幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第101話 怨霊達の逆鱗

 あたしは慌てて家に帰り、玄関を掃除していたお菊さんに声掛けた。

 

「たっ、ただいま!お菊さん!大変なんだけど!?」

「おかえ……うわぁっ!メリーさん!?」

 

 お菊さんが出迎えてくれたが、あたしはお構い無しにすがりつく。

 

「大変なの!龍星が、知らない男達にどこかに連れて行かれたの!」

「えぇっ!?花子さん!隙間女さん!一大事でございます!」

 

 お菊さんの慌て様に花子と隙間女も茶の間から顔を出す。

 

「なんじゃ、なんの騒ぎじゃ?」

「何よもぉ〜。帰って来て早々うるさいわねぇ」

「花子!隙間!皆を集めて!」

「なんじゃメリー、何があった!?」

 

 花子はそのまま八尺さん、姦姦蛇螺さん、くねくね、おじさんを茶の間に集めてあたしは事情を話した。

 

「なるほど、それで龍星が何処に行ったか分からんと……」

「これは流石に不味い。命に関わる一件だな」

「ど、どうしよ……りゅーせーしんじゃう……」

「この町にいるかも分かりませんから探しようがありませんね……」

 

 姦姦蛇螺さんと花子が頭を悩ませ、くねくねとお菊さんは今にも泣きそうになる。隙間女が突然声を出す。

 

「ねぇ、もしかして沖縄のインチキ霊媒師が関係してるんじゃないの?」

 

 隙間女の言葉にあたしははっとした。

 

「有り得るかも……小悪党みたいに捨て台詞吐いてたから」

「なら犯人はそいつに間違いないだろう。問題はどこに行ったかだな」

 

 あたし達が考えていると、おじさんが口を開いた。

 

「おい、嬢ちゃん達。お前らも一端の怨霊だろ?ここはコックリさんにでも聞いてみたらどーだ?」

 

そうよ、それよ!

 

 おじさんの一言であたし達は騒ぎ出す。

 

「そうよ!コックリさんよ!」

「おじさん!ナイスアイデア!」

「たまには役に立つじゃないか」

「早速用意しましょう!確か、花子さんと出会う時に使っていたコックリさんの紙がある筈です!それを探しましょう!」

 

 あたし達は家の中を隈無く探し、コックリさんの紙を探し始めた。龍星の部屋入ると、小さいちゃぶ台の上に置かれていた。

 

「あった!皆あったよ!」

「でかしたメリー!早速やるぞ!」

 

 そのまま姦姦蛇螺さんを中心にし、ちゃぶ台を囲う様に座った。姦姦蛇螺さんが代表でコックリさんを呼ぶ事になった。姦姦蛇螺さんは巫女が儀式をする様に頭を下げ、唱え始めた。

 

「コックリ様コックリ様、どうか我々に力をお貸し下さい」

 

 姦姦蛇螺さんが声を掛けるが、何も起こらなかった。あたしは思わず首を傾げる。

 

「何も起こらないんだけど?」

「おかしい。何か足りない物でもあるのか?」

「アレ?なんか足りない気がするんだけど、何かしら?」

 

 何が足りないのか分からないあたし達。痺れを切らしたおじさんが、

 

「なんだよ揃いも揃って!10円玉が足りねぇじゃねぇか!何やってんだよ!」

「そうよ!10円玉よ!メリー!早く出してよ!」

 

え?お金?

 

「持ってる訳ないじゃない。幽霊なんだから!」

「どうすんのよ!コックリさん呼べないじゃない!」

「落ち着け、何処かに我々が触れられる10円玉とやらはないのか?」

「ある訳ないじゃろ……困ったのぉ」

「おかね、ないよぉ……」

「お金の管理は全て龍星さん任せでしたからねぇ」

 

八尺さんの言う通り、買い物は全部龍星だったからあたし達はお金は持ってない。

 

 万策尽きたと思ったその時、

 

「しょうがねぇなぁ……くねくねの嬢ちゃん。手伝ってくれ」

「おじさん、どうしたの?」

 

 おじさんはゲージの中にある巣箱の中に入って行くと、酷く錆びた10円玉を引っ張り出して来た。

 

「おじさん、それどーしたのよ!?」

「おじさんの最後の全財産だ、これ使え!」

 

 おじさんは無駄にカッコつけながら10円玉をくねくねに渡した。

 

あるなら最初から出せよハゲ。

 

 喉から出そうになったけど今はそんな場合じゃないので慌てて紙の上に乗せた。仕切り直して姦姦蛇螺さんは再び唱え始めた。

 

「ではもう一度ゆくぞ。コックリ様、コックリ様。どうか我々にお力をお貸し下さい」

 

 唱えた瞬間。10円玉が突然動き出した。

 

あれ?いつもとちがうね(。´・ω・)

 

「動いた!」

「うむ。これでなんとかなるな。コックリ様。我は姦姦蛇螺という妖怪でございます。福島龍星なるものが何者かによって拉致されてしまいました。行方を探してるのでどうか我々を導いてくれませぬか?」

 

 姦姦蛇螺さんが丁寧に尋ねると、

 

そうなんだ( ˘•_•˘ )それはたいへんだね。えものをよこどりされたくないからしらべるよ。

 

「あいつ、コックリさんにもちょっかい出してた訳?」

「獲物呼ばわりされているしな」

「そこは置いておいて、それで場所は何処なんですか!?」

 

 コックリさんの文字はこう記された。

 

○○ちょう○○びょういん305びょうしつだよ|( ̄3 ̄)|

 

「病室!?なんで!?」

「しかも○○病院って、龍星の勤め先じゃ!!」

「善は急げです!○○病院に行きましょう!!」

 

 八尺さんが立ち上がり、それに釣られてあたし達も動き出す。だが、姦姦蛇螺さんは苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

「お、おい。良いのか?他にも見える奴がいるかも知れんぞ?」

「どうでもいいわよ!そんなの!行くよ姦姦蛇螺さんもホラ!」

「お、おう……」

 

 あたし達は直ぐに病院に向かい個室の病室に入るとそこには、ボロボロの状態でベットに寝かせられている龍星がいた。傍には見知らぬおじさんと看護婦と頭にドクロの飾りを付け、あたしの様な服装をした青紫色の髪の女がいた。おじさんはわんわん泣きながら、

 

「どうしたんだ龍星君っ!何があったんだよぉっ!うぅ……」

「龍星の上司かの?」

「そう見たいですね」

 

 花子と八尺さんがヒソヒソ話す。

 

「仕事は僕らに任せて置いてくれ、今はゆっくり休むといい」

 

 龍星の上司は涙を拭いながら部屋を後にした。だが、看護婦と青紫色の髪色の女は残ったままだった。隙間女とくねくねが首を傾げる。

 

「さっきからあの2人喋らないわね」

「りゅーせーのおともだちなのかな?」

 

 隙間女とくねくねの会話が耳に入ったのか、2人はこっちに振り向いた。

 

「なんだ、コイツは他にもたらし込んでいたのか」

「そう見たいね。もしかして、コレやったのあんた達?」

 

 青紫色の女は突然包丁を取り出し、あたし達に向けて来た。

 

「はぁ?それはこっちのセリフよ。あんた達なんじゃないの?」

 

 あたしは思わず初対面の女に言ってしまった。互いに身構えていると、

 

「辞めろ!ここは病院だぞ!」

 

「「っ!?」」

 

 看護婦が突然怒鳴り散らして立ち上がる。

 

「お前達は龍星と住んでいるという怨霊達だろう?私はここの病院に取り憑く地縛霊だ。龍星は私を婦長と呼んでいる。そこの青紫色の女はカシマレイコだ」

「その言い分だと龍星に手を掛けたのはお主らではないな?」

 

 花子が婦長に尋ねると、婦長はツンとした態度で。

 

「無論だ。普段痛めつけたりするが、ここまではした事は無い」

 

痛めつける理由は何となくわかる気がするわね。

 

「なら何があったか分かるの?」

 

 あたしが婦長に尋ねると、

 

「医者が言うには、夜中ゴミ捨て場で倒れていたらしい。カツアゲか喧嘩にでも巻き込まれたのか……」

「なるほどね。これで繋がったわ」

「なに?どういう事だ?」

 

 婦長が真剣な眼差しであたしに聞いてくる。あたしは誘拐される前の話をした。

 

「なるほど、そういう事があったのか」

「って事は……そいつらが龍星をやったのね?」

「うん。龍星はどうなの?起きるの?」

 

 あたしが不安げに言うと、婦長は顔を逸らす。

 

「分からん。昏睡状態だからな、奇跡が起きないとどうにもならないな」

「そんな……姦姦蛇螺さん、どうにかならない?」

「姦姦蛇螺?」

 

 あたしと婦長が窓に顔を向けると、

 

「ふむ、そうだな……」

「なっ、なんだコイツは!?化け物かっ!?」

「ここ3階なんだけどなんなのこいつ!?」

 

 婦長とカシマレイコは腰を抜かして姦姦蛇螺さんに指を差す。姦姦蛇螺さんがポンと手を叩く。

 

「うむ。アレなら上手く行くかも知れんな」

「なんじゃ、何をすればいいのじゃ?」

 

 花子が姦姦蛇螺さんに尋ねると、言い難いのか歯切れの悪そうに口を開く。

 

「我々の霊力をこいつに注げば目を覚ますかも知れんな」

 

 それを聞いた途端、隙間女とカシマレイコが騒ぎ出す。

 

「そんな事したらあたしら!?」

「消えるかも知れないって事ね……」

 

消えるのは嫌だけど、これしか助かる方法がない……。

 

「やる事決まったわね……」

「そうですね」

「私がコイツを責任もって看病しておく。敵討ちは任せたぞ」

「おじさんも残る。嬢ちゃん達、頼んだぞ!」

 

 おじさんと婦長があたし達に委ねると一緒に来るのか、カシマレイコはあたし達に相槌する。

 

「他にも仲間がいるなら集めた方がいいわね」

「確か、近くにお岩さんや口裂け女さん、アクロバティックサラサラさんが居ますよ!」

「もうすぐマスコミが騒ぎ出す、カメラには気を付けるんだぞ」

 

 忠告する婦長を残し、あたし達は怒りを抑えながら病院を後にした。

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