「ユフィ……君にこの身を捧げることができたらどんなに良かったか。君となら、あるいは本当に優しい世界を作れていたかもしれない。しかし、この身に宿る悪魔の力はそれを許してはくれない」
「ルルーシュ。言ったはずだ――王の力はお前を孤独にする。しょせん無理だったんだよ、だから……お前はあいつを拒否したのだろう?」
「そうだ、何万通りのルートの果てにも行政特区日本を成功させる策はない。だが――ユフィならば。俺の予想を超えたあの子なら――」
「無駄だな。お前は撃った――過去形だよ。過去を取り戻すなど誰もできない。あそこでこうしていたら、なんて考えても誰かが戻ってきた試しはない」
「C.C.すまない。少し、弱気になっていたようだ」
「かまわないさ。吐き出してしまえば良い。私達は共犯者だ。それに、私を誰だと思っている?」
「ふん……この魔女め。もういい」
「ん? 何がもういいんだ――坊や」
「俺はこれまで仮面をかぶり続けてきたんだ。そして、私はこれからもかぶり続ける。ゼロという仮面を」
「――ふ」
「黒の騎士団よ! 皇女ユーフェミアは日本人を殺害せんがため、卑怯な罠を使った! 信じる心を弄び、故郷への思いを踏みにじったのだ――ゆけ! このまま抵抗勢力と合流し、政庁に攻めこむのだ」
大きく腕を振り、言った。
「全軍、政庁へ進軍せよ!!」
「ユーフェミア様……」
「スザク君、君にも出撃命令がでているよ。あは、ユーフェミア皇女も困ったことをしてくれるものだよねぇ」
「ロイドさん、それは――」
「はいはい。ゼロの仕業ってわけ? 非科学的だよ。ま、そんなことはどうでもいいんだけどね――」
「……出ます」
「今の君にはランスロットを預けたくないなぁ」
鈍い音がした。
人の肉がひしゃげる音。
ロイドの口から血が垂れる。
何日かはまともにモノを食えないだろう。
「コーネリア様のご命令です」
スザクは倒れたロイドを冷たく見据える。
ロイドに起き上がれるほどの体力などない。
躊躇いもなく機体に足を運ぶスザクにロイドがぽつりとつぶやく。
「別に、殴らなくてもあげたのに」
ブラックリベリオンは止まらない。
エリア11。
それは日本の蔑称。
支配されて、その名前に変えられた。
ただの番号。
誇りを持ち得ない、家畜の記号。
全てが奪われた。
美しかった富士山はサクラダイトを採掘されて、もはや見る影もない。
日本人は名誉ブリタニア人として奴隷のように扱われるか、国籍すらもない獣として追い立てられるか。
そして、”ここ”。
政庁のある区画はブリタニア人が支配する栄華の未来都市。
日本人がいない元日本の――荘厳なる都市。
ここに向かって廃墟の群れ――身を隠して生きるしかない元日本人が溢れて、押し寄せてきている。
――テロリスト。
確かに始まりはそうだった。
黒の騎士団と名乗る反政府勢力。
だが、ここまでの数に膨れ上がってしまえばもはや――
「このアッシュフォード学園は黒の騎士団が徴収する! 学生は一箇所に集めておけ。ここを指揮所とする。くれぐれも学生に乱暴をするなよ――」
これは戦争と呼ぶにふさわしい。
黒の騎士団は要所を手際よく占拠していく。
まるで、初めからこうなることがわかっていたかのように。
すべては謎の人物、ゼロの指揮によるもの。
黒の騎士団の誰一人とて素顔を知らぬ彼は、この状況を支配する。
そして、エリア11の支配者コーネリアと戦う。
これは魔王ゼロと、騎士王コーネリアの戦争。
終幕は近い。
魔王はチェックをかけた。
しかし、魔王がチェックをかけることは騎士王が王手をかけることと同義。
どちらが王を手にかけるか。