だから俺は○○じゃねえって!   作:ガウチョ

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勢いで書いてます


何かを早く変えたいなら投資を惜しまない事だ

「そ、それって……ゼログラビトン6じゃない?」

 

「お母さん何その名前」

 

 

リビングに代表が手早く組み立てていたマッサージチェアの様なゴツい機械を見た引子の言葉に出久は困惑した。

 

 

「ゼログラビトン6よ! 貴方知らないの!? 座ってるだけで三ヶ月で10キロも痩せて体脂肪も15%落ちたって実績のある最新ダイエットグッズよ……完全予約注文で一台百万円以上するのに予約が一年待ちの商品なの!」

 

「ひゃ、百万円以上!?」

 

 

出久にとってはダイエット効果よりもその値段に驚いた。

 

 

「お母さん、これは一般用のゼログラビトン6ではなくて、プロスポーツ選手やモデルの体型維持に使われるハイエンドモデルですからお値段税込三百万円ですよ」

 

「ひ、ひえ~!」

 

 

ドン引きの引子をほっといて組み立てが終わったらしく、そのゴツい機械についたタブレットを手早く操作する代表

 

 

「あ、あのー……この商品のお支払は?」

 

 

自分達にはこんな高額商品を買うお金も伝もないのに目の前のこれは誰が払うのか怖くなった引子に代表は。

 

 

「元々これは()()()()なので俺は社割がつきますからお気になさらず使ってください。これは謂わば俺の出久君への先行投資です」

 

「社割?」

 

「先行投資?」

 

 

引子は社割に食い付き、出久は先行投資に食いついた。

 

 

「あのヘドロ事件に俺は偶々居合わせましてね。出久君の勇気ある行動に感銘を受けまして……ちょっとお手伝いしたくなったものなんです」

 

 

これ名刺ですと代表は引子に一枚の金属のカードを渡す。

 

そこに書かれていたのはこのゼログラビトン6を作った機械産業メーカーであるBig Dipperという名前。

 

そして代表の本名である神代表悟という名前と役職にはCEOという三文字の英語が連なっている。

 

 

「い、出久ー!」

 

 

それを見た引子は代表をリビングに置き去りにし、出久を引き連れて出久の部屋に引き連れていく。

 

 

「あなたとんでもない人と友達になったわね!」

 

「と、とんでもない人って……代表さんってそんな凄い人なの?」

 

 

出久の言葉に引子はため息を吐くとこう言った。

 

 

「いい出久……簡単にいうけどあの人はスッゴい大企業の最高経営責任者なのよ。もうハッキリ言ってこんな一般家庭で電気屋さんみたいに家電の組み立てをさせていい人じゃないんだから!……取り敢えずお母さんちょっとお使い行ってくるからあの代表さんの相手していてね!」

 

 

お茶菓子なに買えばいいのかしら……などとブツブツ言いながら引子は家から出ていって買い物に向かっていってしまう。

 

結局恐る恐る出久はリビングに戻ると代表は持ってきたものを全部開封して組み立て終わっていた。

 

 

「お? 話は終わったかい?」

 

「あ、はい……あのー……代表さんって凄い会社の社長なんですか?」

 

「ああ、代表って皆に呼ばせたいが為に会社を作ったんだけどね。随分と大きくなっちゃって……今は殆どの仕事を部下に任せてるよ」

 

「そ、そうなんですね」

 

「よし……まあ取り敢えずは持ってきたものを説明するよ」

 

 

そう言って代表はリビングに並べられた機械を説明していく。

 

 

ゼログラビトン6ハイエンドモデル

見た目は大きな高級マッサージチェア

内蔵された低周波と高周波、さらに特殊な流体金属を使ったマッサージにより身体中の筋肉疲労やコリを改善する。そして遠赤外線と流体金属から放たれる電磁パルスによって脂肪を燃焼しながら身体中の筋肉を収縮させ、寝ながら筋トレやダイエットが出来るというすぐれものである。

 

ザ・フィジカル

見た目は大きなタブレット付きのゴツい体重計

乗るだけで体重・体脂肪・血糖値・体内に貯蓄されてる栄養素・血中酸素量・血管内の栄養状態等々身体の色んな事を調べてくれる便利な体重計である。

 

そして各種トレーニング器具がリビングに綺麗に並べられていた。

 

 

「す、凄い……」

 

「他にも各種プロテインにBCAAとクレアチンのサプリメントも揃えたよ……出久君には後でそれらを摂取するタイミングや栄養指導を聞いてもらうからね」

 

「これが身体作りの短縮に繋がるんですか?」

 

「ああ、適切なタイミングで筋肉に必要な栄養を必要な量投与するということは馬鹿に出来ない効果として身体に現れるさ……10ヶ月しかないから色々やらないとね」

 

 

そして代表はお茶菓子を買って帰って来た引子と出久を交えて簡単な栄養指導を行い、置いていく機械やトレーニング器具、無くなっていく栄養食品は全て自分が負担するのでドンドン使ってくれと頼んだ後、残ったダンボールを抱えて帰っていくのだった。

 

 

「出久……代表さんって嵐みたいな人ね」

 

「うん……」

 

 

部屋のインテリアを殆ど動かさずに綺麗にトレーニング器具や機械を置いていき、お茶菓子を食べながら説明する代表を見送った後で二人はそう呟いたそうな。

 

こうして緑谷少年の肉体()改造が始まったのであった。


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