だから俺は○○じゃねえって!   作:ガウチョ

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バタフライどころじゃないエフェクト

「……やはり今回は粒が揃ってる」

 

雄英高校1ーA組を受け持つ担任教師の相澤消太は今回行われている個性把握テストを見てそう呟いた。

 

雄英は生徒も教師も自由な校風がウリの一つで、教師一人に対する権限が非常に強い。

 

その為担任となった相澤先生は学校に入学した際の色々な行事を合理的判断に基づいて省略し、早速授業を始めることになった。

 

そして始まったのが個性を使った体力テスト。

 

最初に個性が使えると浮かれていた生徒も()()()()()()発破をかけたので真面目に受けているが、そこで目立っている生徒が()()

 

 

「しいいねえええぇぇぇぇ!!」

 

 

汗腺のニトロの爆発を圧縮してコントロールし、ソフトボールで()()()()()をした爆豪勝己

 

そして

 

 

「おおおおぉぉぉぉぉ……」

 

 

見るものが見れば圧倒される筋肉量、ボサボサの緑の髪から覗く目からは熱量を感じるほどの何かが放たれている。

 

瞬間。

 

 

「……だりゃああぁぁぁ!!!!」

 

 

脱力からの緊張で身体中の筋肉がボコリと蠢き、右腕から放たれたボールは空気を引き裂くような音を出して飛んでいく。

 

ピピ……

 

 

「……940メートルだな」

 

「よっしゃああああ!!!!」

 

「むう……届かなかったか……」

 

 

そこには歓喜する爆豪と投げるときに何故か変わっていた顔の画風が元に戻っていく緑谷出久の姿があった。

 

 

「緑谷出久……個性は去年起きたヘドロ事件まで無個性だと診断されており、その後この高校を受けるにあたって肉体改造を進めていると無個性だと思っていた個性が判明。筋肉量に対して、一定割合の筋力が上乗せされていく個性であり、個性の名前は筋力強化……去年から約一年間で身長が15センチ以上伸びて典型的なもやしっ子体型から今の身体にいたる……おい緑谷」

 

「は、はい」

 

「お前のその()()()()()()を教えたのは誰だ?」

 

 

出久は代表に暗記させられた辻褄合わせの話を話した。

 

 

「ええと……神代表悟という人に全面的に協力してもらったんです……トレーニングから食事、栄養管理もやってもらいました」

 

「神代表悟……あのBig Dipperの代表か?……まあ、あの人ならやりかねないな」

 

 

相澤先生の言葉に出久が反応する。

 

 

「相澤先生は代表のこと、何か知っているんですか?」

 

「今は警察のあの装備で有名になったが、元々あそこは資源採掘と先端工学部品の下請けと、実は筋肉トレーニングの合理的な鍛錬法や個性に頼らない自衛術を教える部署を抱えた会社なんだ」

 

「代表無個性ですもんね」

 

「ああ、だからあそこの関連企業にある警備部門の人間は個性がなくても()()()()()のが揃っている……俺も何回地面を転がされたかわからん」

 

「相澤先生はあそこで拳法を習ってたんですか!?」

 

「拳法じゃなくて肉弾戦の技術を磨きにだけどな。お前と違って俺は個性が増強型ではないんだ……ほれ」

 

 

出久は相澤先生と目が合うと常時発動しているワン・フォー・オールが解除されたことに気が付いた。

 

 

「先生ってイレイザーヘッドだったんですね」

 

 

出久と相澤先生の話を聞いていた周りの生徒はコソコソと「そのヒーロー知ってた?」とか「アングラ系で聞いたことある」とか話している。

 

 

「見た感じお前は基礎の基礎だけ教わって技までいってないって所か……まあ俺の個性をくらって身体が萎んだりすることがないってことはその体になるまで努力したことは間違いないだろう」

 

「身体が悲鳴をあげ始めてからが本番だって代表に教わりました」

 

「合理的判断だが頭だけは筋肉に侵されるなよ……俺は脳筋って奴が好きじゃない」

 

 

相澤先生はそう言って他の生徒の測定に戻っていく。

 

 

「ヘッ……どうやらボール投げは俺の完全勝利のようだなぁ」

 

 

するとここぞとばかりに爆豪が出久にマウントを取ってきた。

 

 

「……まあ確かに負けたけど握力では僕のほうが高かったじゃないか。それにしてもいつの間に爆発を圧縮してコントロールする技術なんて身に付けたの?」

 

「てめえがそのクソ筋肉を太くしている間、俺が何もしないでいると思ってんのか?」

 

「なるほど……かっちゃんも努力は怠ってないんだね」

 

「うるせえぞデク!俺はモブとはちげえからな」

 

 

肩を怒らせてズンズン歩く爆豪に

 

((なんかちっちぇえんだよな、あいつ))

 

周りで聞いていた生徒の爆豪のイメージは定着し始めていく。

 

結局総合成績は峰田が最下位。出久が総合二位になり、相澤先生の合理的判断による嘘とわかってびっくりしていたメンバーと出久に負けてキレ散らかす爆豪以外は概ねこのレクリエーションを楽しんだと言えるだろう。

 

 

「どうだい今年の一年は?」

 

 

校庭から職員室に戻る相澤先生にオールマイトがトゥルーフォームで話しかけてくる。

 

相澤先生はオールマイトを見ても淡々と。

 

 

「今年は中々に粒揃いですよ。推薦入学の二人もそうですが、あの同じ中学の緑谷と爆豪はお互いを意識しているせいか、いい鎬の削り方をして伸びそうではありますね。特に緑谷はここ一年周りがどれだけ彼を磨き上げたんだと中学2年時の写真を見てビックリしましたよ」

 

「ああ、ここだけの話にしてほしいが……警察のあの装備の高速戦闘時のモーションパターンに彼は協力しててね」

 

「……見たことあるなと思ったら、動作のフォーム矯正をあのアーマーでしたんですか……随分贅沢な指導を受けていたようだ」

 

「その時に私も()()()()()()()()()()ゲシュペンストアーマーの一つを、私用の装備として融通してくれたんだよ。次の授業から()()使っちゃうから楽しみなんだ!」

 

「……いくら俺が合理的な事が好きでも生徒が可哀想だと思えてきますね……いくら現役の頃の貴方ほどの理不尽さはなくてもアレは生徒からしたら十分な絶望ですよ」

 

「なあに麦は踏まれて強くなるものだよ相澤くん!」

 

 

いい笑顔で言ってくれるなあこの人は……相澤先生はどうにも自分と合わないオールマイトの笑いを聞きながら職員室に戻っていくのだった。




オールマイトがアップを始めたようです。
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