オーバーロードナイトスター   作:曳航彼

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急に復活!


森の賢王

 

 「……何があったんだよ、偲?」

 「どういうこと?」

 首を傾げたのは偲だけのようで、質問をしてきたウルだけでなく漆黒の剣四人も同じ思いらしい。彼らの態度からそれを読み取れるぐらいの対人能力は偲も持っている。

 「俺はこうも思っていたんだ。今回の依頼は打ち切られるんじゃないかって」

 「それは、村がやられていたから?」

 「村が滅びてる事をどっかに報告するとかあるだろうから、まあそれもあるんだろうけど、一番はンフィーレアだよ。……なんか、事情があるみたいじゃん?」

 「みたいだね」

 偲がそう言うと、ウルは肩を竦める。事情とやらを知っている物と思っていたらしいが、偲もそこまでは聞けていなかった。

 「特別な関係の村人でもいたのかな」

 「それは知らんが、薬草を取るようなモチベーションはなくなったと思ってたんだけどな。なんか、すぐ立ち直ってやがる」

 何をしやがった? と聞いてくるが、偲は特別何かをしたつもりはなかった。だが、納得が行かないルクルットが割り込む。

 「何もしなかったはないだろ。そんな気丈な少年には思えなかったしなー」

 「そうですか? 胸に何か秘めてなければ少年とは言えないでしょう」

 「お、名言いただきました」

 「まあ、偲が分からないなら……」

 「ああ、あとウル、ンフィーレアがうちのチームに入ることになったよ」

 「……へえ?」

 「彼の要望」

 それが立ち直った原因かもな、というウルの言葉に、漆黒の剣も得心した顔をする。偲もそれを否定しない。

 だが、それと同時に、罪悪感を感じたかもしれなかった。

 ンフィーレアによる要望もあったが、それより偲は、友達が欲しかった。これは自分の欲望から来た選択なのではないか、ンフィーレアの事を考えていないのではないかと、考えてしまう。

 (……復活という手はなかった。村人のレベルでは復活に耐えられないようだったし)

 偲が額を弄りながらそう考えていると、ルクルットが場の暗い雰囲気を払拭するかのように別の話題を切り出す。

 「そういや、偲君。『森の賢王』って覚えてるか?」

 「……ああ、あれですか」

 森の賢王は、依頼で聞いた知識の中にあった。

 「もしかしたら、いや、間違いなく偲に襲いかかってくると思うぜ」

 「それだけの強さを、偲は有しているのである!」

 「はは、ありがとうございます」

 「来た時の為の作戦を立てる必要があるだろうな」

 「ペテルさん、それはうちのチームに任せてもらえませんか?」

 「どうして?」

 「新しく加入したメンバーの強さを把握したい物でね」

 ンフィーレアを指でさす偲に、漆黒の剣達は困ったようにうなずいた。

 「本当は依頼主を護衛するはずだったんですけどね……」

 「分かった、ただ、危なそうな時の為に、後ろから援護する準備ぐらいはさせてくれ」

 「分かりました」

 偲はうなずきながら、考える。

 (森の賢王……一体、どんな生き物なんだろう?)

 

***

 

 一行は森の入口へと入る。

 偲にはあまり目新しい光景ではないが、アーコロジー外の貧民層であれば感嘆したかもしれないぐらいに、森は美麗な光景だった。

 そこでの最終チェックも終わりかけ、これから採集を行おうといった頃合いだ。

 ンフィーレアがカバンからしなびた薬草を出す。

 「今回僕が採集したいのはこういった形をした物です。見つけたら教えてください」

 「ングナクの草か。偲君は分かるか?」

 「あー、はい。……知ってますね」

 「なんで他人事?」

 偲は答えない。というのも、そのングナクとかいう薬草の事を知っている事が自分でも意外だったからだ。

 (これが、この世界での知識系特殊技術(スキル)か)

 こういった特殊技術がどう作用するのか疑問だったため好奇心の解消に偲がスッキリしている間に、既に最終チェックが終わっていた。

 (ユグドラシルでは特殊技術入手と共に百科事典(エンサイクロペディア)へデータが記入される程度だったけど、自然と頭の中に入ってくるようであれば特殊技術の有用も高くな──)

 「えっ!」

 「偲、早く行きましょう」

 ボーッとした偲を戻したのはニニャだった。恐らく強く込められたであろう力で背中を叩かれる。

 漆黒の剣の他メンバーはちょっとしたふざけあいのように見えたかもしれないが、偲が見たニニャの目はそんな希望的観測を塗りつぶしてくれる。

 「驚かせないでくださいよ……」

 そう呟きながらも、少し失敗したかもな、と偲は感じた。

 朝の誰も起きてない時間、聞いてみたのだ。

 『なぜ性別を明かさないのか』と。

 恐らく〈真実の目(トゥルーシーイング)〉の結果だろう。偲にはニニャが女性にしか見えなかった。

 聞いた理由は好奇心というそれだけだったが、やはり好奇心は猫をも殺すらしいと偲は知った。

 猫で死ぬなら、人であれば苦しいだけの猛毒だとも。

 まず、まるで偲がセクハラをしているかのような表情をされ。

 数十分間沈黙が続き。

 ドスの効いた声音で他の人には黙るよう言われた。

 「そうはいっても偲、依頼中は集中すべきですよ」

 そしてずっとこんな調子だ。

 怖い、気まずい。

 目には見えない圧力がかかっているような気がする。

 そんな風に、薬草の発見もほとんど出来ないまま、時間が経ったと偲が感じた時。

 特殊技術の感知が、巨大なモンスターを感知し。

 偲はそれと戦うことになる。

 森に来たる強者を狙うと語られる怪物、森の賢王と。

そういえば主人公が戦う相手どっちがいいです?

  • クレマンティーヌ
  • カジット
  • まとめてかかってこい
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