誰か書いて   作:嫌怠

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百鬼夜行に二人称が名字+ちゃん付けの生徒がいて、
その子が百花繚乱と関わりが多かった時、
キキョウのことをずっと参謀とか読んでるんだけど、
いざという時に満を持して桐生ちゃんって呼ぶのかな。
って言うネタを同じ時期に思いついたのと、
和弓使ってほしかったので今回の弓使いは百鬼夜行所属です。


26.キヴォトスの弓使い

百鬼夜行の街から外れ、どんどん人気が減っていくのを感じながら、たどり着いた山道。

道なりに進んでいくと、比較的大きな木が中心に立つ開けた場所に出た。

中心の木の根元には、探していた生徒が目を閉じて座っている。

胡坐を組んだ脚の上に自身の武器である弓を置くその姿は、精神修行のようでもある。

 

「おや……」

 

近づくと、私に気付いた彼女が目を開く。

 

「先生、何故ここに?貴方にとっては楽な道のりではなかったと思いますが」

"急に連絡がつかなくなった生徒がいたら、少しは無理もするよ"

「それはそれは……」

 

私の言葉を聞いて、彼女が携帯を取り出した。モモトークを確認するだけのはずだが、指は動くことなく画面を見つめ続けている。

 

"もしかして電源も切ってたの?"

「ええ、水を差されたくなかったので。……随分と慌てていたようですね」

 

モモトークを確認した彼女は、ぽつぽつと操作をした後携帯しまう。

 

「よりによって今日メッセージを送るとは、嫌な偶然もあったものです」

 

私は知り合った生徒達とモモトークを交換し、頻繁にやり取りをしている。もちろん、やり取りの少ない子もいるが、彼女の場合は全くモモトークを送ってこない。

現在は、私から話題を振っている形だ。けっして頻度の高くないそれが、今回は偶然連絡の取れないタイミングと重なってしまったらしい。

 

"どうしてここに来てたの?"

 

他者との繋がりを絶ってまで一人で来たのには理由があるはず。何か悩みがあるなら先生として力を貸す義務がある。

私の質問に彼女はゆっくり口を開いた。

 

「貴方が来てからキヴォトスは大きく変わりつつあります。長年の問題の解決あるいは進展、学園同士の新たな交流、果ては未曽有の大事件」

"それが気に入らない?"

 

私の仕事は様々な学校に赴き、問題を解決していくこと。しかし、その過程で誰かとぶつかりあったり、予想もしなかった大事件に繋がることもある。

その果てに、皆で笑えるような最後があったけど。彼女にしてみればそれが不満なのだろうか?

不安を感じながら、次の言葉を待つ。

 

「いいえ。今までにない体験は、素直に楽しませていただいています。ただ、それゆえ賑やかに……"音"が多くなった今に、少しだけ疲れてしまいました。キャパオーバーというやつです」

"だから誰もいない山に?"

「はい。"音"の少ないこの場所で、暫し休憩を取っていました」

"じゃあ、私は居ないほうがいいかな?"

「雑談がしたいのであれば付き合いますよ。休憩の妨げになるほどではないので」

 

誘われたのなら断る理由はない。

しかし何を話そうか。自分のことを話してもいいが、せっかく話せるのなら彼女について知りたい。

そう考えて、彼女が持つ弓に目を遣る。

 

"前から気になってたんだけど。君はどうして弓を武器に選んだの?"

「武器を選んだ理由ですか……」

 

キヴォトスは銃社会だ。日頃のいざこざも銃で解決することが多い。

しかし、戦闘において弓で銃を打倒するのは難しいだろう。それでも彼女が弓を選んだ理由が気になっていた。

 

「……私は賑やかな場所に耐えられずにこんなところに来てしまう人間ですから、銃声の嵐も得意ではないのです。少しでも、自分だけでも、静かになろうとした結果です。おかげで苦労も多いですが」

"……"

 

自身の悩みと向き合った結果。不利を理解しながらそれでもと弓を取った。

銃を相手取るための鍛錬などは有ったのだろうか。あるいは、それでも問題無く戦えると判断したからこそなのか。

考えていると、彼女が私の顔を覗き込む。

 

「嘘ですよ?」

"え……、なんで……?"

 

少し見つめあって、何ともないように彼女は言った。

嘘をつかれた。何故そんなことを……。戸惑う私に笑顔を向けて彼女は続ける。

 

「深刻そうな顔をしていたので、ちょっとした悪戯です。本当の理由は、きっと他の方と変わりません。使い慣れている、どこか手に馴染む、運命を感じた、そんなところです」

"それはそれで気になるけど……"

 

銃弾飛び交うキヴォトスに生きて、いざ自分が使う武器として弓と出会う切っ掛けはあるのだろうか。

その手の店などが有ったとしても、銃との出会いの方が早いだろう。

どんな出会いだったのかと聞いてみる。

 

「そうですね……。それはまたの機会にしましょうか」

"まさか……"

 

突然のお開き。しかし理由は分かりやすい。もとよりここに来た理由は   

 

「先生が来るまででかなり休めましたので。休憩終了です」

"いいところで……"

「また休憩とモモトークが重なるのを祈りましょう」


 

弓使い生徒

 

銃社会のキヴォトスにおいて弓を使う。という事しか決まっていない謎の生徒。

強いて言うなら、弓を選んだ理由はわざわざ描写する必要が無い程度には特別な理由が無いというイメージはある。

学校も性格も強さも何もかも決まってない。




オリ主作ると敬語の女キャラになる。
どっかで出したオリ主もそうだし、まだ書き終わってないネタにも3人くらいいる気がする。
多分好きなんだろうね。
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