別に書き忘れた訳では無いですからね、イイデスネ?
俺と祭理ちゃんによる手加減無しの絆パワーで地元のアマレースをぶっちぎりの一位で走り切ってから、だいぶ時間が経った最近。
あの日から祭理ちゃんは自分の力を知り、自信を持ったのか
『もっと違う所で知らない皆んなと走ってみたいな〜』
と言う程にレースへの情熱を加速させていた。
そんでもって都内や近郊の県、果てには遠方まで遠征してレースに出場していった。
このお陰で俺は自動車免許やら予算確保の為に良バ場のカウンターの裏でより一層働く羽目になったのだが、これは余談だ。
それでも祭理ちゃんに敵った娘は少なく、彼女が四年生になって高学年の部に出れる様になっても勝率は高いまま。
やっぱり、スターウマ娘の卵はこういう表だった事を幼少期にしているのは少ないのだろうか。
彼女達の経緯を調べていくとトレセン学園へ入学後に名前がメディアに取り上げられて居る子が多い傾向にある。
てかアマチュアレース自体にマスコミが来る事こそ少ないし、例え幼い時からその類のレースに出ていても本人の友人や家族といった少数しかその存在を知られていないか。
まぁそのお陰で俺の存在が知られずに済んでいる訳だが。
よく考えたら俺、URAブラックリスト入りして居るのにこんな事していてよくバレずに生きているな。
まぁ、そんな事はどうでも良くて。
今回話していきたい事は、今俺の目の前に見えている景色っつーか場所についてだ。
んー、突然だがそのまま言うのも何だしクイズでも出そう。
あ、決して文字稼ぎとかの類いでは無いからな!勘違いすんなよ。
よし、じゃあヒント1『夏』
夏に関している物を思い出してみてくれ。
え?プール、花火大会?違うねアレは年中出来る。
偏見たっぷりのヒント2『パリピが行きそうな場所』
詳しく言うとパリピというかリア充の野郎どもが群がりそうな場所だな。
そこの夏コミケとか答えた奴、残念だったな。あんな場所にあの子を連れて行けるかっての。
おっと、今ヒントが漏れたと思うが気にしない気にしない。
ヒント3は『走りづらい』
そうそう、言って無かったが今日此処にきた理由に祭理ちゃんのレース練習が入っているんだ。
此処は確かに練習に効果的な所だ。地面が不安定な分、体力が削られてタフな体を作るには実際丁度良い。
この三つのヒントで大半の皆んなは分かったと思うんで、そろそろ此処で答え合わせといこう。
今俺の前に広がったいるのはそう、海だ。
雲一つない晴天に白い砂浜、そして水平線ギリギリまで真っ青な海水。
今日はそんな今の季節にぴったりな場所に祭理ちゃんと来ている。
何でかって?そりゃあ去年、もとい前回の話のご褒美って事で彼女がねだって来たからな。
生憎去年は話を出した時期がもう秋だったので行けなかったんで、今年にずらして持ち越したのさ。
後、あわよくば祭理ちゃんのトレーニングも兼ねたかったのだが、そこそこの観光客で見える為断念。
こういう時にトレセン学園夏合宿のビーチを使ってみたい物だ。
そうこう思いを侍らせてイスに座っていると、急に視界が真っ暗になった。
いや、違う。隙間から光が見えている点からして目を手で覆われたのか。
「だ〜れかな?」
いつもの聴き慣れた声が背後から聞こえた。
そして、このやんちゃで愛嬌のある声は...
「祭理ちゃんかな?」
「正解、流石トレーナー」
こんな同行人が俺しか居ないんだから考え無くても分かるのだが...
って、俺何で二人で海来てんだろ。考えればあの娘コンの野郎が黙って居なさそうだし親父だってお目付役で来たって良いんじゃないか?
まさか、歳の離れた兄妹設定とかで通ると思ってんのか?十歳分の差の兄妹とか無理だろ。
「ねぇ、トレーナーさん。折角海に来たんなら遊ぼうよー」
「祭理ちゃん流石に俺と君が一緒に遊ぶのはハードルが高過ぎるよ」
彼女の言っている事は道理に合っているのだが、やっぱり状況が不味い。
二十歳と十歳、合わせて二分の三成人式分の年齢を持っている男女。何度も言わせて貰う、ぜってぇ危ない。
特に俺の身が。
俺も半裸でのままマッポにお縄を掛けられたく無いのし、この事がばれてURAに強めの監視体制を引かれたくないのでここは引き下がれ無い。
「まぁそんな事言わないで海に入ろうよ〜、絶対気持ち良いよ!」
「ああ、海の気持ちよさは俺だって知っているさ」
「じゃあ何で、」
「今回はリクエストした祭理ちゃんが主役だ。今日は子供らしく一人でお魚さんとダンスでも何でも踊ると良い。さぁ、脇役の俺に何か構わず水平線に向かってGO!」
「いけずー。ぶーぶー」
「気を付けてねー、何かあったら呼ぶんだぞー」
「はあーい」
段々、彼女の姿が小さくなって行く。ふぅ、不服そうだが何とか一人で遊ばせる事に成功したぞ。
グフフ、後で何とでも言うと良い。俺は祭理ちゃん第一だが、自分だって大切だ。
結局、彼女を生かすも殺すも私の手腕加減だしなガッハッハ。
「キャータスケテートレーナーサーン」(棒読み)
「⁉︎祭理ちゃん、今そっちへ行く!」
これで俺も法に反する事は無くなった。そうほっとした束の間、祭理ちゃんの悲鳴が耳をつんざいた。
おいおい勘弁してくれ、早速危機かよ!ヤベェぞこれは。
何だ、サメか?波か?誘拐犯か?
嗚呼もう、この際何でも良い、全員纏めてかかって来やがれ!
「うをぉぉぉぉ!待ってろよ、祭理ちゃん」
「キャートレーナーサンカッコイイー!」(棒読み)
祭理ちゃんのいる場所は海、それもちょっと奥の方。
まだ助かりそうな位置だ。
このままスタッフを呼ぶ時間が勿体無い、今手が届くのなら俺はその手を掴んでみせる!
「さぁ、祭理、手を此方に!」
「っ、!うん‼︎」
多分足をつったのだろう、必死にバタついている(様に見えた)彼女に近付いて手を伸ばす。
彼女はしっかり俺の手を掴み、俺は全力で手繰り寄せ抱き締める。
「言ったそばから、なんつー事しやがる。クソ危ないっての」
祭理ちゃんの顔を覗くと、彼女は疲れたのか意識が無かった。
「ハァハァ、大丈夫?生きてるよね」
祭理ちゃんを陸に揚げ、一応安否を確かめる。
「きゅ〜///」
...気を失ってんだよな、コレは。
「大丈夫ですか!?女の子の状態は?」
奥からライフセーバーが駆けつけて来た。
周りを見ると近くに人だかりが俺を囲ってる。多分誰か通報したな、有難い。
「はい、海の中で足をつって溺れしまったらしくて」
「...大丈夫です!生きています」
ライフセーバーが生死の確認をして、生きているな事を告げてくれた。
不安要素は一つでも無い方が嬉しい。
「それで、保護者の方は?」
「あ、私です」
「え、君?」
「そうですけど、何か?」
ライフセーバーが目をまん丸にして、俺を見た。何か可笑しい事でも...あ
俺の唯一懸念点が大衆の前でバレちった。
俺死んだんじゃね?社会的に
この後、何とか保護者の証明が出来たし、運良く警察も呼ばれなかったので祭理ちゃんを連れてそそくさ帰った。
後、この事が浜野(父)にバレなかったのはマジで俺も不思議だ。
こうして、俺の人生最悪の海は幕を閉じていったのさ。チャンチャン
これでストック分が終了しました。
これからはゆる〜くやっていくつもりなのでご了承下さい