だから俺は○○じゃねえって!   作:ガウチョ

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ストックはないです


そこは地獄の一丁目

それは金属で作られた()()()()()だった。

 

見る人が見れば“黒いゴリラ顔のハルクバスター”と言われる造形をしているそのアーマーは、周囲に対して圧倒的な存在感を撒き散らしていた。

 

 

「デッドリーコング……アイアンコングと対をなすゲシュペンストアーマーのスペシャルモデルさ」

 

 

オールマイトが手慣れた動作でデッドリーコングに乗り込むと、その鋼の野獣は赤い双眸を光らせた。

 

 

「なんだこれ!」

 

「無茶苦茶カッコいいな!」

 

 

驚く上鳴に目がキラキラの切島。

 

 

「さーて……私が……行く!」

 

 

デッドリーコングが肩をグルグル回した後、背中のブースターから火を吹かせ、相澤先生達の所に文字通りに飛び込んでいく。

 

 

「おい、クソ髪にしょうゆ顔! お前らは俺と一緒にオフェンスだ!」

 

「お前も大差ないだろうが!」

 

「俺は瀬呂な」

 

 

切島と瀬呂は爆豪に文句を入れながら三人一組で警戒を始め。

 

 

「では残りの皆さんは私と一緒にいましょう」

 

 

13号は残りのクラスメイトを集めて防衛に入るのだった。

 

対して土砂ゾーンに移動させられた轟は誰も転移されなかった倒壊ゾーンからも来た木っ端ヴィラン共々纏めて倒しのだが、問題は八百万、上鳴、耳郎が行くはずだった山岳ゾーンにいった代表であった。

 

実は此方にも尾白が行くはずだった火災ゾーンにいた木っ端ヴィラン達が合流していたのだったが、その場所は混沌とした空気を生み出していた。

 

 

「てめえ……裏切るのかよジャン!」

 

 

山岳ゾーンに集まったヴィランたちは仲間だと思ってた二人にほぼ壊滅的な被害を受けることになった。

 

 

「馬鹿か? 元々オレの上司はてめえらとは違うってだけだろうが」

 

 

普通の人間には出せない超高速の肉弾戦で蹴散らす彼はジャン・ジャックモンド。

 

狼化という個性を持って生まれた青年で、代表の会社の警備部門に所属する一人である。

 

 

「ぐう……まさかスパイが紛れ込んでるとは……」

 

「お前ら二流もいいとこの木っ端ヴィランどもが何を言ってんだか」

 

 

周りの木っ端ヴィランがどんどん蹴散らされていく中、もう一人のスパイも代表を守りながら敵を倒していた。

 

 

「まあジャンはチンピラっぽいからな」

 

「そりゃあないぜ姉御」

 

 

コニー・レヴィン……複合した夜行性動物の身体機能が使える個性を有した彼女は、腰に付けたソードオフ・ショットガンを使わずに拳打だけで木っ端ヴィランの鼻を簡単に殴り砕いている。

 

 

「くっそ……此方の襲撃がバレていたって事なのかよ」

 

 

ボコボコにされ、結束バンドで身動きが封じられた奴が毒づくが。

 

 

「いや、一応その敵連合もスパイを警戒して連絡や情報の取り扱いは気を付けてただろうが。だから俺等は代表が狙われた場合の保険として、長期潜伏を目的としたスリーパーとしてお前等の所に潜っていたんだよ。だが3ヶ月でこうも大胆な行動を起こすとはなあ……まあお前等は個性を没収されて臭い飯を食いながら反省するんだな」

 

 

ジャンはそう言ってそいつの頭を殴って気絶させると意識のある木っ端ヴィランは一人もいなくなり、コニーと一緒に代表の元に集まった。

 

 

「いやーご苦労さまですお二人さん」

 

「これで俺等は身元が割れちまったからスパイ家業は終了だな」

 

 

労う代表と慣れないことをしたと言わんばかりのジャン。

 

 

「代表……奴等の潜伏先とその他の協力している組織のリストになります」

 

 

そしてもう一人のスパイだったコニーはそう言って代表に小型のSDカードを渡した。

 

 

「実際動いてるのは二流かチンピラまがいの連中だけですが、やはりバックにかなりの有力者がいるせいか、何人かは場違いな程の実力者もいるようです」

 

「あのオール・フォー・ワンがいる所だから、信者というか後援者として手を貸す人間は少なくないだろうね」

 

「悪党に手を貸す連中か……ろくなもんじゃねえな」

 

 

コニーの報告に補足した代表の話を聞いて嫌な顔をするジャン

 

 

「そういう企業や組織の炙り出しは()()()()()()()に任せればいいさ……我々は()()()()()()()()()()()()()()()()()を最優先目標に動けばいい」

 

「あのイカれ野郎の捕獲ねえ……あいつは常に黒い霧野郎がベッタリだから、逃げたら一瞬で見失うぞ? 殺っちまったほうが早いと思うけどな?」

 

「ジャンの言いたいこともわかるが、今回は前途有望な若者達がいるんだし、クリーンにやろうじゃないか。それじゃ、オールマイトの所に急ごうか」

 

 

こうして代表はスパイだった二人を従えてオールマイト達の所に向かうのだった。

 

そして水難ゾーンに行ったデク・峰田・蛙吹はそこにいた木っ端ヴィランとの戦闘を始めていた。

 

 

『アッセンブル!モード2!』

 

 

蛙吹が峰田を抱えて水中を移動する最中、デクは水の中で腰のアッセンブルドライバーのシリンダーを素早く取り替えてモードを変えていた。

 

その瞬間デクの体についていたベルトから生み出されたアーマー部分が崩れるように消えると、体をピッチリ覆う布状の黒い装束に覆われ、背中から蜘蛛の足のようなアームが生えていき、そのまま水の上に高速で飛び出して()()()()

 

アッセンブルドライバーモード2……狭い屋内やあらゆる場所からの侵入を想定した通称シノビスパイダーモードである。

 

周りの水中にいた木っ端ヴィランも唖然とした顔をして水の上に立ったデクを見ている。

 

デクはデクでユラユラ揺れる水の上を歩ける状態に四苦八苦しつつ、飛ぶように移動しながら水難ゾーンの船に移動する。

 

そこには蛙吹と峰田がいるのだった。




皆川亮二作品はいいキャラが沢山いるから作品を侵食していくぅ……。

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