シャカシャカシャカシャカシャカシャカ………………
「出久……お母さんには十分粉が混ざってるように見えるけど?」
「あ……そうだね」
意識が半分飛んだ状態でプロテインシェイカーをふっていた出久はそれを飲んだ
「因みに貴方それ三杯目よ」
「え?……あ、あれ? そうだった?」
出久が雄英の試験から帰って来て一週間……オールマイトや代表とも連絡が取れず、出久はそのモヤモヤを筋トレをして発散する日々を送っていた。
特に目標も定めずに延々と高重量のダンベルを上げ下げする日々は、出久の肩周りをまた少し太くする。
だが次の日、雄英の封筒から届いた封筒を開けた出久は、深夜にもかかわらずに雄叫びをあげることになった。
緑谷出久……雄英高校合格
「それで……お話とは?」
すっかり綺麗になった海浜公園でトゥルーフォームのオールマイトから呼び出しがかかった出久。
実技の評価はヴィランポイント30ポイント、レスキューポイント46ポイントで総合二位に。
原作よりもレスキューポイントが低いのは出久の能力が
人はよりドラマチックなシーンに感動するので、プロヒーロー達の評価が出久の活躍っぷりのせいでお邪魔ギミックを倒したときに
それが点数の伸びに繋がらなかったのである。
だが一位の爆豪と1ポイント差でも、試験官の中では今期の
それがこの世界で大きなバタフライエフェクトになっていく。
「緑谷少年。……実は私ね……ヒーローを引退しようと思っている」
オールマイトからの一言に出久は一瞬空気が止まった様に錯覚した。
「な……何で、ですか……オールマイト」
出久の震える言葉にオールマイトはニッコリ笑った。
「見つけたからだよ」
「見つけた?……な、何をです?」
「私の後を任せられる男をさ」
しっかりと目線が合っているオールマイトと出久。
出久は自惚れでも何でもなく、今、自分がオールマイトの後継としてバトンを渡されたことを自覚した。
憧れであった。希望であった。生きる上で目指したい頂であった。
「今後私は雄英高校で君や、君と共に切磋琢磨する雄英生を育てる教師として頑張るつもりだ」
「で、でも身体は治ったんですよね!? なのにそんな急に……気持ちの整理がつきません!」
「急じゃないさ……5年前に負傷したあの時、あそこで私には引退のチャンスがあった」
オールマイトは寂しげに笑う
「しかし私はそれでもやれると……こうしてズルズルと時限爆弾を抱えながらヒーローをやっていた……疲れた……とは口が裂けても言えない状態を何年も続けていた。プライドだったと今では思えるよ」
オールマイトはふう……とため息をつく
「ヒーローとしての
「……代表に何を言われたんですか?」
オールマイトは出久に目を合わせてその言葉を言い放つ。
「
その言葉に出久の背中に這いずるような悪寒が走った。
「ヒーローは素晴らしいが、制約でがんじがらめの窮屈な存在さ……人は見捨てない、弱きを挫かない、誰かを助ける為に自分を省みない自己犠牲の精神を持って苦難を退ける高潔な者達……そんな者だけだったら良かったんだけどね」
ナンバー1ヒーローの独白は続く。
「名声、金、権力、野心……公的に個性を使いたい者、強すぎる個性ゆえに社会に馴染めない者、人からの限り無い称賛や尊敬の眼差しを受けたい者……プロヒーローだって褒められた理由でやってる人間なんて、案外少ないもんなんだよ」
「それは……なんとなくわかります」
出久はヘドロ事件のプロヒーロー達の対応を思い出した。
「そして悪意にはヒーローもヴィランも関係がないんだ。善悪じゃなく、人の心の中の闇が悪魔を産み出すことを覚えておいてほしい……」
「……はい」
出久は神妙な気持ちで答えた。これがオールマイトがナンバーワンヒーローとして授ける最後のアドバイスかもしれないから。
「私の引退が発表された時、私が蓋をした悪意達が吹き出し始めるだろう……そしてそれを止められるのは、君や君が出会う仲間達……そして神代君に掛かってるのかもしれない」
「僕と僕が出会う仲間……あと代表ですか?」
「ああ、神代君は私から見てとっておきの
「……言えてますね」
出久は苦笑した、あの人の無茶苦茶っぷりを何度も経験した身としては確かに切り札に成りそうだから。
それを見たオールマイトは茶目っ気たっぷりにウインクしながら
「それに私は一回でいいから見てみたいんだ……彼の本気って奴をさ!」
一応補足しますとこの作品には一定のノルマみたいなものを考えてまして、原作よりも早い段階でノルマをクリアして完結に持っていこうと思ってます。