だから俺は○○じゃねえって!   作:ガウチョ

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オリ主が全然出てこない……


保健室と対戦結果

『この子は両肩を亜脱臼して肩の靭帯を少し痛めてた。そしてこっちの子は全身の筋肉疲労と軽度の低血糖、後は左手首をちょっと痛めてて、左前腕部にヒビが入ってたよ』

 

 

最初に爆豪、次にデクの診断結果をリカバリーガールがオールマイトに報告している。

 

 

「簡単に記録されてた映像を見たけど、良くもまあ二人共()()()()()()()()()()()と感心したよ……特にあんな破壊力の攻撃を装備という下駄を履いてても受け止めきるなんて、プロでも出来る奴は片手で数え切れる程度だろうね」

 

 

デクのカルテを見ながらリカバリーガールは驚いた顔をしている。

 

 

「爆豪少年の機動攻撃と最後の攻撃は私でも人を庇いながら防げるかどうか……緑谷少年は肉体操作と防御能力という面において、既に私を超えているかもしれません」

 

「全く……あの子とあの()だからこそ防げた攻撃だね……あんな一撃をまともに受けて歪むどころか焦げ一つないなんて、どんな材料を使えばあんな物出来るんだい?」

 

「私も詳しくはないんですが……何でもある()()から採取される鉱石を加工した物らしく、耐熱・耐衝撃に優れ、個性の干渉ですら弾く一品だそうです」

 

「隕石から作った盾……そう言えばあの会社は資源採掘が主な業務だったね」

 

「ええ、彼は気に入った人間には手厚いケアをしてくれますから」

 

「どちらも装備に念入りに装着者を保護する機能や構造がしてあったって話じゃないか?……それに体に何があってもきっちり治す技術もありそうだしね」

 

 

リカバリーガールの言葉にギクリとするオールマイト

 

 

「健康になったあんたの引退なんて誰の入れ知恵かなんてすぐ解るもんさ……警察の装備投入のタイミングが都合良すぎるからね。後継者を見つけたと思わせない為の情報の撹乱なんてらしくないことしてるからバレバレだよ私には」

 

「すみませんリカバリーガール……あまり漏らしたくない情報だったので誰にも告げられなかったんです」

 

「怪我を隠されるよりよっぽどマシさ。それにあんたは人に任せるってことをしないから不安だったんだよ……その点に関しちゃあのCEOは遥かに上手だね。人の使い方と生かし方をわかってる」

 

 

リカバリーガールは二人の少年の診断書をしまった。

 

 

「どちらもなんの後遺症もなく完治してるけど、今日は無理な運動は控えるように二人に言っといておくれよ?」

 

「わかりました」

 

 

オールマイトは深くお辞儀して保健室を退出していった。

 

結局あの訓練結果は爆豪・飯田ペアの勝利となった。

 

亜脱臼しても腕の痛みに耐えながら動ける爆豪と無傷の飯田ペア。

 

急激な筋肉のパンプアップで一瞬だけ極度の低血糖に陥って意識が朦朧として動けなくなったデクに無傷のお茶子。

 

2対1では流石に状況の打開が出来ずに時間一杯使われてしまってデク・お茶子ペアは負けてしまったのだ。

 

そして周りのクラスメイトの反省会としては難しい考察となってしまった。

 

そもそも爆豪の機動力と攻撃力はたとえ相手が二人でも凌げるか難しく、そしてデクも超パワーに防御力、更にスピードも遅いわけではない高フィジカルっぷりを二人がかりで止めるのは難しい。

 

今回はお茶子がデクの行動の足を引っ張る形になってしまったが、あの状態では八百万や轟ですら加勢に入れるかわからないケースとなっていた。

 

 

「ほんとごめんねデクくん……私がもうちょっとうまく動けてたら……」

 

「いや、麗日さんのせいじゃないよ。かっちゃんの挑発に冷静でいられなかった僕が悪いんだ」

 

 

と、謝り合っている二人もいれば。

 

 

「……すまない爆豪くん、結局俺は余り力になれなかったよ」

 

「ハッ! モブが最低限仕事をしたんだ。俺はとやかく言うつもりはねえよ」

 

「君は本当に口が悪いなぁ」

 

「アアァン? んだとコラ!」

 

 

と、罵り合う二人がいた。

 

 

結局あの訓練では轟・爆豪・デクが突出した能力を見せて終わり、その後の反省会ではワイワイと交流が進むことになる。

 

デク自身も周りと若干画風の違う筋骨隆々すぎる体に比べて大人しい態度に、怖くない人なんだと理解されてクラスメイトに受け入れられた。(爆豪は性格が悪いと認知されたが)

 

何だかんだいってこの訓練は成功したと言っていいのだろう。

 

そして皆が教室で騒いでいるのを他所に爆豪は一人教室から出ていく。

 

そしてそれを追いかけるものが一人。

 

 

「かっちゃん!!!」

 

 

校門前、デクに呼ばれた爆豪は振り返った。

 

 

 

 

「今日は負けたよ……でも」

 

 

燃えたぎるような強い目でデクは爆豪をまっすぐ見ている

 

 

「次は負けない!」

 

 

それはデクの中で芽生えた思い、爆豪勝己に負けたくない。

 

 

「1勝1敗だ……お前に顔をはられて気絶してだせえ負け方をした。今日のもモブを利用したギリギリの勝利だった……」

 

 

そこには獲物を定めた獣がこちらを見ていた。

 

 

「次こそは完全な勝利をする!……どんな個性だろうがどんな力だろうが関係ねえ……それまで誰にも負けんなよデク、お前を倒すのは俺だ」

 

 

そう言ってニヤリと笑った爆豪は帰っていった。

 

 

「ズルいやかっちゃん……そう言われたら誰にも負けられないじゃないか」

 

 

デクは力なく微笑みながら教室に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

「……勝った、か」

 

 

帰り道、爆豪は勝利を噛み締めていた。

 

デクの張り手で気絶したあの日から、爆豪の胸中に言いしれない不安があった。

 

このまま自分は一生デクの背中を追い続けないといけないのか?

 

自分が虐げ続けていた奴に見下され続けるのか?

 

爆豪勝己には才能があった。だがその才能をゆえに挫折を知らなかった。

 

自分が下だと思えば石ころ程度だと思ってたのに気がつけば見上げる程の巨石に変わっていた。

 

肥大化したプライドが膝を屈することをひたすら拒む日々の中、爆豪は()()()()()に出会うことになる。

 

 

「君が個性を使うなら、俺は道具を作って対抗するかな」

 

 

デクを鍛えたと言ったその男の取り出した道具に爆豪は完全に敗北した。

 

勝てないわけじゃない、だがその一手が生み出せない。

 

 

「君は敗北を知らなくてはならない……君を形作る物を積み上げなくては出久くんには勝てないよ?」

 

 

雄英の試験から毎日その男にボコボコにされて地面を転がされる日々。

 

血と土の味を知った。

 

余りの疲労に動けなくなる限界を知った。

 

個性のコントロールと強化を行い、汗腺を使いすぎてボロボロになることも少なくなかった。

 

初めて装備を使い、操作難易度の高さに体中擦り傷だらけになった。

 

自分の才能とセンスを絞り切るような日々は爆豪にとって未知の連続だった。

 

試行錯誤と実践の連続は、寝ている時すら悪夢となって襲い、夜中に飛び起きた事も一度や二度ではなかった。

 

そして今日、その日々が結実した結果を呼び込んだ。

 

 

「勝ったんだな俺……」

 

 

時に苦難とは人を変えるきっかけになる。それは人をほんの少しだけ弱者に寄り添う事が出来るようにすら。

 

 

「チッ……何だか凄えじゃねえか俺は……まだ追いつけてねえのに嬉しくてたまんねえや……」

 

 

彼は本質はまだまだクズ野郎かもしれない。だがそれでも彼はほんの少し昨日よりクズではなくなったと思われた。

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