幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第71話 ブラッディ・メアリー

 滞在初日の真夜中。俺はホテルの無料WiFiを使ってネットで検索した。【ブラッディ・メアリー】の呼び出す方法は、真夜中に一人で鏡の前に立ち3回名前を呼ぶというものが基本だとか。彼女を呼び出した場合、顔を引っかかれて気絶する程度で済む場合から、発狂、死亡してしまうという。俺はバスローブの姿のまま洗面所の鏡の前に立った。

 

シャワーも浴びた。歯も磨いた。これで大丈夫だろう。

 

 意を決して、洗面所の明かりを消して俺は彼女の名前を呼んだ。

 

「ブラッディ・メアリー。ブラッディ・メアリー。ブラッディ・メアリー」

 

 ネットの情報通り、名前を3回呼んだ。だが、鏡の前にいるのは俺だけだった。不思議に思った俺は首を傾げた。

 

おかしい。姿を表さない……。やはりホテルの口コミは嘘だったか?

 

 シラケてしまった俺は明かりを付けようとスイッチを押した……。だが、明かりは点かなかった。

 

おっ!?このパターンは!?

 

 俺は心霊現象に胸を躍らせて辺りをキョロキョロと見渡し、声を掛けた。

 

「いるんだろ?出て来いよ」

 

 響き渡る俺の声。すると、暗闇の浴室からシャワーの音が聞こえて来た。俺は思わず鏡から目を離してしまう。

 

「なんだ。シャワーを浴びてるのかい?俺もいいかな?ここの部屋の料金払ってるの俺だから良いよね?良いよね!?暗いままでいいから   一緒にどうかな!?」

 

 勢いよく浴室のドアを開けると……シャワーは止まった。俺は舌打ちをしながらドアを閉める。

 

「恥ずかしがり屋さんだなぁ。一緒に入ってもバチは当たらな───」

 

 そうブツブツと言いながら再び鏡を見るとそこには……。返り血の付いた白いワンピースに光を束にした様な金髪、スラリとした美脚、雪の様に白い肌をした女の子が俺の隣に立っていた。

 

「えっ!?」

 

 俺は隣を見るが、俺の隣には誰も居なかった。だけど鏡を見ると女の子は写っている。そこで俺は鏡を通して彼女に声を掛けてみた。

 

「君が、ブラッディ・メアリー?」

「ええ……」

 

※彼らは英語を話しています※

 

 彼女はか細い声で答えた。俺は鏡を使って『メアリー』に触れようと手を伸ばすと、肩に触れる事が出来た。メアリーの体は死体と同じで氷の様に冷たかった。メアリーは驚いている俺を見てクスクスと笑って、

 

「どう?冷たいでしょ?私、死んでるのよ?」

「…………」

「ふふふ、怖い? さぁ、引っかいてやろうかしら?それとも、目玉をほじくり出してあげる?それとも」

 

 メアリーが話している途中なのにも関わらず、俺は触れた手を体の方に伸ばし続けた。不審に思ったメアリーは先程とは打って変わって声を出し始めた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「しーっ」

「いや、しーじゃなくて!  ヤメロォォッ!!」

 

 胸をまさぐった手を払われてしまった。だが俺は、重大なことに気付いた。

 

この感触は……まさかっ!?

 

「な、なによそのいやらしい手つき?」

「え?いや、触った感触だとパット入りブラジャーの感じがするな」

「パッ、パットですって!?」

 

 メアリーは慌てながら胸元をおさえる。俺はビシッとメアリーの胸元に指を差す。

 

「君、貧乳だね?  Aカップかな?」

「─────っ!?」

「あっそうそう!ちょっと待って!」

 

 俺はバタバタと洗面所に備えられていたナプキンを手に取り、鏡に見せた。

 

「はいこれ」

「え? なになに怖いんだけど!?」

 

 メアリーは俺から少し離れた。だが、俺は離れた分だけ距離を詰める。

 

「そんなに血まみれになってるって事は……アレがあーなんでしょ?」

「アレがあー……?  違うわよっ!なんてこと言うの!?ってか、アンタどこの国の人!?」

「どこだと思う?」

「今そんなダル絡みいらねぇよっ!どこだって言ってんだよ!」

 

※彼らは英語を話しています※

 

 激昂したメアリーが遂に姿を現し、俺の首を絞めて来た。

 

流石は本場のヤンキー。英語で凄む所は迫力満点だ。

 

 俺はギリギリと首を絞められながらも俺は、メアリーの胸を触る。触った途端、俺は残念な顔をした。

 

「…………日本だよ」

「てめぇ今なんで残念な顔したな!? どうして日本人はこんなことすんの!?」

「その、男に興味無いんだよ。俺……」

「女だっつうの! こんな格好した男がいるか!?」

「ニューハーフ」

「一緒にすんじゃねぇよ! こっちは本物の女だっつうの!」

 

 メアリーは首を絞めるのを止め、頭を掻きむしりながらリビングに歩いて行った。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ったくよぉ……で? あたしになんか用?」

「いや、特に何も用は無いよ?」

「あー、アンタもアレか。興味本位であたしの名前を3回呼んだ口か?」

「うん!」

 

 俺は満面な笑みを浮かべながら親指を立てた。それを見たメアリーは、再び激昂する。

 

「いちいち呼ぶんじゃねぇよっ!なんだ? 今の時代の人間は暇なの?他にやることは無いの!?」

「あるよ!」

「へぇ〜。ぜひ聞かせて欲しいもんねぇ」

「ちゃんと仕事してるもん。遊んだりしてるもん!」

「具体的に言えよ! あーもうめんどくせぇ!帰る!」

 

※しつこい様ですが、彼らは英語を話しています※

 

 メアリーは洗面所に向かう事なく、リビングにあった鏡に向かって行った。

 

どうやらメアリーは洗面所の鏡から出入りしてるという幽霊ではないらしい。

 

 俺は鏡に戻ろうとしているメアリーに声を掛けた。

 

「あっ、メアリー」

「何よ。まだ何かあんの?」

「明日また来てくれる?いいもの用意しとくからさっ!」

「何? 何かくれるの?」

「スポーツブラ」

 

 そう言った瞬間。メアリーは俺の事を殴り、去り際に悶絶してる俺に向かって唾を吐き捨てながら鏡の中へと消えて行った。

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