幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第21話 フリーター、面接を受ける

それからというもの、俺は履歴書を書き終えた。面接用の写真を貼って面接の日がやってきた。俺は○○県立○○病院に向かい、50代くらいの中年おじさんの警備員に声をかける。

 

「すいません。今日面接する予定の福島龍星ですが?」

 

声をかけられた警備員は顔を上げると、何かに取り憑かれているのか骸骨の様にゲッソリとやつれた顔をしていた。

 

えっ、大丈夫かこの人?

 

「あっ、はいはい。面接の方ですね?今上司をお呼びします」

 

そう言って受話器をとって電話をかけ始めた。

 

「もしもし、佐藤ですが。今日面接する福島龍星さんがお見えになりました。はい、はい、そうです。分かりました」

 

上司と連絡がとれた佐藤さんは受話器を置いて俺に顔を向ける。

 

「上司が今来ると言うのでここでお待ちください」

「はい。分かりました」

 

数分待っていると、パタパタと駆け足で小太りの体格をした中年男性がやってきた。この中年男性もすこしやつれた顔をしていた。

 

この人もか、どうやらこの職場は何者かに悩まされているっぽいな。

 

「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。この○○県立○○病院の警備長をさせて貰っています。田中です」

「あっ、はい。今日はよろしくお願いいたします!」

 

俺が一礼すると、

 

「では、さっそく面接を行いますのでこちらへどうぞ」

「はい!」

 

俺は待合室を眺めながら田中さんにこじんまりとした個室に案内された。その部屋には、小さいテーブルとパイプ椅子が2つあるだけの部屋だった。

 

「どうぞ、しょうもない部屋で申し訳ないけど座って下さい」

「はい。失礼します」

 

俺は田中さんの反対側に座って履歴書を封筒から取り出し、履歴書を手渡した。

 

「よろしくお願いいたします」

「はい。どれどれ?」

 

田中さんは履歴書をまじまじと読み始めた。すると、目をカッと見開いて俺に質問を投げつけて来た。

 

「福島さん。特技を読ませてもらったのだけど……『幽霊と会話が出来る』というのは本当かね!?」

「はい。話す事も出来ますけど、触れる事も出来ます」

「マジ!?凄いねキミ!?え?ウチの職場をどうやって知ったの?」

 

驚きを隠せない田中さんに対して俺はあっけらかんとした顔をしながら、

 

「インターネットで知りました。霊感のない人大歓迎って言う所が気になって応募しました」

「そうなんだ。っということは大体の事は予想出来てるって事だよね?」

「はい。恐らく人間じゃない何かに悩まされていますよね?」

「っ!?」

 

田中さんは図星だったのか、鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をした。

 

「凄いね、その通りだよ。けど、本当に幽霊が見えるのかい?よくテレビでインチキ霊媒師とか出てるけど?僕もちょっと信じられなくてね」

「見えますよ?」

 

俺がそう答えると、田中さんは。

 

「んじゃ、ちょっとイジワルしちゃおうかな。この場に人の幽霊はいる?」

 

なんだそんな事か。人は居ないけど……。

 

「いえ、ここには居ませんね」

「あーそうなんだ。ちょっと残念だね」

「けど、さっき佐藤さんがいた待合室のソファーに3人の老人が座ってましたよ?田中さんが来た時、1人のおじいさんが田中さんに近付いて来てました」

「なんでそんな冷静に言えるの!?待合室行くの怖いんだけど!?」

「大丈夫でしたよ?すぐに消えましたから」

「そ、そう?なら良かった。話を戻すけど、日勤と夜勤があるけど福島くん大丈夫?基本夜勤は1人になるんだけどさ?」

「はい。大丈夫です、幽霊とか全然平気なんで」

 

俺が自信に満ちた顔をして答えると、田中さんはいぶかしげな顔をした。

 

「ホントに〜?そう言って辞めていった人達多いからさぁ」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。大体1ヶ月くらいで辞めちゃうんだよねぇ」

 

ペース早いな。夜勤の時に皆辞めていった感じか?

 

「とりあえず、試用期間は3ヶ月でそれから一通り仕事を覚えて貰うからね?」

「はい。分かりました」

「んじゃ、福島くん。最後に質問はあるかな?」

 

質問かぁ、さっきから気になる事でも聞いておくか。

 

「あの〜田中さん。最近猫車で轢いたりしませんでしたか?」

「なっ!?なんで分かったの!?」

 

田中さんは目をギョッとさせて俺から少し離れた。俺は田中さんの左足に指を指して。

 

「田中さんの左足に片目が潰れた赤毛の猫がしがみついてますよ?」

 

俺がそう言うと、

 

「嘘っ!?昨日確かに轢いちゃったんだよ!。ねぇ福島くん!お祓いとか出来る!?」

「あー、やった事ないですね。しかも相手は動物ですし」

「やって見て!怖いよ!お祓いして見てよ!」

 

田中さんは余程怖いのか、裾を捲りあげて俺にスネ毛ボーボーの汚い左足を見せ付けて来た。

 

「分かりました。ちょっとやって見ますよ」

 

俺は左足にしがみついてる赤毛の猫を見つめると、赤毛の猫は俺の目を見始めた。俺はゆっくりと手を伸ばして赤毛の猫の頭を撫でると、ゴロゴロと唸り出した。

 

「ここにいても何も出来ないよ?早く成仏しな?」

 

赤毛の猫にそう言うと俺の手が心地よかったのか、俺の手をぺろぺろと舐めてすうっと消えた。

 

「取れましたよ。足軽くなったんじゃないですか?」

「ホントだ!全然軽いよ!ありがとう!!」

「いえいえ、数少ない特技ですから」

「凄い特技だよ。今まで面接して来た中でピカイチの特技だよ!もう採用だね!是非ともウチで働いて欲しいっ!!」

 

ん?ということは。

 

「それってもう採用確定って事で良いんですよね?」

「勿論さ!これから色んな所に電話をかけなきゃいけないから後日福島くんに電話をするね!」

「あっ、はい。分かりました」

「んじゃ、一緒に頑張ろうね!」

 

俺は面接を終え、あっという間に採用が決まった。

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