韋駄天様は手紙を届けたい(完結)   作:かりん2022

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巻き込まれるにもほどがある

 起きたら教祖だった。

 起きたら教祖だった。

 起きたら! 教祖! だった!!

 

「どういうことかな?」

 

 震える声で周囲の人に聞けば、自分は売られてきたのだという。

 

【悲報】急募:非術師を傷つけずに逃げる方法【知らない間に売られていた件】

 

 戸惑っていると、内側から声がする。

 

『やあ、夏油くん。無事目覚めてよかった』

「君は?」

『私の名は韋駄天・八兵衛。まずは謝らせて欲しい。君に衝突して、大怪我を負わせてしまった。今現在も治療中だ』

「はあ……」

 

 そして、私は事情をじっくりと聞いて、慌てず騒がず電話した。

 

「もしもし悟? 助けて!!!」

『任せろ』

 

 そして私は即座に救出された。

 捕捉はしていたが、本人が嫌がることが重要だったらしい。

 その為、私の目覚めを待っていたと。

 迷える子羊がどーのと神様を丸め込んだ伏黒 甚爾は死ねば良いんじゃないかな!

 

 しかもその後も普通に呼び出して戦ったりしているらしい。

 韋駄天様の話を聞いていると、韋駄天様の名前を呼べば助けに来てくれることが着実に広まりつつある。神様自重して! 私もドン引きするほどのお人好しっぷりである。

 

「すげー心配した、傑!」

「悟……!」

 

 絶対馬鹿にされると不安だったが、普通に心配されていて私は目を潤ませる。

 

『素晴らしい友情だね!』

「君が言うな、八兵衛サマ」

 

「それはそうと、傑。久々で身体訛ってるだろ。八兵衛サマと一緒に訓練しようぜ♡」

『私は訓練したくないかな!』

「そんなに凄いの、八兵衛サマ?」

「さすが神様! って感じ。韋駄天様だけにはえーの♡ でも頑張れば勝てるかもよ!」

『人間に負けた神様のレッテルが貼られるのは遠慮したいんだけどね?』

「俺は神様に勝った人間のレッテルが欲しい」

 

 仲が良さそうな事にちょっともやっとする。どうせしばらく意識なかったよ。悟がこんなに懐くなんて珍しいな。

 

「傑と2人で八兵衛様と戦えたら良いのにな!」

『今はまだ治療が終わってないから駄目だね』

「どんだけ怪我させたんだよ」

『私が癒やすの苦手なのもあるんだ。戦闘もしていて、安静にできていないし。しかし、人々を救うのは義務だからね』

「私の義務ではないかな。とりあえず、甚爾に次呼び出されたら殴ろう」

『何に怒っているのかはわからないが、暴力はいけない!』

「君のために言っているんだよ!! 力の使いすぎで衰弱しているだろ、君!」

「そうなのか? 八兵衛サマ衰弱しているのか?」

『察していたのか……。そもそも、人界でこんなに力を使う機会なんてないからね。依代使って顕現して、という時点でちょっときついかな。私はそう神格の高い神でもないし』

 

 疲れている感覚がしたからカマをかけてみたら、あっさり神様は認めた。

 そう言われてみれば、大変な負担をかけているのかもしれない。

 

『でも、助けた者たちには手紙の捜索を頼んでいるから、私に益がないわけでもないんだ。最悪、手紙さえあれば帰れるからね』

「それ、言った? 手紙を手に入れたら帰るって」

『もちろん』

「それ、手紙を封印されてずっと返してもらえないパターンじゃないかな?」

『何故?』

 

 私と悟はため息を付いた。

 私と悟と硝子だけでも協力するしかないね。

 

 翌日、呪専にて普通に登校した私は、先生に書類を渡された。

 夜蛾先生は気まずそうな顔をしている。

 

「お見合いのリストだ。最悪、子供さえ作れば結婚しないでもいいらしい」

「は?」

『なんだか人間は大変そうだね』

「韋駄天様の子供が欲しいってことだろ」

「体は私なんですけど!?」

『ええええええええええええええええ!? 流石に人間はちょっと守備範囲外だよ? それは依代の傑くんが子供を作れば、私の影響が多分に出るかもしれないけど……!』

「出るんだ」

「口を 閉じろ」

「せめてそこは、嫌なら関係ないって嘘いっとけよ……」

 

 夜蛾は更に頭を痛そうにする。

 

「悪いが、傑。上層部からの命令だ」

「そ、そんな。こういうのは悟の役目だと思ってたのに」

『五条くんは魂と血に役割が宿ってるから。スペアは早めに作っておいたほうが良いよね。転生する体なくなるよ?』

「ほら、神様もこう言ってるし! 悟も一緒にお見合いしようよ! どうしていいかわからないよ!」

「俺を巻き込むな! っていうか、転生する体がなくなるってどういう意味だよ! 第一、結婚は2人でするものだけど、2人で立ち向かえるもんじゃないだろ、1人で頑張れ!」

「硝子ー!」

「私を巻き込むな屑」

「一応、硝子と悟もついでにお見合いの釣書が来てる。傑は強制だが」

 

 泣くよ! 泣くからね! なんで一般出の私がお見合い!?

 

 その日の午後。

 助けを呼んでいるものがいる! と叫びだして勝手に体の主導権が撮られそうだったので宥め、悟と急行した。

 甚爾だった。

 そして産土級戦だった。

 

「あー! 悟くんや♡ 八兵衛サマもありがとうな♡」

「おー。キリキリ働け」

 

 悟が迷わず甚爾に殴りかかり、直哉がのんきに甚爾を応援する。

 混乱する私の身体を乗っ取って、八兵衛様は産土級の呪霊を鎮めようとするのを土留めの段階で慌てて止めて、吸収させてもらった。

 

「やれやれ、本当にこの世界は物騒だね。大丈夫かな、九兵衛」

 

 初めて戦っている所を見たというか、動いている身体は私なんだけど、八兵衛サマ、本当に強いな。吸収できる所は吸収しよう。清廉で強い八兵衛サマは、私の目指すところなのかもしれないし。……神様を目指すって変だけども。変だな。変だよね。

 あれ? そうなると、私が目指していた呪術師像は神様だった……?

 そ、それはどうなんだろう。ちょっと落ち着いて考えたほうが良いのかも。




一応、神様が嫌がったらそれまで、と時の器とは契約を結んでました。
でも神様、丸め込まれやすいから……。
傑くんが目覚めて嫌がって、初めて救出というか開放です。

そして直哉が幸せなので人当たりを意図して柔らかくしてます。

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