色んな奴らが剣と盾の伝説のある地方に襲来するそうです 作:ナナシのG愛好家
「ウール―、突進!!」
「ロコン、凍える風!!」
ウール―が突っ込むが、激突する前にロコンの放った冷気の伴う風で吹っ飛ばされる。
「あ、ウールー!!」
悲鳴を上げるホップ。壁に叩きつけられたウール―だが、
「ぐめぇ!!」
と、まだ行ける!! と言わんばかりに構えなおした。
「畳みかけるわよロコン!! 凍える風!!」
「丸くなるだぞ!! ウール―!!」
「ぐめぇ!!」
一気に行かんとばかりにヒトミのロコンが『凍える風』を放った直後、ウール―は体を起用に丸めて、そのもこもこの体毛で肉体を包んでガードした。
「うそでしょ!?」
「隙ありだぞウール―、『転がる』攻撃!!」
「反発を利用して!?」
さらに、ふわふわの体毛が『凍える風』で吹き飛ばされて鉱山の壁に当たったのを利用して、壁を転がり下りてロコンに激突する。
「キュー⁉」
「そこまで!! ロコン戦闘不能!!」
倒れたロコンに近づいて、目を回しているのを確認したヒガナはそう声を上げた。
「私、これでもストームタウンのトップジムトレーナーだったんだけどな……。」
その結果に落ち込むヒトミに、グラジオは、
「キュウコンに慣れすぎていたな。『雪降らし』や、お前の得意技である『オーロラベール』を使っての耐久戦法のできない一対一の戦い。不慣れな戦いととっさの判断が生死を分けた。」
と、その様子を見てコメントした。
「へぇ、一目でそれが分かるとはね。ずいぶんと経験豊富じゃないか。」
その様子を見たヒガナはそう言ってグラジオを見据える。
「(それにしても、あの咄嗟にメイン攻撃技の『体当たり』ではなくあえて最近覚えたばっかりの『転がる』を選んでくるとはね。『転がる』が岩タイプ技だってこと、というかそもそも岩タイプは氷タイプに強いってことすら把握してるか怪しいけど、あの場面での判断、というか直感。流石は最強のチャンプの弟ってところかな。)」
これは凄い実力者に巡り合えたかもしれないぞ。と内心で笑みを浮かべながらグラジオの方を見る。
「(確か彼女は前にテレビ番組で紹介されてた『氷ポケモン』と『ドラゴンポケモン』のコンビネーションを得意とする異色のドラゴン使いでストームタウンのドラゴンジムトップジムリーダーのヒトミ。それと旅をしてるってことは、やっぱり、『ドラゴンストーム』の推薦者かな?)」
『ドラゴンストーム』キバナこのガラル地方のトップジムリーダーであり、八番目のジムを守る関門。そして、その実力は、八番目のジムリーダー
カロス地方の氷使いウルップやシンオウ地方の電気使いデンジ、ホウエン地方の水使いミクリといった強者たちと比較しても一線を駕すと言われている。
『他の地方だったらチャンピオンになれる実力』人は彼をそう評価する。だがしかし、その胸に燃えるライバル心か、逃げることは許さないというプライドか、ずっと最強であるダンデに挑み続けるチャレンジャーにして他のチャレンジャーを退ける壁。彼がいるためか四天王を突破しなければならない他の地方のリーグに比べて、トーナメント形式でジムリーダーたちと戦うこの地方の勝負は、チャンピオンへと挑むチャレンジャーの数が少ない。まさに最後の関門なのだ。
「(ブラックナイトを発生させようともくろんでるのは有力者に違いない。そして、伝承の通りならムゲンダイナはドラゴンタイプ。ガラルに留まる理由が、ダンデの他にあるとしたら? それか、ダンデに勝てないことに焦って他のポケモンを……いや、それは無いか。でも、)」
容疑者の可能性は十分にある。と怪しんだヒガナ。
「(近づいておいて損はないな。)」
と思いながらグラジオに歩いて近づく。
「せっかくだ。君もどうだい? 私と。」
そう言ってボールを構える。
「なるほど……いいだろう。」
グラジオの方もボールを構えた。
「ユウリ君、せっかくだ。審判をお願いできるかな?」
「は、はい!!」
ヒガナがそう言ったら慌ててユウリが配置についた。
「そ、それでは、ヒガナさん対グラジオさん!! スタート!!」
そう言ってまっすぐ上げた手を振り下ろす。
「それじゃあ行くよ、タツベイ!!」
「出番だ、ゼニガメ!!」
ヒガナのタツベイに対してグラジオが繰り出したのはゼニガメ。キバナから貰っていたポケモンだ。
「タツベイ、『竜の息吹』!!」
「迎え撃てゼニガメ、『水鉄砲』!!」
ゼニガメの『水鉄砲』とタツベイの『竜の息吹』がぶつかり合って互いに相殺される。
「「『ロケット頭突き』!!」」
ゼニガメは頭を引っ込めて、タツベイは勢いよく頭を向けてから、互いに突進。すさまじい気負いでぶつかり合ってお互いに吹っ飛ぶ。
「隙ありだね、『竜の息吹』!!」
空中でタツベイが口にみなぎらせたブレスを放つが、
「そこだ、『高速スピン』!!」
「何ッ!!」
ゼニガメはその甲羅に全身を包んで高速回転。それによって『竜の息吹』のダメージを受け流しながら、勢いに身を任せて壁に当たる。
「あっ、俺のパクリだぞ!!」
『高速スピン』の勢いで壁を駆け降りる気だと、先ほど同じような技を使ったホップは気が付いた。
「いえ、よく見て。」
「え? あッ!!」
ヒトミに言われて目を向けたホップは驚いて声を上げた。そう、ウール―のように垂直の壁を『転がり落ちる』のではない。壁に押し付けられた勢いを利用して、じわじわと床に近づきながら、壁を
軽量級のゼニガメがすさまじい勢いで回転していることを利用して、ホップのウール―の『ころがる』よりもさらにスピードを乗せてタツベイに接近する。
「まずっ、タツベイ、飛べッ!!」
とっさにタツベイは飛び上がる。
「よしっこのまま、『ロケット……」
「何を勘違いしているんだ?」
「えっ?」
グラジオのその言葉に、ヒガナはそちらの方を向く。
「まだ、ゼニガメの攻撃は終了していないぞ?」
「なっ!!」
笑みを浮かべたグラジオが指さしたのは、さらに速度を増した回転で突っ込んでくるゼニガメ。
「『高速スピン』には、自身の速度を上昇させる効果がある。ほぼ互角だった速度は、これでゼニガメが上だ!! 決めろゼニガメ!!」
その高速スピンが、タツベイを跳ね飛ばした。
「タツベイ!!」
「決まったな。」
悲鳴を上げるヒガナ。グラジオがそう言うと、
「いや、まだだぞ!!」
と、ホップが声を上げた。
「何?」
「ヒガナさんは、すげー強いんだからな!! タツベイは旅を始めたばっかりで俺らと一緒でまだまだ未熟かもだけど、俺は知ってるぞ!!」
|強いトレーナーのポケモンが弱いわけがない《・・・・・・・・
「その目、まさか……!!」
ホップの言葉、そして、ヒガナの目を見たグラジオは目を見開く。ヒガナの目は、ポケモンが敗れた時のその目じゃない。
「まだ行ける。そうだろう? タツベイ!!」
そう叫んだヒガナの目は、虎視眈々と、勝ちを狙う物の目だった。吹っ飛ばされた衝撃で起きた爆煙の中から、何かが突っ込んでくる。
「ゼニガメ!!」
「ぜ、ゼニガメ戦闘不能!! 勝者、ヒガナさん!!」
避けるようにグラジオは指示を出そうとしたが、ゼニガメはクラり、とよろめいて、そのまま腹にタツベイの『ロケット頭突き』の直撃を食らって、倒れた。
「今、何が? 彼のゼニガメならよけられたはず……。」
「『高速スピン』……。」
唖然とするヒトミに、ユウリがそう呟いた。
「そうか、あんだけすごい勢いで回転してたんだ、目を回して当然だぞ!!」
「(おまけに、ゼニガメの『高速スピン』は
フッ、と苦笑して、グラジオはゼニガメをボールに戻した。
「いやぁ、ヒヤヒヤしたよ。ナイスファイト。」
「そちらこそ。まさか負けるとは思っていなかった。」
こちらもタツベイをボールに戻し、握手を求めてくるヒガナ。それに、そう言いながらグラジオは応じた。
「しかし、それだけのテクニック、まさか、他の地方から?」
「よく気が付いたね。私はホウエンの出身さ。そっちこそ、そのテクニックは?」
人懐っこそうな笑みを浮かべたヒガナがそう問いかけると、グラジオもフッ、と笑って、
「アローラ仕込みだ。」
と、言った。
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「これで決めます!! ミブリム、ダイサイコです!!」
第一のジム、ターフタウンのターフスタジアムでは激闘が繰り広げられていた。赤黒いオーラをまとって巨大化する『ダイマックス』ダイマックスにはダイマックスパワーと呼ばれる力が必要で、それぞれのジムは、パワースポットの存在しない第七の街キルクスタウンを除いてすべてパワースポット上に建設されている。もちろんスタジアムもダイマックスして問題ない巨大さに設計されている。
そのダイマックスをした両者のポケモンが激闘を繰り広げて、そして、白いふわっとしたくせ毛の青年、ビートのミブリムが放ったエスパーのダイマックス技、『ダイサイコ』が、ジムリーダーのダイマックスポケモン、ワタシラガに直撃して、大爆発が起こる。その奥にいたのは、ダイマックスが切れ、元の大きさに戻ったワタシラガ。
「ワタシラガ戦闘不能!!よって勝者、ビート選手!!」
手を高々と上げた審判に、コールは下された。
『決まったーッ!! ダイマックス技で互いにフィールドを変えあう激闘を制したのはビート選手!! 見事ターフジム戦クリアです!!』
おめでとうと拍手をするジムリーダーヤロ―。周囲を取り巻く歓声に、ビートは髪をかき上げ、得意げな表情で答えていた。
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「ふぅ、楽勝、とは言い難かったですね。」
控室。シャワーを浴びて何時もの紫のコートに着替え、スポーツドリンクを口にするビートはそう呟いた。
「ミブリムたちもご苦労でした。」
と、机に置いたボールに声をかけていた。すると、
「ビートっくーん!!」
と、控室の扉を勢いよくあけて飛び込んでくる少女がいた。エイプリルだ。
「のわっ!? え、エイプリルさん!! 何でそういきなり入ってくるんですか!? ここ男子用控室ですよ!? せっかく最速クリアチャレンジャーとして名が出ているところでスキャンダルとか冗談じゃない!!」
「え~、私はビート君なら別にスキャンダルもいいけどな~。」
「僕は絶対に嫌なんですよ!!」
怒鳴るビートと、ひょうひょうとするエイプリル。
「それよりも、次は、貴方のバトルでしょう?」
「うん。ビート君に負けないバトルをしてみせるよ!!」
「へぇ、期待はしてませんけど、楽しみにしておいてあげますよ。」
エイプリルの笑顔に、ビートは自信満々な顔でそう答えた。
「うん。待っててね!!」
そう言うと、控室を飛び出していくエイプリル。それを見た彼は、
「まったく、皮肉も通じないのですか……。」
と、ため息を付いて、まんざらでもなさそうな顔でスポーツドリンクを飲みほした。
ちなみに、その様子は思いっきり記者にすっぱ抜かれていた。