ホロのまったり日常   作:maximum

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気付いたらたくさんの人に見て貰えたので初投稿です


ヤンデレ基準はTENSEI2ニキを参考にしています。


病み病み編
エデンへの失墜


広い廊下の中を歩く。

 

 

ふわふわとした絨毯を踏みしめる度、気持ちは重くなっていく。

 

 

きっと今日もダメなのだろう。

そう思いながら白銀ノエルは目的の場所へ向かう。

だが、もしも、という可能性はある。

 

 

その可能性に賭けてドアをノックし、開く。

返事が返ってきたことなどないので、無礼と知りつつの行為だ。

彼の前で暗い姿など見せたくない。

いつも通り、明るく振る舞おう。

 

 

 

「こんまっする〜、起きた?」

 

 

 

「ああ、おはよう。ノエル」

 

 

 

そう答えた彼の目に光は無くて、やはり今日もダメだったと思ってしまった。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

在学中に国際テロ組織による各国同時テロが起きた。

 

 

彼らは傭兵崩れの集団で構成されており、一人一人がかなりの実力者だった。

 

 

海外には捕食者や死神、不死鳥がいるため被害は大きかったそうだが対処できたそうだ。

 

 

勿論国内においても、白銀聖騎士団をはじめたくさんの実力者がおり、互角以上に敵と戦った。

 

 

たくさんの戦果を挙げ、またその力を示したことで、当分大規模なテロ行為は起こらないだろう。

 

 

ただ1つ。大きな被害があったとすれば――――

 

 

 

 

「どう?昨日は何かいいことあった?」

 

 

 

「……特には、なかったな」

 

 

 

「…そっか」

 

 

 

――彼の心が閉ざされたことだろう。

 

 

 

彼も、液体金属の研究を目的の水準まで完了し、アーマーを纏い武器を換えながら戦った。

ナノマシンテクノロジーを扱う敵がいたが、性能は液体金属の下位互換と言った感じで、彼によってあっさりと打ち砕かれた。

 

 

どうやら敵には、ナノテクをこの紛争で披露し、商品展開を企んでいた者がいたようだ。

だが、実際は彼に敗北していく姿を晒し、液体金属の優位性とナノマシンの敗北を世に見せつけることとなった。

 

 

 

それがいけなかったのだろう。

ナノテクの研究者が彼を逆恨みし、テロが鎮圧されたあとも彼をつけ狙い、自宅にて攻撃した。

 

 

 

 

 

 

―そして、その攻撃は彼の自慢のメイド(湊あくあ)が庇ったことにより、彼に届くことは無かった。

 

彼は即座に敵を倒し、あくあの応急処置にかかったが、ここで致命的なミスに気づいた。

 

 

医療用の設備のデータを何一つインプットしていなかったのだ。

液体金属は自己再生、ダイラタンシー現象、膨張・縮小ができ、それにより周りも自分も軽傷で済んできたことが祟ったのだ。

 

 

幸い、彼女は今も元気に生きているが、この事は彼の心を深く傷付けた。

 

 

力が足りなかったから危険に晒したのではない、自らの不注意が彼女を危機に陥れ、その後始末すらできなかった。

 

 

自分が劣等感に駆られて戦闘に出たのがダメだったのか?

 

 

大人しく、自分の気持ちを押し殺して皆を見送っていれば良かったのではないか?

 

 

それとも――自分の研究が悪かったのか?

 

 

 

そういった負のスパイラルに沈んだ彼を救うことは誰にもできなかった。あくあにも、るしあにも、自身にも――

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

彼はもはや行動の主体性を失い、このままでは生ける屍になってしまう。

 

 

そのようにあくあから相談を受けた時に、この計画を思いついた。

 

 

鳥かごを用意し、そこで彼と共に暮らす。

 

 

 

なんと甘美なものだろうか。

 

 

幸い、名誉も富も手に入れた。

この為なら惜しむ必要も無い。

 

 

そこでノエルは別邸を用意し、彼をそこに閉じ込める計画を練った。

 

 

だが、それには色々な問題があった。

 

 

あんなことがあったのだ、もう外には出て欲しくはない。

 

 

しかしこのことがバレたらココやかなたが黙ってないだろう。

 

 

そこでノエルは、るしあやフレア、ラミィ、フブキに協力を仰いだ。

 

 

皆彼のことを慕っている、協力してくれるだろう。

 

 

特にフレアは彼が自傷行為に走った時に酷く取り乱していた、間違いはない。

 

 

るしあによって魔法、呪術に対する結界を。

 

 

フレア、ラミィの精霊術によって龍、天使、悪魔への防衛を。

 

 

フブキによって辺り一帯への幻術を。

 

 

それでも、まだ戦力が足りない。

 

 

単体なら問題ないが、マリンやココ、かなたがチームを組んできた時に勝てるかどうかは微妙だった。

 

 

だかここで、思わぬ助っ人が参戦した。

 

 

百鬼あやめ、彼女が用心棒をやろうと提案したのだ。

 

 

どうやらあの騒動の中でかなり親しくなったらしい、この計画のことをフブキから知り、協力を申し出た。

 

 

フブキもあやめなら裏切ることはない、と断言しており、何より彼女自身も傷付く姿を見ることになるくらいなら閉じ込めたいと言っていた。

 

 

これで磐石の布陣が完成した。

 

 

あとの問題は彼本人であったが、あくあによってあっさりとここに来た。

 

 

当時の彼は失語症となっており、説得する必要も無かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――これにより、偽りの幸せ(エデン)の創造が完了した。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

彼と共に庭を歩く。

 

 

精霊術により、季節を代表する花々が咲き誇っている庭だ。

 

 

鮮やかで、見ていて心が癒される。

 

 

だが彼にとっては、それよりもそこを羽ばたく蝶たちに注意が向いているようだ。

 

 

それが何なのかをしっているので、心に黒が生まれる。

 

 

 

「いつもあの蝶々見てるね」

 

 

「ああ、思い出なんだ。昔の」

 

 

やめて。そんなこと聞きたくない。

 

 

 

「俺が何も考えていなくても良かったあの時の蝶と羽の柄が同じだ。思い入れがあってな」

 

 

 

それ以上、私の前で他の女のことを語らないで。

 

 

「それにしても、ここにはあの柄の蝶しかいない。あの場所から離れているのになぜ――グッ!」

 

 

 

 

 

気付けば、彼の首を絞めていた。

 

 

殺意でも、憎悪でもなんでもない。

 

 

ただ、本当に、どうしてもこの瞬間したかったのだ。

 

 

自分が何をしているかに気付いた直後に手を離し、えずく彼の背中をさする。

 

 

「ごめん、ごめんね。苦しかったね」

 

 

「ゴホッ…いや、いいんだ。俺が悪い。―――何もかも、俺が」

 

 

そう言い、彼は立ち上がる。

失語症が治ってから、彼の一人称は「俺」だ。

本心の表れなのか、それとも―――

 

 

それを見ていただろう蝶が怒りを示すようにノエルの前を飛び回った。

 

 

 

これは面倒なことになった。

そう思い、彼を部屋まで送った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「どうして、彼を苦しめたのです?」

 

 

 

「るしあが言える義理じゃないでしょ」

 

 

 

そう言い返す。

実際彼女もなかなかだ。

 

 

暴力を振るったりはしないが、るしあがヒステリックになることは日常茶飯事であり、その度に彼の心も不安定になる。

 

 

 

「それは、そうだけど…でも、このままだとあの時の彼に戻んないよ!」

 

 

「…わかってる。何とかしないと…」

 

 

ここ最近の彼は酷い。

 

 

自責の念の権化のような様になり、場合によっては自傷行為に走ってしまう。

 

 

 

その度にフレアやラミィが治癒魔法をかけ、傷跡も残らないようにする。

 

 

 

だが彼の傷が増える度に、フレアは涙を流して自分の想いを告げ、ラミィは彼を強く抱きしめる。

 

 

それが彼の自己嫌悪を増大させているのは言わずもがな。

 

 

こうも彼のことを想っているのに、どうして―――

 

 

「それで、今日の当番は誰なの?」

 

 

「あやめ先輩だよ」

 

 

当番というのは、彼と添い寝する人のことだ。

 

 

ここに連れてきた当初、夜はずっと泣いており、一睡もしていないことがほとんどだった。

 

 

そこで、精神安定剤としていつも誰かを遣り様子を見るようにしていたのだ。

 

 

しかしまあ、あの時は驚いた。

それを始めて2週目になり自分が当番になったとき、彼の方から一緒に寝て欲しいと言われたのだ。

 

 

人の温もりが恋しかったのだろうか、理由はよく分からないが良いことに変わりはない。

 

 

それからというもの、彼は毎日、誰かと共に寝るのだ。

 

 

だが彼は、決して手を出すことはない。

多分だが、そもそもそういった感情が湧いてこないのだろう。

 

 

当然、自分より先に誰かが彼と――そんなことは御免だが、ここまで誰も手を出されなかったということは少し異常だ。

 

 

やはり、彼の感情を呼び覚まさなくては。

 

 

 

 

「多分、今日もだろうね」

 

 

 

「そうだね、何かのきっかけも無いし」

 

 

 

「…ねえ、るしあ?団長たち、正しいことをしちょると思う?」

 

 

 

「当たり前だよ。でなきゃ彼はもうとっくに潰れてるよ?」

 

 

 

「というか、他の選択肢なんてあったの?」

 

 

 

「そんなの――」

 

 

ある訳が無い。

 

 

あるのなら教えて欲しい。

 

 

彼を取り戻す方法を。

 

 

あの時に帰るやり方を。

 

 

「でしょ?だからるしあは…るしあたちは正しいんだよ。想えばいつか、必ず届くはずだよ」

 

 

 

「そうだよね、うん。ありがと」

 

 

そうだ、何を迷う必要があったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ここは歪んだ理想の幻想(私たちの楽園)なのだから。

 

 

 




何か違う気がしますね…すみません。

ちなみにですが、彼が立ち直ることはありません。

立ち直るためには、シンエヴァのシンジ君みたいに、時間と母親になれるような存在が必要です。

あと、彼の親はテロにて亡くなりました。

次はハーフエルフたちの予定です(のっとヤンデレ)。


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