「雄英高校試験会場……ついにここまできたか」
その建物を立ち止まって見上げる漢に、周りの受験生は何があっても身体がぶつからないようにスッと間合いをとって避けるように試験会場に入っていく。
明らかに上等なスーツにコート、柔和な顔つきだが180センチほどある身長と服の上からでもわかる筋肉質の身体つき。
冬場の寒さもあって口から出る白い湯気も、彼が吐くと何処か煙さを感じそうな暴力的な気配を放っている。
本人としては緊張しながらボーッと立っているだけなのだが、周りで会場に吸い込まれていく同じ年齢の筈の少年少女達はこのヤバイ人誰なんだろうと思いつつも関わり合いになりたくないと決して目線を合わせない。
そんな中
「どけデク……邪魔だろうが」
「ん? ああ、かっちゃんおはよう」
背後から歩いてきた爆豪に注意され、いたって普通に挨拶を返した漢……その名を緑谷出久という
「聞いたぞ? てめぇ個性に目覚めたそうじゃねえか」
「そ、そうなんだよ……身体を鍛えないとわからないって変な個性だよね?」
「昔のヒョロガリじゃわかるわけのない個性……今のお前のクソ筋肉なら使いこなせるってわけか」
嘘の申告の個性の事を言われて若干動揺した出久だが、爆豪のお前はやれるのか? と言わんばかりの真面目な視線に動揺を引っ込める。
「まだまだ完全ではないけどね……それでも僕は誰よりも鍛えて準備してきた自信はあるよ」
「ハッ……だったらお前を何の感慨もなくぶっ飛ばせるって訳だな」
「かっちゃん……」
悪魔の様にギラつく笑いをする爆豪と、その身体のせいで微笑みに凄みのある出久。
視線にバチリと火花が弾けそうな視線が交錯し……爆豪が先に視線を切ると会場に入っていった。
出久は内心(啖呵切っちゃったよかっちゃんに……)とガクブル状態だが、何とか気持ちを落ち着けて歩き始めた。
因みにここで出久は転んでないので女子であるあの子と喋れず、何なら今のやり取りを見ていた周りの人に
(((同い年なの!? そしてあの人受験生だったの!?)))
と驚かれていた。
そしてさっきカッコつけたのにお互いに隣の席だったと知った出久と爆豪はちょっと気まずくなった。
席に着き、プレゼントマイクの話を聞きながら出久は代表に言われたことを思い出している。
いいかい?……最後の一ヶ月で使った装備ははっきり言って
試験内容は模擬市街地演習場にて仮想敵を倒してポイントを競い合うこと。そしてその中には0ポイントの特殊な敵もいること。
使うのは手足を保護するグローブとブーツ、あとはあの盾……身体能力と個性と君の努力で合格を目指すんだ。
プレゼントマイクの説明が終わり、出久は準備をして模擬市街地演習場に現れた。
オーダーメイドのスーツだった出久は、コートとジャケットを脱いでワイシャツの袖を捲ってグローブを着けて、調子を確かめる。
ギチリとグローブを握り込んで調子を確かめる姿は落ち着いていて、集中している事が伺える。
最後に出久は左腕に盾を着け、ゆっくりと目を閉じた。
それをこそりと見ている受験生達……。
「あの人俺らと同じ受験生なんだよな?」
「凄い身体つきしてるけど、何の個性なんだろうな?」
「高校浪人じゃないの? 同い年に見えねえよ」
「でもさっきヘドロ事件の爆豪と話してたぞ?」
小声で話しているので出久には聞こえなかったが、聞こえていたら顔を真っ赤にしてあたふたしたに違いない。
軽い雑談が受験生達の間で始まり緩い空気が生まれ始めたとき。
「ハイスタートー!」
プレゼントマイクの声が響き
カッ!
目を見開いた出久はプレゼントマイクが動かない受験生達に発破をかけているのを耳にしながら、誰よりも早く演習場に飛び込んでいくのだった。
色々調べてたんです……そしたらスーツ着たマッチョで180センチのめっちゃ格闘出来る人がヒットしたんです。
風間仁と三島一八
もうその二人が頭の中でちらついちゃってどっちかを緑のワカメヘヤーにしたらこの作品の魔改造出久っぽいなって思っちゃった今日この頃。
皆もそのイメージに犯されてどうぞ!