ソードアート・オンライン ~剣の世界で弾を放て~ 作:レゾナ
プロローグ
ここはVRMMORPGの世界『ソードアート・オンライン』。
しかしここは普通の世界ではない。
この世界でHPを全損すれば……現実世界でも死んでしまう。
それが本当かは誰にもわからない。
しかし確かめようがないがために皆、全損だけはしないように鍛えつづける。
そして物語の始まりはここ……アインクラッド七十四層から始まる。
ここは七十四層迷宮区……。
「はっ!」
全体的に茶色の服装をしている彼……レンは右手に持った赤い剣『レッド・ザ・グラスホッパー』を振るい、「デモニッシュ・サーバント」の名を持つ骸骨戦士に一撃ずつ喰らわせていく。
彼が持つ剣は水色に輝いている。ソードスキルを使うのだ。
ソードスキルとはその名の通り、剣で扱う技の事である。他にも武器に合ったソードスキルがあり他にも体術スキルなどもある。
今回はその中の一つ「ホリゾンタル・スクエア」を使用し、デモニッシュ・サーバントを倒す。
経験値などが表示され、レンはそれを確認し、腰に下げている鞘に剣を納める。
彼は迷宮区の奥の方を見ながら一息つくと
「ふぅ……帰るか……帰らないと夜、遅くなるしな……」
そう言って、迷宮区を後にした……。
彼がやってきたのは五十層の街『アルゲード』。
迷宮区で手に入れた素材などをお得意様に売りに来たのであろう。
そしてそのお得意様がいるであろう場所には白い騎士服を着た男が立っていた。
「あんた、血盟騎士団の人か?」
「ああ、中には副団長がいる。入る事は許されん」
「そんなのは俺には関係ない。俺は副団長に用があるんじゃなくてここの店を経営している人に用があるんだから」
レンはそう言って無視して、店内に入る。
そこには件の副団長であり閃光と謳われる程の細剣の使い手、アスナとこの店の店主であり攻略組である斧使いエギル。そして黒尽くめの姿をしている少年。
「なんだ、キリト。お前も来ていたのか」
「あ、レン。お前も売りにきたのか?」
黒ずくめの少年の名前はキリト。攻略組の中でも抜きん出た実力の持ち主だ。
「ああ、それで?こんなに騒ぎになってるのは……そこの副団長さんの仕業か?」
「む。失礼ね、私じゃありません」
どうやらレンは人混みが苦手らしい。
「それで?レンは何を売りにきたんだ?」
「ああ、素材等を全部な。まあ、今日はどっかの宿に泊まる気だから」
そう言ってエギルに素材を渡すためにオブジェクト化させる。
「ほぅ?これは結構あるな……」
「早くしてくれ。それで?キリトは一体何をしているんだ?」
「ああ、それがな……」
どうやらキリトは七十四層の迷宮区から帰る際に超レアMobで「ラグー・ラビット」を倒してその肉を手に入れたらしい。
しかしそれを料理できる程の料理スキルを上げている人を探している際にアスナに会ったらしい。
「それで、キリトは半分食わせてやる事を条件にアスナが料理してくれるって訳か」
「その通りだ。羨ましいか?」
キリトはドヤ顔でレンに詰め寄る。
「残念だったな、俺は既にラグー・ラビットの肉を食した事がある」
「な……んだと……」
「しかも、俺はちょくちょく料理スキルを上げているから自分で料理した」
「………………」
そしてキリトはその場でorzの体勢になった。どうやら悔しかったらしい。
「まあ、中々に美味かったから期待してろ」
「ああ、期待してる」
そう言ってすぐに立ち上がるキリト。
「じゃあな。アスナも」
「元より、そのつもりよ。それじゃあね、レン君」
そう言って店を出て行くキリトとアスナ、そしてアスナの護衛と思われる男。
「それで?終わったのか、エギル」
「ああ、これでどうだ?」
そしてレンの前には鑑定額が表示された。それを見てほくそ笑むレン。
「ああ、充分だ。ありがとうな、エギル」
「いいさ、お前もキリトもお得意様だしな」
「じゃあな」
レンはそう言って店を出て行く。
「さて、どこに泊まろうか……」
レンはそう言って顎に手を当てながら考える。
どうやら今日泊まる宿を探しているらしい。
「あれ?レン君?」
「あん?」
と、レンは自分の名前を呼ばれたので呼んだ人物を見る。
そこにいたのは先ほどのアスナと同じ血盟騎士団に所属している女性だった。
髪の色は茶色で目元ははっきりとしている。特徴的なのは目で左目は青色、右目は赤色である。
服はアスナの服装をちょっと彼女風に合うようにしたのであろう。アスナより少し背は小さい。
「なんだ、シオンか」
「何よ、それ。何だか悩んでる感じだったから話しかけたのに」
彼女の名前はシオン。レンがアスナと血盟騎士団の団長であるヒースクリフを除けば血盟騎士団の団員と唯一懇意にしている人物である。
「ああ、ただ今日泊まる宿を考えてただけだ」
「ああ、そういえばレン君、ホーム持ってないんだっけ?」
「ああ、ホーム持ってたら何だかあれでな……」
レンは自分のホームを持っていない。買うお金がないというのもあるのだろうが、彼にとって家とは特別な意味を持つのである。
それに関してはまた後にでも語る事があるだろう。
「ふぅん……何だったら今日、家に泊めてあげてもいいけど?」
「え?いいのか?邪魔になるんじゃ……」
「いいわよ。結構大きいホームだしね。何だったら住んでもいいよ?」
「……いや、住むのはいいよ。まあ、今日はお世話になるな」
「よし……!」
レンが泊まると聞いた瞬間、シオンは小さくガッツポーズをする。
ここまでのやり取りを見ればわかるかもしれないがシオン、レンに好意を抱いている。
彼女がなぜレンに好意を抱いたのか……それも後々に語られる事だろう。
「それじゃあ、お世話になる」
「よし、それじゃあ早速向かいましょう。向かうは六十一層「セルムブルグ」!」
そう言って二人は歩き出した。