平和のピースは勝利のVサイン   作:サトシ16852

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第1話

1964年

 

バーチャス・ミッション

 

世界は冷戦真っ只中、ソ連とアメリカが睨みを効かせている。しかしソ連側から、技術者であるソコロフという男が亡命を申し出た。その男を無事アメリカに保護する潜入ミッションである

 

 

 

スネークはソ連に潜入し無事ソコロフを発見、連れて帰ろうとするがソ連の山猫部隊に見つかってしまう。しかし、スネークは山猫部隊を撃破しミッションの続行をする

 

ソコロフを連れて、ある橋に到着。そこでスネークはかつての師匠であったザ・ボスが現れ、困惑するスネーク

 

そんなスネークにザ・ボスはコブラ部隊と共にソ連に亡命することを告げる。コブラ部隊にソコロフを奪われ、ザ・ボスにスネークは橋から落とされた川に流されてしまう

 

 

 

 

 

 

朦朧とする意識の中、無線機から発せられる独特のコール音により意識を取り戻すスネーク。だんだんと意識が覚醒していき、気づいた時には木造の家の中にいた

 

部屋には誰の姿も確認できず状況が掴めないスネークだが、とりあえず鳴り続けている無線に応答する

 

『スネーク!大丈夫か?』

 

「ああ、大丈夫だ。今まで意識を失っていたみたいだ。それと少佐、何故か俺は今木造の家のベッドで寝かされてる」

 

『どういうことだスネーク』

 

「わからない、こっちが聞きたいぐらいだ」

 

お互いに混乱していると部屋のドアがガチャリと音を鳴らし開かれる。スネークは銃を取り出そうとホルスターに手を伸ばすが銃がないことに気づく

 

そして開いた扉から出て来たのは一人の少年だった

 

「目が覚めたんですね、よかった。話声が聞こえたので見に来たんですが、大丈夫そうですね。窓から川を眺めてたら人が流れてきて驚きましたよ、運ぶのも大変でしたし」

 

子供にしてはなんだか大人しそうな雰囲気を感じる少年はスネークを見て安心したように息を吐いた

 

「君は?」

 

「あ、僕はここに住んでるノアって言います」

 

「ソ連の人間じゃないのか?」

 

少年の名前はアメリカではよくある名前であり、それを聞いたスネークは不思議に思い少年に尋ねる

 

「父がアメリカ人なんです、昔はアメリカにいたみたいなんですけど今はソ連にいます」

 

「親はどこに?」

 

すると少年の顔が少し曇る

 

「わからないんです、仕事に行ってくるって言ってから帰ってこなくなってしまってしまって」

 

「そうか、ところで銃がないのだが知らないか?」

 

「リビングにありますよ、いきなりズドンって撃たれるのは嫌だったので」

 

はは、と笑いながら全くこちらを警戒していない少年にスネークも警戒を解く

 

「それなら心配ない。すまないがコーヒーはあるか?それと銃も返して欲しいんだが」

 

「いいですよ、コーヒーは少し時間がかかりますが」

 

「構わない」

 

スネークは少年がドアを開けてリビングに行くのを確認し、再度少佐に連絡する

 

「少佐、どうやらノアという少年に命を助けられたようだ」

 

『ノア?現地人に見つかったのかスネーク?とりあえず回収班をそっちに送っている。そのノアという少年の親は』

 

「仕事に行ってから帰ってこなくなってしまったと」

 

『わかった、その少年も回収しよう』

 

「本気か少佐?」

 

『ではその少年を殺すか?いいかスネークこのミッションは絶対に見つかってはならない、もちろん痕跡もな。もし君がいたことがバレれば面倒なことになる。回収しないとなると殺すしかない』

 

『それに今の問題はそれだけではない。ザ・ボスがソ連に亡命し持ち出したアメリカの核をソ連に向けて発射したそうだ』

 

「ボスが核を?そんなバカな」

 

『とりあえず話は帰ってからだ。その少年も回収する、いいな?』

 

「、、、了解」

 

なんとも言えない感情に思わず下を向き、ザ・ボスの事を考える

 

スネークは10年間も彼女と共に過ごし、彼女を理解していたつもりであったが、すっかり彼女のことがわからなくなってしまった

 

そんな時不意にドアが開く

 

「コーヒーできましたよ、あと銃も」

 

スネークの雰囲気を気にせずできたコーヒーと銃を渡すノア、それを受け取ったスネークは一旦考えるのをやめ、ノアにこれからの事を話す

 

「ノア、いきなりで悪いがアメリカに来てもらう」

 

スネークの発言にキョトンとするノア

 

「本当にいきなりですね、でもなんでアメリカに?僕アメリカの血が入ってますけどほとんどソ連の人間ですよ」

 

「理由は俺を見た事だ」

 

ノアの頭の上に?が浮かび、言葉の意味を理解できていなかったが、しばらくして少し顔が青ざめる

 

「もしかして、お前は見てはいけないモノを見てしまったってやつですか?」

 

青ざめた顔から発せられる細い声はとても震えていた

 

「安心しろ、拷問をするわけじゃない、ほとぼりが冷めるまでアメリカにいてもらうだけだ。うちの回収班が今こっちちに向かってる」

 

「ち、ちなみにほとぼりが冷めるまでってどれくらいですか?」

 

「さあな?すぐかもしれないが、長いかもしれない」

 

「は、はは、嘘ですよね?」

 

「、、、、」

 

「マジですか、、」

 

 

 

 

 

アメリカ、某施設

 

 

未だ酷い怪我をしているスネークはベッドに寝かされ安静にし、それをノアが見守っていた。すると扉が開きゼロ少佐が入ってくる

 

スネークは体を起こそうとするが少佐が手のひらを見せて止める

 

「どうだスネーク、最新の集中治療室は?」

 

「あまり居心地が良いとは言えないな。少佐、上層部の奴らに面会時間を教えてやってくれ。こんなに質問ばかりされては治るものも治らない」

 

少佐の問いにうんざりした顔をしたスネークが答える

 

「どうやら俺は、ザ・ボスの亡命を手助けした売国奴らしい」

 

「奴らは処分する対象が必要なんだ」

 

「少佐、あんたも」

 

「残念なことにな」

 

なんとも言えない空気が流れ、耐えきれずにノアがコーヒーを淹れてこようとするが少佐が紅茶にしてくれと言いノアは外に出て行った

 

「少佐、俺たちのFOXは?」

 

「首の皮一枚繋がったみたいだ。我々FOXに新たな任務が来た」

 

「新たな任務?」

 

「そうだ、我々売国奴は身の潔白を証明しなければならない」

 

「まず状況の整理をしよう。君はソコロフを亡命させるミッションの途中ザ・ボスがソ連に亡命した。そしてヴォルギンはザ・ボスが手土産に盗んできたアメリカの核兵器をソ連領内に向けて撃ってしまった」

 

「起こったことは大体わかった。しかしなぜヴォルギンは自国に核を?」

 

「ソ連は今とても不安定な状況にあるんだスネーク。ケネディ大統領とフルシチョフは互いに手を取って友好関係を築こうとしてきた。しかしある事件により大統領が変わってしまった」

 

「ケネディ大統領暗殺か」

 

「そうだ、大統領が変わり思うように行かなくなってしまったフルシチョフは農業政策の失敗と共に政治的権力を失い始めている。そしてソ連のKGBとは別の組織であるGRUの大佐ヴォルギンが反乱を企てている」

 

「なるほど、それでソ連兵が対立していたわけか」

 

「それからは君がソ連に潜入し、今に至るわけだ」

 

「それで、新しい任務の内容は?」

 

「ソコロフの再救出、ボルギンの開発している兵器の破壊。そしてザ・ボス率いるコブラ部隊の抹殺」

 

「、、、、」

 

「君も散々聞かされたと思うがザ・ボスはヴォルギンに亡命し、ソ連領内にアメリカ製の核兵器を撃ち込んだ。我々アメリカは意図して核を撃ったわけではないが、ソ連はなかなか信じはしない」

 

「それで、アメリカの身の潔白を証明するために本人、英雄であるザ・ボスを殺すというわけか」

 

かつての師であるザ・ボスの亡命すら信じられずにいるのに核兵器まで撃つという行動に混乱してしまう

 

「失礼します、紅茶を淹れてきました」

 

「ありがとう、確かノア君といったか?悪いが君にはしばらくアメリカにいてもらう」

 

「まあ、そうですよね。その間僕はどこにいれば?」

 

少々不安がるノアにゼロ少佐は答える

 

「君は我々FOXが預かることになった、この時代はソ連の人間に風当たりが強いからな、それに君がアメリカに来てしまったのは我々の責任でもある。おお、これはアールグレイか?なかなか美味い」

 

「ど、どうも」

 

「君はまだ子供だ、色々困る事もあるだろう遠慮なく言ってくれ」

 

「わ、わかりました」

 

コーヒーじゃなくて紅茶がいいなどというような強いこだわりがある人だけど良い人そうでよかったと思うノア

 

「我々は少し仕事の話をしなくてはならない、外で何か食べていてくれ」

 

ゼロ少佐は懐から財布を出し、ノアにお金を渡す。ノアは少佐の言いたいことがわかったためお礼を言ってから病室を出て行った

 

「なかなか賢くていい子じゃないかスネーク」

 

「ああ、さっきから背広の連中が来るたびにああやって飲み物を出して終わったら俺の心配までしてくれる」

 

「それは羨ましい。スネークさっきのミッションの話だが我々はやるしかない。でなければ暗殺されるのをここで待つことになる、やるしかないんだ」

 

「、、、わかった」

 

 

 

 

 

ソ連上空 機内

 

機内にミッション開始を待つスネークに無線機から音が鳴る

 

『スネーク、今回のミッションはスネークイーター作戦と名付ける」

 

「コブラ部隊を相手するからか」

 

『そうだ、それに今回のミッションは君にサポートが着く。以前のソ連亡命事件を覚えているか?」

 

「確か暗号解読員が2名亡命したという事件だな」

 

『そうだ、そしてその2名は今回君のサポートをしてくれる手筈になっている。コードネームはアダムとEVA、向こうにもこちらが動いた証明が必要だ、協力してくれ。それと無線でバックアップをするのは私とパラメディック、そして武器兵器専門家のシギント、そしてノアだ』

 

「なぜノアが?」

 

『何かできることがないかと申し出てきてな、それならと言うわけだ。それにパラメディックの話を嫌な顔せずに聞いてくれる』

 

「なるほど、それはいい」

 

『私もとても助かっている』

 

「それでは少佐、スネークイーター作戦を開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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