「これは……何というか、凄いね」
僕は目の前の光景を見て、正直に思った感想を口にした。ここはジュラの大森林の近くの土地。。ボクの記憶が正しいのであればここは一年近く前まではゴブリンが住んでいたと記憶しているんだけどな。
「そうじゃな。ここまで多くの魔物を統括しているとなるとかなりの力を保有している者がこ奴らの上に存在しているのじゃろうな」
確かにルミさんの言う通りだ。魔物は別に知性がない訳ではないがここまで統一性はない。それに種族も見る限り、バラバラだ。ここまで多様な種族をまとめ上げられる者が存在するとは。
「それじゃあ、中に入ってみましょうか」
「そうじゃな」
ボクとルミさんはなるべく警戒を解かないように中に入っていくことにした。もし、自分たちも強い強力な敵がここの主人の可能性もありますからね。急に襲い掛かられた時のための対処法として。
中に入ってみて改めて感じたけど…この町はそこら辺の国と比べたとしても引けを取らないほどに技術の発展もしていれば食材の味も美味しい。各故、ボクとルミさんも屋台で売っていた『わたがし』と呼ばれているものを買って食べている。見た目は空に浮かんでいる雲のような感じで味はとても甘い。そしてそれがとても美味しい!
ボクの隣で同じ物を食しているルミさんも同じことを思っているようで今まで見たこともないほど満面の笑みを浮かべながら『わたがし』を食べている。こういう一面を見るとルミさんも普通の女の人とあんまり変わらないんだなと思ってしまう。長い年月の間を生きていると…生きていくことへの執着というのが薄れていってしまう。それは生きていくことへの飽きというものが来てしまうから。
だからこういう自分がまだ知らないものを知る事が出来ると生きていくことへの希望というのが少しだけでも湧き出て来るもの。
それはルミさんだけではなくボクにも言えることなんだけどね。
「美味しいね。ルミさん」
「うん!こんな美味しいものを食べるのは初めてだのう!」
とても喜んでくれているようでボクもここに来てよかった。まだここに来たばかりだけど、これだけでもここに来た価値があったかな。
「それなら良かったですよ。もう一つぐらい買いますか?」
ボクの問いかけを聞くとルミさんはまた一段階上の笑顔を浮かべた。最初は勿論、美味しそうに食べていたけど終わりが見えてくると明らかにルミさんの食べる速度が遅くなっていた。
「…うん」
「それなら買いに行きましょうか!」
ルミさんのこんな笑顔を見る事が出来たのだから今日は本当に良い日だね。