皆々様ありがとうございます。
梓弓(あずさゆみ)の語源:神聖な梓の木の弓
「は?温泉旅行?」
「そうそう、街のクジで当たったからさ〜」
なんつー豪運だよこのハーフエルフ。
そう言われたのが海での出来事から1週間後である。
正直、るしあの熱が未だに忘れられない。
彼女の顔を見ると耳まで赤く染まってしまう。
「凄いじゃないか、ペア権か?」
「それと、二等の1名様半額券だね」
「ソシャゲのガチャかよ」
世の中そんな簡単に当たりが引けるもんじゃねえぞ。
クジの当たりって存在したんだなとかはもう超越しちまったよ。
「だからさ、ノエちゃんと君とで行きたいんだよ。お金はかかっちゃうけど…」
「誘われたのは嬉しいが、マリンはどうなんだ?」
よく3人で一緒にノエルが殺伐としてるてぇてぇ空間を構築してるのを知っての発言だ。
「マリンはその日すいちゃんとミオさんとで遊ぶんだって。」
なるほど、それで俺に白羽の矢が立ったのか。
「まあどっちみち、君を誘うつもりだったけどね」
「ん?何でなんだ?」
「実はそこ、魔鉱石の特産地で有名なんだよね。いつもココ会長から貰ってばかりだって嘆いてたから、何か買っていけるんじゃない?」
「名案だな、それ!」
魔鉱石というのは文字通り、魔力のこもった石だ。
含まれる魔力の割合によって発光の色もかわり、アクセサリーとしても有用なので、随分高い。
だが先日、マリンとの訓練の成果(未熟)を見せたら、研究機関から臨時報酬が出た。
どうやら従来のナノテクを超えるポテンシャルがあるそうな。
日頃のお礼も兼ねて返す機会が出来たというのは非常に助かる。
「1泊2日だから、まったり観光できるよ」
「ノエルは大丈夫なのか?」
「その間はノエルのお父さんが指揮を取るんだって」
娘思いの良い父親だな。
「旅館のご飯も美味しそうだし、楽しみだね〜」
「へえ、そうなのか。でも食事は一緒に取れないのが残念だな」
「ん?どうして?」
「だって部屋ごとに配膳されるんだろ?別部屋だから一緒に食べるのは――」
「君はあたし達と同じ部屋だよ」
「―え?」
まてまてまて、今何て言った。
「本来なら1等と2等は別部屋になるんだけど、旅館の人に頼んで一緒の部屋にしてもらったんだ〜。元から4人分の部屋だったから、部屋代を食事の方に回してもらえるこ――「ちょっと待ってくれ」ん?」
今とんでもない事が聞こえた気がする。
「何で一緒の部屋にしたんだ?流石にそれは…」
「えーなんでよ〜。一緒にご飯食べたいじゃん」
「それはそうだが、それ以外の面でだな…」
「何〜?あたしやノエルと一緒なのが嫌なの?ノエちゃん悲しんじゃうよ」
「あー、その…自分も男なんだから…」
「そんなのあたし達は気にしないから、大丈夫大丈夫」
俺が大丈夫じゃねぇ。
スタイル抜群の美少女達に囲まれて理性が保てると?
…ああ、そういやこの2人は戦闘科だ、何かあっても負けるわけないわ。
結局自分が折れる形となって決定したのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――
バスに乗り目的地に向かう。
転移屋に頼めば1発で着くが、中々お値段がするし、風景を見たいというノエルの要望にてバスとなった。
ちなみに隣の席は誰もいない。
ノエフレの邪魔できないからなあ、仕方ない。
「そういえばさ」
ノエルから話しかけられる。
「るしあとなんかあった?」
「っ!?」
ノエルが隣じゃなくて良かった。
驚いた顔を見られたらバスの中でずっと問い詰められることとなっていただろう。
「なーんか最近、るしあの雰囲気変わった気がするんだよね。なんというか、勝ち誇った感じ?るしあがご機嫌になるのって君が関わってたりするじゃん。だから気になったんだ〜」
「…オモイアタリガアリマセン」
最近、るしあが変わった。
以前と比べて、ボディタッチがはるかに増えたのだ。
もちろん、前にも袖を掴まれたりなど、控えめのものはあった。
だが今は、出会い頭に抱きついてきたり、学校で寝ていると頬を
つついてきたりする。
凄い可愛いのだが、他の人が見てる前では恥ずかしい。
「ふ〜ん?団長嘘つきは嫌いだなー?」
どう考えても先日のあれが原因だ。
言えるわけないだろう。
「まあまあノエちゃん。るしあに直接訊いてみればいいじゃん」
「それもそっか!」
ナイスだフレア、助かっ――「それに旅館に着けば時間はたくさんあるからね、今は景色の話しよーよ」――た?え?
「ほら、見えてきたよ!」
その声で意識は風景へと向けられた。
窓の外を眺めると、湯けむりが漂う街並みがあった。
「たしか、熱い温泉を長い距離流すことで冷ますんだっけか」
「そうだね、湯けむりとかはその影響だろうね」
一風変わった街並みだ。
源泉というのはかなり熱く、とても入れるものでは無い。
そこで源泉から街中まで水路?を引き、温泉を流すことで温度を下げるという昔の人の知恵だ。
「ここって黒たまご売ってる所じゃなかったっけ?」
「うん、楽しみだね〜」
「ん?黒たまごって何?」
質問するノエル。
初めて聞くと何を指しているのかさっぱり分からんからな。
「ノエちゃん。黒たまごってのはね、温泉泉で作られるゆで卵みたいなもののことだよ。名前の通り、殻の色も黒いの」
「でも何で殻が黒くなるの?」
「それはあたしもよく分からないんだよね…」
選手交代か。
「卵の殻の気孔って言われる穴に、温泉に含まれる鉄分が付くんだが、これが硫化水素と反応して黒色の硫化鉄になるんだよ。作り方も普通のゆで卵とは違うし、その見た目も相まって人気なんだ」
「う〜ん、えと…んと…」
「ノエちゃんにはちょっと難しかったみたい」
「もー、フレア!団長だって頑張れば解るよ!ただ、ちょっと今回は勝ちを譲っただけで…」
「誰に勝ちを譲ったのかも分からんし、理解も出来てないってことか…」
「君までそうやって言うのやめてよ!」
「「アハハハハ!」」
「あびゃびゃびゃびゃびゃ」
おっと、涙目になって脳も崩壊してしまったようだ。
流石にやり過ぎたらしい。
「そろそろ着くだろうから、準備するか」
―――――――――――――――――――――――――――――
「つーん」
「あー、ノエル?そろそろ機嫌治ってくれないか?」
「つーん」
うーんダメか。
ちょっとおちょくり過ぎたらしい。
「あ!あそこに黒たまごのお店があるよ!先に並んどくね」
今回こそナイスだフレア。
「ほら、ノエル。一緒に行こう?」
「いいもん。フレアと2人で行ってこればいいじゃん」
めんどくさい女モードでもあるのか?
「はぁ。バカなこと言ってないで並ぶぞ」
「えっ!?ちょっ!」
ノエルの手を握ってフレアのいるところまで引っ張っていく。
抵抗しない当たり、やっぱり行きたかったらしい。
伊達に幼なじみじゃないからこれくらい分かる。
「悪いな。ちょっと話し込んじゃって」
「別にこれくらいいいよ。…あれ?」
フレアの視線が下にいき、上を見たかを思うとニヤッと笑う。
「あらあら〜?ノエちゃん、手を握ってもらえてご満悦?」
「あっ、や、ちがっ!」
「その割には耳まで赤いけどねー」
「っ!?」
本当だ、リンゴと見間違えるくらいの色をしている。
とりあえず手を放すか。
「…あ」
「ん?何か言ったか?」
「ううん、何でも…」
そう零す。
その言い方は気になるヤツなんだが…
おっと、そろそろか。
「お待たせしました」
「あ、黒たまご3つください」
そう言って、さっさと代金を払いたまごを貰う。
多分俺のせいなので、謝罪の意をこめて笑顔で渡す。
「ほら、さっさと食べようよ」
「そうだね」
「…うん」
何で余計に赤くなってるの?
―――――――――――――――――――――――――――――
「は〜、美味しかったー!」
「それは何よりだ」
漸くノエルの機嫌がよくなった。
ずっと拗ねたままでいられると罪悪感半端ないからな。
「じゃあ、魔鉱石のお店のところ行こうか」
フレアのその一言で進みはじめる。
魔鉱石なぁ…一体いくらのものを買えば…
「どうした?何か悩んでそうだね」
観察眼エグいよフレア。
「いや、会長に渡すプレゼントのことを考えててな。どれくらい高いのを買えばいいのかと」
「うーん、値段はそんなに気にしなくてもいいんじゃない?」
「そういう訳にはいかないんだよね…会長が持ってきてくれる金属って凄い魔力こもってるし、性質としてもすごいから値段なんてつけられないんだよ」
「ああ…」
目を逸らすフレア。
どこで手に入るのか知ってるのだろうか?
「でもさ、会長はいつも見返りを求めてないでしょ?」
「そうだな」
「ならさ、普段の感謝を伝えるってことでいいんだよ。自分の気持ちを込めたものを見つけたら、きっとお金もそれに見合った分かかるからさ」
なるほどなあ、流石…
「ノエルへのプレゼントもそんな感じで選ぶのか?」
「えっ!?」
「そうだね〜、ノエちゃんにはあたしの気持ちを良く知っててもらいたいからね」
またノエルの顔が赤くなった。
まあ、目の前で惚気話をされたらそうなるだろう。
「っと、着いたか」
話し込んだら店の前だ。
「じゃあ、団長たちはペアリングとかを物色するから、何かあったらその売り場に来てね」
「了解」
―――――――――――――――――――――――――――――
「とうちゃーく!」
買い物の後、旅館に向かった。
ノエルとフレアはペアリングを買ったそうだ。
ノエフレてぇてぇ。
「結局、何を買ったの?」
「ああ、イヤリングだ」
銀の装飾に、丸く軽い魔鉱石がついたもの。
色合いが特異的で、青とオレンジが勾玉のようにわかれている。
その色の組み合わせが会長とシェアハウスをしている天使を連想させ、ビビっと来たので買った。
臨時報酬の8割は飛びました。
「じゃあ部屋に行くか、少し休みたいし」
もう日が沈みかけている。
結構遊んでいたらしい。
「チェックイン済ますから待ってて」
「うん」「わかった」
こればっかりは予約したフレアがやらなくちゃいけない。
フレアを待っている間、ノエルに話しかけられる。
「イヤリング買ったって言ったけど、お金は大丈夫なの?」
「ああ、問題ない。明日は食べ歩きする予定だろ?それくらいなら大丈夫だ」
「そっか。」
輝く白銀の髪、月のようなノエルの笑顔に思わず見入る。
「ん?どうした?団長の顔に何かついちょる?」
「い、いや、なんでもない」
まさか魅せられてたとは言えない。
「えー、団長の顔に何かあったらやじゃん。」
「いや、ほんとに何もないから…」
「お待たせー!…あれ、どうしたの?」
なんてタイミングだよフレア。
「フレア。団長の顔なにかある?」
「ん?なんにもないよ」
「えぇ、おかしいなあ」
「ノ、ノエル。もういいから…」
これ以上はまずい。
フレア相手に隠し事はバレる。
「今の一言で気になっちゃったな。ノエル、教えてくれる?」
「いやね、団長が話してたら急にぼーっとして団長のことを見るから顔に何かついてるかと思っちゃって」
「ふーん、ノエルの顔に、ねぇ」
すごいフレアがニヤニヤしてる。
案の定バレてるじゃん。
「フレアは分かるの?」
「うん。彼はね、ノエルに「やめろぉぉぉぉ!」」
バレたらもうノエルと顔を合わせられない。
るしあでさえどのように応えればいいのか分からないのだ、これ以上大変になったら…
「早く部屋に行こう」
「えー、ノエちゃんに教えてあげよーよ。君がノエルに…」
「もういいから!はやく!」
「フフッ、わかったわかった」
「ねえ、団長に教えてよーー!」
―――――――――――――――――――――――――――――
部屋に着いたので、マジックアイテムから荷物を取り出す。
巾着袋のような見た目だが、青いタヌキのポケットと同じような性能だ。
尚且つ質量はこのアイテムだけなので便利なことこの上ない。
「そうそう、温泉だけど、部屋ごとに入れる時間がきまってるんだって」
「へぇ、変わってるな」
「だから、ご飯が先になるよ」
「楽しみ〜、団長もうお腹ペコペコだよ」
この地域の美味しい食べ物はなんだろうか?
多分肉類だと思うのだが…
と思っていると、フレアがノエルに耳打ちをした。
何を話しているのだろうと気になっていると、ノエルの顔が赤くなった。
今日何回目だ?
よく見るとフレアの耳も赤い。
「ノエル、大丈夫か?」
「ひぁ!?べ、別に、大丈夫だよ」
どう見ても聞いても大丈夫じゃねえよ。
「フレア。ノエルに何を言ったんだ?」
「それはあとのお楽しみ〜」
うーん、モヤモヤする。
フレアみたいに勘が鋭い訳でもないし、分からない。
すると、ドアがノックされる。
きっとご飯の時間だろう。
「はーい」
「失礼します、お食事の用意が出来ましたので、ご案内させていただいてもよろしいでしょうか?」
―――――――――――――――――――――――――――――
「は〜、食べた食べた〜♪」
「ご満悦だな、ノエル…」
すごい量だった。
海と陸の共演メニューだったので、それはそれは凄まじい量だ。
「どういうことだ…ここの近くに海ないのに…」
「多分、転移魔法で輸送してるんじゃない?」
フレアは何でそんなに冷静なんだ。
転移魔法を食材のために使うとか金めっちゃかかるぞ。
この旅館、普通に泊まったら幾らするんだ…
「それじゃ、先に温泉入ってきなよ」
「ああ、悪いな。」
「気にしない気にしない」
「…」
何でノエルは俯いているんだ?
さっきまであれだけ上機嫌だったのに。
もしかして先に入りたかったとかか?
でもノエルたちから言われたことだしなぁ…
部屋に置かれていた浴衣とタオル、家から持ってきたバックを持って大浴場に向かう。
この旅館は部屋ごとに入れる時間が決まっており、そのスキマ時間で綺麗にするんだとか。
そういう細かい芸は魔法があるから出来るのだが、並の所じゃやってないんだよなぁ。
服を脱ぎ、タオルを持って浴室に入る。
「うおぉ…」
感嘆の声が漏れ出た。
かなり広い。浴槽だけでも10種類以上はある。
これで露天風呂まであるというのだから驚きだ。
体を洗い、いくつかの浴槽に入った後、露天風呂へ向かう。
既に夜になっており、輝きが散りばめられた空が見えた。
雲一つないので、周りの自然も相まって美しい。
こういう風景を見てると、色々どうでもよくなってくるなぁ。
――すると、室内から話し声がした。
「…は?」
待て待て、時間は部屋ごとに決まってんじゃないのか?
それとも掃除の人?来るにはいくら何でも早すぎる。
じゃあ、一体誰が――
念の為、タオルは巻いておく。
露天風呂と大浴場を繋ぐ扉が開かれる。
そして――
「やっぱり、ここにいたんだね!」
「探したんだよ〜?」
―タオルを体に巻き、顔を朱に染めたフレアとノエルが来たのを見て、即座に180度回転した。
―――――――――――――――――――――――――――――
頭爆発しそう。
のぼせそう。
どうしよう。
明日俺死ぬんじゃないんだろうか。
「ねーねー、何で団長たちの方見てくれないの?」
見れるわけないだろうが。
そう叫ぶエネルギーすらない。
タオル越しに、大胸筋の膨らみや太ももなどがはっきりとわかった、わかってしまった。
水音が少しずつ近づいてる、こっちに来てるのか!?
体を洗ったものとは別のタオルを巻いておいてよかった。
「あたし達を見て照れてるの?ねぇ、照れてるの?」
その一言で思考がぶっ飛ぶ。
そもそも――
「な、何でフレア達がここにいるのさ!?」
声が上擦ってしまった。
「んー?知らなかったの?ここは混浴しかないんだよ?」
そんなことあんの?
取り敢えず、ここから逃げ――
「捕まえた!」
腕がノエルに抱きつかれる。
彼女の豊満な胸が形を変える。
「〜っ!?」
「あー、耳まで真っ赤になってる。団長のこと今日あれだけ言ったのに」
この状況でそうならない人なんているのか?
腕に伝わる柔らかな感触がそんな考えも甘く溶かしていく。
貴族階級の娘にこんなことしてもらったって知られたら俺殺されるぞ。
「ほんとだね〜、ノエル。あたしにも意地悪したくせに」
そう言って、フレアは俺の背中に密着する。
何?あれが意地悪なの?内容察してたじゃん、てかこっちの方が意地悪じゃん!
「ねえ、団長たちとの旅行、楽しい?」
右耳からノエルに囁かれる。
形容しがたい刺激が身を震わせる。
「今どう?あたし達と一緒でうれしい?」
今度は左耳からフレアだ。
この2人、耳が弱いと知っていながら…
「「ねえ、どうだった?」」
同時に囁かれゾワゾワする。
ほんとにのぼせそうだ、これ以上はまずい。
何か、何か返答を…
「…す、凄い楽しい…よ…でも…今は…は…恥ずかしい…」
太陽と月が微笑む。
古来より人間は星を神に見立ててきた。
神に勝とうなど――
「「フフッ、ありがとね、
100万年早いようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
その後、何とかしてあがり、浴衣に着替えて部屋に戻ると絶句した。
敷布団が隙間なく3つ並べられていたのだ。
流石に寝る時までこの熱を持ったままではやばい。
端の布団を動かして――
「何しようとしてるの?」
―しまおうとすると、ノエルに腕を握られた。
浴衣姿も可愛いな。
じゃなくて
「布団を動かそうとしていてだな…」
「ダメだよ。今日は一緒に寝るんだから」
なにそれ聞いてない。
「君は真ん中ね、あたしとノエルがその隣で寝るから」
「フレアまで!?」
前世の自分よ、一体どれだけの徳を積んだというのですか。
「それだと寝られなくなる――」
「「何か?」」
「…何でもない」
2人から圧を感じた。
こういうときはガチだ、従った方が良い。
「ん、それでいいの。さ、寝よ寝よ」
その声を合図に電気が消され、自分の左の布団にフレアが、右にノエルが入っていく。
あ、意外と中心まで距離あるな、これならまだ余裕が―
「よいしょ…っと」
ねえ、何で詰めてくるんですノエルさん?
「ん…と」
フレア?ねぇフレア?もうオーバーヒートしちゃうよ?
「なんか、修学旅行みたいだね」
「うん、そんな感じがする」
ノエルとフレアが何か言っているが、修学旅行で男女が同じ部屋で寝ることは無い。
下手な妄想物よりも甘美な夢だ、現実感がない。
「ねえ」
ノエルに小声で囁かれる。
「明日もいーっぱい、楽しい思い出作ろうね?」
フレアも顔を寄せてくる。
「君とこんなに一緒にいられることなかったからさ、あたし達も嬉しいんだよ。だからさ、ありがとうね」
「…いや、礼を言うのはこっちの方だ、ありがとな」
暗闇で何も見えない。
だから、自分の耳が赤いことなど彼女達には分からないはずだ。
なのに、なんでこんなに手玉に取られるんだ。
「「じゃあ、おやすみ」」
「…あぁ、おやすみ…」
もう疲れた。早く寝てしまおう。
柔らかい。
温かいし、大きい。
なんだこれ?
でも、なんか癖になる感触だ。
それも両手に感じる。
多分今は日の出前くらいだろう。
いつもそれくらいに目覚めるのだ。
「んっ」
息の漏れるような音がした。
待て、俺は今何に触れている?昨日何があった?
そう考え、結論が出た瞬間――
「「えっち」」
そう、ノエルとフレアに言われるのだった。
いつもより長めでお送りいたしました。
1万字はいけなかったなぁ…
ちなみに一人称がブレブレなのは彼の平常心が乱されてるからです。
次回ですが、作者が多忙のためいつ投稿するかわかりません。
予定では、捕食者と非常食となります。
気長に待っていただけると幸いです。
感想、リクエスト、お待ちしております。
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