幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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10万文字を目標に書こうと思います。


第13話 皿屋敷のお菊さん

【お菊】と名乗った幽霊は、慌てふためきながら頭を下げた。

 

「あっあの、はじめまして!あ、あの!この家の主様でございますか?」

「あっうん。そうだよ?とりあえずさ、その皿置いてちょっとこっち来なさい」

「はっはいぃっ!」

 

お菊は皿を割らないようにゆっくりと井戸から出て来て俺の前に近付いて来た。

 

「お菊っていってたけど、もしかして……あのお菊さん?」

「えっ?わたしの事をご存知なのですか?」

「まぁね、ほらコレ見てみ?」

「その硯をですか?」

 

お菊は皿を地面に置いて俺のスマホを不思議な物を見るようにまじまじと見つめ始めた。

 

するとお菊は……。

 

「あの、どう読めばよろしいのでしょうか?」

「えっ?どうって普通に?」

「普通に……時来ち檻出へか菊た」

「ごめん、縦じゃない。今の時代は左から右に読んでいくの」

「あっそうなんですね?えーっと……」

 

【皿屋敷】……時は江戸時代、とある大きな屋敷に、お菊という名の16歳の少女が奉公に来ていました。ある年の正月に、お菊は屋敷の家宝である10枚の皿のうち、1枚を割ってしまう。それを知った主人は激怒して、お菊を手酷く折檻し、縄で縛られて狭い部屋に閉じ込められたお菊は、夜に部屋から抜け出して、屋敷の裏にある古井戸へと身を投げてしまいます。お菊が古井戸へと身を投げてから、屋敷は怪異が起きるようになり、深夜になると井戸からお菊の亡霊が現れて「一枚…二枚…」と皿を数えるという。そしてお菊の亡霊は9枚目を数え終えると、「一枚足りない…」と泣き叫ぶのでした。

 

「合ってる?」

「あっはい!合ってます合ってます!」

「その皿が家宝と呼ばれた皿なの?」

「はい。ご主人様の大事なお皿なので」

 

そう言ってお菊は楽しそうに皿を拭き始める。俺はふと思った事をお菊に聞いた。

 

「ねぇねぇ、お菊さん。どうして皿を割っちゃったの?」

「そっそれは……」

 

お菊さんは指と指をつんつんとしながら話し始めた。話を聞くと、生前お菊さんが以前の主人から家宝の皿を片付けて欲しいと指示をされて10枚の皿を運ぼうとした時、『なにもない所』で足をつまずいて転んでしまい、1枚を割ってしまったという……。

 

え?それってまさか典型的な……。

 

「という訳です……」

「ふーん、それってつまり『ドジ』を踏んで割ったって事だよね?」

「はっはい……ごめんなさい!ごめんなさい!」

「俺に謝られても困るんだけどね?」

「そっ、そうですよね……あはは……」

 

俺はスマホをしまって腕組みをして考え始めた。

 

さて、どうしたもんか、このドジっ子。

 

「うーん、このまま居座られても困るし……お菊さん、得意な事は?」

「あっえっと、お掃除なら得意ですよ?お料理とかはちょっと……」

「それでよく奉公出来てたな要は掃除しか出来ないんだろ?」

「はっはい!」

「うーん。分かった」

 

あのバカ共が部屋を散らかすからからなぁ、掃除できる人がいれば大丈夫かも知れないな。

 

「よし、ならこうしよう」

「はい?何をすれば良いのですか?」

「とりあえず、おっぱい見せて下さい」

「えっ!?あっあの、何言ってるんですか!?いやあの、土下座しないで下さいっ!」

 

お菊さんにやめてと言われても俺は土下座をし続けた。

 

「お願いします!是非見せて欲しい。江戸時代の女の子の裸が見たいんです。どーせ前の主人には見せたんだろ!?いいからお願いします!」

 

そんなエロいカッコしてたら見たなるのが男ってもんだ。

 

すると、お菊さんは恥ずかしそうに。

 

「そっそんな事しませんよっ!ご主人様は怖かったんですけど、そんな助平な事はしてませんっ!」

「今の主人は俺だ」

「ううー……ご主人様の命令は絶対ですし……分かりました」

「デュフフフフフフ」

 

おっぱい!おっぱい!

 

お菊さんは観念したのか着物に手をかけ、脱ごうとしたその時。

 

福島さーん!福島さーん!どこですかー?もう帰りますよー!

 

ちっ、邪魔が入った。

 

俺は立ち上がってやり切れない顔をする。

 

「あーくそぉっ!店員さんの事忘れてた!!」

「あっあの……他にも人が?」

「うん。お菊さんに怖がって敷地の外で待ってたんだよ」

「そっそうなんですね……」

「まぁ、焦ることは無い。すぐにでもここに引越してくるから」

「あっはい、分かりました」

「それでなんだけど、家の中ちょっと掃除しててくれる?」

 

俺がそういうとお菊さんはぱあっと明るくなった。

 

「分かりました!お易い御用です!」

「んじゃ、頼んだよ?」

「はいっ!お任せ下さい!」

 

そこで俺はお菊さんと別れ、不動産屋さんと共に帰って行った。

 

───────────────────────

 

2日後、アパートを引き払った俺は幽霊達を引き連れて新たな新居にやって来た。八尺、メリー、花子、小さいおじさんは新居を口を開けて見上げていた。

 

「おっきいお家ですねぇ」

「これで家賃2万5000円?破格ねぇ」

「わぁー!でっかい屋敷じゃのぉう!!」

「おいっ兄ちゃん、早く家に入ろうぜ!」

「わーった、わーった。その前に皆に紹介したい人がいるんだ」

 

「「「「ん〜?」」」」

 

4人の幽霊達は同時に首を傾げ、俺が古井戸へと案内した。

 

「龍星さん、ここは?」

「ただの古井戸じゃない、こんなの見せてどうするの?」

「なんじゃ?この古井戸は?」

「なんだ?古井戸に隠し財産でもあったのか?」

「ちげーよ、新しい家族だ」

 

「「「「家族!?」」」」

 

「そうだよ。おーい、お菊さーん!掃除終わった〜?」

 

俺が声を掛けると……。

 

「あっはい!ちょっと待ってて下さいね!」

 

お菊さんが返事を返し、古井戸から出てきた。だが、不思議な事に皿が9枚から8枚に減っていた。

 

「お待たせしました、ご主人様!お掃除は済んでおります」

「ありがとう。ねぇお菊さん?皿減ってない?」

「じっ実は……お掃除中に割っちゃいました……」

 

なんでいつも皿を持ち歩くんだろうか……。

 

「また割っちゃったのー?」

「えっ!?また!?」

「器用に皿運ぶね」

「なんじゃ!?この破廉恥な奴は!?」

「色っペーねーちゃんだなぁ」

 

驚きを隠せない幽霊達はお菊さんを見つめ始めると……。

 

「しょうがねぇなぁ……罰として、おっぱい見せて下さい」

「はっはい……」

 

お菊さんがゆっくり着物を脱ごうとした瞬間。

 

「何やってるんですか!龍星さん!」

「最低なんだけど、このクズ」

「主という権力をいかがわしい使い方しよって!」

「なんだよもうちょいだったのに!」

 

俺は3人の幽霊に殴られ蹴られ、お菊さんから距離を置かれた。はーちゃんは慌ててお菊さんの着物を直した。




お菊さんのお皿は滋賀県彦根市後三条の長久寺に保管されているが、通常は非公開。予約をすれば拝観可出来ます。ちなみに作者の私は見たことがありません。
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