夏油は高校生である。
高校生はエッチに興味はあるが、結構繊細でもあるのである。
だから。
「う……うわあああああああああああああああああ!!」
そ―っと帰ってきて自室のドアを開けると、裸のお姉さんが複数いたらとても混乱する。
すわ何事だと駆け込んだ友人に抱きつきもするし、後ろに隠れもする。
「あら。坊や、その子が好きなの? いけないわ。お姉さんが正しい道に戻してあ♡げ♡る♡」
「傑怯えてるから、今日の所は帰ってもらえるかな、おねーさんたち。トラウマになっても困るでしょ?」
「もう、仕方ないわね♡ 可愛いから許してあげる♡」
「純情なんだぁ♡」
「ぴゃあああああああ」
「ウケる。何だよ傑、変な悲鳴」
「ふふふっ ふ、婦女子がそのようなはしたない格好をしてはいけない!」
「え。八兵衛様? もしかして表層人格押し付けあってる? 二人共、どれだけ動揺しているんだよ」
悟はよしよしと撫でてやる。たまには親友にこうして大きい顔をするのもいいだろう。
落ち着かせたのをまって、夜蛾先生からのげんこつと夏油への謝罪があった。
無断欠席の叱責とおねーさんを入れざるを得なかった謝罪である。
『待ちたまえ! 私がいる間にそう言ったことは、その、困る』
「いつまで治療掛かるんですか」
「抜け出た後、硝子がすぐに治療すれば良いんじゃねーの?」
「そもそも、どの程度の怪我なのですか?」
『そうだな。霊体ごと木っ端微塵だ』
「は?」
『霊体ごと木っ端微塵だ』
「は?」
『すまない』
「じゃあ、何か? お前が出ると傑木っ端微塵になるの?」
『まだ結合が半端だからゆっくり解けてばらばらになるかな……』
「うわぁ……。そんな死に方は嫌かな」
「安静にしてろよ!! しばらくは助けに行くのも禁止! 良いな!!」
「イモリ注文するわ。他になにか必要なものある?」
そういうわけで、絶対安静となって勝手に出られないよう地下牢でお休みいただくことになった。だってそうでないと抜け出ちゃうし。
もちろん、術師たちにも通達はしてある。八兵衛様お助けセンターは休業いたします。
これを機に、夏油 傑にぞくぞくと精のつく料理が送られてきたりお見舞いに来たりするのだった。
お見舞いついでに女の子を勧められたりすることも多く、すっかり参ってしまった友人の為に家の権力が使えないかと思いついた悟くん。
そもそも、八兵衛周りがどうなっているか五条家当主様に聞いてみた。
なお、家の権力を使うことを思いついたのはこれが初めてである。
家のこと毛嫌いしてたし、まだ学生だから仕方ないね。本人自体が既に最強だしね。
結果、九兵衛様は放置後取り込み。八兵衛様は守護神として祀る。夏油傑は種馬兼依代として確保。手紙は封印してあるということだった。安定の腐敗具合である。
九兵衛は放置でいいとはどういう事か。
九兵衛は自分より遅いものは相手にしない上、どんどん早くなっており、この間新幹線に勝った。
それより早いのは飛行機ぐらいだし、九兵衛が競っているのは飛行速度ではなく走行速度。もはや被害は出ないだろう。しかも、九兵衛も呪霊は退治するのだ。後は適当に祀ってこの世界に縛り付けてしまえばいい。
神様は日本平和の犠牲になったのだ。なったのだ。
自分達だけの秘密だと思っていた、歌のことなどもしっかり漏れていた。
「神様たち、帰れないのか……?」
ショックを受ける悟。
実は、基本任務には忠実な悟くん。
実を言うと、星漿体に関わったときが任務に逆らおうとした初めての事件である。
この世界線では、あくまでもどさくさに紛れてなので意識的に星漿体を助けようとしたわけではない。最強コンビだったら助けようと言い出しただろうが、この世界線ではちょっと余裕がなかったので。
なので、これが任務に疑問を持つ初めての事件なのだ。
友達が依代として、種馬として上層部の玩具になってしまうかもしれない。
――なんとかしないと。
ああ、でも確かにこの世界は救いが少しでも必要なのだ。
夏油様の初さで解釈に違いがあったらすみません。
多分、八兵衛様が中にいる影響だと思ってください。