幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第51話 伝説の幽霊

 お菊さんの一言に、お化け達は呆れた様子で、

 

「何を今更?」

「ですよね?わたし達だって取り憑いてる様なもんですから」

「そうよ、そうよ、お菊さん。今に始まった事じゃないんじゃないの?」

「言えてる…………」

「皆の言う通りじゃ。お菊さん、何か問題があるのか?」

 

 お化け達が揃ってそういう中、お菊さんは騒ぎ出す。

 

「いえ、確かにそうなんですがこれは明らかに異常です!龍星さん、そのお方のお名前を聞いていらっしゃいませんか!?」

 

あ、そういえば名前聞いてなかったな。

 

「聞いてない。ただの浮遊霊か地縛霊だと思ってたから」

「そんな可愛らしいもんじゃないですよ!?もっと強力な怨念の持ち主です!このままじゃ龍星さん…………死にますよ!?」

 

 お菊さんがそう言った途端、お化け達の顔色が変わった。

 

「え…………?それって、どういう事ですか?」

「龍星だよ?あたしらに取り憑かれてても死なない龍星だよ?」

「これは只事ではなさそうじゃな」

「なんだって!?あんちゃんが死んだら誰が晩飯作ってくれんだ!?」

「うるさいおっさん!黙ってろ!」

「どうしよう…………りゅうせい、しんじゃう」

 

 慌てふためくお化け達。

 

一体何を騒いでるんだ?わけがわからない。

 

「俺が取り憑かれてる?なんの証拠があるんだよ?」

 

 俺が首を傾げると、メリーが俺の顔をグイッと近付けてまじまじと見詰める。すると、メリーも青ざめ始めた。

 

「ほんとだ、がっつり取り憑かれてる!!」

「なんだよ、メリーまで」

「あんた、自分の顔見てみなさいよっ!!」

 

 メリーは俺を鏡の前に立たせる。げっそりと、骸骨のようにやつれている俺の顔が映っていた。

 

何これ?これ俺?

 

 俺が鏡を見ていると、お菊さんがメリー達にヒソヒソと話しかける。

 

「龍星さんは今夜動き出すと思います。その時、わたしが後を付けて見ますね」

「取り憑いてる張本人を見つけるのね、分かったわ」

「大勢で行ったら龍星さんと取り憑いた方に気付かれますからね。私達は家で待機しています」

「幸い龍星は明日、明後日休みだからねチャンスよ」

 

 お化け達は頷く。お菊さんは俺の背中を擦りながら近付く。

 

「龍星さん、明日明後日はお休みなのですから今夜はゆっくり休んで下さい」

「え?大丈夫だって、顔はこんなんだけど体は何ともないよ?」

「疲れ過ぎてそう感じてるだけですらか!休んで下さい!」

「えぇ?うん、分かった…………」

 

 お菊さんに部屋へ押し込まれた俺はそのまま休む事にした。だが、その数時間後…………。俺は目を覚ました。時計を見ると時刻は深夜2時半だった。

 

「ふぅ…………なんだろう、無性にあの人に会いたい。あれ?なんで会いたいんだろう?  いやいや、お菊さんの言う通り取り憑かれちゃったのかな?いや、約束を早く済ませたいだけだし…………」

 

 突然その衝動に駆られた俺は、着替えてギターを片手に階段に向かう。途中花ちゃんやメリー達の部屋を覗いて見ると、お化け達もぐっすりと眠っていた。

 

今なら怪しまれないな。

 

 そのままゆっくりと階段を降りると、おくまと目が合った。俺は口元に人差し指を付けてしーっとした。靴を履いておくまの頭を撫でながら玄関を出て車を出した。その時、お化け達は同時に目を開けた。お菊さん達は茶の間に集まった。

 

「では、わたくしは龍星さんを追います」

「気を付けてね」

「何かあったら直ぐに逃げるんじゃぞ?」

「がんばって、おきくさん」

「つーか、おじさん起こさなくていいの?」

 

 隙間女が指す方向には、ゲージの中で爆睡している小さいおじさんがいた。

 

「いいんじゃないですか?」

「居ても邪魔になるだけだからな」

「それもそうね、放って置きましょ」

「ほれ、お菊さん。龍星を見失うぞ?」

「そ、そうですね!行ってきます!」

 

 お菊さんは玄関をすり抜けて宙を舞いながら俺の車を追い掛け始めた。猛スピードで追いかける中、俺は交差点の赤信号で止まっていた。追い付いたお菊さんは車にしがみついた。

 

その数十分後。

 

 俺は夕方に立ち寄った○○寺に着いた。夕方とは違ってゲートが閉まっていたが俺が近付いた途端、勝手にゲートが少し開いた。俺はその隙間から中へと入って行くと、あの女性の幽霊が腰掛けに座っていた。女性の幽霊は俺を見るなり満面な笑みで出迎えてくれた。

 

「もう来てくれたのかい?律儀な男だねぇ」

「いやぁ、なんか気になっちゃって…………その前に、あなたのお名前」

 

 そう言いかけた途端、女性の幽霊は俺の口を指で塞いだ。

 

「しーっ、名前なんてどうでもいいじゃないか」

 

なんて色気のある女性なんだ!!

 

「さあ、もっと聞かせておくれよ」

「あっはい、分かりました」

 

 俺は背負っていたギターを準備してコホンと咳払いをしてから演奏を始めた。

 

「あめあめふれふれ、父さんが、知らない女と出ていった♪ピッチピッチチャップチャップらんらんらん♪」

「あめあめふれふれ、母さんは、帰らぬ父さん待っている♪ピッチピッチチャップチャップらんらんらん♪」

「あめあめふれふれ、父さんは、知らぬ間に死んでいた♪ピッチピッチチャップチャップらんらんらん♪」

「あめあめふれふれ、母さんは、お酒をどんどん飲み干す♪ピッチピッチチャップチャップらんらんらん♪」

 

 ギターを演奏している時に、お菊さんが正体を突き止める為に○○寺に入って中の様子を伺い始めていた。

 

「龍星さんの傍にあのお方は…………まさかっ!?伝説の幽霊【お岩さん】!?」

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