幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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今回は親戚の叔母が体験した話をモデルにしたいと思います。


第12話 ポツンと事故物件

翌日、俺は幽霊達を置いて、○〇県のとある不動産屋さんにやって来ており、担当の店員さんと話していた。

 

「敷金礼金なしの貸家は……ある事はあるんですが……」

「おばけが出る、そういう事ですね?」

「っ!?」

 

店員は「何故それを!?」と言わんばかりな顔をする。

 

不動産は【事故物件、ワケあり物件】などがある場合、伝える義務がある。俺はそこを狙ったワケで、

 

「こっちの出せる金額は20万前後です、どこかありませんか?」

「ちょ、ちょっとお待ちください。店長と相談して参ります」

 

そう言って店員は店の奥に引っ込み、店長らしき人物と話し始める。

 

めんどくさい客でごめんなさいねぇ……。けど、事故物件が売れるんだ、win-winだろう。

 

すると、店員は自信が無さそうな顔をして戻って来た。

 

「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。店長は「売れるなら構わない」と言うので、一件ご紹介します」

 

店員がファイルを開き、一枚の紹介物件の資料を取り出した。

 

売買物件

物件種別 4SDK

床面積 227m²

建設年 1988

 

心理的瑕疵有り(しんりてきかしあり)】・私道負担:なし・セブ〇イレブン〇〇店まで徒歩約30分、〇〇駅まで徒歩約20分。古井戸あり。

 

資料を見てみると、周辺には民家はなく、森に囲まれポツンと記されていた。

 

「この様な貸家なら可能です。お家賃は」

「あの、その前に、【心理的瑕疵有り(しんりてきかしあり)】と言ってましたが、どの辺がなんですか?」

「ええ、それはこの古井戸に問題があるそうです。地主が何度も取り壊しを行おうとしたのですが、幾度も事故に遭われたそうで……」

 

ほう、なかなか強者がいるようじゃないか。

 

「なるほど、それで肝心のお家賃はおいくらですか?」

「ええ、税金関係も含めまして……月5万でどうでしょうか」

「高い」

「えっ!?一軒家ですよ!?」

 

店員は2度見をしながら俺に言ってくる。

 

だが高い、負けてたまるか。

 

「なら、これはどうでしょう。1ヶ月間無事に何事も無かったら、家賃半分にして下さい」

「えっ!?……それは……ちょっと……」

「半分にしてくれたら今日契約しますよ」

「まだ見ても居ませんよ!?良いんですか!?」

「契約してから見て帰りますから大丈夫です。どうします?」

 

俺はふんすっと鼻息を荒げ、譲らなかった。

 

すると、店員は。

 

「わかりました。地主さんに相談して見ますのでちょっとお待ちください」

 

そう言って店員は受話器をとってどこかに電話をかけ始めた。

 

「もしもし、私、〇〇不動産の者ですが、お世話になっております。あのですね、○○の物件にお客様がいらっしゃいまして……ええ、そうです。それでご提示されているお家賃を半分にして欲しいと……はい、はい。分かりました。ありがとうございます。失礼します」

 

ガチャッと受話器を置くと店員は。

 

「地主さんは借りてくれると言うのであれば任せると言うので、2万5000円でご契約という形でよろしいでしょうか?」

 

ほう、地主さんは余程手放したいらしいな。無茶な要求を呑んだよ。

 

「分かりました。契約しましょう」

「ありがとうございます!ではこちらに……」

 

───────────────────────

 

契約後、俺は店員さんの案内により、契約した事故物件を見に行く事にした。車から降りると店員さんは……。

 

「私はちょっとここまででご勘弁を」

「良いですよ。ここからは俺一人で行きますから」

「では、合鍵を渡しますので……」

 

俺は店員さんから合鍵を渡され、そのまま歩いて玄関に立つと……。

 

ガタガタ!!

 

「おん?」

 

家の裏から物音がした。俺はそのまま音の方へ向かって歩くと……。風呂場らしき場所の窓が見えた。

 

なんだろう、気配を感じる。女か?

 

風呂場の窓の磨りガラスを覗いてみると、人影が写った。

 

「おい、誰か居るのか?」

 

人影に声を掛けると。

 

「あっ、すいません!今お風呂に入ってますので!!」

「あっ!ごめんなさいっ!出直しますね!」

 

俺は振り返って玄関に戻ろうと。

 

「っておい!ここ俺ん家になったんだよ!てめぇ誰だっ!!」

 

バンッと窓を叩くと。

 

「えっ!?ちょっ、あの……ごめんなさいっ!」

 

ドタバタしながら窓の向こうにいた奴は気配を消した。

 

逃げられたか……。

 

俺は玄関に戻り、合鍵を使って中に入る。中は綺麗に掃除されており、古さを感じなかった。

 

「家には何も感じないな、さっきの気配も消えてる……。古井戸にいる奴がいたのか?」

 

しばらく家を探索すると、2階の窓から古井戸が見えた。

 

「アレか……さっきの風呂場に居たやつはあそこから来たっぽいな」

 

そのまま2階を降りて玄関を出て、古井戸に足を運んだ。その古井戸はしばらく使われていなかったのか、あちこち苔が生えており、蓋もボロボロに朽ちていた。

 

ふむ、なかなか雰囲気がある古井戸だな。サイキックな幽霊が出て来そうだ。

 

「さて、探索も済んだ事だし、帰るか」

 

後ろを振り返り、帰ろうとしたその時……。

 

ピタピタ……。

 

「ん?」

 

古井戸の方から何か這うような音が聞こえて来た。

 

「さっき風呂場にいた奴だな?出て来い」

 

俺が古井戸に向かって声を掛けると中から声が聞こえて来た。

 

「あっあの……、ちょっとさっきの方ですよね?」

「ああ、そうだよ。ここは今日から俺の家になった。争いは避けたい、出来れば出てってくれないか?」

 

声の主にそう言うと。

 

「あっ、あの、出るのでちょっと待ってくださいね!”お皿”持ってるのでちょっと……」

 

お皿?えっ、なんでそこで皿使ってんの?

 

しばらく待つと、白と黒の縞模様の薄い着物を来た幽霊が”9枚のお皿”を落としそうにしながら重ねて上がって来た。どうやって登って来たのか分からないが、余程慌てて来たのか、着物ははだけており、たわわな胸が見えそうになっていた。

 

「はっ、はじめまして……わたくし、【お菊】って言います」




風呂場でのやり取りは、叔母が体験した事をモデルにしています。

※お菊さんのデザインが上手く出来なかったので読者様のイメージに任せます。
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