『一体どうしたら……』
途方に暮れていると、爆音がした。
い、一体何なんだ!? この気配は、神に愛されし青年!?
音はどんどん近づいてくる。
そして、扉が壊され、神に愛されし青年が現れた。
手を差し出される。
「来いよ。九兵衛にリベンジしに行こうぜ」
神に愛されし青年の手を取り、その体に憑依する。
手紙の気配もある。もうここに用はない。
言われずともわかった。もはや彼に呪いは必要ない。
呪いを解除すると、祝福と私の力があわさる。
霊力を隅々まで行き渡らせ、神々に愛されし青年は走った。
「八兵衛! 俺と、俺と勝負しろ!」
外に出た時に、変わり果てた姿の九兵衛と武士の少年が待っている。武士の少年! 九兵衛を呼んでいてくれたのか! しかし、あの姿でまともに走れるのか?
逃げるように、私と九兵衛は足を競った。
競えば競うほど、まとわり付く呪力が、穢が祓われていくようだった。
私が怪我をさせてしまった少年のように加減する必要もない。
全て、全て走るために。
私が九兵衛を追い越すと、亀裂が走って小竜姫様が待っていてくれた。
そして、元の状態に戻った私達は、天界へと帰ることが出来た。
神に愛されし青年を連れて。
「ウケる。餓鬼、五人とも、フィジカルギフテッドの天与呪縛だったんだろ?」
「そうなんだよ。でも」
「でも、見えるし祓える」
「マジで?」
満足げに笑う夏油の膝の上で、呪霊をガジガジと噛んでいる赤子。
無抵抗の呪霊は徐々に削られ消えていく。酷い。
「うわ、本当だ。呪力も術式もねぇ」
「プラマイプラスだし、向こうの神様も迎えが来てたみたいだからね。禅院家と五条家も表向きはお咎めなし!」
九十九が他の赤子をあやしながら笑う。
「でも、傑、五人の子供のパパかぁ」
「子供達に関しては、呪術界が責任持ってくれるそうだけど、私も全力を尽くすよ。悟、私、宗教団体の御神体になる申し出、受けようと思うんだ」
「マジで?」
「うん、それで、私なりのやり方で助けられる人を助けていきたいと思う」
「神様なんかになれないってこと、肝に銘じとけよ」
「それはわかっているつもりだよ」
「あーあ。じゃあ俺は先生になろうかな―。傑の子供達、俺が教えてやるよ」
「それはいいね」
希望を込めて、話し合う。彼らはまだ、自らに向けられる悪意を知らない。
その後、羂索に夏油は捕まり、メロンパン入れとなる。
が、子供達は即座に気づき、戦いが勃発。呪術界を騒乱へと導いていく。
甚爾は、後見人となった八兵衛と九兵衛に色々と教えられていた。八兵衛も付け焼き刃なのだが。九兵衛は、人界はもうこりごりだと神界に引きこもりたがっているが、何分人界の知識は九兵衛のほうがある。むしろ八兵衛に任せると恐ろしい事になるまである。
実際、八兵衛が助けに出ようとして九兵衛が止めて軌道修正をした数は数えきれない。
「これが、精霊石。これが、神通棍。これが御札。神通棍が一番経済的だね。消耗品じゃないし。霊力を刃に変えてくれるんだ」
「神通棍? 神通鞭じゃなくてか?」
「凄いね! 出力に負けて鞭になっているんだよ。才能あるよ、甚爾」
「はっ 三神から加護を与えられて霊力がないわけないだろ!」
「どーも。こっちでは呪術師はゴーストスイーパーっていうんだろ」
「違うよ。君は誰も呪わない。呪術師はゴーストスイーパーではないよ」
「……」
「君は誰を呪う必要もないし、呪うことが出来ないことを言われることはないんだ。こっちにも呪いという行為はあるけれど、それは誰にも強制されることじゃない」
「……そっか」
甚爾は、八兵衛を見つめる。
「なんだい?」
「お前、とことん俺の事、人扱いするのな」
「当たり前だろう? 君は人間なんだから」
「そうかよ」
甚爾は、ククッと笑った。
感想、ここすき、評価、誤字報告、本当にありがとうございました!
読んでくださってありがとうございます。
これで完結です!
メロンパンうまく絡ませられるすみませんでした。