今日は町内のボランティアとして商店街の美化活動に参加している。普段お世話になっているだけに、俄然やる気が湧く。商店街の人たちが手入れを欠かしていないこともあって、作業は日の出ているうちに終わった。まだまだ梅雨が明けたばかりなので、じっとりとした汗が滴り落ちる。
「はいお疲れ様、いつもありがとね~」
「どうも~」
駄菓子屋のおばあちゃんが配っているチューブアイスを受け取る。これは無償のボランティアだから、アイスはおばあちゃんの厚意だ。人望があるからこのご時世にも店を続けられている。夏場には嬉しい差し入れだが、冷凍庫にいただけあってまだ硬い。これをタオル越しに額に当てることで、程よい冷感が得られる。
「効くぅ~」
直に当てたら絶対に気持ちいいが、風邪でも引いたら目も当てられない。体調管理もトレーニングの一環とはトレーナーの言葉だ。座れるところは無かったかしら、と辺りを見回してみると、至極見慣れた顔を二つ見つけた。
(トレーナーと商店街のおっちゃん……?)
珍しい組み合わせが顔を突き合わせて談笑していたので、聞き耳を立ててみることにした。
「これが最近地元の方から頂いたやつで、可愛いっしょ?」
「そうですね、とても可愛いです」
トレーナーが可愛いと言うぐらいだからそれなりに可愛いものなのだろうか。決して特別な理由は無いが、後学のためにこっそり拝見させていただこう。
「もう一枚あるのがこれ」
(写真……?)
途端に嫌な予感がして顔が青褪める。先日やってきた故郷の応援団が、こっちの応援団にばら撒いて帰った写真。ばっちりと幼い頃の自分が写った写真。すっかりこの商店街の人たちのメモリーに刻み込まれてしまっていたのだが、トレーナーさんに見せられてしまうことなどまるで想定していなかった。
「幼少期も可愛いですね、彼女」
余りにも考えが甘かった。外気に起因しない熱が、頭をじわじわと溶かしていく。
「それは入り口で待ってる娘に言ってやりな、トレーナーさん」
「へ?」
この呆けた声が自分の口から漏れたのか、トレーナーさんが言ったのか、今となってはどうでもいい。
「い、居たんだな……その、すまん」
「それ、見た?」
もはや頭の熱が顔の色にまで出ているのは、鏡を見るまでもない。
「ハイ……」
「~~~!」
分かってはいても、耐えられずに逃げ出してしまった。
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ついつい逃げてきちゃったな、と公園のベンチでクールダウンするも、溶けたアイスは先程までの熱を証明している。休み明けからどんな顔をしてトレーニングに行くべきか、思案に暮れながらアイスを飲むナイスネイチャであった。