ホロのまったり日常   作:maximum

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ヤンデレの定義を考えていたので初投稿です。

ツイッターで良いファンアートを見た時にその続きを書きたくなる現象が起きるんじゃ。
誰か止めてくれ。

雪花ラミィさん登録者数100万人おめでとうございます。




総帥、餌付けされる

居住者が2人増え、彼女たちの荷物が送られて少し経った頃。

何となくだが、性格を把握することが出来た。

 

 

 

まずは風真いろは。

一言で言うと良い子だ。

最初、生野菜を要求してきたことや、語尾に「ござる」を付けていることに、もしかしてヤバい子家に入れちゃったかと思ったが、かなり礼儀正しい。

家事の能力も高く、あくあの仕事である掃除や洗濯を手伝ったり、果ては料理までしてくれる。

もちろん、毎日させるわけにはいかないので代わり代わりであるが、風真の作った料理は美味しい。

 

 

 

ちなみにだが、このことを食卓で伝えたところ、対抗心を燃やしたあくあが次の日にオムライスを作った。

どこで習ってきたかは知らないが、トロトロ卵にべチャついてないチキンライスと、完成度が高く驚いた。

あくあがここまでのクオリティで料理したことが無かったので、娘の成長を感じる父親のような気分になった、父親じゃないけど。

何故かこの日、もう1人の同居人もやる気を出したのだが、それは後にしよう。

 

 

 

ともかく、家事ができて素直。

理想の主婦って感じがする、ヒモにならせてくれないかな?

ただ、1つ懸念があるとすれば彼女のフブキやミオに対する欲望だ。

 

 

 

『次にフブキ先輩やミオ先輩に会うのはいつでござる?』

 

 

 

そう言った風真の声は、いつもの柔和な雰囲気ではなく獲物を狙う者のそれであった。

フブキのアニメのキャンペーンの時と同じ、もしかしたらそれ以上の執念を孕んでいるように聞こえたので、少し警戒する必要がありそうだ。

そんな風真いろはは今――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かゆいところはないでござるかー?」

 

 

 

自分の耳掃除をしてくれています。

子どもじゃないんだから、と何度も言ったがこれでは住まわせてくれた恩が――とイタチごっことなったので、こちらが折れてこうなっている。

右頬に感じる柔らかい感触と痛みが少ない耳かき、そしてフワフワとした声は癖どころか中毒になりそうだ。

 

 

 

ここに来る前、いったいどんなことをされると思っていたのかは知らないが、掃除の割り当てと食事当番を任せたら、それはそれはあたふたしていた。

そんなことでいいのか?なんて言っていたが、当番制って結構面倒なイメージあるし、任せすぎな感じもした。

雑費はもろもろ払ってくれているし、部屋を貸すだけならそこまで色々任せる必要もないと思う。

まあ、これは風真がやりたいと言ったことだ、嫌々じゃないのならやらせよう。

 

 

おや、目の前にはもう1人の同居人が。

 

 

 

 

「いいなぁ〜、いろはちゃん沙花叉にもやってよ〜」

 

 

 

「嫌でごさるよ、これは恩返しの1つでござるし、風呂に入ってないばっちい沙花叉にはしたくないでござる」

 

 

 

「あぁん♡毒舌ないろはちゃんも好き♡」

 

 

 

 

「気持ち悪い…」

 

 

 

 

 

 

 

沙花叉クロヱ。

はっきり言おう、こいつはやばい。

貸し与えた部屋が狭いのもあるだろうが、僅か1週間で床が見えなくなるとは思ってもいなかった。

いくら何でもこれでは困るとこちらが言った時の沙花叉の一言。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫、足を置くポイントがあるから!」

 

 

 

 

 

 

その後、彼女を風呂に監禁し、部屋の掃除をした。

プラゴミを袋に突っ込み、洗われたはずなのに部屋に汚された衣服を洗濯機へと救済。

下着類やBL本までとっちらかっていたのでもう我慢ならなかった。

床を拭き、ホコリを落とし、ベッドのシーツを洗った後にお説教をした。

風呂も全然入らない、ゴミまみれの部屋を作る等、到底許すことが出来なかったのでちょっとキツめに言った。

こんな調子のままなら出ていってもらうしかないぞ、と。

本気で言ったわけでは無いので、ちょっとお灸を据えることができたらという感じだったのだが…

 

 

 

 

「やだやだやだぁ〜!沙花叉を捨てないで〜!」

 

 

 

そこから大泣きし、何を言おうとも、やだ、捨てないで、嫌いにならないでと返ってくる。

いや、嫌いにはなっていないんだが。

あの声で乞われるとどうしても強く言えない。

性癖が歪みに歪み、ゴミ屋敷を作る天性を受け持ったことを除けば、その体も顔も声も「かわいい」を具現化したような姿なのだ。

たちが悪いことに、その仕草はわざとやっているのではない。

その身に染み付いている天然物なのだ。

あざとい女、なんて言葉じゃ片付けられない存在。

それが沙花叉クロヱだ。

 

 

 

 

「主殿も、沙花叉にもっと言ってやった方がいいでござるよ。このままじゃあまた汚部屋が完成するでござる」

 

 

 

主殿とは自分のことだ。

単に家主だからというだけだ、多分。

 

 

 

「無駄だよいろはちゃん。沙花叉の飼育員さんはぁ〜、女の子に弱くて、甘やかしたがりだから!あくあ先輩を見ればわかるでしょ?」

 

 

 

飼育員ってのも自分のことだ。

飼育って言う割には随分飼い主を舐めているが。

とある機械を遠隔操作で起動させながら反論する。

 

 

 

「おい、沙花叉。自分はあくあを甘やかしたりしてないぞ。風真もそう思うだろ?」

 

 

 

「主殿、あくあ先輩が外食で気に入った料理を毎回完全再現するまで頑張ってた姿を見てたら流石にそう言えないでござるよ…」

 

 

 

「えぇ…」

 

 

 

あれはあくあが引きこもり体質だから家から出なくても食べられるようにしているだけなんだが。

ここでピロン♪と通知。

メッセージの送信者はラプラス・ダークネス総帥だ。

 

 

 

 

 

 

 

『味噌汁飲みたい』

 

 

 

 

えっと、『送る相手間違えてますよ』っと…よし、送信。

 

 

 

「は〜い、主殿、終わったでござる!綺麗になったで――」

 

 

 

 

ピピピピピッ!

 

 

 

風真の発言をぶった斬る携帯の悲鳴。

画面に出ている名前が先ほどと変わっていないのが不思議だ。

風真の膝から頭を上げて、なんとなしに液体金属でスピーカーを制作。

ラプラスの声が皆に聞こえるようにした。

よし、応答応答。

 

 

 

『味噌汁飲みてえ』

 

 

 

「だから相手間違えてるぞ」

 

 

 

『合ってんだよお前に言ってんの!』

 

 

 

なんだとこのしましまドリルロリ。

伸びなかった身長の分ふてぶてしさに磨きでもかけたのか。

文化祭のあとのしおらしさはどこに行った?

 

 

 

「ウチのシャチ引き取ってくれるならいいぞ」

 

 

 

「あ、ちょっと!ねえ!」

 

 

 

『いらん。そのまま飼い慣らしてくれ』

 

 

 

「おい、ラプラス!」

 

 

 

飼育員(他称)にも総帥にも見捨てられる沙花叉、憐れ。

風呂入るようになったら100歩譲って家に入れるぞ。

 

 

 

 

「てかなんで自分なんだよ。鷹嶺さんに頼みなよ」

 

 

 

『幹部は留守だ。今博士が作ったのを売り込みに行ってる』

 

 

 

トップがせかせかしすぎている組織は良くない傾向があるとされるが、トップがここまで怠慢なのもどうなんだ。

 

 

 

『それに女の子からの頼みに弱いんだろ?かよわい吾輩のお願い事なら聞いてくれるかと思って』

 

 

 

「かよわい人はそのことを気にして口にもしないと思うんだがな。そしてそれは誰から聞いた?」

 

 

 

『しんじん』

 

 

 

容疑者を見るとニパッとした笑顔が。

なるほど、報連相がしっかりできる良い部下じゃないか。

 

 

 

「風真」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「あっ」

 

 

 

何かを察した沙花叉。

察しの良いところは好きだぞ、反応がより面白くなるし。

 

 

 

 

 

 

 

沙花叉が何を察したか。

それは、ここに来てからの恒例とも言うべきものだ。

この女は煽るのが上手い。

先ほどの汚部屋の件もそうだが、とにかくこちらの神経を逆撫でることに長けている。

一緒にゲームをした時も、自分に勝つとよく煽ってくる。

それを風真やあくあにもするのならまだ許せるが、自分にだけこんな態度だ。

両手の指では足りないほどの数を経験して分かった、これは自分が悪いのだと。

 

 

 

 

躾がなってないからだと。

 

 

 

そこからは早かった。

沙花叉が何を嫌がるのか。

それでいて、家が汚れずお手軽にできるものを考えた。

 

 

 

 

あるじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――風呂。

 

 

 

 

 

日本の文化に根付いたもの。

 

 

 

疲れを癒し、汚れを洗い流すためのもの(手っ取り早く沙花叉を脅せるもの)

 

 

 

 

湯をはるのに少し時間がかかるが、先ほどの沙花叉の失言の時に既に始めていた。

 

 

 

今頃、立ち上る湯気が沙花叉の突入を待っているはずだ。

きっとお湯も早く沙花叉のことを浄化したくてうずうずしているだろう。

ほら、沙花叉も目をウルウルさせて首を振っている、さぞこの時を待っていたのだろう(恐れていたのだろう)

ならば仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

「Go」

 

 

 

「了解でござる!」

 

 

 

 

「あぁーー!待って!2日前!2日前に入ったから!」

 

 

 

意味の無い弁明も虚しく、脱衣場まで引きずられていくシャチ。

このやり取りは両足の指を含めても足りないぐらい繰り返された。

段々風真が手慣れていってることに感動する。

できる女ってやつだな、やっぱり養ってくれないかな?

 

 

 

 

『…なあ、吾輩のこと忘れてない?』

 

 

 

「忘れてなんかないぞ、むしろありがとうと言いたいところだ」

 

 

 

『は?』

 

 

 

告げ口してくれた最高責任者に返答する。

何故だろう、沙花叉の泣き顔を見ると気分が良くなる。

 

 

 

「気が変わった。ご飯食べたいんだよな?いいぞ」

 

 

 

『えっマジ!?ハンバーグもつけてくれるか!?』

 

 

 

割と手間がかかるものを頼んでくるなあ。

まあいい、今の自分はすごく気分がいいのだ。

 

 

 

「いいぞいいぞ。味付けはおまかせでいいか?」

 

 

 

『それで構わん!ああ、やっと〇berとレトルトから解放される…』

 

 

 

 

随分と嬉しそうに言ってくれるものだ。

ならばしっかり美味いもので出迎えてやらないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「確かに作るとは言ったけどさ、来るの早すぎない?」

 

 

 

 

「んなもん待ちきれないししょうがないだろ。久々の手料理食えるんだし」

 

 

 

 

電話をしてから10分そこらで我が家に侵略したラプラス。

確かに一般家庭が晩ご飯を用意しているだろう時刻ではあるが、それにしてもという感じだ。

 

 

 

 

「そういやいろ…侍と新人は?」

 

 

 

 

「沙花叉が風呂入ってて風真はその監視。その後風真によるお説教だろうな」

 

 

 

 

「またあいつ風呂入らなかったのか」

 

 

 

沙花叉が洗面所で服だけ着替えて逃亡することを防ぐために風真を配置している。

そんなことしないよ、なんて沙花叉は叫んでいたがはっきり言って信用ならない。

カラスの行水にならないようにも風真に連行させた。

 

 

ビニール手袋を装着。

牛の塊肉を粗めに挽いたやつと市販の牛挽肉を混ぜる。

個人的にはハンバーグは肉々しい方が好きなので、つなぎは少なめだ。

塩、胡椒、ナツメグを少々。

みじん切りにした玉ねぎと牛脂も加えて、氷水でいっぱいのボウルに先ほどの材料が入ったボウルを入れて、練る。

挽肉を練るときの感触は未だに慣れないが我慢して、練る。

今更だけど塩じゃなくてクレイジーソルトの方が良かったか、まあ仕方ない、練る。

練る。練る。練る。練る。ね――

 

 

 

 

 

「いくらなんでも練りすぎじゃね?」

 

 

 

こっちをずっと見ていたのだろうラプラスが視界に入るように覗き込んできた。

 

 

 

 

「つなぎが少ないからしょうがないんだよ。ある程度練らないとボロボロと崩れちゃうし」

 

 

 

「ふーん、ちゃんと考えてやってんだな」

 

 

 

「そりゃラプラスが食べたいって言ってきたんだからな。人が食べるもの作る時に手抜きなんてそうそう出来んよ」

 

 

 

流石に毎日凝ったものを作るなんてことは無理だが、作る以上は美味しく食べてもらいたいのだ。

何かを考えている素振りをしているラプラス。

真剣な表情をしてるな、一体何を――

 

 

 

 

「お前、今日から吾輩専属のシェフになってくれ」

 

 

 

「却下だ」

 

 

 

なんとくだらないことを考えてんだ。

トップがこれでは幹部の胃にはそろそろ穴があくだろう。

今日もどこかで頑張っているであろう鷹に尊敬の意を抱く、今度なにか差し入れよう。

練り終わった肉の形を整えて、空気を抜いていく。

 

 

 

 

「おおー、いつ見ても面白いんだよな、それ」

 

 

 

 

「ひとつぐらいやってみるか?そこまで大変なものでもないし」

 

 

 

 

「お、マジ?吾輩にまかせちゃう?言っとくけど吾輩全然得意じゃないからな」

 

 

 

 

「何の自慢だよ」

 

 

 

 

手を洗って、後ろ手でとあるものを操作してからラプラスを手招きしてその後ろに立つ。

うお、結構角鋭いな、これは危ないかも。

 

 

 

 

「ビニール手袋あるよ」

 

 

 

「サンキュ」

 

 

 

ラプラスの萌え袖というには明らかに長すぎるそれを肘まで捲りあげ…袖口重くね?なにこれ金属?

 

 

 

 

「慣れてるから気にするな」

 

 

 

 

「は?でもこれ「気にするな」…はい」

 

 

 

毎日こんなの着てるのか…

他の家庭の事情に首は突っ込めないから何も言わないが、なかなか独特な感性をお持ちのように見える…今更か。

手を洗い、手袋をして準備万端なラプラス。

 

 

 

「それで、ここからどうするんだ?パンパン叩きつけるか?」

 

 

 

「それはそうなんだが、そんなにしなくていいぞ。5から10回ぐらい」

 

 

 

「そうは言ってもなぁ…」

 

 

 

不満をたらす割にはいい形に整形している。

紫色の手が小さいからサイズも小さめだが、ラプラスにはこれぐらいが良いのだろうか…って盛りすぎ盛りすぎ。

 

 

 

「もっと…もっと大きく…!」

 

 

 

「その手じゃ無理だろ。飛び散るぞ」

 

 

 

「でも吾輩もっと大きいの食べたい!」

 

 

 

頬を膨らませて抗議してくるラプラス。

子どもみたいで可愛いな、なんだコイツ。

 

 

 

「ん、それはこっちで作るよ。ラプラスは自分のできるサイズで頑張りな。自分で作ったのって格別で美味いから」

 

 

 

「…わかった」

 

 

 

しょぼくれてるなあ。

普段生意気な癖に、こういう時に子供っぽい可愛さ見せるのなんなんですかね?

ほんとになんなんだコイツ、もっとご馳走するぞ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、風呂から出た沙花叉がラプラスを煽っていたのにイラッとしたので部屋に閉じ込めたこと以外は何事もなく。

今はハンバーグの種をひっくり返した後、蓋をして焼いている。

 

 

 

「まだー?」

 

 

 

「まだ」

 

 

 

「早く食べたいんだけど、吾輩お腹すいた」

 

 

 

まあ確かに、目の前で肉が焼けていくのを見ていればそうなるよな。

ラプラスは余程楽しみなのか、尻尾らしきものを揺らしてフライパンを眺めている。

どういう原理で連動しているのか分からないそれから目を逸らし、ソースを作る準備をする。

以前、マリンたちにオムライスを作った時に使ったデミグラスソースをまた貰っていたことを思い出し、それも取り出す。

 

 

 

 

「ラプラス、デミグラスソースを見つけたんだがソースベースの味とどっちがいい?」

 

 

 

「りょうほう」

 

 

 

満点の回答だ。

このクソガキ、どうねだればよいかよく分かっている。

デミグラスソースが入った器を電子レンジに託し、熱を込めてもらう。

その間、鍋で水に火をかけ出汁パックを浮かばせ、ネギを切る。

 

 

 

「お、味噌汁か」

 

 

 

「具はネギと豆腐でいいんだよな?」

 

 

 

 

「ああ、ごっはん!ごっはん!」

 

 

 

話聞いてねえなコイツ。

パックを取り出し、ネギと豆腐を入れ、味噌を溶かす。

レンジからチンっ♪と応答。

期待以上のパフォーマンスをした事が器をさわっただけで分かる。

痩せ我慢してそれを取り出し中身を軽くかき混ぜる。

 

 

 

「そろそろかな、ラプラスご飯と味噌汁盛りな」

 

 

 

「うん!」

 

 

客人用の茶碗としゃもじをラプラスに渡す。

食欲に従順なこの子供は、食べ物を目の前にしてもはや何も考えていない。

いつか悪い大人に騙されそう、いやしないけど。

竹串を手に持って、蓋をオープン。

 

 

 

「おおーー!美味そう!」

 

 

 

軽く飛び跳ねて喜んでいるキッズ。

焼けた肉の匂いと肉汁が跳ねる音が心地よい。

竹串を刺して、透明な肉汁が出てることを確認してから大きめの2枚の皿を出す。

ラプラスが作った小さめのものと、自分が作ったかなり大きめのものをのせて、ちぎったレタスを彩りとして置く。

残ったハンバーグをもう1枚の皿に全部乗せて、肉汁がまだ残ったフライパンにソースとケチャップ、砂糖を入れて簡易なソースの出来上がり。

これとデミグラスソースを別々にかけて、完成だ。

 

 

 

「お待ち遠様。さあ、食べるか」

 

 

 

「おう!」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「うまっ!あー、お前に頼んで正解だったわ!」

 

 

 

「そりゃ良かった」

 

 

 

ラプラスが箸で1口大に切り分け、お茶碗を持ってハンバーグを口に運ぶ姿を見ながら味噌汁を飲む。

出汁パックのお陰で昆布と鰹節の旨みがほんのりと出ている。

それが味噌の味に重厚感を足してて中々いい。

ネギにも豆腐にも味が染みてるのでうまいうまい。

 

 

 

「あー、味噌汁うめー…吾輩もここに住もうかな」

 

 

 

「勘弁してくれ、総帥。5人前の食事の用意はしんどい」

 

 

 

音を立てずに味噌汁を飲み、パクパクと具を食べる姿を見てると、作法はしっかりしてるんだなと思う。

どうもラプラスは言動のイメージと現実が一致しない不思議なやつのようだ。

 

 

 

「なんだ?吾輩のことをじっと見て。味噌汁はやらんぞ!」

 

 

 

「盗るつもりはないし、お代わりもあるからそんなに睨むなよ。ただ行儀いいなって思っただけだ」

 

 

 

「なっ!?行儀よくねーし!がに股で食ってんし!」

 

 

 

よく分かんない弁明を聞き流して、ハンバーグを箸で割る。

中から溶けた牛脂と肉汁がダラダラと出てきて美味そうだ。

 

 

 

 

「聞いてんのかよ!?」

 

 

 

「聞いてる聞いてる。お行儀良くて可愛いぞラプラス」

 

 

 

「子ども扱いするな!」

 

 

 

口に含むと、溢れていた肉汁が舌に広がる。

デミグラスソースがかかっていたのを食べたので、その味と香りが一気に顔を見せた。

噛み締めると、柔らかく肉々しさを感じる。

噛めば噛むほど肉汁が出てくるのでご飯がすすむ。

 

 

 

「自分で作ったハンバーグはどうだ?美味いか?」

 

 

 

「めっちゃ美味い。ただ形つくって空気抜いただけしかやってないけどなんか美味い」

 

 

 

「ハハッ、そういうもんだよ」

 

 

 

小さい頃は親の手伝いで野菜を切ったり、具材を炒めたりと簡単なことしかしていなかったが、自分もこの料理に一役買ったんだという感覚がさらに幸福にさせたものだ。

 

 

次はソースベースの味付けのハンバーグを1口。

濃厚な味わいのデミグラスとは違い、ソース特有の芳醇な香りと酸味、トマトの味がさっぱりとした感じを出している。

砂糖を加えたことで酸味の角が取れ、しつこくないようになっているのでいくらでも食べられる気がしてくる。

 

 

 

「たまには幹部の料理手伝おうかな…」

 

 

 

「おお、いいこと言うじゃないかラプラス。今の鷹嶺さんが聞いたら嬉しくて卒倒すると思うぞ」

 

 

 

「あ、本人には言うなよ、絶対に!いいな!」

 

 

 

おっと、ご飯を食べきってしまった。

お代わりをつけに行かなきゃ。

 

 

 

「おい、聞こえてるのか!?絶対に幹部に言うなよ!わかったか!?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『たまには幹部の料理手伝おうかな』

 

 

 

「あら…ラプがこんなこと言うようになるなんて…」

 

 

 

「どうです?娘さんの成長は?」

 

 

 

「ラプを産んだ覚えはないけれど、感動してます」

 

 

 

机に置かれた録音機から流れた音声に驚いているのは鷹嶺ルイさん。

ラプラスに料理を手伝わせてからずっと録音していた。

今後ラプラスが調子に乗った時に使えるボイスを録っておきたいと思って始めたのだが、いいことを言ってくれたので保護者に伝えにいった。

別に自分は鷹嶺さんに言ってない、ただ録音機から勝手にそんな発言が流れただけだ。

 

 

 

「ラプラスはいいやつだったよ。沙花叉や風真を無理やり押し付けてきたりホストのときといったり無茶苦茶なところはあるけど」

 

 

 

 

「それを言われると私にもダメージが…。でも、そうですね。ラプは仲間思いで、どこか放っておけない、不思議な魅力にあふれています。そんなあの子を、今後も可愛がってくれたら嬉しいです」

 

 

 

椅子に座ったまま頭を下げる鷹嶺さんにいえいえを手を振る。

自分も、おいしいおいしいと食べたラプラスの姿に毒されてしまったのだろう。

たまになら作ってやってもいいかな、なんて思ってしまっているのだから。

 

 

 

 

「それはそうと、鷹嶺さん大丈夫ですか?ラプラスに随分酷使されているようですけど…」

 

 

 

「あー、そうなんですよね。あの子全然働いてくれないから。その日だってラプは――」

 

 

 

 

そこから始まった軽い愚痴は、全てラプラスに毒されていることに依るものだった。

やはり、ラプラスと一緒にいると苦労が絶えないようだ。

 

 

 

 

なお、あの日以来ラプラスは結構な頻度で家に襲来してはご飯をせびってきた。

別にそのことはいいのだが、塩釜焼きが食べたいだのスプーンで食べられるビーフシチューが食べたいだの無理難題が飛んでくることが多く、頭を悩ませる日々が始まった。

その結果、鷹嶺さんと週末に晩酌してラプラスに振り回されるもの同士の会話が盛り上がることとなった。

そして、そのことが青いハーフエルフに伝わり、問い詰められるのは、まだ先のお話。

 

 

 




前置きと本編のバランスがおかしいですね。
何故こんなにも本編に入るのが遅いのか…
予定していたものより色々書き足しちゃうから投稿も遅れるんですよね…すみません。


アンケート結果ですが、晩酌、焼肉、麺屋ぼたんを1話で書くことにしました。ご協力ありがとうございました!
またアンケートがごさいますので、よければご投票してください。


次はヤンデレを更新する予定です。
頭の中で沢山構想は浮かぶのに言葉が出てこなくて中々進んでおりませんが、これまた気長にお待ちしていただけると幸いです。
ドロドロなお話にさせますね。

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