「ねえ、ラミィの話聞いてる〜?」
「ああ、聞いてるぞ」
もう14回目だぞこの確認。
おいフレア、笑ってないでこの酔っ払いを何とかしてくれ。
気を抜いているとじゃんじゃん酒を飲ませようとしてくるので困るんだ。
このままだと帰れなくなる。
最初はもっと平和だったのになあ。
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フレアから今日飲まないかという誘いがきた。
珍しい、不思議に思って理由を訊くと、君のガス抜きになればと思ってね、と返された。
やられた。
最近、あの研究に進展はない。
それもそうだ、会長からの金属の供給がなければ制御量の増加などそもそもが不可能。
あげくあれは希少金属らしい。
らしいというのは、何の金属なのか詳しくは聞けていないのだ。
会長曰く、お前ならいい事に使いそう、という勘によるものだ。
確か、八つの枢要罪のドロップアイテムだとかなんとか。
一応、チタンなどでも実験はできるのだが、魔化しないと劣化が恐ろしく早く、自力では魔化などできやしないので行き詰まっている。
恐らく次の供給は当分先なのでやることがないのだ。
自分のアイデンティティであった研究がストップしたことにかなり堪えたが隠したつもりでいた。
が、あっさりとフレアに見破られてしまった。
「君が色々頑張ってるのはあたしがよく見てるから。そのご褒美だと思ってさ、ね?」
そう耳元で囁かれ、了承したのだ。
フブキもフレアも、自分の耳が弱いことを知ってて囁いてくる節があるので困る。
普段はノエルとフレア、ラミィで時折集まり飲んでいるようだが、生憎その日は白銀聖騎士団にて会議があるためノエルは不参加らしい。
自分が参加すると知った時に「会議なんて欠席する!」などと言ったので説教した。
それでいいのか、警察機関のトップよ。
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開催場所はフレアの家だった。
手持ち無沙汰で向かうのは何かなあと思ったので以前彼女が食べてみたいと言っていた果物を保存の魔法がかけられた箱に仕舞い持っていく。
異性の家など初めて(ノエルの家はノーカン)なのでかなり緊張していたが、それがフレアに指摘されて笑われてしまった。
めっちゃ恥ずかしい。
着いた時にはラミィも既に居たので、手土産をフレアに渡し、さっさと席に座った。
フレアの手伝いをするのは無理だと経験上知っていての行為だ。
「こうして2人で話すのは久しぶりだね〜」
「ああ、最近漸く時間ができたんだ」
待っている間にラミィと話す。
彼女はよくライオンの獣人と一緒に居て、その光景はてぇてぇ以外で言い尽くすことはできない。
「ふ〜ん、その割には団長とかとよく2人でいるらしいけど?」
「自分の家から近いから、よく訪問されるんだよ」
「…そう。羨ましいなぁ。」
「ん?何か言ったか?」
「ううん!何にも!」
うーん、気のせいか。
「な〜にしんみりした雰囲気でいるのさ?」
そういってフレアがいくつかの料理と一緒に特製の果実酒を持ってきた。
彼女の家の近くには精霊が多く生息している森があり、そこでの果実はより美味しく、大きく育つ。
それらを漬け込んだフレア特製のお酒だ。
「ああ、悪いなフレア」
「もう、何度も言ってるでしょ?こーゆーときはありがとうって言って欲しいの!」
「…あ、ありがとうな、フレア」
「それでよし!」
「…なんか恋人みたいですね」
唐突なラミィの爆弾発言。
「んな!?ま、まだ違っ――」
「何言ってるんだラミィ。フレアにはノエルがいるだろ?」
「あーえっと、そういうことではないんですけど…」
苦笑いするラミィ。
どういう事だ?
「…早く乾杯しよ?」
おっと逆サイドからは不機嫌なフレアの声が来る。
何でそんなに不機嫌そうなんだ?
「じゃあ、音頭頼むよ?」
「えっ。待ってラミィ。何で外来者の自分が…」
「そんな言い方しないでくださいよ。せっかく初めて一緒に飲めるんですから、あなたからとって欲しいなあと」
「そうそう。ノエちゃんが来れなかったのは残念だけど、せっかくだしさ、ね?」
「…じゃあ、美しいハーフエルフに乾杯」
「「――!乾杯!!」」
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何であの始まりからこうなったんだ?
「ねぇ、ラミィのことどれくらい好き?」
腕に
柔らかい感触が鼓動を急かせる。
俺も結構飲んでいるので、頭が回ってないのだ。
「う〜ん……空?」
「何それ、どういうことよ」
「アッハハハハ」
2人して笑ってる。
何この空間?カオス?
「ラミィもね、君のこといっぱい好きだからぁ…ずっといっしょにいて欲しいなぁ…なん…て…」
そういって俺の太ももに頭を乗せ、寝てしまった。
小動物みたいで可愛いなぁ。
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そろそろ、酔いが回った頃だろう。
今日はいつもより度数が高いものに果実を漬け込んだものを出した。
ラミィが耐えきれず眠ってしまったのがその証拠だ。
彼女には申し訳ないが、これには理由がある。
最近、彼は張り詰めすぎている、気がする。
彼が滅多に手に入らない世界金属を使って研究をしているのは知っている、それがなかなか上手くいかないことも。
そもそも、今までそのペースで進んでいたことが脅威なのだが。
そのことで、彼が気落ちしているように感じられたのだ。
だから、酔わせて本音を聞きたかった。
頃合いだろう。
「ねえ」
「ん?なに〜?」
「すっかり酔っちゃってるね…最近どう?」
「最近?」
顔を炎のような赤にそめ、ラミィが作った手のひらサイズの薔薇の氷細工を見ている彼。
「あーー、海外から来た娘とよく遊んでいるなあ」
それは知っている。
つい先日、ぐらという少女がこの辺りに引っ越してきた。
かなり珍しいサメ少女だ。
彼女は主に英語を話し、日本語はちょっとしか分からない、という子だったので中々関わる機会が無いが、彼は違った。
どうしても論文を読むためには、英語を勉強しなくてはならない。
その為、彼はココ会長の元でしっかりとシゴかれた。
なので、その子とよく戯れており、好きな人と
って、そうじゃなくて。
「違う違う。気持ちの方だよ。」
「…正直、辛い。俺が足踏みしてる間に皆が…フレアが、遠くに行ってしまっている感じがして」
そうだよね。
いくらあたしがそんな事ないと言ってもいつも彼はこんな――
「それにフブキの前で泣いちまったし、もうどうすればいいかわk「待って」―ん?」
フブちゃん?あたしが知らない間に何をしてるんだ?
「フブちゃんと遊んだの?」
「いや、あれは遊んだと言うよりは慰めてもらった、かなぁ。フブキが来た時と気持ちの限界のタイミングが重なってな」
なんてことだ、あの狐。
いつもガチャで爆死ばかりするのに、ここで当たりを引くか。
「でもさ」
彼は続ける。
「やっぱり不安なんだよ、成長が見られないのは。俺の周りは凄い人ばっかだし、俺は大したことないからさ」
「ううん、そんなことないよ」
キッパリと言う。
そんな訳がないだろう。
「もしさ、ノエちゃんとか、マリンとかと一緒に居て、文句を言う人がいたらあたしが許さないから。だって――」
――こんなに、追いつくために頑張ってるんだから。
「……。そっ、か」
目元で輝くものについては、言わない方がいいだろう。
目をこすり、ラミィの頭を撫でながら彼は
「フレアの耳触りたい」
そう唐突に言った。
耳。
ニンゲンという種と明らかに違うもの。
人より長く、エルフよりは短い。
種族問わず繊細な器官。
エルフにとって、ハーフエルフにとって大事なところ。
「いいよ。どーぞ」
そう言って彼に顔を近づける。
彼だって、耳が弱点なのにそこを攻めても文句は言わない。
なら、あたしも当然だ。
彼の熱が耳に伝わる。
これじゃあ―――
――心の焔が燃え上がっちゃうな。
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なお後日、フレアからこの件を聞いたラミィは彼の家に転移魔法まで使って突撃したそうな。
家から出た時、満足そうだったのは言うまでもないだろう。
バランスとるの難しい…
次回は海か温泉での出来事の予定です。
るしあ回のしおりが少ないのでリベンジ回になるかと思います。
自分の語彙力によってるしあを表現できなかったのが原因と思われるので頑張ります。
ヤンデレは先駆者の方々のを勉強しますのでお待ちください。
感想、リクエスト、お待ちしております。
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