時代を見るもの   作:ノイフェル

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 宇宙世紀の黒幕的存在について、独自の視点からお送りしたいです


 宇宙の行先

時は宇宙世紀

 

 

宇宙世紀元年より、人類はその生活の環境を地球のみならず、月面やラグンジュポイントと呼ばれる地帯に建設したスペースコロニーへと拡げつつあった

 

 

 

しかし、その中においてコロニーの主権者たる地球側と居住者たるコロニー市民の間に埋め難き意識の差が生じる事となる

 

 

 

地球側としては、あくまでもコロニーとは地球に住んでいる人間の受け皿として存在するものであり、そこに多少の自治の余地はあれども、家主たる地球側への配慮が為されることが前提であった

 

 

だが、コロニー市民からすれば自分達の住むコロニーにおいて、生活していないはずの地球側の介入があるのは不本意である。故に地球側の息のかかった高官達の地球よりの政策に不満を持つ事になる

 

 

議論の余地はあるだろうが、ある意味では賃貸物件の家主と居住者にも似た関係とも言えなくもないだろう

 

 

 

 

問題なのは、その家主は居住者の資産にすら強制力を発揮できる事と地球連邦軍という暴力組織を有していた事であっただろうか?

 

 

 

そして、宇宙世紀0050年代に入るとコロニーの事はコロニーの住人ですべきという『コロニー自治論』がコロニー内において台頭し始め、これが更に広義的な意味を持つ『宇宙市民(スペースノイド)による自治』という論調も騒がれる様になった

 

 

更に思想家ジオン・ズム・ダイクン主導のコントリズム、サイド国家主義思想が広がりをみせる。0058年、地球より最も離れたサイド3は独立し『ジオン共和国』を宣言した。初代首相にはダイクンが選ばれ、この事は地球連邦のみならず、各サイドに衝撃を齎した

 

 

しかし、0068にダイクンは突然の死をむかえ、後任にはデギン・ゾド・ザビが就任した

 

 

 

その後ジオン共和国はジオン公国と名を改め、0079に地球連邦に対して宣戦を布告。宇宙世紀の様々な紛争の元となったとも呼ばれた『一年戦争』が始まる事になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一年戦争の只中においてとある壮年の人物は自身のオフィスで頭を悩ませていた

 

 

 

 

「ジオンのモビルスーツ。あれは厄介だ。通常兵器で対抗するとなると余りにも被害が大きくなろう

となれば、連邦も近いうちにモビルスーツの開発に資金を回すはず。そこに我が社のつけ込む場所はあるはずだ」

 

彼の名はオサリバン

 

連邦、ジオン双方に民生品を輸出しているA・E(アナハイム・エレクトロニクス)の中堅幹部であった

 

 

開戦初期において、ジオンはミノフスキー粒子と有視界戦闘におけるモビルスーツ運用の組み合わせにより、国力で圧倒的に勝っていた連邦軍に勝利し続けた

 

当初、アナハイム内においてもジオン公国と連邦の戦争は早期に終結する者と殆どの者は判断していた。勿論、連邦の勝利という形でだ

 

ところが、ルウム戦役での勝利により連邦宇宙軍に大打撃を与えたジオンはスペースコロニー『アイランド・イフィッシュ』を弾頭に見立て連邦本部のある南米ジャブローへと落とそうと画策する。後の世に多大な影響を与えた『コロニー落とし』である

 

 

連邦宇宙軍の決死の抵抗により、かろうじてジャブローへの落着こそ防げたものの、それは豪州へ落着。同地は巨大なクレーターとなってしまった

 

 

その後、南極においてジオンと連邦による会談が実現したものの、連邦軍大将レビルが拘束されていたサイド3より工作員の手で帰還。『ジオンに兵なし』の演説により、南極では『南極条約』という戦時条約が結ばれるに終わってしまった

 

 

 

早期停戦の可能性を失ったジオンは地球軌道の制圧をもって、地球各地への降下作戦を実施。

 

ヨーロッパのオデッサ、北米ニューヤークにキャリフォルニア、アフリカのキリマンジャロ、アジアの北京、豪州への降下を成功させた

 

 

 

 

 

 

 

だが、急速な支配地域の拡大によりジオン軍は貴重なモビルスーツの損失を増やし、結果として連邦に鹵獲され研究される事になってしまう

 

 

連邦内に多数の協力者を持っているアナハイムはこのデータを入手。解析した結果を見てオサリバンは唸った

 

 

「敢えて人型にしたのは、パイロットが動きをイメージしやすくする為か?

しかし、広大な地球を制圧するには如何にモビルスーツが強力といえどもそれ単体では成せまい

必ず補助戦力が必要となるだろう。だが、モビルスーツの取り憑かれているジオンメーカーや軍首脳はそれを許容するだろうか?」

 

 

確かにモビルスーツは『無重力下』においては比類なき戦力となろう。が、それとてミノフスキー粒子というレーダー機能を麻痺させるものがあってこそ

仮に誘導兵器が機能したとすれば、モビルスーツとてただの的にしかならないだろう

AMBAC(無重力下における惰性機動)を十全にこなせている熟練パイロットとて、誘導兵器をかわし切れるかは危うい

 

ジオンは急激な勢力拡大にモビルスーツのみならず、兵員も不足してきており地上(地獄の釜)に相当数の兵員を送らざるを得なくなっている

 

それにより、ジオン本土のある宇宙(そら)の拠点である宇宙要塞ソロモンやア・バオア・クーや月面拠点であるグラナダの兵員質が低下するのは避けられなかった

 

 

 

 

 

無論、連邦も初戦以降の度重なる敗退により兵員を失っていたが、元々巨大な連邦軍。戦力の補充には困らなかった

皮肉な事にオデッサを始めとした地球各地の拠点が失陥したが故にこそ、兵員を集中することが出来たからではあるのだが

 

 

 

コロニー落としという禁忌の手段まで用いてジオンが速戦を求めたのはジオン総帥ギレン・ザビは理解していたからだ

長期戦になれば、ジオンに勝ちはない。と

 

 

 

 

そして、連邦軍は理解していた

長期戦に引きずり込めば、連邦軍優位となることを

 

 

 

 

 

 

 

モビルスーツは画期的な兵器である。それは疑いようのない事実

 

だが、ジオン優勢はモビルスーツの力によるところが大きいのも間違いない。戦争が長期化すればする程に連邦軍がモビルスーツの有用性に気付くリスクは上がる。ジオンの鋒はモビルスーツであるが故に注目されるからだ

 

 

 

そして、連邦軍が開発するモビルスーツは間違いなくジオン主力量産機であるMS-06(ザク)を上回るだろう

 

 

 

 

 

その程度は軍事素人であるオサリバンにも理解できる

 

テストヘッドとしての試作機こそ、ザクに劣るかも知れないがそれは連邦がモビルスーツの基礎技術習得の為だけになるだろう

 

連邦反攻の象徴ともなるモビルスーツはジオンのそれを圧倒しうるスペックを有さねばならない。そして、それを元にローコストの量産機を生産すれば、ジオンの勝ちの目は消えるだろう

 

生産力が桁違いなのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

その為の精密機械について、既に連邦より打診があった事も踏まえると、ジオンがジャブローを早期に陥落させない限りは戦争の勝ちはなくなったと判断して良いだろう

 

 

言うまでもないが、ジオンが勝つには連邦がモビルスーツの本格生産を始める前に連邦本部ジャブローを陥落せしめるほか無い。そうでもしなければ、既に主戦派のレビル大将一派がモビルスーツ開発に着手している以上、連邦政府としても敗戦を受け入れる理由がないからだ

 

 

しかし、オサリバンとて幾度か訪れているジャブローが早々に陥落するとは思い難い。オサリバンからすれば、唾棄すべき事であるがコロニー落としくらいしかないとすら思える

 

 

 

だが、連邦宇宙軍の拠点であるルナツーは未だ健在

ルナツーを落とそうとジオン宇宙軍が寄せてきたとしても、ルナツー駐留艦隊司令のワッケインは優秀と聞く。猛将と知られるドズル中将をしても容易ではない筈

ルナツー攻略に手間取れば、地球軌道上に連邦の残存拠点から打ち上げられる宇宙艦隊に後背をつかれる可能性も高まる

 

初戦において、連邦宇宙軍が敗北したのはミノフスキー粒子とモビルスーツに無知であったからであって、艦隊による一斉射撃や飽和攻撃は間違いなく脅威となるだろう

 

 

更に強化型のセイバーフィッシュが量産化されており、連邦のゴップ大将の号令の元、大量生産が始められた

 

ゴップ大将自身はモビルスーツに懐疑的な見解を持っているが、だからとてレビル大将の足を引っ張ろうとはしないだろう

 

ゴップ大将とて連邦の軍人なのだから

 

 

ルナツーに配備された強化型のセイバーフィッシュは個々の質が低下しながらも、モビルスーツの更新をしつつあるジオン宇宙軍相手にもそれなりの被害を与えていると聞く

 

 

となれば、地球軌道上の完全制圧をジオン宇宙軍が維持し続けるのは相当難しいと言えるだろう。それではルナツーを攻略するのは難航しよう

軌道上の確保をしつつ、ルナツーを攻略するにはジオン軍は余りにも面倒な組織だから

 

ジオン共和国より、公国に改めた際にジオンは三つの勢力を持つこととなった

 

 

ソロモンを拠点とするドズル・ザビ麾下のジオン宇宙軍

月面都市グラナダを拠点とするキシリア・ザビ麾下のジオン突撃機動軍

 

ジオン本国サイド3への最後の要所ア・バオア・クーに本拠を持つ総帥ギレン・ザビ親衛隊隊長エギーユ・デラーズ配下の親衛隊

 

 

更に地球侵攻に際して北米を拠点とするガルマ・ザビの地球侵攻軍

 

 

 

軍事素人であり、独裁国家の在り方に然程興味がないオサリバンからすると意味不明である

 

 

 

ただでさえ少ない戦力を細分化するなど企業の管理職である彼からすれば正気を疑ってしまう

 

信じられないが、各軍団の連携は派閥の関係もあり円滑とはいかないという話ではないか。「何処と戦うつもりなのか?」と思わず聞きたくなるくらいですらあった

 

 

 

 

 

 

仮に、もし仮にジオンが再度のコロニー落としを強行するならば、連邦宇宙軍のみならず、連邦宇宙艦隊も死に物狂いで対抗するだろう事は想像に難くない

 

 

既に度重なる地球侵攻によって、初期の様な戦力を有さないジオン宇宙軍と地力をつけ始めた連邦宇宙軍ではジオン有利とは言いにくいだろう

 

 

そして、アナハイムとしても2度目のコロニー落としが為された場合は民生品のジオンへの供給を止める事も議題に上がっている程。例えジオンが勝ったとしても、その後にあるのは怨嗟に溢れた世界となるのは必然。オーストラリアにおいてジオン現地軍は市民の慰撫に努めてこそいるが、だからとてコロニー落としによるジオンへの悪感情が消えるわけでもない

 

ジオンは勘違いしているようだが、地球市民(アースノイド)からの反発ばかりではない。宇宙市民(スペースノイド)からの反発も無視できないものがあるのだ

 

例えジオンの大義とやらがスペースノイドによる独立だとしても、その為に同じスペースノイドを平気で殺せるのであれば、ジオンに従える筈もない

 

各サイドの指導者たちが優先すべきはスペースノイドの未来(ジオンの妄言)でなく、自分達の身の安全なのだから

 

 

 

ジオン側の産業は歪であり、軍事系企業こそ多岐に渡るが民生品系企業はそこまで規模が大きくない。アナハイムのシェアを侵食出来る程の企業というものはない

 

 

 

 

 

 

 

 

これは共和国時代から産業に大してそこまで配慮していなかったジオンの負の遺産だとオサリバンは思っている。であるからこそ、ダイクンの事をオサリバンは思想家と呼ぶ

 

各サイドの独立などと謳っていたとしても、独立すれば今まで連邦政府に頼りきっていた様々なモノを自前で用意せねばならなくなる

何処の世界に自分達の手から離れていった者達へ手厚い支援を継続するお人好しがいるというのか?

 

いる訳もない。連邦政府の意思決定は各地より選出された議員たちによる議決に基づく

 

そして、議員たちが気にするのは自分の支持率であり、勝手に独立したジオンなどでは決してない

事実、我々アナハイムに対しても連邦政府からジオンとの取引について懸念されているとも伝えられている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0080

 

 

ジオン公国は地球連邦との戦争に敗北した。国名を元のジオン共和国と戻し、連邦の傘下に入る事となる

 

 

 

旧公国の有力一族であったザビ家

 

 

家長であったデキン公王は連邦との休戦交渉を嫌ったギレン・ザビにより、連邦軍総指揮官レビル大将と共にソーラ・レイで宇宙に消えた

 

 

ジオン公国の指導者であったギレン・ザビは不可解な事に宇宙要塞ア・バオア・クーの中で亡くなったとされる

 

だが、妙な話でもあった。総帥であるギレンが前線指揮に出たと言う話は些か考え難い

確かにジオンにとっての最終決戦なりえる戦いであったのは事実だろうが、そこに無用なリスクを負う事を許容するとはオサリバンには到底思えなかった

 

そして、敵側である連邦軍はその時点では特務も含めて要塞内部に突入出来ていなかった

 

となれば、公国残党を率いて暗礁空域に消えたジオン軍大佐エギーユ・デラーズが予想した様に公国内部の人間による暗殺の可能性が高いのだろう

ギレン死亡に際して混乱を早期に鎮めたのが、キシリア派の人間であったこと。指揮権の移譲が異様に早かったこと。前線で指揮をとっていたはずのキシリアが『何故か』要塞司令部にいたこと

 

となれば、ほぼ間違いなくキシリアがギレンを殺害したのだろう事は否定する余地もない

 

 

だが、ギレン殺害の最有力であるキシリアもまた、要塞陥落直前に乗艦と共に亡くなっているだろうと言われている

 

アナハイムが吸収した元ジオニックなどのジオン系企業の関係者からそう聞いている

 

 

 

ドズル・ザビは連邦のソロモン侵攻戦の際に撤退するジオン軍の後発を守り戦死したという

 

 

ガルマ・ザビは任地である北米において、連邦の新造艦であったホワイトベース(木馬)と交戦した際に敗死

 

 

 

 

ジオンを動かしていたザビ家のその悉くが亡くなっていた

 

 

 

 

 

 

オサリバンが把握しているのは、ドズル・ザビの妻であるゼナ・ザビと

その娘であるミネバ・ラオ・ザビという幼児がジオン残党に護衛されているということだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「常務。例の二人組ですが」

 

「うん?

ああ、東南アジアで見つかった『元連邦兵とジオン兵』か」

 

 

 

オサリバンの所属するアナハイムはジオン公国解体に伴い、勢力を減退させたジオンのモビルスーツメーカーを次々に吸収。急速にその勢力を拡大し始めていた

 

オサリバンもまた、自らの伝手を用いてジオンの一部企業の買収に貢献した。その結果、アナハイム新社屋のある月面都市フォン・ブラウンでアナハイムの常務へと昇進を果たしたのだ

 

 

彼はそのオフィスにて腹心の部下と打ち合わせをしていた

 

 

アナハイムより与えられた秘書は別件の対応をさせており、不在。というのも、オサリバンから見て今のアナハイムのやり方は危うく見えていたからである

 

連邦軍の次期主力モビルスーツの開発と量産を請け負えたのは大きい。だが、アナハイムはモビルスーツ分野においてジオンは愚か、連邦軍の後塵を拝する立場である

 

その分野を補うべく、旧ジオン系のメーカーを吸収するのも理解はできよう

だが、それ故に新設したグラナダ支社とアナハイム本社の間に埋めがたい意識の差が生じるのでは無いか?そう危惧していた

 

 

 

技術面においてこそ、飛躍を見せるだろうが彼等はジオンの企業だった者たち。思想面においてはスペースノイドの側に寄っていよう

勿論、アナハイム全体に技術のフィードバックは行なうだろうから、グラナダの影響自体はすくないだろうが、アナハイムは連邦側の組織となるだろう

 

危険極まると思って間違いではあるまい

 

 

 

更に面倒極まるのは、アナハイムの創始者一族であるビスト財団

 

 

 

 

形の上でこそ、オサリバンとて敬意を持つフリはするが、明らかに問題にしかならないと見ている

実務者であるカーディアスには一定の敬意を払おう

 

 

だが、ビストの小娘(マーサ・ビスト)に敬意を払う必要性などあるはずもない

 

 

 

アナハイムを軍需企業とした挙句、密かにジオン残党とも接触している小娘である

 

 

 

アナハイムは民需企業として、既に地球圏で破格の影響力を有しているのだ

 

態々、怨みを買う様な部門にまで進出する必要などあるとは思えないのだから

 

 

そんな小娘の狗である秘書如きに最重要機密を話すつもりは2人になかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れて宇宙世紀0083

 

 

地球圏最大の規模を誇るジオン残党組織『デラーズ・フリート』は連邦軍の『ガンダム開発計画』の保管場所であるオーストラリア、トリントンを強襲

戦術核搭載型ガンダム試作2号機、開発コード『サイサリス』を強奪した

 

 

 

 

 

この報をフォン・ブラウンの自身のオフィスで聞いたオサリバンは不愉快そうに顔を歪めた

 

既に秘書は調整のためとして、小娘(マーサ・ビスト)の元に派遣している

 

 

「ジオン元大佐ともあろうものが、何をとち狂っているのだ」

 

「此方への協力者からの話ではやはり」

 

 

腹心は言いづらそうに話す

 

 

 

「なるほどな

つまりこれは試金石という事だな?」

 

「はい」

 

 

 

 

如何にデラーズが元親衛隊隊長だったとしても、所詮は一介の残党組織のトップに過ぎない

 

彼等の本拠地である暗礁空域には確かに一年戦争の残骸が多く集まる

だが、それだけを使って部隊を増やすのであれば、連邦軍に察知されることになろう

そこで、アナハイムの一部は非公式に輸送船を暗礁空域の側を航行させ、彼等に強奪させる事により補給させていたのだ

 

 

当然だが、これは明らかな違法行為である。しかし、小娘一派は地球圏においての壮大なマッチポンプを狙っていた

 

 

 

 

既に連邦軍のモビルスーツのシェア4割をアナハイムは取得しつつあり、今回の新型ガンダムもまたアナハイムが開発に大きく関わっていた。

アナハイムのグラナダ支社においては、ジオン共和国様と偽って残党組織に流すためのモビルスーツを生産している

ガトルとザクの再生品(ドラッツェ)や各種艦艇の維持、保守部品など決して無視出来ない赤字を垂れ流していたのである

 

しかし、このドラッツェとて既存の連邦軍量産機であるジムより高性能であった

 

旧式のザクやリックドムですら、大戦経験者(ベテラン)が扱えばジムを圧倒できるのだ

 

 

 

 

一年戦争において、連邦軍のジムが優位に立てたのはジオン側の認識不足や暴力的ともいえる数によるところが大きい

 

 

 

アナハイムの新型であるジム2は未だ正式決定されていないものの、ほぼ次期量産機として確定していた

 

 

 

 

 

小娘達は既存の主力量産機であるジム・カスタムを彼等の力で潰させる気なのだ

 

言ってしまえば、連邦軍と反連邦組織双方に自社のモビルスーツを使わせて潰し合わさせるつもりである

 

 

 

 

 

「小娘が、早々上手く行くと思うなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙世紀0084

 

 

デラーズ・フリートによる『星の屑作戦』は失敗に終わった

 

だが、その代償もまた大きいものとなる

 

 

 

ガンダム開発計画を主導していたコーウェン将軍は更迭され、彼の派閥は致命的な打撃を受けた

実働部隊であったアルビオン隊の指揮官、エイパー・シナプス大佐は一連の責任を追求され、極刑。騒動の中心であったアルビオン隊の殆どは新設の組織『ティターンズ』に転属させられることとなった

 

 

残党組織側は指揮官デラーズ大佐を始め、その悉くが戦死。数少ない残兵はジオン残党の集まるアクシズへと逃れた

 

 

そして、一連の騒動を裏で操っていたとされるアナハイムのオサリバン常務は自身のオフィスでの爆発事故により、死亡したとされる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、のんびり書きます

此方はそこまでの連載にするつもりはないので、1話がそれなりの文量になります

ご了承ください

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