「ぜぇ……はぁ……ふぅぅ――」
スザク。
彼は屍の山の上に立っていた。
とはいっても、たかが10人ちょっとでしかないのだが。
銃を持った十人以上の敵に対して徒手空拳で倒しきる。
やはり、尋常ならざる者。
彼は目ざとくも己が機体を縛る装置が光を失っているのに気づく。
これならランスロットを動かせる。
――戦える。
「ルルーシュ。君はナナリーに何をした? ユフィにつづいてナナリーまで。君が妹を大事に思う気持ちなんて嘘だったんだな――」
宙を睨む。
そこにはいない誰かを憎むように。
彼はその超人的の身体的能力で機体を駆け上がる。
「――ギアス。君はナナリーまで巻き込んで……何様のつもりだ、貴様は」
そして、騎士の証が刻まれたカギを取り出す。
ナイトメアは本人確認とカギによって起動する。
激情のままにやや乱暴に刺した。
――ぽきっ――
「――は? ええ? ううええ?」
とりあえず断面を見てみる。
きれいに折れていた。
「あぅえ? おお――あるぇ?」
とりあえずくっつけてみた。
5秒ほどたったら離す。
当然折れた先がついてくることはない。
「ええ――? そんな……はりゃ?」
ためつすがめずしても。
叩いてみても。
拝んでみても。
うんともすんとも言わない。
――壊れている。
「あああああああ!?」
ガリガリと鍵口をほじる。
狂乱して分けもわからなくなった彼はその指を血で染めていく。
そして、肉がえぐれる。
「なんでだよ!? なんで――動かない? やらなきゃならないのに、ルルーシュが戦場にいるのに!?」
怨嗟を重ねても、手はどこにも届かない。
彼はもう、何もできない。
「ここを通す訳にはいかない」
遠慮がちに銃を向ける男はバイザーをかぶり、黒い騎士服を身につけている。
「黒の騎士団にしてはずいぶんとまあ――」
銃を向けられた相手はへんに感心している。
もっとも、ナナリーにとってはやはりこれほど愚かなのか……と言うたぐいの嬉しくない感心のされ方だったが。
「よくわからないが、扇副司令は多少の乱暴をしても良いと聞いている。大人しく投降しろ」
一応銃は向けている。
けれど、その照準は本当にこんなことやってもいいのかなー、とばかりに揺れている。
遠慮しているようで、けれどいつでも銃は撃てる。
「まあ正義の味方はお兄様が言い出したことですものね。させてもらっている方は信念もなくただ酔っているだけ。正義を行ってるのではなく、正義が己にあると想うのはなんと無様なことか」
「――お前!」
よく意味はわからなかったが、馬鹿にされてると思ったその男はふらふらと揺らしていた銃口をまっすぐに向ける。
「そんなだから勝てない。自分が信用するのではなく、相手に信用させてもらおうだなんて馬鹿みたい。結局はそれも信じていないのに、自分は悪く無いって言い訳ばかり」
「いい加減にしないと、撃つ――」
言葉はそれで途切れた。
頭が吹き飛ばされてしまったのだ。
戦場ではよくある光景。
流れ弾に当たって死ぬなんて。
だが、こうも都合よく――
「――さて、コーネリアお姉様はどう思っているのでしょうね? ゼロを倒す――国を守る、それであなた自身が救われるのですか……?」
ぽつりとつぶやいたナナリーは歩を進める。