幽霊にセクハラしても罪にはならないですよね?   作:ボトルキャプテン

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第8話 幽霊の不可思議

俺の軽はずみの言葉に花子さんは目を点にしながら上ずった声を出した。

 

「は?お主、一体何を言っとるんじゃ!?」

「いや、だからね?俺ん家に住まない?。あの迷惑配信者はライブ中継してたみたいだし、ここの存在はもう全国に広がってしまったからね。居場所がないなら俺ん所に来れば解決するかなぁって」

「ちょっと!あたしの服に鼻くそ付けないでよ!ねぇ?付けた?本気で付けた!?ちょっと取りなさいよっ!」

 

俺は鼻をほじりながら花子さんに持ち掛けた。メリーさんは拭われた鼻くそを必死に取ろうと背中を見ようとぐるぐる周り出していた。

 

「うーん……そうじゃのう……しかしお主らに、迷惑じゃないのか?わしは怨霊じゃぞ?霊障とか半端じゃないのじゃぞ?」

「気にしない気にしない、この子らで慣れてるから」

「ちょっ、龍星さん!私にも付けないでくださいっ!あぁっ!届かないっ!届かないですっ!取って下さいよぉっ!」

 

俺は親指を立てながらさらに鼻くそをとって今度は八尺様の靴に付けた。八尺様はしゃがんで取ろうとするが、足が長すぎて手が届かない状態でもがいていた。花子さんは俺とメリーさんや八尺様のやり取りを見て安心したのか、口に親指を当てながらブツブツと呟き出した。

 

「ふむ……この2人を見る限り、この男に怨みつらみは感じん。取り憑いた訳じゃ無さそうじゃのぉ……よしっ、お主らに付いていこう!」

 

花子さんは手をぽんと叩いて1人で納得してくれた。

 

確かにこんな怨霊連れ回してるんだから不思議に思われても仕方ないか。

 

「んじゃ〜、話しは決まったし。片付けて帰ろっか」

「はいっ!楽しかったですね!」

「そうだね〜、たまにはこんなお出かけも悪くないね」

「やれやれ、賑やかになりそうじゃのぉ〜」

 

その後、俺たちは荒らされた所を片付けて、警察に連絡すると自治体のおじさんと警察がやって来た。俺はスマホを取り出し、動画サイトを検索すると、先程メリーさんと八尺様が脅かした配信者の映像が拡散されていた。俺はコイツがここを荒らしたと証言し、警官が無線で連絡を取り始める。その間、俺は自治体のおじさんに謝罪とお礼を言うと、気にする事はないと言われた。

 

────────────────────────

 

事情聴取が終わって帰ると、スマホの時計は深夜の1時を過ぎていた。小腹が空いた俺は食器棚にしまって置いたカップラーメンを片手にリビングに向かう。花子さんは時代の流れを感じたのか、部屋を隅々見渡し始める。

 

「なんじゃ!?今の時代は夜でもこんなに明るいのか!?」

「90年も経つからね、そりゃジェネレーションギャップも起こすか」

「あっ、龍星なに1人で食べようとしてんのよ、あたしらにもお供えしなさいよ」

「あっ、今夜はカレー味ってやつですね!私大好きです!」

「はいはい、後でね」

 

お供えしたって、食うの俺だしな。今度仏壇にお供えするやっすい落雁でも買ってくるか。

 

ケトルでお湯を沸かしていると、花子さんは物珍しいのか、グツグツと沸かしているケトルを目をキラキラ輝かせていた。

 

「グツグツしとる!水がグツグツしとるぞっ!おいっ!ちょ!これ!ボコボコって!ボコボコって!」

「これはケトル。電気でお湯を沸かす道具なんだよ?えーっと、そうだ、『やかん』だ!電気で沸かすやかんって思えばいいよ」

 

花子さんは理解したのか、90歳のばばぁとは思えないくらい子供のように目を輝かせる。

 

「ほぉーっ!やかんかっ!それなら分かるぞ!時代が移ろぎこうした物が出来たのだなぁ〜!」

「食べてみる?って、食べれないか。ちょっとお供えするから3人で食べて見なよ」

「いいのか!?この”かっぷらあめん”って言うのを!?じゅるり……」

 

花子さんはヨダレを垂らしながらお湯を注がれたカップラーメンを見つめる。

 

幽霊になっても、食欲はあるんだなぁ……。

 

3分後、出来上がったカップラーメンを開けて5等分に分ける事にした。器に分けると、わーっと言いながらカップラーメンに近付くと、見る見るうちに麺が固くなっていくのが分かった。俺は不思議な現象に首を傾げた。

 

いつ見ても不思議だな、なんで出来たてのカップラーメンが直ぐに固くなるんだろう……。

 

不思議に思い、口をモグモグしている八尺様に聞いてみる事にした。

 

「ねぇ、はーちゃん。なんでいつもお供えするカップ麺とか固くなるの?入れて数秒しか経ってないのに」

「はひ、わらひたひはお供えものの【生気】を食べてるんでひゅ」

「あっだからいつも器に食べ物あるのに口をモグモグしてたのか、何でか気になってさ」

 

リスのように口いっぱいにしている花子さんを尻目に俺はスープと少しの麺をすすっていると、メリーさんが応えた。

 

「簡単よ、カップラーメンの【生気】を食べたから固くなるの。龍星からしたらもったいないかもしれないけど、こればっかりは我慢してほしいわね」

「ふーん。なるほどねぇ……さて、食うもん食ったし風呂でも入るか!」

 

俺は立ち上がって着替えを用意していると、花子さんは何処へ行くのか気になったのか、ラーメンを食べ終えて俺の後ろをびったりとくっ付いて来た。俺は振り返り、花子さんに尋ねた。

 

「花ちゃん、なんで付いて来るの?」

「いや、お主がどこへ行くのか気になってな?」

「聞いてなかった!?風呂に行くんだよ!?風呂くらい知ってるよね!?」

「うむ。わしも生前母と入ってたからな。だが、わしの家は古臭くてな?五右衛門風呂じゃったわ。龍星の家は不思議な物ばかりじゃからな、風呂もどんなもんなのかこの目で確かめたい」

 

ほう、いい度胸じゃないか。

 

閃いた俺は服を脱ぎながら花子さんに聞いてみた。

 

「その心意気や良し!なら、花ちゃん。一緒に風呂に入ろうじゃあないか!肌の付き合いも俺は大事だと思うの」

 

花子さんは両手で目を隠しながら俺に言い放つ。

 

「なっ!?なんじゃと!?馬鹿も休み休み言え!!」

「何も馬鹿な事なんて言ってないさ!さぁ、花ちゃん」

 

俺は次々と脱ぎ始め、遂には一糸まとわぬ姿で花子さんに歩み寄った。

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