支配者ナナリー   作:Red_stone

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第5話

「――」

「あ、ナナリーちゃん」

 

生徒会一行に遭遇した。

 

「あ、これ? や、なんとかしてスザク君を助けられたらなー、と」

 

なんだかお祭りっぽい道具を握っていた。

アレだ――火をつけると暴れだすヤツ。

それに、なんだか目立つ格好。

それはなんだか舞踏会のような。

 

「や、会長。爆竹代わりっつっても、それじゃ意味無いでしょう」

 

とリヴァルがげんなりした顔で言う。

騎士っぽいが、正直“安っぽい”としか言いようのない格好だ。

 

「いやいや、こんなのでもけっこう侮れないものよ? 驚いてる隙にぱぱーっとスザク君連れて逃げちゃいましょうよ。案外、お祭り衣装してたら唖然としてるうちに片付いちゃうかも」

「この飾り、そんな意味があったんですか?」

 

「なによもう――リヴァル。だったら何だと思っていたのよ?」

「いや、いつもの悪ふざけかと」

 

「こんなときにまでふざけるわけがないじゃない。私はね、皆が安全な確率を少しでもあげようと――」

 

「ミレイさん、生徒会の皆といっしょに避難してください。スザクさんは無事です。生徒の皆さんも怪我をしていらっしゃる方こそ居るようですが、暴行を受けたものはいません。黒の騎士団の前評判が効いたのでしょうね。それに、ずいぶんと厳命されたようでもある」

「え?」

 

なんでも知っていますと言ったようなナナリー。

そんな彼女はミレイの知らない彼女で。

なんだか恐ろしくなった。

 

「しかし、暴動が起これば話は別。生徒の皆さんを鎮めておいてください」

「へ? まあ、そりゃいいけど――」

 

ナナリーちゃんはどうするの? との言葉は彼女自身の言葉によりかき消される。

 

「あ、そうだ――ミレイさん。携帯を貸してください」

「へ? ナナリーちゃんも持ってるでしょ。それに私の携帯なんかどうするの――」

 

「大切な者から電話を受けたあなたは大切なモノを失う」

 

ぽそりとつぶやいた。

 

「何か言った?」

「いえ、どうしても必要なんです。お願いします」

 

「まあ、ナナリーちゃんがそう言うなら」

「ありがとうございます」

 

それだけ言って、さっさと行ってしまう。

 

「なんか――変じゃなかったですか?」

「そうね……でも、やっぱり生徒の皆を落ち着かせることも必要ね。そろそろ限界も近いでしょうし。置いてきたニーナも心配だし」

 

「ナナリーちゃんは?」

「ま、大丈夫でしょ。危ないところには近寄らないでしょうし」

 

咲世子さんもいるしね――とは、誰の耳にも入らなかった。

 

 

 

「こんにちは、ゼロ」

 

おかしなことに護衛のただ一人もいない扉を抜けてナナリーは言い放った。

そして、目の前には呆然とする男たち。

 

「ゼロ――あなたは疲れています。少し休んだほうがいいですよ……できれば負けるまで」

 

さも当然のように言い放ったその言葉。

こんな言葉……安々とは口にできない。

まるで世界の支配者のような傲岸なその言葉。

聞かされる方は、は? とか、え? とか言うしかなかった。

 

「ナナ……リー? なぜ、そこに――」

「ええ、私です。コーネリアを降せたとしましょう。それで、どうなるのですか? 状況が悪くなるのなら、勝利こそ悪手」

 

「――お前はそんなことを……知ってはいけないのに――知らせたくなかったのに。お前は、お前だけは……」

「では、やめますか?」

 

「……え?」

「戦争ごっこなんてやめて、本当に殺すためだけに動きますか? それとも、全てを諦めますか? あなたは日本を救うために回り道ばかりしている。一人であれば話は簡単だというのに」

 

「それ……は――」

 

考えたことがなかったとは言わない。

足手まといはいない方がいい。

けれど、自分は……ゼロは彼らと一緒にやってきた。

 

「ゼロが俺たちを裏切るものか!」

「ゼロがあなた達を裏切らないこととあなた達が裏切らないことは同一ではない」

 

ナナリーは見もせずに冷淡に言い放つ。

まるで食材を見て、これは腐っているな――とか言うように。

 

「――てめ……!」

「やめろ! その少女に手を出すな!」

 

大声を出した。

様子がおかしくっても関係ない――いくら手塩にかけて育てた黒の騎士団であろうと妹に手を出す者は許さない。

 

「何言ってんだ!? ゼロ――こいつは俺たちを馬鹿にしやがったんだぞ」

「なら、ゼロなしでもコーネリア程度は倒して見せなさい。ゼロ、日本を取り戻したその後――それはもう、どうしようもない」

 

「……っ!?」

「海がある、それだけでなんとかなりはしませんよ。皇帝が本気をだしますから」

 

さらりと言った。

 

「シャルル・ジ・ブリタニア……!」

「ええ」

 

あっさりと頷いた。

そもそもそんな事態は彼女が――いや、あれを彼女がやったとは言えるのか。

偶然、運悪く天井が崩落して動きがとれなくなったV.V.

親愛なる兄を取り戻すために円卓が投入される。

その原因を特等席で見ていた少女は涼しい顔をしている。

 

「それとも、何もかも捨てて野に下りますか? あなたと私、二人で隠れましょう。世界は広すぎる――人が二人であっても、そうそう見つかることはない――」

 

「何言ってるんだよ。ゼロはオレたちの……」

 

先はなんだろうか。

彼の口から先は出てこない。

奪うな、とでも言いたいのだろうか。

それは、誰のセリフであるのか。

 

「ナナリー、済まないが――私はもう戻れない。戻る訳にはいかない……っ!」

「そうですか――では、そのように」

 

あっさりとナナリーは引き下がってしまった。

いくらルルーシュでもこれは予想できない。

食い下がると思っていたのだが……

 

「……ナナリー?」

 

「――」

 

来た時と同じくいつの間にか去ってしまう。

 

「誰か、彼女を安全なところまで――」

「いや、ゼロ? 彼女、もういませんけど――」

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