幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第19話 くねくねに言葉を!

モジモジと恥ずかしそうにしているくねくねを見た俺は、

 

「恥ずかしがってるって事は大体の事は理解してるって事だな」

「まぁ、そうなるわね」

 

メリーさんと一緒にくねくねを観察し始めた。外ではとにかく話が進まない為、くねくねを家に招き入れた。

 

「まぁ、ここまで来ちゃったもんはしょうがない。中に入りなよ」

「そうね。花子や八尺さんにも意見聞いてみたいしね」

 

そう言うと、くねくねは恐る恐る家の中に入って来た。おくまは「なんだコイツ!?」っていう顔をしながら首を動かしていた。中に入り、茶の間に案内すると、小さいおじさんが気付いた。

 

「お?お?なんだ?お?色っペぇねーちゃんがまた来たな!?」

「おじさん。大事な話するから静かにしててね?」

「分かった!。そこのねーちゃん、わりぃがぐるっと回ってくれねぇか?」

 

小さいおじさんに言われたくねくねは何が何だか分からず、言われた通りにぐるっと回った。それを見た途端、

 

「プリッとしていいケツしてんなぁ……」

「初対面で何してんのよクソオヤジ、猫のエサにするわよ?」

 

小さいおじさんを威嚇していると、騒ぎを聞きつけた花ちゃんとはーちゃん、お菊さんがやって来た。

 

「何を騒いでるんじゃ〜?」

「あら?お客さんですか?」

「あっ、お茶をお持ちしますね」

「お願いねお菊さん。くねくね、そこに座ってくれる?」

 

俺が促すと、くねくねはコクンと頷いてちょこんと座った。お茶をすずりながら俺はくねくねを見つめる。

 

さて、言葉をどうやって覚えさせるかだな……。

 

何か思いつかないかと頭を抱えていると、おくまが玄関から髪の毛を伸ばして絵本を寄越して来た。

 

「ん?なんだ?これを使えってか?」

「絵本を読んであげて言葉を覚えさせろって事ね?」

「流石はおくまじゃの。大したもんじゃ」

「おくまが選んだのはどんな書物なのですか?」

 

俺はひっくり返して本の題名を読み上げた。

 

「【カチカチ山】。よりにもよってこれかぁ」

「カチカチ山かぁ、初めての絵本がそれはちょっとキツいのぉ」

「あたしらの出番じゃなさそうだし、八尺向こうで雑誌でも読んでましょ?」

「そ、そうですね……」

 

カチカチ山というのは、おばあさんを残虐に殺したタヌキを、おじいさんに代わってウサギが成敗する日本の民話だ。俺と花ちゃんは内容を知ってる為、頭を悩ませた理由でもある。

 

「うーん、買った本人が言うのもアレなんだけど、もうちょい可愛げのある絵本買ってくれば良かったな」

「他に絵本は無いのか?」

「ないな。売れ残ってたのがこれしかなかったんだ」

「それなら仕方ないのぉ」

 

と言ってもいきなりこんなハードな内容話したらトラウマになるんじゃないだろうか……。

 

そう考えた俺は、

 

「よし、カチカチ山を改造しよう!」

「か、改造?」

 

花ちゃんは顔を引きつらせながら俺にいってくるが、俺は淡々と話し始めた。

 

「いやほら、ウサギの残虐ぶりはトラウマものでしょ?道徳的にどうかと思うんだよね」

「貴様が道徳を語るのか?」

「そこで即興になっちゃうんだけど、新しいカチカチ山を作ろうと思う」

「ほう?どんなのを考えたんじゃ?」

「題して」

 

俺はノートにデカデカと大きく書いて花ちゃんに見せた。

 

「【ビッチョビッチョ山】!!」

「タヌキどうなったんじゃそれ?」

「んじゃ〜、【どぴゅどぴゅ山】?」

「だからタヌキどうなってるんじゃ?状況が分からんぞ」

 

花ちゃんは終始真顔で俺にいってくる。

 

「やっぱり殺したり火あぶりとか教育上良くないじゃん?だからオブラートに包んだんだけど?」

「わしはどう考えても内容がおかしな事になっておると思うのだが?」

「んだよ、花ちゃん!文句ばっかりだな!」

「わしだって言いたくないわこんな事。もう少し優しい言葉を使えんのか?」

 

花ちゃんに言われた俺は更にノートに書いて、

 

「こう?【ぶびゅぶびゅ山】」

「お主、話を聞いとるか?」

「んじゃ〜。これでどうだ!?【ヌッポヌッポ山】!!」

「お主はタヌキに親でも殺されたのか?」

 

俺は勝手に興奮しながら話を進めて行く。

 

「そしてついにクライマックス!!タヌキは泥船に乗って溺れるんじゃなくて、快楽的に溺れる様に【しゅごいいいっ!しゅごいいいっ!山】と」

「死ねこのエロガキがっ!」

 

遂に耐え切れなくなった花ちゃんにトゥーキックをみぞおちにされ、俺は悶絶する。くねくねは「大丈夫?」という心配そうな顔をしながら俺を摩り始める。

 

「あーいってぇ……。くねくね、もし行く所がないならウチに住んだら良いよどうする?」

「───────!?」

 

そう言った途端、くねくねはぱあっと明るくなってうんうんと強く頷いた。

 

余程寂しかったのかな?

 

「んじゃ〜洋服とかはおいおい用意するとして今日はゆっくりしてて、俺はちょっと用事があるからさ」

 

そう言って俺はテーブルに履歴書を置いて3日後の面接の為に準備を始めた。

 

「あっ、ボールペンどこだったかなボールペンボールペン」

 

俺は引っ越す前から備え付けられていた古いタンスの引き出しをあけてボールペンを探し始めた。

 

「あれ?どこやったっけ」

 

タンスの引き出しを全てを調べたがボールペンが見当たらなかった。

 

「おっかしいなぁ?ん?」

 

ふと、タンスの隙間にボールペンが落ちているのに気が付いた。

 

「ったく、誰だこんな所に落としやがったのは!?」

 

ブツブツと文句をいいながらボールペンを拾おうとした瞬間。

 

ガシッ!

 

タンスの隙間から青白い手が飛び出して来た。

 

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