僕が心の底から望むものは何?
富?名声?力?
愛?家族?永遠の命?
鏡よ映せ
僕が望むものを見せよ。
《拝啓 師匠達へ
師匠達におかれましては、相変わらずご壮健の事と思います。
現在、遠い異国の地たる英国におりますれば、新年のご挨拶にお伺い出来ぬこと、平にご容赦下さい。
師匠達からの教えは、ここホグワーツに置いても充分に発揮され、日々の役に立っております。
改めて感謝を申し上げます。
その感謝も込め、英国魔法界のお菓子をクリスマスプレゼントとして送付します。
ちゃんと一人ずつ名前も書いてあるので、独り占めしないでくださいね。
さて話は変わるのですが、最近ホグワーツは何やらきな臭くなっており、その案件に我が友人のハリー・ポッター君が首を突っ込もうとしております。
日々説得をしておりますが応じませんので、おそらく僕も巻き込まれる事と相成りそうです。
肝心な案件の内容についてですが、どうやら賢者の石についての事である可能性、極めて大と考えております。
また下手人は、例のヴォルデモート卿なる闇の魔法使い達、その一味だと考えております。
有事の際には禁*1を破る事と相成りますが、その際もご容赦ください。
それではまた、何かありましたら連絡致します。
刀原将平より》
「これで良し」
刀原はグリフィンドールの談話室にて、師匠達への手紙を書いていた。
まもなく訪れるクリスマス休暇について、今年は日本に帰国しない事を師匠達へ報告するためだ。
帰って来ないとなんやかんや煩いので、刀原はご機嫌取りに糖蜜パイを選出した。
渋い緑茶に甘い糖蜜パイ。
お茶請けに丁度いいとでも書いておけば、師匠達もニンマリであろう。
そんな師匠達を納得させる手紙を書く刀原の傍には、何やらあーでもないこーでもないと言い合うハリー達が居た。*2
議論の内容は当然授業の内容。
などでは無く、ニコラス・フラメルについてだ。
どうせ先生に言ってもあてにならない。
ハーマイオニーも知らないと言う。
だったら自分達で調べようという魂胆だ。
ちなみに……。
ーーーーーー
「マクゴナガル教授。少し質問が。」
「なんですか?ミスタートーハラ」
「うちの師匠が新しく錬金術を始めたらしくて、それでヨーロッパの錬金術師を調べたらニコラス・フラメルという方が居ると分かったんです」
「え、ええ。ヨーロッパでは、ニコラス・フラメルが錬金術師の代表だと思いますよ」
「良かった。それで、教授がジャンル違いなのは知っているのですが、フラメル氏についてご教授願いませんか?」
「分かりました、少しだけなら…。ニコラス・フラメル氏の功績は何と言っても賢者の石についてですね。彼は……」
ーーーーーー
と言った感じで、比較的簡単にマクゴナガル教授は教えてくれたのだ。
ちなみに今のところ、師匠が錬金術をやるなんて真っ赤な嘘である。
つまり先生方は、
それにハリー達は、刀原に一度も「ショウはフラメルについて知ってる?」と聞いていない。
まあ刀原は……例え聞かれたとしても、誤魔化したり忘れりしたフリをして教えるつもりは全く無い。
ようするに刀原は、ニコラス・フラメルについてすっとぼけることにしたのだ。
そして始まるクリスマス休暇。
生徒達にとっては待望の休暇の為か、ホグワーツからはめっきり人が居なくなる。
刀原も人が居なくなった暖かい談話室で、刃禅や斬魄刀の手入れなどをし、
一方、ハリーとロンのニコラス・フラメルについての調査は、難航していた。
調べ物をする三人のうち、主力だったハーマイオニーが帰省したため、完全にお手上げ状態になっていたのだ。
刀原はそれにしめしめと思いながら、錬金術の本を図書館から再度借りるのだった。
そのハーマイオニーはというと、フラメルの調査に関して帰省間際にこう言った。
「閲覧禁止の棚はまだよね」
それを受けロンは思わず。
「
とつぶやいた。
刀原は
そして。
《賢者の石、およびホグワーツ内での厄介ごとの件、相分かった。
友を助けることもまた大切な事、我らはおぬしに任せることとする。
おぬしに会えないと一部の者たちが寂しがっておるが気にするでない。
おぬしにしか出来ぬこと、しかとやり遂げよ。
くりすますぷれぜんとの糖蜜ぱいとやら、なかなか美味であった。
特に雀部が喜んでおったぞ。
儂は洋食はあまり好まぬが、偶には悪くないの。
そちらは日本より寒いと聞く。
健康には一段と気を付けよ。
それと、勉学と修行を怠らぬよう心掛けるように。
では吉報を待つ。
愛弟子へ》
刀原は
クリスマスの朝、俺の元にはちょっとしたプレゼントの山が出来ていた。
ハグリッドからは先日も食べたロックケーキ。
砕くと美味しく、ココアやコーヒーとの相性もバッチリな一品だ。
ロンの母、モリーからは中々に大きい大鍋ケーキ。
これもお茶請けにぴったり。
残念ながら面識はまだないのだが……有難く頂戴しよう。
ハーマイオニーからは羽ペン。
ハーマイオニーには同じく羽ペンを送ったので、奇しくも同じ物を送り合った形となった。
日本の親友達からはインスタントの日本食。
そろそろ本格的に味噌汁と白米が食べたくなっていたので、かなりうれしい。
お返しには英国魔法界のお菓子を選んだ。
師匠からもそれぞれ来た。
粉の抹茶セット。
投擲用ミニ苦無。
軟膏の傷薬。
新しい着物。
黒い外套。
刀手入れセット。
薬や着物、手入れセットは案外使うのでいい。
抹茶は…あとでハリー達に茶をたててやろう。
苦無って、まあいいや。
そしてこの黒い外套はなんだ。
あ、説明書付いてある。
《此奴は霊圧を遮断する外套っす。
ほんの少し鬼道を練り込むだけで、姿すらも景色に紛れてほぼ見えなくなるっていう代物でして。
そちらだと透明マントって奴が近いっすかね?
ただ、音はあんまり遮断出来ないので注意してくださいっす。
使ったら後で感想聞かせてくださいっす~》
へぇ、隠密とかで使えそう。
後で試してみよう。
一方……ハリーの元にも、何者からかのプレゼントが来ていた。
《君のお父さんから預かっていた物だ。
君に返す時が来た、上手に使いなさい》
そんなメッセージと共に送られたのは透明マント。
刀原がハリーとロンと共に大広間に向かうと、中は人数が少ないにもかかわらず喧騒に包まれていた。
既にハグリッドは泥酔しており、ロンの双子の兄であるフレッド・ジョージのコンビが巨大なクラッカーの紐を引っ張る所だった。
クリスマスのご馳走は、流石は本場ヨーロッパというべきか……素晴らしいものばかりだった。
七面鳥にポテト、ソーセージ等々。
刀原はクラッカーを炸裂させながら、ハリーとウィーズリ-家と共に昼食を楽しんだ。
昼食後は雪合戦も行った。
刀原はフレッド・ジョージの双子とチームを組み、ハリー・ロン・ロンの兄パーシーのチームと対戦する。
特に制約もなかった為……刀原は双子との協議のすえ、斬魄刀で向かってくる雪玉を全て叩き切り、双子が攻撃するという戦法を採用した。
結果、刀原は雪玉を量産して投げまくる双子を完璧に守り切り、三人で勝利の歓声を上げるのだった。
雪合戦を終えた後の夕食も豪華だった。
昼食にも出ていた七面鳥は、夕食にも当然の如くグレードアップして出てきた。
他にも……マフィンにドライフルーツ、クリスマスケーキにフルーツケーキ。
ホグワーツでのクリスマスディナーに、刀原もハリーもウィーズリー家の兄弟達も酔いしれるのだった。
その翌日の朝、ハリーの様子がおかしくなる。
心ここにあらずといったような感じになったのだ。
そんな感じで寮から出ないハリーをやむを得ず置いていき、俺はロンに事情を聞くことにした。
「ショウは寝ていたから気付かなかったと思うけど、実はハリーが昨日一度夜中に出て行った後戻ってきて」
「夜中に出て行った?ああ、透明マントでか」
「そう、透明マントを被って出て行って、戻って僕を叩き起こしたんだ。それで妙な鏡の前に連れてったんだ」
「鏡?」
「うん、僕はその鏡は未来が見えると思ったんだけどね」
「未来って?」
「えっと、僕が首席になって、グリフィンドールの優勝カップを持っているのが見えたんだよね」
「それってロンの未来というよりかは
「え、いや、そう、そうじゃなくて…」
「大丈夫、少年よ大志を抱けって言うし、恥ずかしいことじゃないぞ」
「あ、ありがとうショウ」
「うん。んでハリーの事だけど……確かに今朝は様子がおかしかったね」
「ハリーには死んじゃった家族が見えるらしいんだ」
「亡くなったご両親の」
「うん…」
ハリーにとっては何としても見たい夢、いやこの場合……望みと言い換えるべきか。
だがこのままその鏡に夢中になれば、廃人同然にもなりかねない。
「分かった、とりあえず今日の夜は俺が同行してみるよ。まあ、気づかれないようにこっそりと……だけどな」
「え?透明マントもなしにどうやって行くの?それに管理人のフィルチに、スネイプもウロウロしてるんだ。危ないよ」
「あれ、言ってなかったっけ?俺も
「聞いてないよ!」
「すまんすまん。まあ、うまくいくさ」
折角の贈り物だ。
早速使用してみようかね。
早寝早起きを是とする俺だが、別に早寝しなくちゃいけない訳じゃない。
ただ校庭で朝練をする関係で、早起きするためだ*3。
いい加減鬼道の練習もしたいため、そろそろ鬼道用の朝練場が欲しいところだけど。
ハグリッドあたりに聞いてみるかな。
話が逸れた。
誰もが寝静まる丑三つ時。
俺が寝たフリをしていれば、ロンの密告通り、のっそりとハリーが起き上がった。
そして透明マントを着て、姿が見えなくなる。
だが、俺には無駄だ。
霊圧を探れば、どこに行くかなどお見通しだ。
クックック。
俺から逃げられると思ったら大間違いだぞ?ハリー?
俺も起き上がり、貰った黒外套を羽織って、さらに念のために縛道の二十六 曲光*4を使用する。
最小限の足音にするため靴は履かず、雪駄を履き姿を鏡で確認。
うーん確かに分からん。
バッチリだな。
んじゃ深夜のホグワーツ探検と行きますか。
深夜の空き教室に大きな鏡がポツンとあり、鏡の前にはハリーが座っている。
こっそり近づき一言。
「こんばんは、ハリー。こんな寒い床で、
「え、ショウ!?なんでここに?」
俺が話しかければハリーはビクッっと驚く。
この外套、すっごく便利。
気配も足音も消せれば、最高の隠密外套だな。
まあ、俺は消せるけど。
「そりゃあハリーが昨夜、深夜のお散歩で摩訶不思議な鏡を見つけたって、ロンに聞いたからさ」
「ロンみたいに、ショウも僕を止めるの?」
「そう言うって事は解ってるんだね。まあ、エスカレートしなきゃ止めないよ。小言は言うけど……。俺が来たのはハリーと同じで、俺もその鏡を見に来たからだよ」
ちょっくらごめんよ、と言いハリーに退いてもらう。
どれどれ。
俺の背丈よりも高く、古びてはいるものの……装飾は金で美しく仕上がっている。
そして、上の方には何やら文字が彫ってある。
Erised stra ehru oyt ube cafru oyt on wohsi*5
あれ?なんか似たようなもの日本で見なかったっけ?
「あ、そうか、鏡文字だ。ひっくり返せばいいな」
I show not your face but your heart's desire*6ね。
「やはりこれがみぞの鏡ってやつか」
種は解った。
さてと何を見せるのかな?
「ふーん、やっぱりこれが望みか……。」
「何が見えたの?」
ハリーが聞いてくる。
「…俺には目標があるんだ。それが達成されたのが見えるよ」
見えたのは想像通りだった。
中央に隊長羽織を羽織り椅子に座っている俺。
そして俺を囲うように立っている師匠達。
そして俺の両脇には家族が……立つことすら儘ならない筈の父と母が立っている。
俺の目標を叶えた姿。
「目標って?」
「ハリーはご両親が亡くなっているんだよね?」
「うん…」
「俺の場合、亡くなっては居ないけど……似たようなものでさ、それを何とかしたい為に、俺は今後も研鑽を続けるんだ。ここに来たのは……それが、ぶれていないかを確認しに来たんだ」
「そうなんだ…」
「…ハリー、解ってるんだろ。
「でも…」
「あと、先生に見つかるよ。ってか見つかってるよ」
「え」
「ほっほっほ…ばれてしもうたの」
スーッと現れたのはダンブルドア校長だった。
「こんばんは、ダンブルドア教授。教授も深夜のお散歩ですか?」
「まあ、そういった感じかの。どうして儂が居るのが分かったんじゃ?完璧に透明だった筈じゃが?」
「確かに姿は全く見えませんでしたね。ですが
「…なるほどのう。あの方々が師匠として教えていただけあって、その歳でかなりのレベルに達しているらしいの」
「師匠達をご存知なのですか?」
「うむ、若い頃知りおうての。一目見て格が違うと、はっきり分かった初めての方達じゃった…」
「ああ、うん、まあ、そうですよね…」
「さて、ハリーよ。先ほどトーハラが言ったように……この鏡は真実も知識も、与えてはくれん。これに魅入られその身を滅ぼした者は何人もおる。我らは霞を食べても生きていけないんじゃ。生きることを、止めてはならぬ」
「
「明日には、この鏡をいずこかへ移す。再び探そう等とは思わぬことじゃ」
「んじゃ、寮へ帰ろうかハリー」
「……うん、そうだねショウ。ダンブルドア先生、おやすみなさい」
「おやすみハリー、良い夢を」
「では、失礼します教授」
「ああ、トーハラは待ってくれんかの?」
「?わかりました。先に帰ってていいよハリー。また明日」
「うん、また明日ね。おやすみショウ」
鏡が置いてある空き教室からハリーが出るのを見守る。
残ったのは鏡に俺、そしてダンブルドア教授。
「君が見たものを聞きたくての」
「見たもの…ですか」
「うむ、ハリーには君も知っての通り家族が居ないから、家族に囲まれているのを見たのじゃ。対して君は、言葉だけでは掴めなかった」
「……」
「ホグワーツに留学してくるのが君だと聞いて、少なからず驚いた。刀原の名は、山本・卯ノ花の名などにも引けを取らないほど、このイギリスにも伝わっているからの」
「…貴族でもないのに、刀原の家名は有名なんですか」
「知る人ぞ知る、といった感じじゃがの。何せ初代の一人なのだから。だから驚き、気になったのじゃよ。刀原家次期当主にして護廷十三隊次期隊長は間違いなしという君が……何故、必要もなさそうな留学に名乗りを上げたのかを」
「そんなに気になるものですか?」
「儂は気になると確かめたく性分での」
はぁ。
話さないとダメか。
「……父と母の事はご存知で?」
「面識はないがの」
「では今の父と母の身に何が起こったのかは?」
「父君が隊長格を辞したことは」
「それなら早いですね」
夜は更ける。
さらに深く。
深夜の対談は続く。
さらに続く。
取り敢えず続きは校長室にて行うのだった。
感想・考察・ご意見等
お待ちしております。
そしてありがとうございます。
次回は
主人公の事情について
ついでにフラメル発見もします。
次回もお楽しみに