸』」
続いて仕掛けたのは日番谷。
「『千年氷牢』」
ヴォルデモートの周囲に巨大な氷の柱が聳え立ち、動きを止めようとする。
「舐めるな!『
ヴォルデモートも自身の周囲に『悪霊の火』や『悪魔の護り』よりも激しい獄炎を放つ。
しかし完全に溶かしきることは出来ず、じりじりと押され…氷柱は一塊になる。
「『
ヴォルデモートは氷柱を爆砕し、脱出する。
だが、それを刀原と雀部は待っていた。
「「奥義」」
「「『
刀原と雀部の同時攻撃。
氷牢の脱出にかなりの力を行使したヴォルデモートは、それに反応出来なかった。
ヴォルデモートは崩れ落ちた。
顔を覆っていた髑髏の仮面はもう無く、細長く身の丈サイズになっていたイチイの杖も元に戻った。
虚の力は消し飛んだ。
だが、ヴォルデモートはまだ死ななかった。
「仕留められなかったか」
「ですが、もう限界でしょう」
刀原と雀部は警戒を解くことなく、ヴォルデモートに止めを刺そうと構える。
「待ってくれ、ヴォルデモートを倒すのは…僕にさせてくれ」
それを止めたのはハリーだった。
浦原やルキアなどと一緒に、急いで大広間から来たのだ。
「ハリー…?」
「僕らが出来るのは此処までです……。後は…ハリー君に任せましょう。そういう約束でしたでしょう?」
反射的に止めようとする刀原を静止したのは浦原。
「…しょうがねぇな」
美味しいところを持っていく様な恰好だが、元々ヴォルデモートはハリーの獲物。
しかも、一度は完全に追い詰めていた筈。
刀原は納得したかのような笑みを浮かべ、ハリーを見据える。
「じゃあ…任せたぞ」
その目に覚悟が宿っていることを確認した刀原はそうハリーに声を掛ける。
そして言葉に無言の頷きを返したハリーは、ゆっくりとヴォルデモートに向かって歩く。
ヴォルデモートもハリーを見てゆっくりと立ち上り、杖を向ける。
「見届ける…か」
「ええ、そうしましょう」
刀原達は刀を鞘に納め、二人の対決を見守る。
「今度こそ、此処で決着だ」
「良かろう、来るがいい」
ハリーとヴォルデモートは、互いに
これが最期であるが故に、礼を尽くさなくてはならないから…。
「『
「『
それは一瞬で。
しかし不思議とスローモーションの様に感じられ。
大広間で行われた一回目の繰り返しだった。
死の呪文は跳ね返り、ヴォルデモートを貫いた。
イチイの杖はヴォルデモートの手から離れ、勝利者に向かう。
ハリーは飛んできたイチイの杖をキャッチした。
ヴォルデモートはゆっくりと倒れ、動かなくなった。
闇の帝王は、討ち取られたのだ。
選ばれし者によって……。
我等は姿無きそれを恐れ
姿無くとも歩みは止めず
希望を探す
それは勇気
斯くして刃と杖は振り下ろされる。
息絶えよ『
様々な要因で手にしたヴォルデモートの虚化。
『虚の力を纏っている』という形に近く、ヴォルデモートが魔法使いであることに変わりはない。
技
『
虚閃となった死の呪文。
死の呪文が闇の呪文であるため、より強力になった。
虚閃をなんとか出来る実力者にとっては、普通の虚閃と変わらない。
『
虚の力が加わった悪霊の火。
山じいの炎に比べるまでもない火力だが、ハリーにはどうすることも出来ないし、ダンブルドアですら対処が難しい。
力が増している大紅蓮氷輪丸を止める力はない。
他の技
霊圧が加わって効果が増し、刀原達となんとか渡り合える程度には強力になった。
虚の力を有したとしても、その熟練度は微々たるもの。
刀原、雀部、日番谷、チャン一の四人にはどう頑張っても勝てません。
まあ、健闘したんじゃないですか?
「俺様を生かすつもりは無いのか!?」
「無い」
勝ち筋は皆無ですが、死なない方法ならありました。
ホグワーツ陣営が多くて戦いづらい大広間に刀原達全員を引きつけ……頃合いを見て一気に全力逃走をするというものです。
ただ雷の雀部とチャン一、瞬神夜一から逃げ切れるかと言われると……。
あ、ダメだ、やっぱ詰んでますね。
今年も本小説をご愛顧、また読んでいただき、誠にありがとうございました。
また、皆様の暖かい応援もあり……決着を迎えることが出来ました。
後少しですが、来年も宜しくお願いします。
感想、ご意見、評価、お気に入り登録。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。
では次回は
死の秘宝編 終幕
次回もお楽しみに
おまけ
『呪いの子』ですがちょっと悩んでます。
セドリック生きてるし。
結局のところ、刀原達には勝てないし。
筆者自身、まだ読んでないし。
だいぶ呪いの子とは違ってくる……というか別物なりますが...要りますか?
もし書くとすれば...BLEACH劇場版のストーリーと絡める予定です。