韋駄天様は手紙を届けたい(完結)   作:かりん2022

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事情聴取

 

「八兵衛様。少しお話をお伺いしても宜しいでしょうか」

「構わない」

 

 なんとか五条くんを倒し、気を失ってしまった彼を運んだら、かなり警戒されてしまった。その後、大人しく部屋で待っていたのだが、五条くんと夏油くんの担任の夜峨くんからお伺いを立てられた。

 どうやら、五条くんは私の報告をしていなかったらしい。

 夏油君もろとも封印処置をされることを警戒していたのだとか。

 私を信頼してくれて、報告をしたというわけだ。……そういうことなら、報告はしてくれなくて良かったんだよ? 本来、神は人間に関わらないものなんだから。

 口止めをしていればよかったのかと半ば後悔した。

 

「八兵衛様は、傑に怪我をさせてしまったので治療を行っているとのことですが」

「その件については申し訳なかった。あと数日もすれば、彼も意識を取り戻すだろうと思う」

「それは良かった」

 

 本当に安心した様子で言う。生徒を心から思いやれる彼は良き先生なのであろう。

 

「治療をした後は、すぐ傑の体から出ていかれるのですか?」

「これは目覚めた夏油くんとも相談してなのだが、こちらで活動するに当たって依代が欲しい。落とした手紙を探さなくてはならないし、九兵衛も探さなくては。帰るのはその後だが、もちろん夏油くんが嫌がれば、治療が終わり次第身体を出ていく」

「手紙?」

「そうだ。恥ずかしながら、手紙を配達中に九兵衛という者に絡まれて落としてしまってな。あれも捕まえねばならん」

「そうですか。韋駄天様……と名乗られたとのことですが。韋駄天様はたくさんおられるのですか?」

「そうだ。流石に神界の郵便配達を1人では出来ないだろう? あっ そのっ 違ってだな。私は神族ではないし、そもそもこの世界は私達の担当する世界ではないのだ! こちらの者がとても困っているのは五条くんより聞いているが、すまぬな、私にはどうにもできぬ」

「あっ いえ。天与呪縛に干渉したのは」

「この世界の神族の愛子に干渉したのはやはりまずかっただろうか? しかし、当人が祝福を嫌がっていたようだからな……。いや、人間に問うても仕方あるまい。何かあれば、私がなんとかするとあの青年に伝えてはもらえないだろうか」

「ええ。連絡が取れるようなら取ってみましょう」

「ありがとう。ああ、そうだ、しばし閉じこもっていてお腹が減っているのだが、食事を貰ってもいいだろうか」

「……まさか、数日間絶食を?」

「部屋にいるように言われたからな」

「限度があるでしょう? 傑の身体なので、大事に扱ってください。ましてや、回復には栄養が必要です。すぐに消化に良いものを用意します」

「すまない」

 

 親切そうな者で良かった。しかし、まずいな。まずいよなぁ。

 困った……。

 夏油くんの仕事も、肩代わりしないと収入面で夏油君が困るのではないだろうか。

 周囲の人間にも仕事のしわ寄せが来るはずだし、何より危険な仕事。しかし、特定の人間に肩入れしすぎるのは……ぐぬぬ。

 

 その後、私は食事をした。

 久しぶりの人間界の食事は美味しかった。

 

 

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